Dustin Abbottが「VILTROX AF 50mm F1.8」のレビューを公開。良好なビルドクオリティとF1.8のシャープネスを評価しつつ、玉ボケには非球面レンズのムラが目立つと指摘しています。
Dustin Abbott:Viltrox AF 50mm F1.8 STM Review
外観・構造:
- 金属外装のビルドクオリティは競合モデル(FE 50mm F1.8・AF 45mm F1.8 FE)と比べて確実に上回っている。
- 小型軽量なレンズではないが、ビルドクオリティとのバランスはとても良好だ。
- プラスチック製のレンズフードは本体と比べると少し安っぽい。
- 前面はフッ素コーティングが施されているが、防塵防滴仕様ではない。
- USB-Cポートを搭載しており、簡単にファームウェアアップデートが可能だ。
携帯性:
- ソニーやサムヤンほど小さく軽いわけではない。
- VILTROX AF 24mm F1.8 STMとほぼ同じサイズだ。
- フィルターサイズは55mmだ。
操作性:
- 絞りリングは1/3段ごとのマーキングがあるものの、クリックは無い。
- フォーカスリングはとても良好だ。優れたグリップとトルクを備え、非常に正確な操作が可能だ。
- バイワイヤのフォーカスリングとしては最高のレンズである。
- AF/MFスイッチはない。
フォーカス:
- ステッピングモーター駆動で動作する。
- 高速かつ静かで、α1との組み合わせで一貫して良好な精度が得られた。
- 最短撮影距離から無限遠に移動する際、一瞬の遅延を感じるが、概ね信頼できる結果が得られた。
- 低照度では開放測距を利用できる
- VILTROXレンズの撮影倍率が強みとなることは無く、このレンズも例外ではない。撮影倍率はわずか0.10倍だ。
手ぶれ補正:
- 記載なし。
解像性能:
- 中央はしっかりとした解像度だが、コントラストは抜群と言えない。
- 周辺部の結果は良好に見え、隅もフレーム端を除けば良好だ。
- MTFよりも少しシャープに見える。
- 遠景よりも近距離で感銘を受ける傾向があり、近距離に最適化されているように見える。
- F2まで絞っても魔法のような改善は得られない。
- F2.8まで絞ったほうが見栄えが良くなる。
- F4-5.6まで絞ると全体的にとてもシャープとなる。
- 撮影倍率は高くないが、光学性能は良好だ。
- 焦点距離にこだわらないのなら、サムヤンAF 45mm F1.8 FEのほうが好みだ。
像面湾曲:
- 最短撮影における結果は良好である。
ボケ:
- 絞ると羽根の形状が見え始めるが、玉ねぎボケが強くて目立たない。
- 玉ねぎボケが非常に目立つので、一部の人は購入を躊躇うと思う。
- 玉ボケ以外のボケ質は遥かに魅力的だ。
色収差:
- 倍率色収差は目立たない。
- 軸上色収差はピント面前後に色づきとして目に付く。ただし、等倍でのみ確認でき、全体像では目立たない。
球面収差:
- 記載なし。
歪曲収差:
- 極僅かな糸巻き型だ。
周辺減光:
- F1.8で重い減光が発生する。修正するには強い補正が必要だ。
- 幸いなことにLightroomには補正用プロファイルが存在する。
- ただし、カメラ出力の補正用プロファイルは無い。このためJPEGや動画撮影に適用することができない。周辺減光は強いので、そのまま使うことは出来ないだろう。
コマ収差:
- 記載なし。
逆光耐性:
- 逆光ではフレアが発生する可能性がある。
総評
VILTROXがフルサイズ用のF1.8レンズに着手したことをうれしく思う。VILTROXのレンズは着実に良くなってきており、手ごろな価格のレンズをラインアップしている。 これまでFE 50mm F1.8に取って代わるレンズを誰もリリースしていないのは奇妙なことだ。
このレンズの主な欠点は、カメラで補正プロファイルでサポートしていない重い周辺減光とタマネギのようなぼけ味だ。周辺減光はRAW現像ソフトで対応できる。
その一方で素晴らしいビルドクオリティ、質の高いオートフォーカス、そして強力な光学性能は大きな強みとなる。個人的にはサムヤンAF 45mm F1.8 FEが好みだが、滑らかなフォーカスリングや絞りリングを考慮すると、VILTROXは動画撮影でより良好な選択肢となるだろう。
- 長所:
・金属外装の素晴らしい作り
・絞りリング
・滑らかなフォーカスリング
・USB-Cポート
・静かで効果的なAF
・絞り開放から良好な中央シャープネス
・絞った際に良好な全体のシャープネス
・低歪曲
・価格設定- 短所:
・玉ねぎボケ
・軸上色収差
・レンズプロファイルがない
・防塵防滴ではない
・低倍率
とのこと。
いくつか他のレビューサイトが指摘しているように、玉ねぎボケがかなり目立つみたいですね。Dustin Abbott氏のサンプルを確認しても、確かに玉ボケの内側には同心円状の目立つムラが発生しています。非球面レンズの研磨状態は良くない模様。個人的には、APS-C F1.4シリーズと同じく、非球面レンズを使わない滑らかなボケを期待していました。
玉ボケの描写には残念な部分があるものの、F1.8から良好な光学性能を得ることができるのは魅力的ですね。ガウスタイプのFE 50mm F1.8は隅に向かって性能がガクッと低下するので、開放から安定した描写は価値があると思います。
ここで最も強力なライバルとなるのはサムヤン「AF 45mm F1.8 FE」でしょうか。外装はプラスチッキーですが、小型軽量で良好な光学性能を備えています。絞りリングこそ搭載していませんが、α7Cなど小型軽量ボディと相性が良いレンズ。
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