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NIKKOR Z 24-120mm f/4 S レビュー Vol.8 諸収差編

ニコン「NIKKOR Z 24-120mm f/4 S」のレビュー第八弾を公開。今回はレンズの諸収差についていつものテスト環境でチェックしています。

NIKKOR Z 24-120mm f/4 Sのレビュー一覧

像面湾曲

像面湾曲とは?

ピント面が分かりやすいように加工しています。

中央から四隅かけて、ピントが合う撮影距離が異なることを指す。例えば、1mの撮影距離において、中央にピントが合っていたとしてもフレームの端では1mの前後に移動している場合に像面湾曲の影響が考えられる。

最近のレンズで目立つ像面湾曲を残したレンズは少ないものの、近距離では収差が増大して目立つ場合もある。ただし、近距離でフラットな被写体を撮影する機会は少ないと思われ、像面湾曲が残っていたとしても心配する必要は無い。

無限遠でも影響が見られる場合は注意が必要。風景など、パンフォーカスを狙いたい場合に、意図せずピンボケが発生してしまう可能性あり。この収差は改善する方法が無いため、F値を大きくして被写界深度を広げるしか問題の回避手段がない。

参考:Wikipedia 像面湾曲

実写で確認

倍率色収差

倍率色収差とは?

主にフレーム四隅に現れる色ずれを指す。絞り値による改善効果が小さいため、この問題を解決するにはカメラボディでのソフトウェア補正が必要。ただしボディ側の補正機能で比較的簡単に修正できるので、残存していたとして大問題となる可能性は低い。特にミラーレスシステムでは後処理に依存する傾向がある。

参考:Wikipedia 色収差

実写で確認

24mm

目立つ色収差は見られない。キヤノンやソニーと比べると良好な補正状態だ。

35mm

24mmと同じくほとんど問題ない水準に抑えられている。

50mm

広角側と同じく問題なし。

70mm

望遠側でも問題は見られない。

120mm

望遠端でも良好な補正状態だ。

軸上色収差

軸上色収差とは?

軸上色収差とはピント面の前後に発生する色ずれを指す。ピントの手前側は主にパープルフリンジとして、ピントの奥側でボケにグリーンの不自然な色付きがあれば、その主な原因が軸上色収差と考えられる。簡単な後処理が難しく、できれば光学的に収差を抑えて欲しいところだが、大口径レンズでは完璧に補正できていないことが多い。

軸上色収差を完璧に補正しているレンズはピント面のコントラストが高く、パンチのある解像感を期待できる。

参考:Wikipedia 色収差

実写で確認

24mm

僅かに色づきが残っているようにも見えるが、じっくり観察しなければ分からないような影響度合いだ。実写で心配する必要は無いように見える。

35mm

24mmよりも良好な補正状態で、等倍で確認しても軸上色収差をハッキリと確認することは出来ない。

50mm

35mmと同じく全く問題ない。

70mm

望遠側でも軸上色収差の問題は見られない。

120mm

望遠端でも非常に良好な補正状態だ。望遠側は軸上色収差が目に付く競合他社が存在するので、ニコンは良好な補正と言える。

球面収差

24mm

前後のボケ描写に大きな違いは見られないが、前ボケのほうが僅かに縁取りが強いように見える。完璧な描写からは程遠いが、ズームレンズとしては玉ねぎボケが目立たず好感触である。
軸上色収差のテスト通り、僅かに色ずれが見られる。

50mm

前後のボケ質に大きな違いは見られないニュートラルな結果だ。球面収差は良好に補正されているように見える。

120mm

前後の描写に差が無い、良好な補正状態だ。さらに広角や標準域と比べて縁取りが弱く、滑らかな描写だ。玉ねぎボケの影響は極僅かで、問題となるシーンはほとんど無いと思われる。

歪曲収差

歪曲収差とは?

歪曲収差とは、平面上で直線的に写るはずが直線とならずに歪んでしまうことを指す。特に直線が多い人工物や水平線が見えるような場合に目立ちやすい。主に魚眼効果と似た形状の「樽型歪曲」と中央がしぼんで見えてしまう「糸巻き型歪曲」に分かれる。

参考:Wikipedia 歪曲収差

比較的補正が簡単な収差だが、「陣笠状」など特殊な歪みかたをする歪曲は手動での補正が難しい。この場合はレンズに合わせた補正用プロファイルが必要となる。

実写で確認

24mm

非常に目立つ樽型の歪曲収差が発生する。明らかにカメラ側のソフトウェア補正を前提とした光学設計だ。ミラーレスカメラにおいて、この設計は非難するほどの問題ではないが、適切な補正プロファイルを利用できない現像環境では注意が必要である。陣笠状に歪んでいるので、手動補正は非常に難しいと思われる。

35mm

24mmとは打って変わって糸巻き型の歪曲収差へと変化する。影響の度合いは小さいが、直線的な被写体をフレームに入れると歪曲収差が目立つ可能性あり。レンズプロファイルを適用できるLightroomや純正ソフトであれば気にする問題ではない。

50mm

35mmよりも強めの糸巻き型歪曲が発生する。やはり直線的な被写体をフレームに入れると目立つ可能性が高い。

70mm

50mmよりもさらに強い糸巻き型歪曲が発生する。

120mm

70mmと同程度だ。全体的に見て、キヤノンやソニーの競合製品よりも歪曲収差が強めに残っている。歪曲収差の光学的な補正は割り切って、他の収差補正や小型化を優先したのだと思われる。

コマ収差

コマ収差・非点収差とは?

コマ収差・非点収差とは主にフレーム四隅で点像が点像として写らないことを指す。例えば、夜景の人工灯や星、イルミネーションなど。日中でも木漏れ日など、明るい点光源で影響を受ける場合あり。この問題は後処理が出来ないため、光学的に補正する必要がある。

参考:Wikipedia コマ収差

絞ることで改善するものの、夜景や天体撮影など、シャッタースピードが重要となる状況では絞ることが出来ず、光学的な補正が重要となる。

実写で確認

24mm

完璧な補正状態とは言えないが、影響はわずかで、実写では無視できる範囲に収まっているように見える。

35mm

基本的には24mmと同程度だが、全体的に影響は少し強めとなる。この収差を抑えたい場合はF5.6まで絞るのがおススメだ。

50mm

35mmと同じく、収差の影響が残っている。これを改善する場合はF5.6~F8まで絞りたいところ。

70mm

50mmと比べると収差は穏やかとなるが、依然として影響は残っている。

120mm

24mmと同じく影響は極僅かだ。

今回のまとめ

最も気になるのは歪曲収差だ。これは競合他社のF4ズームと比較して最も補正状態が悪い。もちろん、カメラ側のソフトウェア補正で簡単に補正できるので問題なと言える。歪曲収差をソフトウェアに側で補正することで、その他の収差補正を優先したり、小型軽量化に繋がる設計が可能になっているのだと思う。歪曲収差のソフト補正による画質低下はゼロでは無いと思うが、それ以上にメリットがあるのだと思う。そして、純正ソフトやLightroomなどは(自動補正されるので)実際の歪曲収差を目の当たりにする機会は無いはずだ。

倍率色収差・軸上色収差の補正状態はとても良好である。倍率色収差はズーム全域で全く問題とならず、軸上色収差は24mm付近でほんの少し目に付く程度。比較して競合他社は倍率色収差や軸上色収差の補正状態が少し悪い。

球面収差の補正状態も良好だ。滲むようなボケではないが、前後に偏りが無く、使いやすいレンズに仕上がっている。縁取りは全体的に少し発生しているが、非球面レンズによる玉ねぎボケは目立たない。
全体的に見てしっかりとした光学性能のF4ズームレンズに仕上がっているように見える。歪曲収差が自動補正されない現像環境では注意が必要だが、そのような環境の人はそう多くないはず。

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作例

オリジナルデータはFlickrにて公開

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