サムヤン「AF 50mm F1.4 II FE」のレビュー第二弾を公開。今回はいつも撮影地点で6100万画素のα7R IVを使用した遠景解像性能のテスト結果をチェックしています。
AF 50mm F1.4 II FEのレビュー一覧
- サムヤン AF 50mm F1.4 II FE レンズレビュー 完全版
- サムヤン AF 50mm F1.4 II FE レンズレビューVol.5 ボケ編
- サムヤン AF 50mm F1.4 II FE レンズレビューVol.5 周辺減光・逆光編
- サムヤン AF 50mm F1.4 II FE レンズレビューVol.4 諸収差編
- サムヤン AF 50mm F1.4 II FE レンズレビューVol.3 解像チャート編
- サムヤン AF 50mm F1.4 II FE レンズレビューVol.2 遠景解像編
- サムヤン AF 50mm F1.4 II FE レンズレビューVol.1 外観・操作性・AF編
遠景解像力
テスト環境
- 撮影日:2022-05-16:くもり:微風
- カメラ:α7R IV ILCE-7RM4
- 三脚:Leofoto LS-365C
- 雲台:Leofoto G4
- 露出:ISO 100・絞り優先AE
- RAW:Adobe Lightroom Classic CC
・シャープネスオフ
・ノイズリダクションオフ
・レンズ補正オフ(可能な限り)
・その他初期設定の状態を維持
テスト結果
中央
軸上色収差によるコントラスト低下は否めないが、解像性能そのものは非常に良好だ。6100万画素のα7R IVで細部まで確認しても十分なパフォーマンスを発揮している。F2まで絞るとコントラストが改善するものの、解像性能に顕著な向上は見られない。F4付近でピークに達するまでコントラストが徐々に向上し、以降はF8まで同様の性能を維持している。F11~F16で回折の影響を受けるが、解像性能の低下は許容範囲内であり、実写では絞り値全域で良好な結果を得ることが出来る。
周辺
中央と比べるとややソフトな画質だ。極端に粗の見える画質ではないが、風景撮影などで解像性能を求める場合はしっかりと絞った方が良いだろう。絞ると徐々に改善し、F4で良像となり、F5.6付近でピークに達している。ピークはF8まで続き、F11~F16で許容範囲内の画質低下が発生する。
四隅
周辺部と同じく少しソフトだが、極端に不安定な画質でもない。等倍でチェックしなければF1.4から十分に利用できる解像性能である。改善傾向は周辺部と同じで、F4付近で良像が得られ、F5.6~F8でピークに至る。そしてF11~F16で許容範囲内の画質低下が発生する。
像面湾曲
ピントを中央に合わせて撮影しても、隅に合わせて撮影しても、画質に大きな影響は無いように見える。周辺や隅の画質が気になる場合、それは単純に解像性能が不足している可能性が高い。F5.6~F8まで絞って撮影するのがおススメだ。
全体像
完璧とは言えないが、絞り開放からまずまず安定した結果を得ることができる。しっかりと絞ることができる環境であれば、6100万画素でも隅まで非常にシャープな結果を得ることが可能だ。
おまけ:FE 55mm F1.8との比較
価格設定が似ている「Sonnar T* FE 55mm F1.8 ZA」を過去にレビューしていた。撮影時期が異なるので厳密な比較ではないが、同じカメラに装着して同じ撮影地点の作例があるので見比べてみる。
絞り開放
中央はどちらも良好な解像性能であり、有意な差は見られない。敢えて言えばコントラストはソニーのほうが少し良好だ。隅はソニーの周辺減光が強烈だが、解像性能は少し良好に見える。今回は掲載していない周辺部の画質もソニーが少し有利である。サムヤンをF2まで絞っても僅かにソニーのコントラストが有利だが、撮影環境(日照条件)が異なるのでハッキリと断言することは出来ない。
正直に言えば、驚くほどの差ではないと思う。
F8
絞り開放と同じく、6100万画素では中央に大きな差は見られない。敢えて言えばサムヤンのほうが高周波成分を少し良好に解像しているが、日照条件の影響も否定できない。隅はサムヤンのほうが少し良好だ。
まとめ
絞り開放からフレーム全域で抜群の切れ味とは言えないが、極端に画質が低下するわけでもなく、十分に使える結果を得ることが可能だ。全域でシャープな結果を得るためにはしっかりと絞る必要があるものの、6100万画素のα7R IVで隅をクロップしても良好な結果を得ることができる。ズームレンズとは一味違う解像性能だ。
「Sonnar T* FE 55mm F1.8 ZA」と似たような価格設定であることから、どちらを購入しようか迷う人もいると思う。少なくとも解像性能に関して言えばほぼ同じだ。絞り開放はソニーのほうが僅かに周辺部が良好となるが、絞った際の画質はサムヤンに軍配が上がる。ただ、ソニーZAはコントラストが高いパンチのある画質が得られるので、解像性能だけで判断するのは時期尚早である。ボケ質も個性的で、優等生的なボケ質のサムヤンとは一線を画す描写が得られることも考慮したい。
話が少しそれてしまったが、AF 50mm F1.4 FE IIはなかなか良いレンズだ。大口径F1.4ながら小型軽量のレンズサイズを実現し、にもかかわらず周辺減光や周辺画質が良く維持されているように見える。もしも「50mm F1.4」のスペックに惹かれるものがあれば、FE 55mm F1.8 ZAよりも満足のいく選択肢になると思う。
購入早見表
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