このページではニコンのフルサイズミラーレス「Z7」を発売日から1年半使って感じた良いところ・悪いところの振り返りレビューを掲載しています。
Nikon Z 7の良いところ・悪いところ
Z 7のポイント
Good | Bad |
小型軽量 信頼性の高い防塵防滴仕様 握りやすいグリップ USB充電対応 ケチのつけようがないEVF 高解像LCDモニタ 使いやすいAFジョイスティック 使いやすいフロントFnボタン MB-N10ホットスワップ XQDメモリーカード 優れた解像性能 良好なダイナミックレンジ 精度の高いAF-S 潜在性能の高いAF速度 瞳検出能力が高い 9コマ秒の高速追従連写 まずまず良好な手ぶれ補正 Zレンズの光学性能 自由度の高い画質設定 自由度の高いCPC |
小さすぎる カスタマイズボタンが少ない グリップカバーの材質 USB端子の位置 BT系ワイヤレスレリーズがない 意味不明な配置のDISPボタン バッテリーライフ USB給電不可 MB-N10縦位置操作不可 CFexpressを活かせない SDカード非対応 ロックオンAFの追従性 連写時のバッファが小さい ローリングシャッター耐性が平凡 ZレンズのAF速度 Zレンズの多くがVR非搭載 多くのZレンズが低機能 初値が高すぎた |
外観・操作性
α7似の実績あるデザイン
小型軽量だけど…ニコンに求めていたミラーレスはこれだったのか?
ニコン一眼レフの面影を残しつつ、ミラーレスらしい小型軽量ボディ。グリップの赤ラインは一眼レフと同様。全体的なシルエットは少し責め過ぎたキヤノンEOS Rと言うより、実績のあるソニーα7寄りのデザインと感じます。
個人的には少し「ニコンらしさ」が足りない印象。いっそD850のような大型タフネスボディでも良かったのですが…、その路線はパナソニックLUMIX Sシリーズが採用してしまいました。
とは言え、小型軽量ながら頑丈なボディに仕上がっています。ボディ外装にはマグネシウム合金を採用。カードスロットのカバーなど、防塵防滴仕様はとてもしっかりとしています。拡張性はやや難があるのですが、それは後述しましょう。
快適なグリップ
ボディサイズを考えると使いやすいグリップでGood!
ただし上部ボタンのカスタマイズ性が悪い
キヤノンほど大きくありませんが、ソニーより握りやすく指の掛かりが良いので安定したグリップが可能です。マウント-グリップ間のクリアランスも良好で快適なグリップを実現しています。多少厚めの手袋を装着しても問題を感じにくいはず。
グリップ上部はニコン一眼レフを彷彿とさせるボタン配置となっています。ニコンユーザーであれば違和感なく使うことが出来るはず。ただし、D850やD780など比較的新しいカメラのボタン配置となっているので、D810やD750とは異なります。
ちなみに自由度の高いボタンカスタマイズに対応しているのはRECボタンとフロントFnボタンのみ(「AF-ON」やサブセレクター押し込みはカスタマイズの自由度が低い)。ISOや露出補正ボタンは機能が固定されています。今どきのミラーレスとしてはカスタマイズの自由度が低いのは残念。
劣化しやすいグリップカバー
既にベトベト&ボロボロ…素材はもう少しこだわって欲しかった
残念ながらグリップに使われているゴムカバーが劣化しやすく、同時期に購入したEOS Rと比べてかなり残念なことになっています。さらにダメージに弱く、傷みやすい。摩擦が高く滑りにくいのは長所と言えそうですが、個人的にはもう少し劣化しない素材を採用して欲しかったです。
USB端子による充電に対応しているが…
ついにニコンもUSB充電!だけどUSB給電は非対応!
各社ミラーレスと比べると端子の位置が上すぎる気も…
USB経由でのボディ内バッテリー充電に対応。予備バッテリーや充電器が無くても車載USB端子やモバイルバッテリー経由での充電が可能です(もちろん充電可能な仕様が前提)。バッテリーはUSB充電対応の「EN-EL15b」を使用、従来の「EN-EL15a」ではUSB充電出来ないので注意。ソニーα7シリーズのようなUSB給電(外部電源)としての利用は出来ません。
USB-C端子は左側面の丈夫に配置されているので、端子カバーを全て外す必要があります。まぁ、USB給電に非対応の為、HDMI・リモコン端子と比べると使用頻度が少なく妥当な配置と言えるでしょう。個人的にはリモコン端子をあまり使わないので下側に付けて欲しかったところですが…。
端子関連でついでに指摘しておくと、ワイヤレスレリーズにWR-R10/WR-T10が必要です。赤外線では無く電波を利用する高機能レリーズなので外付けは仕方ないと思いますが、できればBluetoothリモコンなどエントリーしやすい選択肢が欲しいところ。今のところSnapBridge経由のスマートフォンでもBluetoothリモコン機能がありません。(他社では専用リモコンやアプリ機能が存在します)
ファインダー・モニター
ケチのつけようがない仕上がり
ニコンクオリティの電子ファインダー
ファインダーは使用しているパネル・光学系ともに非常に良好。四隅まで倍率色収差が目立たず、クリアでシャープな像となっています。OLEDパネルで発色やコントラストが良く、撮影結果にとても近いライブビュー像を見ることが出来ます。電子ファインダーの中ではベストに近い高水準な仕上がり。
接眼レンズにはフッ素コーティングが施されているのでメンテナンスしやすいのもGood。キヤノンなど一部のメーカーは手入れをするとコーティングが剥がれやすいのです。
モニターも210万ドットと比較的高解像なパネルを採用。104万ドットの液晶モニタと比べて高解像でかなり見やすく感じます。撮影時のモチベーションも上がりやすいのでおススメ。
ファインダー・モニターはどちらも輝度・色の調整が可能です。どちらも細かく調整できるメーカーは少なく、地味に強みと言えるポイント。
ジョイスティック
ミラーレスの中では使いやすいジョイスティックの形状・配置
ソニー第3世代と比べると使いやすい形状と配置。ニコン一眼レフで採用しているジョイスティックと似ています。8方向に対応、滑らかで直感的な操作が可能となっています。初期設定でも問題ありませんが、素早く操作したい場合は測距点を半分に減らすことが可能です。
ジョイスティックに関して特に不満はなく、ミラーレスの中では使いやすいデザインと言えるでしょう。あえて言えば、もう少し上部に配置されていると良かった。
DISPボタン
個人的に最も不満なポイント
かなり残念なポイント。他社ではFnボタンや録画ボタンなどを配置する「一等地」に何故かDISPボタン(一部メーカーでは「INFOボタン」に相当する)が配置されています。ここにカスタマイズ不可のDISPボタンをなぜ割り当てたのか理解できません。そこまでDISP機能を頻繁に利用するでしょうか?
正直なところ初値40万円超のカメラでこのボタン配置は異常。せめてドライブボタンと場所を交換して欲しいです。
フロントFn
ミラーレスでは最も使いやすい秀逸なデザイン
レンズマウント右側面に長細いFnボタンを2つ搭載しています。これまで使ってきたミラーレスカメラの中では最も押しやすいフロントFnボタン。オリンパスのフロントFnボタンも良かったですが、押しやすさで言えばZ 7のほうが良好。
Z 7で自由度の高いボタンカスタマイズが出来るのはフロントFn2カ所とRECボタンだけなので良く考えて機能を配置したいところ。
バッテリー・追加グリップ
バッテリーライフは比較的悪い
そしてなぜ縦位置グリップを想定して無いのか?
バッテリーはUSB充電に対応した「EN-EL15b」を使用します。古い互換バッテリーでも動作しますが、USB充電に対応していないので注意が必要です。
満充電のバッテリーにおける撮影可能枚数は「約330枚」。最新フルサイズミラーレスとしてはシグマ「fp」に次いでワーストに近い水準。参考に競合カメラのバッテリーライフを挙げると…
- EOS R:370枚
- LUMIX S1R:360枚
- α7R III:530枚
- fp:280枚
ワーストに近い性能ですが、ソニー「NP-FZ100 バッテリー」の性能が飛びぬけて良く、他のミラーレスは驚くほどの性能差ではありません。USB充電にも対応しているため、モバイルバッテリーで小まめに充電することで心配することは無いはず。
他社でよく見る「低消費電力モード」のような機能はありません。ただし、カスタム設定「C3」にパワーオフ設定という項目があるので、そこを調整すると多少良くなるかもしれません。
発売段階で縦位置バッテリーグリップを用意していなかったのは残念なポイント。今でこそバッテリーグリップ「バッテリーパック MB-N10」が利用可能となりましたが、バッテリー以外の電子接点が無いので縦位置側のボタン・ダイヤルはありません。バッテリーを追加で1個搭載するためだけのグリップです。その割には少し高めの価格設定。個人的に縦位置での撮影が多く、ボタンやダイヤルも利用するので残念なポイント。
幸いにもMB-N10はホットスワップ(バッテリーを片方抜いても動作し続ける)に対応しているので、予備バッテリーさえあれば無制限の連続撮影が可能となっています。さらにUSB端子経由でグリップ内の順次充電が可能。
XQD・CFexpressメモリーカード対応
出来ればSDカードとデュアルスロットにしてほしかった
Z 7・Z6はミラーレスとして初めてXQD・CFexpress(要ファームウェアアップデート)メモリーカードを導入したモデル。その後、パナソニック「LUMIX S」シリーズが導入し、キヤノンも「EOS R5」でCFexpress採用予定となっています。遡ればニコンは2016年に発表したD5・D500で既にXQDメモリーカードを採用しています。当時は思い切った決断だと思いましたが、先見の明があったのかもしれませんね。
とは言え、まだまだ高価なモデルしかないXQD・CFexpressのシングルカードスロットは辛い。連写やバッファが必要無い人にとってデータ容量あたりのコストパフォーマンスはSDカードが圧倒的。できればSD+XQDのデュアルスロットが良かったです(D850のように)。
さらに、CFexpressを使ったとしてもXQDと転送速度(バッファクリア)があまり変わらないと言った体験談も散見します。これは内部的にCFexpressを活かせない環境と言った見解もあれば、XQD・CFexpressどちらも活かせていないと言った見解もあります。DPReviewのフォーラムで公開されているこのテストを見る限りではXQD・CFexpressどちらもボディ側のボトルネックに引っかかっている模様。
画質
ニコンではベストの解像性能
元D850ユーザーですが、基本的に同等の画質だと思います。高解像・高ダイナミックレンジの素晴らしいフルサイズCMOSセンサー。ボディ内手ぶれ補正や電子シャッターと組み合わせることでブレを極限まで抑えることができる点も良いですね。
ダイナミックレンジの使い方(ハイライトの飛び方・シャドウの諧調)も概ね同傾向のため、D850のコンパクトなサブカメラとして使いやすいはず。
キヤノンと比べるとハイライトが飛びやすく、シャドウの諧調表現が得意な印象。
「ローパスフィルターレス&高解像」なのでレンズの解像性能が良ければ驚くほどのディテールを得ることが可能。解像度を活かしてモアレの発生も良く抑えられています(解像限界付近はローパス搭載モデルのほうが有効)。
強烈な逆光状況でもある程度のシャドウ回復が期待できます。とは言え、ハイライト・シャドウ情報量でベストを尽くすのならば、ハーフNDやAEブラケットなどで撮影するのがおススメ。RAWからの復元には限界があります。
海外レビューで指摘されていた「シャドウを強く持ち上げた際のバンディングノイズ」は確かに発生します。しかし、5~6段分の大きな後処理をしなければ特に問題ないはず。
高感度ISOは最近の高画素フルサイズらしいパフォーマンス。2400万画素の裏面照射型CMOSほど良好という訳ではありませんが、ISO10000程度ならDXクロップでも実用に耐える画質だと思います。(上記はISO 10000 DXクロップをさらに1:1でトリミングしたもの)
ノイズはそれなりに発生しますが、色再現性は良好です。
AF
AF-Sで利用するならとても使いやすいAFシステム
AF-Cで使う場合はもう少し改善が必要かも
精度
追従性を別で考えると、AF精度に大きな問題を感じたことはありません。ミラーレスらしく微調整不要の高精度なフォーカス性能だと思います。
実絞り(設定したF値まで絞り羽根が閉じる)AFはF5.6まで。ソニー(第3世代まで)のようにAF-SでF8やF11まで実絞りAFとならないのでピントの山を掴みやすいと感じます。また、キヤノンのように開放測距では無いので、レンズのフォーカスシフト(絞り値でピントの山がズレる現象)をある程度内包できるのもGood。F5.6までの実絞りは良いさじ加減だと思います。
速度
悪く無いと思いますが、これはレンズ側の影響が強いように感じます。ニコンZレンズはステッピングモーター駆動が多く、ソニーの「XDリニア」やキヤノンの「ナノUSM」と比べると少し見劣りする印象(ちなみにソニー・キヤノン使った上での感想です)。
アダプター経由でキヤノン製ナノUSM駆動のレンズを使うとかなり快適に動作します。個人的にはやっぱりレンズ駆動方式が足を引っ張っているのではないかなと推測。補足しておくと、ニコンも最近はマルチフォーカス機構を採用してAFの高速化を図っています「NIKKOR Z 24-70mm f/2.8 S」「NIKKOR Z 70?200mm f/2.8 VR S」など(ただし駆動方式はどちらもステッピングモーターを使用)。
顔・瞳検出AF
ファームウェアアップデートで追従瞳AFに対応、かなり使いやすくなりました。フレーム内の前景(つまりまつ毛)にピントを合わせる傾向があるものの、これは他社でも似たような傾向があります。
検出精度はとても良好で、ソニーやキヤノンより瞳を検出しやすく感じます。
ただし、検出が外れた際の挙動がイマイチ。ピントが外れた位置を掴み続ける傾向があり、再復帰のレスポンスが比較的遅い。特に激しく動く被写体の場合はロックオンAFを使ったほうが良いかもしれません。(EOS R・Z 7・α7 III・LUMIX G9の比較テスト記事)
動物認識
ファームウェアアップデート「Ver3.0」で実装した犬・猫の顔検出・瞳検出機能です。「オートエリア」でのみ利用可能となっているので注意。
手持ちの人形で動作をテストしてみたところ、問題無く検出しました。動く被写体でも手前の瞳へ自動的に乗り移る動作はGood。
人間の瞳検出テストでも感じたのですが、ニコンの”検出精度は”なかなか優れているように見えます。
瞳を見失っても顔検出で粘りを見せる。素早く動く被写体でなければ実用レベルの便利機能です。
ロックオンAF
初期ファームは一眼レフのライブビューシステムと似ており、とても使い辛かったです(オンオフにいちいち押し辛いボタンを操作する必要あり)。しかし、ファームウェアアップデートでかなり使いやすくなりました。アップデート後は一眼レフの3Dトラッキングと似たようなシステムとなり、シャッター半押しでロックオン開始、シャッター半押しをやめるとオフになる仕組み。
ロックオンAFモードから抜ける際はまだ「縮小ボタン」を押す必要があるものの、操作になれれば特に苦とは感じません。
肝心の追従性はパーフェクトと言えないものの、カジュアルな撮影なら多用して問題無いと思います。
ロックオンAFの操作性 (赤字が変化したポイント) |
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FW3.00 | FW2.10 |
OKボタン・タッチ操作で追尾開始すると、OKボタンでのみ追尾解除されます。 |
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連写
バッファに注意すれば十分な連写速度
ファームウェアアップデート「Ver2.0」以降は最大で追従9コマ秒の連写速度に対応しています。ソニーα7Rシリーズの10コマ秒には及びませんが、D850+MB-D18と同等の連写速度を実現。
とは言えバッファ容量が小さく、XQDカードを使用しているにも関わらず連続で20枚前後しか撮影できないのは残念(6100万画素のα7 IVやD850はより多くの連続撮影枚数に対応)。前述したように、CFexpressの性能を活かせるカメラでは無いのでバッファ強化は期待できない模様。
ボディ/レンズのAF性能も加えて、連写重視でZ 7を買うのは今のところおススメできません。とは言え、カジュアルなシーンで使うには十分な連写速度とバッファを備えていると思います。
ローリングシャッターの影響
特に悪くないものの、良くもありません。電子シャッターや動画撮影時のローリングシャッターによる歪みは少なからず発生すると思います。積層型CMOSセンサーを搭載しているソニーα9 IIや最新APS-C・マイクロフォーサーズセンサーと比べると見劣りするポイントです。動きモノを撮影するのであればメカシャッター推奨。
手ぶれ補正
第一世代としては良好だが中望遠以降は光学手ぶれ補正が欲しい
ニコンのボディ内手ぶれ補正はZカメラで初導入の第一世代。しかしその割には健闘していると思います。ソニー第3世代と比べて遜色無いパフォーマンス。
ただし、キヤノンが光学手ぶれ補正ながらより良好な補正効果を実現しています。ボディ内手ぶれ補正搭載の「EOS R5」が登場すると厳しい戦いとなりそう。
特にニコンZレンズは光学手ぶれ補正を搭載しているモデルが少ないので、ピッチ・ヨー軸(光学手ぶれ補正の効果が高い軸)の補正効果が重要な場面で弱く感じます。せめて中望遠以降をカバーしているレンズには光学手ぶれ補正を搭載して欲しいところ。
レンズ
流石の光学性能
ただし機能性はもう少し欲しかった
ここは文句ナシ。
全体的に地味なレンズが多いものの、光学性能はとても良好。高い解像性能や色収差補正に加え、他社と比べて逆光耐性やブリージング抑制に力を入れている印象。
購入当初「NIKKOR Z 24-70mm f/4 S」は鬼のような逆光耐性で驚きました。「NIKKOR Z 50mm f/1.8 S」はモダンな50mm F1.8としては低価格ですが、光学性能はとても良好です。
その一方、光学的な歪曲収差や周辺減光をデジタル補正に依存しているレンズがいくつか見られます。小型軽量化・その他収差補正を重視する場合に妥協すべきポイントだと思いますが、プロファイルを利用できないRAW現像環境で苦労する可能性がありあす。(例えばRAW Therapyなど)
また、前述したように光学手ぶれ補正を搭載していないレンズが多かったり、フォーカス駆動の主流がステッピングモーターだったりするのは残念。レンズFnボタンや独自のコントロールリング・絞りリングを備えていないモデルが多いのもイマイチ。もう少し機能性を充実させてほしかったなと思うのです。
機能性
RAWメイン・JPEGメインどちらでもありがたい自由度の高さ
幅広い画質の選択肢
従来のニコン機と同じくRAW画質やJPEG画質、そして組み合わせの自由度がとても高いです。自分の撮影スタイルに合わせて画質を調整しやすいのはGood。特に高画素機であるZ 7はデータ領域を圧迫しやすいのでRAWサイズや圧縮方式をシチュエーションごとに調整できるのが有難いと感じます。風景撮影などでは最高画質、カジュアルな日常風景や家族写真はRAWや圧縮方式を変えてデータをコンパクトにすることが可能です。
アスペクト比
「FX・DX・5:4・1:1・16:9」の5種類に対応。DXクロップでも2000万画素程度の解像度を確保できるので、DXレンズを装着しても普通に使うことが出来ます。
注意点として、アスペクト比はモード設定に関わらず固定されます。例えばカスタムモードでもアスペクト比は設定値に固定されるので注意が必要。DXクロップに設定して戻し忘れ、帰宅後に気が付くこともありました(特に望遠レンズ)。今後ファームウェアアップデートで改善して欲しいところ。
CPC
フィルター効果と言えばマイクロフォーサーズ勢が使いやすい印象でしたが、Zカメラで導入した「Creative Picture Control(CPC)」で見事に評価を覆されました。非常におススメできる機能です。
一般的な仕上がり設定に加え、癖が強い仕上がり設定(フィルター効果に近い)を20種類も揃えています。さらにこれらは一般的な仕上がり設定と同様に細かく数値を調整することが可能。適用度を調整することで癖の強さも変えることが出来ます。とても秀逸で面白い機能なので、JPEGメインであればこの機能目当てでZカメラへ移行するのもアリ。
急にフルサイズミラーレスに乗り換えることは出来ない、という人は一眼レフカメラ「D780」やより手ごろなDXミラーレス「Z 50」で試してみるのがおススメ。
このシステムには仕上がり設定のカスタム枠が10枠存在します。好みの調整を施して登録できる他、他者が調整した仕上がり設定をダウンロードしてメモリーカード経由で登録することも可能。
例えば「Nikon Picture Control Editor」で公開されている仕上がり設定をダウンロードして使うことが出来ます。ダウンロード前に仕上がりを調整することも可能なのでおススメのサイト。ちなみに上の写真は「SHIN TOKUGAWA TONE」という仕上がりを利用しています。他にもフィルムの味付けを取り込んだ仕上がりなど個性的な設定値が多いので実際にチェックしてみると良いでしょう。
ボディ内RAW現像でも仕上がり設定の調整が可能。イメージを確認しながら微調整は出来ませんが、拡大してシャープネスのチェックも出来るので便利です。
総評
高画素が必要無ければZ 6がおススメ
満足度は80点。
正直なところ、外観・操作性・拡張性・スペック・価格のアンバランスさは否めません。いったい何を目指して作ったカメラだったのか。
確かに、一つ一つを分解してみるとおススメしたいポイントがいくつもあります。洗練された電子ファインダー、握りやすいグリップ、自由度の高いCreative Picture Control、良好な解像性能・ISO感度耐性、光学性能の高いZレンズ群などなど…。
個人的におススメするのは2400万画素のNikon Z6。ボディの作りはZ7と全く同じ、違いがあるとすればイメージセンサー由来のスペック差(解像性能・連写性能・動画機能)くらいです。Z 7の解像性能が必要なければ、より連写速度が速く、動画仕様が優れているZ 6が最適な選択肢となることでしょう。
そうは言ったものの、D850と同等の高解像フルサイズセンサーを搭載した小型軽量ミラーレスは検討する価値があると思います。D850と同等の画質を得ることができる軽量システムとして(そして快適なライブビューや動画撮影が可能)、DXレンズやDXクロップでの使用も想定した高解像カメラとして検討するのであればおススメできるカメラです。
作例
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