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PERGEAR 60mm F2.8 Macro 2X レンズレビュー諸収差編

PERGEAR「PERGEAR 60mm F2.8 Macro 2X」のレビュー第六弾を公開。今回は色収差や歪曲収差など、各収差をいつものテスト環境でチェックしています。

PERGEAR 60mm F2.8 Macro 2X レビュー一覧

まえがき

2021年に登場したPERGEAR製の中望遠マクロレンズ。APS-Cフォーマットに対応したミラーレス専用設計であり、富士フイルムX・ソニーE・マイクロフォーサーズマウントに対応。この価格帯としては珍しい2倍マクロに対応しており、フルサイズ換算で約3倍のクローズアップ撮影が可能(のはず)。

概要
レンズの仕様
マウント X/E/MFT/Z 最短撮影距離 19.1cm
フォーマット APS-C 最大撮影倍率 2倍
焦点距離 60mm フィルター径 62mm
レンズ構成 8群11枚 手ぶれ補正 -
開放絞り F2.8 テレコン -
最小絞り F16 コーティング マルチ
絞り羽根 10枚
サイズ・重量など
サイズ φ68×118mm 防塵防滴 -
重量 約600g AF -
その他 絞りリング
付属品
キャップ

レンズは電子接点非対応のフルマニュアルレンズ。フォーカスリングと絞りリングを搭載しており、直接フォーカスレンズと絞り羽根を操作します。当然ながらカメラの自動アシストには対応していないため、カメラ側での拡大やピーキングのオン・オフが必要となる。

レンズ構成は8群11枚で、うち3枚は高屈折率レンズを使用。全群繰り出し式のフォーカス構造ながら、最前面には保護ガラスを配置しているので外観的にはインナーフォーカスを実現。そのぶんレンズ全長は長くなってしまいましたが、堅牢性を維持しながらピントを位置をマクロに固定して持ち運ぶ際には便利です。

価格のチェック

Amazonにて価格は2.4万円。国産AFレンズと比べると遥かに低価格ですが、フルマニュアルレンズに2万円超を出せるかどうかは要検討。そして7Artisans 60mm F2.8 IIよりも少し高い。

PERGEAR 60mm F2.8 Macro 2X
PERGEAR
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テストするレンズについて

今回はPERGEARより正式発表前に無償提供されたレンズを元にテストしています。この際に金品の授受は発生しておらず、レビュー内容に関する干渉は一切ありません。

像面湾曲

像面湾曲とは?

ピント面が分かりやすいように加工しています。

中央から四隅かけて、ピントが合う撮影距離が異なることを指しています。例えば、1mの撮影距離において、中央にピントが合っていたとしてもフレームの端では1mの前後に移動している場合に像面湾曲の影響が考えられます。
最近のレンズで目立つ像面湾曲を残したレンズは少ないと思いますが、近距離では収差が残存している場合もあります。ただし、近距離でフラットな被写体を撮影する機会は少ないと思われ、像面湾曲が残っていたとしても心配する必要はありません。
無限遠でも影響が見られる場合は注意が必要です。風景など、パンフォーカスを狙いたい場合に、意図せずピンボケが発生してしまう可能性あり。この収差は改善する方法が無いため、F値を大きくして被写界深度を広げるしか手段がありません。

参考:Wikipedia 像面湾曲

実写で確認

低価格の大口径レンズには像面湾曲が残っているモデルが多いものの、このマクロレンズに関して得にこれと言った問題は無し。少なくともマクロ域以外で像面湾曲が目立つことは無いはず。

倍率色収差

倍率色収差とは?

主にフレーム四隅に現れる色ずれです。絞り値による改善効果が小さいため、この問題を解決するにはカメラボディでのソフトウェア補正が必要となります。ボディ側の補正機能で比較的簡単に修正できます。

参考:Wikipedia 色収差

実写で確認

絞り開放付近でわずかに色ずれの兆候が見られるものの、絞ることで他の収差と共に収束する。後処理無しでも実用的な補正状態であり、特に心配するこは無い。

軸上色収差

軸上色収差とは?

軸上色収差とはピント面の前後に発生する色ずれを指しています。手前側で主にパープルフリンジとして、奥側でボケにグリーンの不自然な色付きがあれば、その主な原因が軸上色収差です。簡単な後処理が難しく、できれば光学的に収差を抑えて欲しいところですが、大口径レンズでは完璧に補正できていないことが多いです。

参考:Wikipedia 色収差

実写で確認

絞り開放から目立つ色収差が無く、良好な補正状態。特にボケが硬調となる前景にマゼンダの色付きが無い点は評価できるポイント。これにより絞り開放が使いやすく、RAW現像などでの手間を減らすことが可能。

歪曲収差

歪曲収差とは?

歪曲収差とは、平面上で直線的に写るはずが直線とならずに「歪む」収差です。特に直線が多い人工物や水平線が見えるような場合に目立ちやすい。主に魚眼効果と似た形状の「樽型歪曲」と中央がしぼんで見えてしまう「糸巻き型歪曲」に分かれています。

参考:Wikipedia 歪曲収差

実写で確認

僅かに糸巻き型の歪曲収差が残っていることを確認。これは直線的な被写体を意図的にフレーム周辺に入れると少し目に付く。しかし、一般的な実写で目立つ機会は少ないはず。
補正しやすい収差であり、Lightroom CCにて「ゆがみ補正」を手動で「-4」に設定するとほぼ解消する。

コマ収差

コマ収差とは?

コマ収差とは主にフレーム四隅で点像が点像として写らないことを指しています。例えば、夜景の人工灯や星、イルミネーションなど。日中でも木漏れ日などが影響を受ける場合があります。後処理が出来ないため、光学的に補正する必要がある収差。絞ることで改善するものの、夜景や天体撮影など、シャッタースピードが重要となる状況では絞り開放のコマ収差補正が重要となります(絞るとシャッタースピードかISO感度に影響があるため)。

参考:Wikipedia コマ収差

実写で確認

完璧な補正状態とは言えず、少なくとも2段絞るまでは影響が残る。細部を確認せずに目立つほどの収差量ではない。しかし、このテスト結果は遠景解像テストと通じるものがあり、おそらく周辺部の解像性能が低下している要因の一つとなっているはず。

今回のおさらい

これと言って致命的な収差の問題が無いマクロレンズ。絞り開放から色収差の問題が無く、コントラストの高いシチュエーションでも後処理が難しい色ずれが発生しないのはGood。倍率色収差が僅かに残っているものの、それが画質に影響することは無いはず。

僅かに糸巻き型の歪曲収差が残っているものの、実写で致命的な問題とは感じない。
それは直線的な線をフレーム周辺部に配置したとしても同じ。特に心配する必要はなく、Lightroomなどで簡単に補正もできる。

敢えて言えば、今回取り上げていない球面収差(ボケ質のレビューで指摘)が画質に大きな影響があるので注意が必要。前ボケが少し硬調で、絞り開放付近を使うとピント面も少しソフトな描写となる。ただし、恩恵として後ボケが非常に柔らかい描写となっているので好みが分かれる可能性が高い。

個人的にマクロレンズとしては少しソフト過ぎる絞り開放の描写と感じるものの、マクロレンズでポートレートを撮影する機会が多い、もしくは柔らかいマクロ写真を撮りたいのであればおススメできる描写傾向。

購入早見表

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