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富士フイルム「XF50mmF1.0 R WR」はスペシャリストのための大口径レンズ

Dustin Abbottが富士フイルム「XF50mmF1.0 R WR」のレビュー公開。絞り開放のシャープネスやコントラストはイマイチのようですが、スペシャルなボケ描写を得られるレンズと評価しています。

スペシャリストなレンズ

Dustin Abbott:Fujinon XF 50mm F1.0 WR Review

  • レンズの紹介
    ・レンズメーカーは実用的なモデルに加え、自社ブランドに注目してもらうためのモデルを開発することがある。キヤノンは数十年前に「EF50mm F1.0L」を作り、富士フイルムは「XF50mm F1.0 WR」を作った。
    ・F1.0のレンズは技術的・光学的な挑戦であり、いくつかの妥協も伴う。このレンズにおいて、それはサイズであり、重量であり、価格であり、そして補正が難しいいくつかの収差として現れている。それでもキヤノンよりも遥かに優れたボケだ。
  • ビルドクオリティ
    ・外装は大部分が金属製だ。
    ・プラスチック製のレンズフードは比較して少しやすっぽく感じる。
    ・レンズは11点の防塵防滴処理が施されている。XF56mmF1.2と比べると明らかに改善している。
    ・最短撮影距離が70cmと長いのは残念だ。このため、撮影倍率は0.08倍と非常に小さく、これまで見てきた中で最も小さい倍率だ。
  • 携帯性
    ・適度な焦点距離だが、大きなレンズ口径により、XF200mm F2に次ぐ巨大な単焦点レンズとなっている。
    ・重量は845gだ。XF50mm F2の倍以上、VILTROXの3倍、XF56mmの2倍以上の重さがある。
    ・全長は50mm単焦点レンズとしては非常に長く、直径もかなり大きい。
    ・大部分の富士フイルム製カメラでバランスが悪い。今回はX-S10と組み合わせたが、ボディを圧倒するレンズサイズだ。
  • 操作性
    ・絞りリングは1/3段ごとに動作する。「A」ポジションの利用も可能だ。
    ・スイッチ類は存在しない。
    ・マニュアルフォーカスリングは適度な抵抗量で素晴らしい操作性だが、フォーカスレンズは目に見える段階的な動作となり、あまり楽しいものではない。
  • オートフォーカス
    ・接写時にコントラストは大きく低下するが、F2まで絞ると大幅に改善する。
    ・フォーカス精度は良好だ。
    ・瞳検出も良好に機能するので、F1.0で撮影しても正確にピントが合っている。
    ・DCモーターを使用しているので、間違いなく駆動時のノイズが発生する。
    ・フォーカス速度に問題は見られないが動画撮影に素晴らしい選択肢とは言えない。
  • マニュアルフォーカス
    ・マニュアルフォーカスリングは適度な抵抗量で素晴らしい操作性だが、フォーカスレンズは目に見える段階的な動作となり、あまり楽しいものではない。
  • 手ぶれ補正
    ・F1.0の明るさにより、低照度でもISO800で1/10秒の撮影が可能だった。F2.8のレンズであればISO6400が必要なシーンである。
  • 解像性能
    ・F1.0のレンズとしてはシャープだが、RF50mm F1.2Lや35mm F1.2 DG DNほどでは無い。
    ・安価なレンズが高価な大口径レンズよりもシャープなことはある。このレンズも同様であり、等倍のシャープネスに期待しているとがっかりすることだろう。
    ・F1.0における解像度は悪くないが、レンズにワセリンが塗られているように全てが霞んで見える。これはコントラスト低下の要因となる球面収差が補正されていない結果だ。
    ・プラスの側面として、フレーム全体の解像度はとても一貫しており、像面湾曲は小さい。倍率色収差は最小限でフレーム四隅の色ずれはほとんど見られない。
    ・低コントラストは後処理可能だと言う者もいるが、フレーム全体の見栄えを変えずにコントラストを調整するのは難しい。
    ・JPEGを利用すると、優れたディテールとコントラストを得ることが出来た。それでも遠景撮影時のコントラストやシャープネスは良くない。
    ・F2まで絞るとコントラストは向上し、F2.8で見栄えが良くなる。F5.6まで絞ると優れた結果を得ることが出来る。
    ・個人的にはF2で等倍レベルでのディテールが得られる。
  • 像面湾曲
    ・記載なし。
  • ボケ
    ・口径食の影響は最小限だ。
    ・玉ボケはEF50mm F1.0Lよりも遥かに滑らかだ。色収差による色づき以外はとても滑らかな描写である。
    ・コンパクトでシャープなレンズは選択肢が多いものの、このレンズのようにクリエイティブな選択肢はほとんど存在しない。
    ・フルサイズで言えば76mm F1.4に相当する。
    ・F1.0の大口径レンズだが、電子シャッターで1/8000秒以上の高速シャッターを利用できる。
  • 色収差
    ・軸上色収差の影響が残存しており、ボケ領域の色づきとして現れる。これはF1.4まで絞っても残存している。
  • 球面収差
    ・収差は残存しており、ピント面の滲みとして現れている。
  • 歪曲収差
    ・糸巻き型の歪曲収差はとても穏やかだ。
  • 周辺減光
    ・周辺減光が驚くほど少ない。
  • コマ収差
    ・記載なし。
  • 逆光耐性
    ・完璧では無いが、このような大口径レンズとしてはきちんとした性能だ。
  • 作例集

総評

スペシャリストのためのレンズだ。あまりにも大きく重く、そして高価である。それでもスペシャルな結果を得たい人のためのニッチなレンズである。このようなニッチ市場の中にウェディングやポートレートなどが含まれていると思う。

F1.0のAFレンズは開発が非常に困難であり、他の選択肢はキヤノン「EF50mm F1.0L」くらいだろう。そしてキヤノンよりも機能的なレンズである。絞り開放の実用性が犠牲となっている部分もあるが、光学的な妥協は少ない。

最高のオートフォーカスや絞り開放のシャープネスでは無く、大型で不便さもあるが、美しく柔らかいボケと個性的な描写を得ることが出来る。このレンズに満足できるかどうかは、このレンズをどのように使うかに依ると思う。個人的な見解として、このレンズを絞って使うのは無駄だ。被写界深度で遊ぶのが好きで、写真にアーティスティックな傾向があるのならば、検討する価値がある。

長所:素敵なビルドクオリティ・高品質な耐候性・正確なAF・美しく滑らかなボケ・クリエイティブな浅い被写界深度・フレーム全体のシャープネス

短所:大きく重い・高価・絞りを開いた時に低コントラストで低シャープネス・いくらか未補正の収差がある・残念な最短撮影距離と最大撮影倍率

とのこと。
賛否両論のある超大口径の中望遠単焦点レンズですね。APS-C用レンズとしては非常に高価なレンズですが、シャープネスは思いのほか平凡。ただし、APS-C用としては非常に浅い被写界深度と滑らかなボケを楽しめるレンズに仕上がっている模様。作例を確認すると、確かに滑らかで心地の良いボケ描写に見えます。

解像特性や口径食や周辺減光の影響が小さいところを見ると、イメージサークルが少し大きいのかもしれませんね。ただし、これは自動補正されたRAWの評価なのかもしれません。Lenstipなど未補正のRAWを扱うレビューでは少し異なる見解となっています。

個人的に球面収差を利用した滲みを伴うボケ描写が好み。この描写に18万円出せるか?と言うと悩ましいところ。XF56mm F1.2 APDも存在するので、差額や機能性は要検討。個人的にXF33mm F1.0のほうが需要あったような気もします。

XF50mmF1.0 R WR交換レンズデータベース

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