このページではタムロンのフルサイズミラーレス用交換レンズ「20mm F/2.8 Di III OSD M1:2 Model F050」の外観とAFテストのレビューを掲載しています。
レンズのおさらい
発売時期
2018年にタムロン初のフルサイズミラーレス用レンズ「28-75mm F/2.8 Di III RXD」が登場。低価格ながら高い光学性能が評価され、携帯性の良さも相まって一時期は納期未定となるほど人気商品となりました。
2019年前半には「17-28mm F/2.8 Di III RXD」が同じコンセプトで登場。広角ズームとしては売れ筋商品となっています。
そんなタムロンが2019年後半に初の「Di III」単焦点レンズとして発表したのが「20mm F/2.8 Di III OSD M1:2 Model F050」「24mm F/2.8 Di III OSD M1:2 Model F051?」「35mm F/2.8 Di III OSD M1:2 Model F053」です。
特徴
3本のレンズは「レンズサイズ・撮影倍率・フィルターサイズ・防塵防滴」などを統一。3本合わせて使い回しやすいレンズ群となっています。
さらに価格は(市場相場で)4万円以下に抑えられ、国産のソニーFE用AFレンズとしてはかなり安い部類に属しています。一気に2?3本買ってしまった、という人も中にはいるはず。
価格を考慮すると光学性能は申し分なく、コストパフォーマンスの高さと「1:2」の高い接写性能を備えて汎用性が高いレンズです。
ただし注意する点があり…
フォーカス駆動はステッピングモーターでもリニアモーターでも無く、今となっては少し古臭いDCモーターを採用。この駆動方式はミラーレスのライブビュー撮影と比較的相性が悪く、お世辞にもレスポンスが良いとは言えません。
さらに、ブリージング(ピント位置による画角の変化)が大きく、特に接写時にフォーカス速度が低下します。
おまけに開放F値が「F2.8」と単焦点としては暗く、低照度性能やボケ量はあまり期待できません。
価格
マイナス面を十分に検討する必要はありますが、20mmの広い画角を備えたAFレンズとしてはソニーEマウントで最も安い。24mm F2.8や35mm F2.8は競合レンズがいくつか存在するものの、20mmレンズで同価格帯のライバルは不在。さらに防塵防滴・接写性能などを考慮すると価格以上の価値はあると言えるでしょう。
20mm F/2.8 Di III OSD M1:2(Model F050) | |||
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モデル名 | F050 |
---|---|
焦点距離 | 20mm |
F値 | F2.8 |
レンズ構成 | 9群10枚 |
最短撮影距離 | 0.11m |
最大撮影倍率 | 1:2 |
フィルター径 | 67mm |
全長 | 64mm |
最大径 | 73mm |
質量 | 220g |
絞り羽根 | 7枚 |
最小絞り | F22 |
標準付属品 | フード キャップ |
対応マウント | Eマウント |
箱・付属品
24mmや35mmと同じ。もっと言えばここ最近のタムロン製レンズと同じデザイン。
中は段ボールで仕切りされ、レンズ本体が梱包されています。
- レンズ本体
- レンズフード
- 説明書
- 保証書
レンズポーチは付属していません。
外観
最大径73mm、全長64mmとコンパクトなレンズ。競合レンズとなるサムヤン「AF 18mm F2.8 FE」よりも大きいけど、まだまだ許容範囲内の大きさ。
レンズサイズは24mm・35mmと統一されており、外装の表記以外で見分けを付けにくくなっています。カメラバッグから取り出す際に見間違える可能性あり。
外装はプラスチックパーツで構成し軽量化を図っています。重量は220gと軽く、常用して苦になりません。プラスチック製ながら、頑丈な質感を持ち、さらに防塵防滴仕様なので悪天候に強い。
フード
レンズフードHF050は24mmと共用。モデルナンバーから分かるように、どちらかと言えば20mm側の画角に合わせたレンズフードのようです。
プラスチック製の花形フードで、内側には反射を抑える為の波打つ形状が施されています。
装着方法はバヨネット式。ロックボタンは無いものの、レンズフードが間違いで緩むことはまずありません。ただし、レンズを外す際にフードを掴むとフードが先に外れます(レンズのマウントが非常に固いため)。
前玉・後玉
画角を考えるとコンパクトな前玉。タムロンDi IIIシリーズはフィルターサイズを67mmで統一しており、NDフィルターやC-PLフィルターを使い回しやすいのはGood。
前玉には撥水・撥油性の高い防汚コートが施されています。水滴が付着してもブロアでさっと一吹きすれば解消するのは便利。特に超広角レンズは保護フィルターをあまり使いたくない(逆光などの影響を考慮して)ので前玉が汚れる機会が多いので便利と感じます。
レンズマウントは金属製。防塵防滴仕様のため、レンズマウント周辺にシールが施されています。このシールのためか、カメラへマウントするのが非常に固くなっています。それだけしっかり密閉されているのでしょう。
フォーカスリング
1.6cm幅のフォーカスリングは滑らかに動作しますが、僅かにざらついた印象もあります。
フォーカスリングを操作すると、DCモーターが駆動しフォーカスレンズを動かすバイワイヤ式。リングは滑らかに操作できるものの、DCモーター側の動作がぎこちなく、どことなくギアっぽさを感じてしまうのが残念。
特に拡大して微調整する際はピント位置が段階的に変化していると感じます。
装着例
α7 IIIとの相性は抜群。バランスが良いので片手持ちが苦にならず、気軽に携帯できる20mm。カメラバッグへの収納も容易。
レンズとグリップ間のクリアランスは十分良好。厚手のグローブでも装着しない限り狭いとは感じないはず。
AF
AF駆動ユニットに静音性に優れたDCモーター「OSD (Optimized Silent Drive)」を採用し、AFユニットを最適化したことで駆動音が減少。AFの精度とスピードも大きく向上しており、被写体が動き続けるシーンでも的確にピントを合わせることができます。
とタムロンは謳っていますが、正直なところ静かではありません。もちろんひと昔前のDCモーターと比べるとギア駆動音は低下しています。しかし、駆動音はゼロと言えず、バックラッシュ時の音はやや大きめ。
同シリーズ24mm・35mmと同じく、繰り出し式フォーカシング。接写時に前玉が前方へ移動し、無限遠時に後方へ移動します。
特に最短撮影距離が短い20mmは前玉と被写体の距離がとても短くなるので注意が必要。
フォーカス速度は許容範囲内。決して爆速と言えず、動き物を捕捉し続けるのは難しいものの、実用的なパフォーマンスだと感じます。
ただし、無限遠側の「AF-S」時は合焦前にピントが大きく前後し、ロックまでワンテンポ遅れる印象。もしストリートフォトやスナップで使おうと思っているのであれば、この傾向は購入前に確認しておきたいところ。
素早いロックが必要な場合は「AF-C」を利用することでフォーカススピードが大きく改善します。特にAF-SでAFが迷いやすい時も有効。
外観・AFテストの雑感
満足度:75点
外観には特に不満な点が無いものの、オートフォーカス・マニュアルフォーカスは要確認。おそらく風景撮影では問題無く利用できると思いますが、フォーカススピードを求められるシーンでは少し厳しい。おそらく許容できる人とできない人で真っ二つに意見が分かれるはず。
特にストロークが長くなるマクロ領域の動作は確認しておきたい。ストロークが長いうえ、ブリージング(ピント位置による画角の変化)が大きく、非常に厄介。光学性能が良いので、思ったよりも正確にピントを合わせてくれるものの、合焦前にピントが大きく前後するので動く被写体には不向き。
AF-Cを使うことでフォーカススピードの改善は可能。しかし、被写体が前後に動く場合はフォーカスエリアにフレーミングし続けるのが少し難しい(特に四隅のフォーカスエリアを使う場合)。
フォーカス駆動はこのレンズで価格がダイレクトに反映しているポイント。逆に言えばフォーカス駆動が許容範囲内であれば、光学性能や耐候性・接写性能は価格以上のコストパフォーマンスを感じることが出来るはず。
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