このページではソニーのミラーレス用交換レンズ「FE 20mm F1.8 G」のレビューを公開。連載9回目はレンズをα7 IIIに装着して玉ボケや前後のボケ描写をチェックしています。
レンズのおさらい
主な特徴
α7シリーズ開始からかなり長い時間かかりましたが、ようやく超広角単焦点レンズが登場しました。2020年に登場したソニー製フルサイズ対応Eマウントで最も画角の広い単焦点レンズです。
FE用としては珍しい「G」シリーズの単焦点レンズであり、「FE 90mm F2.8 Macro G OSS」に次いで2本目となります。無印「FE 28mm F2」「FE 35mm F1.8」と異なり、絞りリングやフッ素コーティング、しっかりとした防塵防滴仕様などで差別化されています。その一方、価格設定は10万円を超えているので注意。
20mmの広角レンズながら撮影倍率が「0.20?0.22倍」と高く、優れた接写性能を発揮します。F1.8の大口径と組み合わせることで20mmながら大きいボケを楽しむことが出来そうですね。
フォーカス駆動にはGMシリーズと同じ「XDリニアモーター」を使用しており、非常に高速で静かなオートフォーカスが期待できます。ただしブリージングはそれなりに目立つので動画撮影時は気を付けたほうが良いでしょう。
防塵防滴仕様の明るい超広角レンズとしてはレンズサイズが小さく、そして軽量デザイン。取り回しの良い広角単焦点となっています。タムロン「20mm F/2.8 Di III OSD M1:2 Model F050」と比べて遥かに高価ですが、予算があればコチラがおススメ。
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良いボケ・悪いボケとは?
前後のボケ
ボケ描写の好みは個人差があると思いますが、傾向として「軟調」「硬調」な2種類のボケに分けることが出来ます。個人的には軟調で柔らかいボケが好み。
「前ボケ・後ボケの描写に差が無いレンズ」もあれば、「後ボケが非常に滑らかだけど前ボケがとても硬いレンズ」もあります。滲むように柔らかくボケる場合、反対側のボケ描写が硬調となる場合が多いです。
口径食の影響とは?
簡単に言うと、フレーム四隅に向かうほど玉ボケが変形する現象です。口径食が強いと四隅のボケが騒がしく見える場合があります。
四隅まで円を維持している描写が理想的ですが、レンズのスペックに対してサイズが大きくなる傾向があります。
球面収差
球面収差が残存していると前後のボケ描写に違いが現れます。前述したように「滲むようなボケ」になることもあれば、いわゆる「2線ボケ」になるのはこの収差の影響が大きいはず。
球面収差を補正するために「非球面レンズ」を使用することがあります。球面収差の補正に効果的ですが気になる影響もあり…(後述)。
非球面レンズの影響
非球面レンズを使った玉ボケの内側には渦巻き状の縞模様が発生します。おそらく非球面レンズの研磨や金型の状態が原因となっているはず。最近のレンズはかなり緩和していると思いますが、非球面レンズ無しの滑らかな描写にはお目にかかったことがありません。
玉ボケのチェック
非球面レンズ・絞り羽根の影響
メモ
12群14枚のレンズ構成中に2枚の高度非球面レンズを使用しています。それにしてはとても綺麗なボケ描写。全体的に滑らかで輪線ボケの兆候は見られません。ボケの縁で弱めの2線ボケが発生しているものの、これが気になるシーンはまず無いはず。ただしF4~F5.6まで絞ることで縁取りが強くなります。
全体的に見て、非球面レンズ1枚のタムロン「20mm F/2.8 Di III OSD M1:2 Model F050」より優れた玉ボケ描写。
絞り羽根は9枚の円形絞り。F4までは綺麗な円形を維持しているように見えます。F5,6?F8で絞り羽根の形状が見え始めるものの、玉ボケが小さくなるので気になるシーンは少ないはず。
口径食の影響
メモ
試写した時に「良いレンズだな」と感じていましたが、実際にチェックしてみると予想以上。フレーム四隅まで口径食の影響が小さく、とても良好な状態を維持しています。
ボケ
メモ
どちらかと言えば後ボケが少し滑らかなチューニングが施されています。比較して前ボケは少し硬調な描写。
20mmの広角レンズで前ボケを重視する機会は少ないと思うので正しい調整と言えるでしょう。
ボケ描写の雑感
満足度:95点
20mmの超広角レンズとしては非常に綺麗なボケ描写。非球面レンズの悪影響が少なく、口径食による変形も小さい。前後のボケはバランスの良い後ボケ寄りで使いやすいと感じるはず。
ケチのつけようが無い綺麗なボケと言えるでしょう。ただし滲むボケでは無いので、コントラストが強い背景では少し騒がしく感じるかもしれません。
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