このページではソニーのミラーレス用交換レンズ「FE 20mm F1.8 G」の発売から1か月ほど使って来た感想を書き連ねています。
このページで伝えたいこと
- 小型軽量で明るい広角レンズ
- 全方位で良好な光学性能
- 正当化できる価格設定
ちょっぴり高価だけど、それ以上の価値を持つ20mm単焦点レンズ。
20mmでベストを尽くしたいのであれば、このレンズを置いて他に無し。
これまでのレビュー
操作性
「20mm F1.8」としては小型で、とても軽いレンズです。コンパクトなα7シリーズと組み合わせることで日常的な撮影にも携帯しやすいのは強みと言えるでしょう。実際、画角の広さと明るさは近距離での家族写真に使いやすく、小さなカメラバッグにフードを装着したまま収納できるのは便利。
小型軽量ながら防塵防滴・フッ素コーティングに対応。防塵防滴は無印のように「なんちゃって」では無く、マウントにしっかりとシーリングが施されています。撮影中に何度か雨模様の日がありましたが、問題無く撮影を続けることが出来ました。広角レンズで被写体に近寄ると、どうしても前玉が汚れやすいのでフッ素コーティングも有難い。
コントロールは「フォーカスリング」「絞りリング」「クリック解除スイッチ」「フォーカスホールドボタン」「AF/MFスイッチ」の5点。小型レンズとしては充実した操作性であり、単焦点としてこの上ないと言えるでしょう。他社も見習ってほしいところ。
ボディ側の操作でレスポンスがいまいちな絞り羽根も絞りリングで素早く正確に調整可能。ボディのダイヤル操作は動作にラグがあるので非常に使い辛いのですよね。個人的にはあまり必要無いものの、クリックを解除できるスイッチを備えています。動画撮影メインの人にとって無段階絞りは重宝するはず。
全体的に見て、良くまとまっているコンパクトなレンズ。価格設定と「G」に恥じない外観・操作性だと思います。
AF
ここ最近で導入が進む「XDリニアモーター」を使ったフォーカス駆動です。「FE 135mm F1.8 GM」のようなデュアルフォーカスでは無く、フォーカスユニットは1つ(XDリニア×2)。電光石火と言うには少し遅いものの、大部分の状況で快適に利用できるフォーカス速度を実現していると感じます。
高速であると共に、ズバっと正確にピントが合うのもソニー純正レンズらしい特徴。同じ20mmのタムロン「20mm F/2.8 Di III OSD M1:2 Model F050」と比べると雲泥の差。オートフォーカスや正確性を重視するのであればソニーがおススメ。
画角が広く、オートエリアだと被写体以外にピントが合いやすいのはボディ側の問題。パナソニックのように「人体認識」「動物認識」機能があるとかなり使いやすくなりそう。
ちなみにリニアモーターなので電源オフ時はユニットが前後に動きます。異音や故障では無いので注意。
接写性能
最大撮影倍率は「0.20倍」。超広角レンズとしては寄りやすく、クローズアップしやすい仕様となっています。タムロン20mm F2.8は「0.5倍」までクローズアップできますが、撮影距離を考えると現実的ではありません。0.20倍もあれば十分と言えるでしょう。
接写時の絞り開放は四隅が少し甘くなるものの、F2.8?F4まで絞ればフレーム全体でとても良好な画質となります。大口径レンズでこの接写性能と解像性能を実現しているのは凄い。
20mm F1.8ながら、接写性能を活かせば大きな後ボケと前ボケを得ることができます。状況描写を残しつつ、被写体を浮かび上がらせることも可能。
広い画角でフレーム内を整理するのが大変ですが、面白い使い勝手だと思います。カメラ側の問題となるものの、バリアングルモニタを搭載したカメラだとより面白い撮り方が出来そう。
20mm F1.8と言えど、最短撮影距離付近では被写界深度が非常に浅くなります。花や昆虫、テーブルマクロにもおススメできる一本。
解像性能
少なくとも2400万画素のα7 IIIでは全く弱点の見えない解像性能を発揮します。広角レンズとしては珍しく、絞り開放から四隅までシャープな描写となるのでとても使いやすいレンズ。絞り開放から良好ですが、全体的なピークはF2.8~F11あたり。
ただし、周辺減光が非常に強いのでソフトウェアによる減光補正は必須。補正によるノイズ増加が想定されるので、出来れば低感度で撮影しておきたいところ。
解像性能が良すぎて特にこれと言って書くことがありません。ただし、「解像性能だけ」を見るとタムロン20mm F2.8も良好です。周辺減光の状態も加味するとコストパフォーマンスはタムロンが良好。
コントラスト・色
純正らしいニュートラルな発色で開放から良好なコントラストのレンズです。しっかりとしたマイクロコントラストを備えているので、多少クロップしても満足のいく解像感を得ることが出来ます。
色収差補正
軸上色収差・倍率色収差どちらも非常に良好な補正状態。F1.8の明るいレンズとしてはかなり良いと感じ。
コントラストが高い領域でも色収差はとても少なく、安心してF1.8を使用可能です。
ボケ
「FE 24mm F1.4 GM」で使用している「超高度XA非球面レンズ」ではありませんが、高度非球面AAレンズを採用しています。広角レンズとしてはボケが非常に綺麗で滑らかに見えます。色々な超広角レンズを使ってきましたが、ここまで綺麗なボケを広角レンズでお目にかかることは滅多にありません。
周辺減光は強いものの、口径食による玉ボケへの影響は軽微。四隅まで綺麗な円形を維持しているので不自然なボケとなりません。さらに非球面レンズの粗が見えにくく、高度な技術で製造された非球面レンズであることが分かります。
コマ収差
コマ収差補正はF1.8から完璧な補正とは言えませんが、収差の影響は極僅かに抑えられています。20mmの明るいレンズとしてはかなり良好な補正状態と言えるのでは無いでしょうか。イルミネーションや夜景のような強い光源でも問題と感じることは少ないです。
周辺減光
前述したように、かなり強い減光が発生します。このレンズで唯一弱点と感じるポイント。
特に減光効果を狙っている場合を除いてソフトウェアによる補正は必須。絞ってもあまり改善しないので注意が必要です。
逆光耐性
完璧では無いもののフレアやゴーストは良く抑えていると思います。
編集でシャドウを大きく持ち上げたりしない限り、逆光が問題と感じることは無いはず。画角が広く、強い光源がフレームに入りやすい広角レンズとしては強みとなるポイントと感じます。
総評
20mm単焦点で間違いのない選択肢
満足度は120点。
小型軽量な鏡筒にほぼ全てが高水準にまとめ上げられた凄いレンズ。
20mmのAFレンズとして決して安い選択肢では無いものの、非常に説得力のあるビルドクオリティと光学性能です。個人的におススメは解像度でもAFでも無くボケ描写。明かるい広角レンズながら、口径食が少なく非球面レンズの悪影響も少ない良い描写。絶対的なボケ量は少ないものの、接写性能が高くグッと近寄ることでボケ量の底上げが可能。
より安く「部分的に」コストパフォーマンスが良いレンズはいくつか存在します。しかし、ほぼ全てのカテゴリ(周辺減光以外)をここまで高水準にまとめ上げた20mmはそう多く無いはず。10万円ちょっとでこの性能が手に入るのであれば安いと感じます。強くおススメできるレンズ。
長所:小型軽量・絞りリング・全域で高解像・ボケ・口径食が小さい・色収差補正・逆光耐性・F1.8・接写性能・防塵防滴・フッ素コーティング
短所:周辺減光・比較的高価
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