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RF100-400mm F5.6-8 IS USM 徹底レビュー 諸収差編

キヤノン「RF100-400mm F5.6-8 IS USM」のレビュー第六弾を公開。今回はレンズの色収差や歪曲収差などについてチェックしています。

RF100-400mm F5.6-8 IS USMのレビュー一覧

倍率色収差

倍率色収差とは?

主にフレーム四隅に現れる色ずれを指す。絞り値による改善効果が小さいため、この問題を解決するにはカメラボディでのソフトウェア補正が必要。ただしボディ側の補正機能で比較的簡単に修正できるので、残存していたとして大問題となる可能性は低い。特にミラーレスシステムでは後処理に依存する傾向がある。

参考:Wikipedia 色収差

実写で確認

100mm

非点収差は見られるが、色収差の影響は僅か。

135mm

基本的に100mmと同じく、色収差の影響は極僅かに抑えられている。

200mm

広角側と比べると色収差の影響が僅かに強くなっている。とは言え、画質に影響を及ぼすような収差の量ではなく、簡単に補正可能。

300mm

200mmからさらに収差が強くなっている。大きな問題では無いが、場合によって周辺部にちらつきを感じるかもしれない。そのような場合は色収差補正を適用することで簡単に補正することが出来る。

400mm

色収差は300mmと同じか少し強い。やはり大問題となるような収差ではないが、場合によっては補正が必要だと思う。

軸上色収差

軸上色収差とは?

軸上色収差とはピント面の前後に発生する色ずれを指す。ピントの手前側は主にパープルフリンジとして、ピントの奥側でボケにグリーンの不自然な色付きがあれば、その主な原因が軸上色収差と考えられる。簡単な後処理が難しく、できれば光学的に収差を抑えて欲しいところだが、大口径レンズでは完璧に補正できていないことが多い。

軸上色収差を完璧に補正しているレンズはピント面のコントラストが高く、パンチのある解像感を期待できる。

参考:Wikipedia 色収差

実写で確認

100mm

絞り開放では僅かに軸上色収差の影響が残っている。補正の難しい収差だが、この量が問題となるシーンは限られているはず。1~2段絞るとほぼ解消する。

135mm

100mmよりも少し強めの色収差が発生。大きな問題とはならないが、場合によってはボケなどに色づきが発生する可能性あり。やはり1~2段絞ると改善する。

200mm

引き続き軸上色収差の影響は残る。悪い補正状態では無いが、場合によってピント面のコントラストに影響する可能性はあるかもしれない。

300mm

広角・中間域と比べると色収差の影響が穏やかとなる。絞り開放から色収差の影響が僅かで、無視できる水準。1段絞るとほとんど解消する。

400mm

300mmと同じく、絞り開放からほとんど影響が見られない。良好な補正状態と言える。

球面収差

135mm

作例を見る限りでは前後に極端ば描写の違いは見られない。玉ボケの縁取りが強く、色収差の影響も残っているので、場合によって騒がしい後ボケと感じる可能性あり。

200mm

基本的には135mmと同様の補正状態だが、色収差の影響は少し少なくなっているように見える。ボケの縁取りは同程度。

300mm

広角側・中間域と比べると玉ボケ内側の描写が綺麗に見える。前後のボケ質はこれまで通りムラが無い均質な描写。

400mm

これまでと比べると、ボケの縁取りに少し差があるように見える。後ボケはより滑らかとなり、前ボケは少し硬調。

歪曲収差

歪曲収差とは?

歪曲収差とは、平面上で直線的に写るはずが直線とならずに歪んでしまうことを指す。特に直線が多い人工物や水平線が見えるような場合に目立ちやすい。主に魚眼効果と似た形状の「樽型歪曲」と中央がしぼんで見えてしまう「糸巻き型歪曲」に分かれる。

参考:Wikipedia 歪曲収差

比較的補正が簡単な収差だが、「陣笠状」など特殊な歪みかたをする歪曲は手動での補正が難しい。この場合はレンズに合わせた補正用プロファイルが必要となる。

実写で確認

100mm

穏やかな糸巻き型歪曲が残っている。直線的な被写体を撮影しない限り無視できる程度だが、場合によっては補正が必要となる。

135mm

100mmと同程度の糸巻き型歪曲。

200mm

広角側と同程度の糸巻き型歪曲。

300mm

短い焦点距離の場合と同じ程度で、望遠側で収差が増大していない。

400mm

300mmと同じく、望遠ズームで収差が強くなりがちな望遠端としては良く抑えられているように見える。特に手ごろな価格の超望遠としては優れている。

周辺減光

周辺減光とは?

周辺減光とは読んで字のごとく。フレーム周辺部で発生する不自然な光量落ちを指す。中央領域と比べて光量が少なく、フレーム四隅で露出不足となる傾向。主に大口径レンズや広角レンズで強めの減光が発生する。

ソフトウェアで簡単に補正できる現象だが、露出不足を後処理の補正(増感)でカバーするため、ノイズ発生の原因となる点には注意が必要。特に夜景で高感度を使う場合はノイズが強く現れる可能性あり。

実写で確認

100mm(最短撮影距離:無限遠)

ピント距離に関わらず、絞り開放で中程度の周辺減光が発生する。これをLightroomで手動補正するには「+60」ほどの補正値が必要。デジタル補正を適用する場合は多少のノイズ増が発生する可能性あり。(特に高ISO感度)
影響はF8まで絞るとほとんど解消するので、風景撮影で問題となる状況は少ないと思う。

135mm(最短撮影距離:無限遠)

無限遠側で少し強めに発生するが、どちらも100mmと比べると影響は小さい。手動補正の場合は「30~40」の補正値で修正できる。やはりF8まで絞ると光学的に周辺減光を抑えることが可能。

200mm(最短撮影距離:無限遠)

135mmよりも改善。手動補正の場合は「20~30」の補正値で修正できる。F8まで絞ると改善するが、無限遠では僅かに影響が残る。

300mm(最短撮影距離:無限遠)

200mmと比べて無限遠側が少し重め。最短撮影距離は「20」の補正値で解消するが、無限遠は「40」の補正値が必要となる。F11まで絞ると改善するが、無限遠では僅かに影響が残る。そもそも開放F値が大きいうえ、周辺減光の影響でセンサーに届く光量はさらに少なくなる。

400mm(最短撮影距離:無限遠)

ズーム中間域と比べると重めの光量落ちが発生。最短撮影距離での影響はわずかだが、無限遠側は影響する範囲が広く、全体的に暗めに写る。ただし、手動補正時の補正値は300mmとほぼ同じ。

コマ収差

コマ収差・非点収差とは?

コマ収差・非点収差とは主にフレーム四隅で点像が点像として写らないことを指す。例えば、夜景の人工灯や星、イルミネーションなど。日中でも木漏れ日など、明るい点光源で影響を受ける場合あり。この問題は後処理が出来ないため、光学的に補正する必要がある。

参考:Wikipedia コマ収差

絞ることで改善するものの、夜景や天体撮影など、シャッタースピードが重要となる状況では絞ることが出来ず、光学的な補正が重要となる。

実写で確認

100mm

絞り開放で収差の影響があるものの、大きな問題ではない。絞ると徐々に改善する。

135mm

100mmと同程度。

200mm

広角側と比べて良好な補正状態に見える。

300mm

200mmと同じ。

400mm

300mmと同じ。

まとめ

全体的に良く抑えられており、残存している収差もカメラ内補正や現像ソフトの補正で簡単に修正できる。特にこれと言って大きな問題は無く、弱点と言う弱点はない。ただし、社外製現像ソフトはレンズプロファイルに対応するまで、収差は手動での修正が必要となる点に注意。

敢えて言えば、球面収差や色収差の影響から広角側のボケが少し騒がしく感じる場面があるかもしれない。しかし、それでも大きな問題と感じることは無い。全体的に使いやすく、良好な光学性能。

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作例

オリジナルデータはFlickrにて公開

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