このページではシグマ「18-50mm F2.8 DC DN」のレビューを掲載しています。
管理人の評価
評価:
低価格・高性能のお手本のようなレンズ
小型軽量で手ごろな価格のレンズだが、光学性能は全体的に良好。これと言った大きな問題は無く、部分的に目に付く欠点は許容範囲内。広角18mm始まりのズームレンジで問題が無ければおススメしやすい。
ポイント | 評価 | コメント |
価格 | 手ごろ | |
サイズ | 非常に小さい | |
重量 | 非常に軽い | |
操作性 | シンプルだが良好 | |
AF性能 | じゅうぶん高速 | |
解像性能 | 大部分がF2.8から良好 | |
ボケ | 色収差の影響あり | |
色収差 | 軸上色収差が残存 | |
歪曲収差 | 補正は必要 | |
コマ収差・非点収差 | 開放で少し残存 | |
周辺減光 | 無限遠で目立つ | |
逆光耐性 | 平凡 | |
満足度 | 小型軽量でコスパ良好 |
Index
18-50mm F2.8 DC DNのレビュー一覧
- シグマ 18-50mm F2.8 DC DN 徹底レビュー 完全版
- シグマ 18-50mm F2.8 DC DN 徹底レビュー 諸収差編
- シグマ 18-50mm F2.8 DC DN 徹底レビュー ボケ編
- シグマ 18-50mm F2.8 DC DN 徹底レビュー 周辺減光・逆光耐性編
- シグマ 18-50mm F2.8 DC DN 徹底レビュー 解像性能編
- シグマ 18-50mm F2.8 DC DN 徹底レビュー 遠景解像編
- シグマ 18-50mm F2.8 DC DN 徹底レビュー 外観・操作・AF編
まえがき
2021年10月に登場。シグマのContemporaryラインに属するAPS-C用大口径ズームレンズ。全長74.5mm、重量290gであり、開放F値「F2.8」固定の大口径標準ズームとしては一線を画す小型軽量レンズに仕上がっている。
概要 | |||
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レンズの仕様 | |||
マウント | E | 最短撮影距離 | 12.1-30.0cm |
フォーマット | APS-C | 最大撮影倍率 | 1:2.8-1:5 |
焦点距離 | 18-50mm | フィルター径 | 55mm |
レンズ構成 | 10群13枚 | 手ぶれ補正 | - |
開放絞り | F2.8 | テレコン | - |
最小絞り | F22 | コーティング | SMC |
絞り羽根 | 7 | ||
サイズ・重量など | |||
サイズ | φ65.4×74.5mm | 防塵防滴 | 簡易 |
重量 | 290g | AF | STM |
その他 | |||
付属品 | |||
フード・キャップ |
特筆すべきは小型軽量なレンズサイズ。競合レンズと比べて広角側が18mmと狭い画角であるのは間違いないが、比較的して圧倒的に小さな筐体に収まっている。このレンズサイズで全域「F2.8」を実現しているのは凄い。
さらに撮影倍率は広角側で0.35倍、望遠側で0.2倍と比較的高く、クローズアップの撮影に強い仕様。AFはステッピングモーター駆動で静音性と高速性の両立している。
価格のチェック
売り出し価格は最安値で6万円切り。一眼レフ時代のシグマ製大口径ズームと比べると高くなったが、ここ最近のAPS-C用大口径ズームとしては最も安い。気軽にF2.8ズームの使ってみたいのであれば面白い選択肢になると思う。
レンズレビュー
外観・操作性
箱・付属品
SGVシリーズ(Sigma Global Vision)らしい白を基調としたシンプルなデザイン。パッと見は装飾に見えるグレーの文字はレンズ交換式システム用のレンズであることを示している。右上に表示している3桁の数字はエディションナンバーで、発売した西暦の下3桁を表示している。
レンズ本体は紙製の緩衝材に包まれている。何らかの意図があるのかは不明だが、シグマはフルサイズ用レンズとAPS-C用レンズで梱包の仕方を変えている。
レンズ本体の他に、レンズフード、説明書、保証書が付属している。レンズケースは無い。
外観
Contemporaryラインらしいプラスチック製パーツを外装に使用している。高級感は無いが、しっかりとした作りで堅牢性に不安は感じない。同価格帯の他社製レンズと比べても立派なビルドクオリティだと思う。
外装にはマットブラックな塗装が施されている。質感は非常に良好だが、スレによる跡が付きやすいのが悩ましいところ。
装飾はほとんど見られない。白字でプリントされた焦点距離やレンズのロゴ以外には「Contemporary」を表す「C」マークが埋め込まれているくらい。
ちなみにレンズはもちろん日本製。もっと言えばシグマの会津工場製。一貫して日本の向上で生産し続けているので、個人的には積極的にシグマ製レンズを購入したいと考えている。(「日本製」というブランドと言うよりも「地産地消」と言う意味で)
ズーム操作により内筒が伸びる仕様。内筒は多段式では無く、ズーム操作で少し伸びる程度。こちらもしっかりとした作りでガタツキなどは見られない。
ハンズオン
全長74.5mm、重量290gのレンズであり、非常に小さく、非常に軽い。フルサイズ用レンズ「28-70mm F2.8 DG DN」のAPS-C版と考えるとしっくりくる。レンズサイズは「30mm F1.4 DC DN」とよく似ており、カメラバッグへの収納性は非常に良好。
前玉・後玉
フィルター径は55mm。もちろんこのクラスでは最小となる。この径に対応するAPS-C用レンズはそう多くないが、「56mm F1.4 DC DN」「E 18-135mm F3.5-5.6 OSS」あたりと共用可能。仕様を見る限り防汚コートは施されていないので、水滴や汚れの付着が想定されるシーンではプロテクトフィルターを装着しておきたいところ。
真鍮製レンズマウントは4本のビスで固定。周囲は簡易防滴用のシーリングが施されているが、その他に防塵防滴仕様となっている部分があるのかは不明。
最後尾のレンズはマウント付近で固定されている。ズーム操作で最後尾のレンズが前後に動くことは無い。このため、センサーボックス内における空気の出入りが少なくなり、小ゴミの混入が少なくなると思われる。個人的に評価したいポイント。
フォーカスリング
幅12mmの小さなフォーカスリングを搭載。プラスチック製ながら、表面の加工で良好なグリップを得られている。リングは適度なトルクで滑らかに回転する。ピント移動量は回転速度に応じて変化しているが、変化する移動量は少なく、基本的にピント全域を操作するには1回転以上かかる。素早く回転した場合で1回転と1/4ほど、ゆっくり回転した場合は2回転ほどの操作量でピント全域を操作可能。
ズームリング
幅27mmのゴム製ズームリングを搭載。程よいトルクはズーム全域で一貫しており、滑らかに回転するので動画撮影にも適しているように感じる。全体のストロークは90度未満で、ワンアクションで18mmから50mmまでの操作が可能。
レンズは18mmで最も短くなり、50mmで最も長くなる。と言っても、最大で27mmほどのびる程度で、「E 16-55mm F2.8 G」の縮長に近い。
装着例
APS-C用ボディが無いので、APS-Cクロップでも2600万画素を利用可能なα7R IVに装着。フルサイズ用のズームレンズと比べると明らかに小さく、「FE 28-70mm F3.5-5.6 OSS」よりも小さく軽量なレンズに仕上がっている。バランスは非常に良好で、おそらくAPS-Cカメラボディと組み合わせてもバランスは取りやすいはず。このレンズがソニーEマウントとライカLマウント用しかないが非常に残念。キヤノンEOS Mシステムにも最適な大口径ズームだと思う。
AF・MF
フォーカススピード
フォーカスレンズの駆動にはステッピングモーターを使用。静かで滑らか、そして高速で正確に動作する。AF-S時は決して爆速とは言えない合焦速度だが、特に不満は感じない。AF-C時はフォーカス速度がワンランク向上し、場合によって電光石火のAF速度となる。低照度や低コントラスト時は合焦まで少しもたつくものの、明るい環境下であれば特に問題ないと思う。
ブリージング
ブリージングとはピント位置によって画角が変化することを指す。画角の変化が大きいと、フォーカシングで画角が広がったり狭くなったりするので気が散ったり、AFが不安定化する原因となる。出来ればフォーカシングブリージングは無い方が良い。
今回はブリージングの影響を確認するために、レンズを最小絞りまで絞り、最短撮影距離と無限遠で撮影した結果が以下の通り。
18mm
ブリージングがほとんど発生していない。撮影倍率が非常に高いレンズながら、ブリージングをこれほど良く抑えているのは凄い。もちろん動画撮影でのピント送りも全く違和感が無いと思われる。
50mm
18mmと同じく、画角の変化はほとんど発生していない。非常に優れた結果。ブリージングが抑えられたフォーカシングは動画撮影に役立つのみならず、静止画撮影時も滑らかなフォーカシングは良質な撮影体験になると思われる。
精度
α7R IVと組み合わせて特に大きな問題は見られない。
MF
前述した通り、少し長めのストロークを備えている。フルマニュアル操作で使用するにはストロークが長すぎると感じるが、AFの微調整として使うのであれば問題ないと思う。
解像力チャート
撮影環境
テスト環境
- カメラボディ:ILCE-7RM4 APS-C 26MP
- 交換レンズ:SIGMA 18-50mm F2.8 DC DN | C
- パール光学工業株式会社「【HR23348】ISO12233準拠 8K解像力テストチャート(スチルカメラ用)」
- オリンパス HYRes 3.1 解析ソフト
- 屋内で照明環境が一定
- 三脚・セルフタイマー10秒・電子シャッター
- RAW出力
- ISO 100 固定
- Adobe Lightroom Classic CCでRAW現像
・シャープネス オフ
・ノイズリダクション オフ
・色収差補正オフ
・格納されたレンズプロファイル(外せない) - 解析するポイントごとにピントを合わせて撮影
(像面湾曲は近接で測定が難しいので無限遠時にチェック) - 近接でのテストであることに注意(無限遠側はさらに良好となる可能性あり)
補足
今回はRAW出力を元にしてシャープネスをオフの状態で検証。ボディ出力のJPEGやRAW現像でシャープネスを整えるとより数値が向上する可能性あり。今回の数値はあくまでも「最低値」とお考え下さい。
18mm
中央
絞り開放から3500を超える非常に良好なパフォーマンスを発揮。実写で確認してもシャープな描写であることが分かる。さらに、コントラストも高く、パンチのある解像感を得ることが出来る。絞っても画質が改善することは無く、絞り開放がピークの状態。数値は徐々に低下するものの、基本的にピークの性能はF5.6まで維持され、F8で回折の影響が徐々に発生し始める。
周辺
中央と比べると少し甘く、細部のコントラストが若干甘い。これはLightroomでの現像時に自動的な倍率色収差補正が適用されているため。実際は少し目立つ色ずれが発生しているので、カメラ出力のJPEGで「色収差補正」をオフにしたままだと残存収差を確認できる。
絞ると解像性能は少し向上するが、倍率色収差の影響は最後まで解消されない。このため、コントラストが僅かに低く、中央との画質差が埋まるのはF8以降となる(中央の画質が低下し始める)。
四隅
基本的に周辺部と同じ傾向だが、それに加えて解像が少し甘い。絞ることで徐々に改善し、F8のピークで周辺部や中央と同じ性能を発揮する。絞り開放の数値は伸び悩んでいるが、極端な描写の欠点は見られず、画像処理次第で良好な画質を得られると思う。ただ、ベストを尽くすのであればF8まで絞るのがおススメ。
解像力チャートと広角レンズは相性が悪いものの、同じ環境でテストした「タムロン 18-300mm F/3.5-6.3 Di III-A VC VXD」のほうが良好な結果である。ただし、F8までしっかり絞るとシグマのほうが優れた結果となる。
(広角レンズで所定の倍率で撮影するには接写する必要がある=多くのレンズは接写でパフォーマンスが低下しやすい)
数値確認
中央 | 周辺部 | 四隅 | |
F2.8 | 3741 | 2890 | 2198 |
F4.0 | 3831 | 3453 | 2712 |
F5.6 | 3854 | 3441 | 3063 |
F8.0 | 3379 | 3441 | 3317 |
F11 | 3243 | 3287 | 2961 |
F16 | 2783 | 2719 | 2551 |
F22 | 2382 | 2162 | 2085 |
24mm
中央
引き続き中央領域は絞り開放から非常にシャープな結果。少なくとも2600万画素のイメージセンサーでは絞っても結果は改善しない。ただし、伸びしろを感じる結果となっているので、将来的に3000万画素程度のイメージセンサーにも耐えうる画質と言えるかもしれない。
ピークの性能はF8まで続き、それ以降は回折の影響で急速に低下する。F11以降は出来れば回避したい絞り値。
周辺
18mmとほぼ同じ傾向。絞り開放は僅かにソフトだが、1段絞ると1グレードの画質改善が期待できる。ピークはF4からF8まで、中央に近い解像性能となる。
四隅
18mmと比べて、絞り開放の性能が改善している。周辺部に近い解像性能であり、絞り値ごとの傾向も同じ。F5.6まで絞ると非常にシャープな結果を期待できる。
数値確認
中央 | 周辺部 | 四隅 | |
F2.8 | 3697 | 2723 | 2903 |
F4.0 | 3821 | 2954 | 3351 |
F5.6 | 3796 | 3441 | 3547 |
F8.0 | 3771 | 3364 | 3402 |
F11 | 3105 | 3287 | 2831 |
F16 | 2883 | 2518 | 2672 |
F22 | 2315 | 2187 | 2056 |
28mm
中央
広角側と比べると絞り開放のパフォーマンスが僅かに低下する。と言っても非常に良好な結果に違いはなく、コントラストも良好。心配するような低下ではない。絞るとと改善し、ピークの性能がF4からF8まで継続する。
周辺
広角側と比べて安定した画質となり、絞り開放から3000に近い結果を得ることが出来る。絞っても大きな変化は見られないが、F5.6からF8でコントラストが僅かに改善しているように見える。
四隅
基本的に24mmと同じ傾向。開放は少し甘いが、2段絞るとかなり良好な結果を期待できる。フレーム全体での均質性が高く、風景撮影などパンフォーカスの撮影で使いやすいと思う。
数値確認
中央 | 周辺部 | 四隅 | |
F2.8 | 3352 | 2947 | 2587 |
F4.0 | 3621 | 3023 | 2915 |
F5.6 | 3672 | 3301 | 3389 |
F8.0 | 3706 | 3262 | 3289 |
F11 | 3287 | 3262 | 3253 |
F16 | 2871 | 2515 | 2661 |
F22 | 2213 | 2111 | 2118 |
35mm
中央
広角~準広角と比べて絞り開放が少し甘くなる。実写を確認する限りでは軸上色収差の影響が残存しているように見える。絞ることで色収差を抑え込み、コントラストは改善する。良好な結果だが、解像性能のピークは3500に到達しない。
周辺
ほとんど中央と同じ画質。やはり軸上色収差の影響が残っているので、コントラストを高めたい場合は1~2段絞りたいところ。
四隅
広角~準広角と似たような傾向だが、中央のパフォーマンスが低下したことで、結果的にフレーム全体の一貫性が高まっている。最適な絞り値はF4~F8.。
数値確認
中央 | 周辺部 | 四隅 | |
F2.8 | 2961 | 3040 | 2649 |
F4.0 | 3039 | 3239 | 2839 |
F5.6 | 3299 | 3377 | 3172 |
F8.0 | 3299 | 3251 | 3158 |
F11 | 3310 | 3164 | 2856 |
F16 | 2705 | 2590 | 2668 |
F22 | 2182 | 2090 | 2104 |
50mm
中央
35mmと同じく、絞り開放のコントラストが僅かに低い。絞ると状況が徐々に改善する。ただし、全体的に見ればズーム全域で安定したパフォーマンスを発揮しており、18mmから50mmまで安心して使える性能に見える。
周辺
35mmと比べると絞り開放の結果が僅かに低いが、安定した画質であることに違いはない。絞ると徐々に改善し、F5.6でピークに達する。この際は中央との画質差が無く、一貫性のある50mmの結果を楽しめる。
四隅
ズーム中間域と比べるとパフォーマンスが低下。絞ると僅かに改善するが、顕著な画質改善は期待できない。
数値確認
中央 | 周辺部 | 四隅 | |
F2.8 | 3099 | 2665 | 2244 |
F4.0 | 3257 | 2896 | 2388 |
F5.6 | 3310 | 3251 | 2605 |
F8.0 | 3678 | 3200 | 2559 |
F11 | 3257 | 2972 | 2611 |
F16 | 2863 | 2567 | 2436 |
F22 | 2284 | 2137 | 1955 |
遠景解像力
テスト環境
- 撮影日:2021-10-29
- カメラ:α7R IV APS-C(2600万画素)
- 三脚:Leofoto LS-365C
- 雲台:Leofoto G4
- 露出:絞り優先AE ISO100
- RAW:Adobe Lightroom Classic CC
・シャープネスオフ
18mm
絞り開放から周辺部まで良好な解像性能を発揮している。多少の画質差はあるが、隅まで極端な落ち込みが無く、全体的にシャープな結果が得られている。
中央
絞り開放からシャープネス・コントラストがとても良好。安心して使っていける解像性能に仕上がっている。絞っても画質に大きな変化は見られず、回折が始まるF8までハイパフォーマンスを維持。F11くらいまでは許容範囲に見えるが、F16やF22は回折の影響が強くなるので、出来るのなら避けたい絞り値。
周辺
中央と同じく良好なシャープネスだが、コントラストが低下している。これはLightroomでオフに出来ない色収差補正によると思われる。カメラ出力で色収差補正をオフにするとより目立つ可能性あり。絞っても画質に大きな変化は見られないが、僅かにコントラストが向上する。
四隅
やはり色収差を補正した痕跡があるものの、解像性能はとても良好。大口径ズームレンズのフレーム隅としては大いに評価できる性能だと思う。周辺部と同じく、絞ってもあまり改善しないが、特に無理して絞る必要は無いはず。
24mm
18mmと同じく、全体的に安定感のある光学性能を発揮だが、周辺部の低下が少し目に付く。
中央
18mmと同じ。絞り開放からシャープネス・コントラストがとても良好。安心して使っていける解像性能に仕上がっている。絞っても画質に大きな変化は見られず、回折が始まるF8までハイパフォーマンスを維持。F11くらいまでは許容範囲に見えるが、F16やF22は回折の影響が強くなるので、出来るのなら避けたい絞り値。
周辺
中央と比べるとシャープネス・コントラストはワンランク低下しているように見える。絞ることでコントラストは僅かに改善するが、シャープネスは基本的に開放からピークの状態で、絞りに用改善効果は見られない。
四隅
18mmと比べると非点収差かコマ収差のような像の流れが目に付く。極端では無いものの、シャープネス処理を施したJPEGなどを確認しても少し甘さを感じる。1~2段絞ると安定するので、風景撮影などパンフォーカスの撮影ではF5.6前後まで絞るのがおススメ。
28mm
周辺減光が少しあるものの、特にこれと言った弱点は無し。
中央
広角側と同じく絞り開放から高解像・高コントラスト。F8付近までピークの性能を維持しており、少なくとも2600万画素のAPS-Cで絞りによる画質変動を感じることは無い。つまりF2.8から何の心配もなく使用可能。
周辺
24mmと比べると良好。コントラストは中央よりも低下しているが、解像性能は検討しているように見える。1段絞るとコントラストが改善して画質のピークとなる。それ以外にこれと言った画質の変化は無し。
四隅
絞り開放では周辺減光が少し強く、コマ収差のような像の甘さが見られる。しかし、これらは絞ると急速に改善し、F4ではきちんとした結果を得られている。F4?F8の解像性能は大いに評価できると思う(もちろん、全体的に見ると絞り開放でも十分良好な画質)。ただし、絞っても倍率色収差の影響は残っており、多少のコントラスト低下は否めない。
35mm
画質の極端な落ち込みは見られない。光学性能は広角側と同じく非常に良好。
中央
これまでと同じく、絞り開放から良好な解像性能。ただし、軸上色収差か球面収差が僅かに残っており、コントラストが少しだけ低く見える。これは1段絞ると改善し、以降にこれと言った画質の改善は見られない。
周辺
中央と比べて極端な画質の落ち込みは見られず、絞り開放から良好な解像性能とコントラスト。F4まで絞ると解像性能が僅かに向上し、分解能が高まっているように見える。F4以降に大きな変化は見られない。
四隅
やはり周辺減光は少し強め。ただし、解像性能はとても良好で、これと言った画質の低下は見られない。非点収差やコマ収差の影響も低いように見え、健闘していると思う。1段絞ると光量落ちが改善し、コントラストも少し良好になる。
50mm
中央のコントラストが少し低下しているように見えるが、解像性能に目立った弱点は見られない。
中央
50mmと同じく絞り開放のコントラストが少し低く、解像性能も多少の低下が見られるので、風景を高解像に撮影するつもりなら1段絞るのがおススメ。F4まで絞ると解像性能・コントラストはどちらも改善し、ピークの性能が得られる。それ以上絞っても劇的な改善効果は得られない。
周辺
中央と同じく絞り開放で僅かなコントラスト低下が見られるものの、1段絞ると特に問題なし。解像性能は絞り開放から良好で、ピークはやはりF4?F5.6となる。F8以降は回折による低下が早いので、できればF5.6付近までで抑えておきたいところ。
四隅
大口径のズームレンズとしては良好なパフォーマンス。周辺減光が強く、僅かにコマ収差のような影響も見られるが、全体像としては画質の乱れを良く抑えていると思う。ただし、絞ってもあまり改善しない。
撮影倍率
最短撮影距離は12.1~30.0cm。最大撮影倍率は18mm時に「1:2.8(約0.35倍)」を実現。18mm以外の撮影倍率も概ね良好で、全体的に優れたクローズアップ性能である。
倍率色収差
倍率色収差とは?
主にフレーム四隅に現れる色ずれを指す。絞り値による改善効果が小さいため、この問題を解決するにはカメラボディでのソフトウェア補正が必要。ただしボディ側の補正機能で比較的簡単に修正できるので、残存していたとして大問題となる可能性は低い。特にミラーレスシステムでは後処理に依存する傾向がある。
18mm
フレーム周辺部には僅かに倍率色収差が残存している。これは絞り値全域で発生しており、解消することは無い。このため、収差が気になる場合はカメラ側の補正機能か、後処理で修正する必要がある。幸いにも影響は軽微で、簡単に修正することが可能。
24mm
18mmと比べると、僅かに収差が少なくなっている。テストショットでは補正無しでも問題無い水準だが、コントラストの強度によっては少し目立つかもしれない。どちらにせよ、この収差は簡単に修正することが出来る。
28mm
24mmと同じく、倍率色収差はとても穏やか。僅かに残っているものの、問題と感じることは無い。
35mm
24mmや28mmと比べて、さらに収差が小さくなっているように見える。補正無しでも全く問題なし。
50mm
35mmと同じように見えるが、パッと見は少しちらつく程度の収差を感じる。
軸上色収差
軸上色収差とは?
軸上色収差とはピント面の前後に発生する色ずれを指す。ピントの手前側は主にパープルフリンジとして、ピントの奥側でボケにグリーンの不自然な色付きがあれば、その主な原因が軸上色収差と考えられる。簡単な後処理が難しく、できれば光学的に収差を抑えて欲しいところだが、大口径レンズでは完璧に補正できていないことが多い。
軸上色収差を完璧に補正しているレンズはピント面のコントラストが高く、パンチのある解像感を期待できる。
18mm
ピント前後にわずかな色付きがあるものの、影響は軽微で無視できるレベル。2~3段絞ると完全に抑えることが可能。
24mm
18mmと比べると遥かに目立つ収差が発生している。強いコントラスト環境下では場合にとってピント前後に影響を受ける可能性あり。影響はF5.6まで残り、F8まで絞るとほぼ解消する。
28mm
24mmよりさらに強めの優さが発生する。風景撮影などで、絞り開放のコントラストが低く感じたら軸上色収差を疑ったほうが良いかもしれない。やはりF5.6までは残存しているので、コントラストを最大化したいのであればF8まで絞るのがおススメ。
35mm
28mmと同じく色収差は目立つ。
50mm
望遠端でも軸上色収差の傾向は同じ。ボケを作りやすい焦点距離だが、場合によってボケに色が付き、少し騒がしくなるかもしれない。
球面収差
18mm
前後のボケ質に大きな違いは見られず、良好な補正状態であることが分かる。軸上色収差の影響が残っているのは惜しい。
24mm
基本的には18mmと同じだが、前ボケの縁取りが僅かに強くなっている。
28mm
24mmの傾向が28mmでさらに強くなる。前後のボケ質にわずかな違いが発生しており、特に前ボケは少し硬いと感じる場合があるかもしれない。
35mm
ズーム後半ではさらに球面収差の影響が強くなる。撮影距離によってはボケが騒がしくなる場合あり。また、軸上色収差の影響が明らかに強くなっている。
50mm
明らかに補正不足で、前後のボケ質に顕著な違いが見られる。これはボケの実写テストでも明確に現れており、特に50mmでボケが小さくなる場合には注意が必要だ。
前後ボケ
綺麗なボケ・騒がしいボケとは?
ボケの評価は主観的となりがち。個人的には「滲むように柔らかくボケる」描写が綺麗と評価し、逆に「急にボケ始めたり、ボケの輪郭が硬い」描写は好ましくないと感じる。ただし、感じ方は人それぞれなので、ひょっとしたら逆のほうが好ましいという人がいてもおかしくない。
参考までに「滲むボケ」「輪郭の硬いボケ」のサンプルを以下に示す。
描写傾向の違いは主に球面収差の補正状態によって変化し、前後どちらかのボケが柔らかい場合はもう片方のボケが硬くなる傾向がある。
特殊な方法として「アポダイゼーション光学素子」などを使って強制的に滲むボケ描写を実現しているレンズも存在する。
実写で確認
球面収差の補正状態は良好で、基本的に前後のボケ質に大きな差は見られない。どちらも滑らかな描写で、ズームレンズとしては扱いやすいボケ質。ただし、軸上色収差の補正が完璧とは言えず、微ボケから大ボケまで色付きが発生しているのが分かる。実に惜しいポイント。
玉ボケ
口径食・球面収差の影響
ここで言う「口径食」とはレンズ口径がボケへ影響していることを指す。
口径食が強いと、フレーム四隅のボケが楕円状に変形したり、部分的に欠けてしまったりする。この問題を解消するには絞りを閉じるしか方法が無い。しかし、絞ると羽根の形状が見えてしまう場合もあるので状況に応じてF値を変化させる必要あり。
逆に口径食の影響が少ないと、絞り開放から四隅まで円形に近いボケを得ることが出来る。これは玉ボケに限った話ではなく、一般的な四隅のボケ描写の質感にも繋がる。口径食が強いと、ボケが小さく感じたり、場合によってはボケが荒れてしまう場合もある。
できれば口径食の小さいレンズが好ましいが、解消するには根本的にレンズサイズを大きくする必要がある。携帯性やコストとのバランスを取る必要があり、どこかで妥協が必要。
球面収差の補正が完璧では無い場合、前後のボケ描写に差が発生する(前後ボケのレビューで示した通り)。この場合はどちらかが滲みを伴う滑らかな描写になり、反対側で2線ボケのような硬い描写となってしまう。
18mm
周辺部で口径食の強い影響が見られる。いびつな形状となり、あまり好ましい描写とは言えない。さらに周辺部のボケには倍率色収差の影響と思われる色付きが発生している。2重に騒がしい描写。玉ボケの内側に輪線ボケの兆候は見られない。手ごろな価格の標準ズームとしては大いに評価できる。
24mm
18mmと比べると口径食が穏やかになる。その一方で、軸上色収差の影響が強くなり、ボケの縁に色が付きやすいのがマイナスポイント。絞ると口径食と軸上色収差の両方を改善することが出来る。しかし、F5.6まで絞ると玉ボケが角ばってしまうのが残念。
28mm
広角側と比べて自然な口径食だが隅の端はボケが大きく変形している。また、軸上色収差の影響が以前として強いものの、それ以外は概ね良好。
35mm
残念ながら再び口径食の影響が強くなり、軸上色収差も目立つ。
50mm
依然として軸上色収差により縁取り効果は続く。ボケが大きくなるので目立ちにくいが、口径食の影響も残っている。
ボケ実写
18mm
接写時は隅が少し騒がしくなるものの、概ね良好。後ボケは滑らかで心地よい描写に見える。
撮影距離が少し長くなっても、基本的には滑らかなボケ。ただし、ハイライトに軸上色収差の影響が目立ちやすく、状況によって騒がしい背景となるかもしれない。
球面収差が良好に補正されているので、微ボケでも滑らかな描写を維持している。やはり色収差や口径食の影響が残っているので、撮影シーンによっては気を付けておきたい。
50mm
望遠端の接写時はとても滑らかで綺麗なボケ。軸上色収差の影響は残っているはずだが、ボケ量が大きく、欠点が悪目立ちすることは無い。
撮影距離が少し長くなると、口径食の影響が強くなる。ただし、ボケ質は滑らかで非常に綺麗。軸上色収差の影響は見られるが、許容範囲内。
さらに撮影距離が長くなると、微ボケ部分の玉ボケにムラが発生する。軸上色収差により縁取りなどを含めて、少し騒がしい描写。
撮影距離 18mm
全高170cmの三脚をポートレートに見立てて、全身?顔のクローズアップの撮影距離を絞り開放で撮影したのが以下の作例。
18mmを使った全身ポートレートで背景を分離するのは難しい。というよりも無理である。膝上?上半身くらいまで近寄って、なんとか後ボケを少し得ることができる。理想を言えばバストアップ、もっと言えば顔のクローズアップで丁度良いくらい。この際のボケ質は単焦点ほどでは無いものの、悪くない描写に見える。
50mm
18mmと比べるとボケを作りやすく、膝上~上半身くらいまで近寄ると十分なボケを得ることが可能。この際の小ボケは輪線ボケが目立つので、騒がしいと感じたらバストアップ以上に撮影距離を詰めると改善する可能性あり。
歪曲収差
歪曲収差とは?
歪曲収差とは、平面上で直線的に写るはずが直線とならずに歪んでしまうことを指す。特に直線が多い人工物や水平線が見えるような場合に目立ちやすい。主に魚眼効果と似た形状の「樽型歪曲」と中央がしぼんで見えてしまう「糸巻き型歪曲」に分かれる。
比較的補正が簡単な収差だが、「陣笠状」など特殊な歪みかたをする歪曲は手動での補正が難しい。この場合はレンズに合わせた補正用プロファイルが必要となる。
18mm
中程度の樽型歪曲。小型軽量化のあおりを受けて、もう少し強い収差が残っていると想像していたが、思いのほか良好に見える。この程度の補正であれば、画質への影響は軽微のはず。
24mm
非常に穏やかな樽型歪曲。補正なしでも問題はない。
28mm
24mmと同じく非常に良好な補正状態。
35mm
中間域を超えると歪曲収差は糸巻き型へと変化する。影響は穏やかで特に大きな問題は見られない。
50mm
35mmと同程度の穏やかな糸巻き型歪曲。直線的な被写体でなければ補正の必要性は低い。
周辺減光
周辺減光とは?
周辺減光とは読んで字のごとく。フレーム周辺部で発生する不自然な光量落ちを指す。中央領域と比べて光量が少なく、フレーム四隅で露出不足となる傾向。主に大口径レンズや広角レンズで強めの減光が発生する。
ソフトウェアで簡単に補正できる現象だが、露出不足を後処理の補正(増感)でカバーするため、ノイズ発生の原因となる点には注意が必要。特に夜景で高感度を使う場合はノイズが強く現れる可能性あり。
18mm(最短撮影距離:無限遠)
最短撮影距離、無限遠どちらでも絞り開放で周辺減光が目に付く。影響はかなり強く、Lightroomで補正するには「80」くらいまで光量補正を使用する必要がある。光量落ちは隅に向かって落ち込みが激しくなっているので、リニアな補正では隅の端が補正しきれない。適切なレンズプロファイルが必要となる。
光学的に周辺減光を抑えたい場合はF5.6?F8まで絞る。F8以降は周辺減光が解消する。
24mm(最短撮影距離:無限遠)
18mmと比べると影響が弱くなる。ある程度の手動補正であれば「+40」くらいの補正値で修正可能。ただし、リニアな補正では周辺部の落ち込みを補正しきれないので、やはり適切なレンズプロファイルが欲しいところ。
28mm(最短撮影距離:無限遠)
基本的には24mmと同程度の補正値で修正可能だが、隅の光量落ちが強くなっている。手動補正での修正は難しい。
35mm(最短撮影距離:無限遠)
28mmと同傾向で、全体的に少し強め。
50mm(最短撮影距離:無限遠)
最短撮影距離と無限遠で光量落ちの差が大きくなる。最短撮影距離での光量落ちは最小限だが、無限遠側はかなり強い。幸いにも、無限遠における影響はリニアな補正で簡単に修正できる。それでも補正値は「+100」近く必要となるので、ノイズ増は不可避。特に高ISO感度時は気を付けたい。
コマ収差
コマ収差・非点収差とは?
コマ収差・非点収差とは主にフレーム四隅で点像が点像として写らないことを指す。例えば、夜景の人工灯や星、イルミネーションなど。日中でも木漏れ日など、明るい点光源で影響を受ける場合あり。この問題は後処理が出来ないため、光学的に補正する必要がある。
絞ることで改善するものの、夜景や天体撮影など、シャッタースピードが重要となる状況では絞ることが出来ず、光学的な補正が重要となる。
18mm
絞り開放で僅かに残存しているものの、影響はほとんど無い。良好な補正状態と言える。
24mm
基本的には18mmと同じ傾向だが、少し非点収差が強いようにも見える。
28mm
広角側と比べるとコマ収差の影響が少し強い。とは言え、大きな問題ではなく、1段絞ると抑えることが可能。
35mm
全体的に28mmと似ている。
50mm
35mmと同じ傾向。コマ収差に関して大きな問題は見られない。
逆光耐性・光条
18mm 中央
若干のフレア・ゴーストが発生しているものの、シグマ製の大口径ズームとしては良好に見える。絞ると隠れていたゴーストが明らかとなる。ソニーEマウントは基本的に実絞りライブビューとなるので、ゴースト状態は判断しやすいと思う。
18mm 隅
フレアは良く抑えられ、コントラストが良好。絞ると光源周辺にいくつかフレアが発生するものの、影響は軽微で大きな問題は見られない。(ちなみにF22は撮りわすれた)
50mm 中央
基本的には18mmと同傾向。光源周辺が僅かにフレアっぽいものの、それ以外は良く抑えられているように見える。絞ると隠れていたフレアがゴーストとして現れるが、状況は悪くない。
50mm 隅
18mmと同じくフレア、ゴーストどちらも問題なし。
光条
絞り羽根は7枚で、小絞りを使うと14本の光条が発生する。F11付近から光条が明瞭となるものの、光の筋は分散しており、先細りするシャープな描写とはならない。F22まで絞ると綺麗な描写へ変化するが、回折の影響が強く、解像性能とのバランスは取りにくい。
まとめ
良かったところ
ココがおすすめ
- 手ごろな価格設定
- F2.8ズームとしては驚くほど小型軽量
- シンプルながら良好なビルドクオリティ
- 簡易防塵防滴
- 滑らかなコントロールリング
- 静かで高速なAF
- フォーカスブリージングが抑えられている
- 特に広角側の画質が良好
- ズーム全域で良好なクローズアップ性能
- 穏やかな倍率色収差
- 均質的なボケ(広角・標準)
- 滑らかな後ボケ(望遠)
- 絞った際の光条が綺麗
特筆すべきは大口径ズームとしては驚くほど小型軽量であること。APS-Cミラーレスの携帯性を損なうことなく、携帯性の良いF2.8ズームレンズに仕上がっている。さらに大口径ズームとしては手ごろな価格設定を維持しており、タムロンよりも安く、ソニーの半値で購入できる。
小型軽量、そして低価格ながら、光学性能は全体的に良好。歪曲収差や倍率色収差は補正前提と言った印象があるものの、それらを除けば欠点は本当に少ない。
悪かったところ
ココに注意
- ズーム・フォーカス以外のコントロールが無い
- 接写時の周辺画質が低下する
- 望遠側のコントラストが少し低下する
- 軸上色収差が発生する場合がある
- 望遠側の球面収差が残っている
- 周辺減光・口径食の影響が目に付く
- 中程度の樽型歪曲が残っている
- 絞り開放でコマ収差の影響がある
物理的な問題として「18mmはじまり」「光学手ぶれ補正なし」は気を付けておきたいポイント。購入後に改善することは出来ないので、自身の環境にこれらが必要であれば他の選択肢を検討した方が良い。
上記の問題をクリアできたうえで理解しておきたいのは補正前提で残存している倍率色収差と歪曲収差の存在。これはRAW現像時に問題となる可能性があり、レンズプロファイルや手動での補正が必要となる。簡単に補正できるので大きな問題とはならないが、現像する環境によっては気を付けたいポイント。残すところは望遠側で残存する軸上色収差と球面収差だが、これは実写で問題とならない場合も多い。
総合評価
満足度は99点。
非常に良くできた小型軽量な大口径ズームレンズ。購入前に把握できるポイント(18mm・OSなし)を抑えておけば、購入後に後悔することはまずないと思う。価格は手ごろでキットレンズからのステップアップに程よく、光学性能は全体的に十分良好。レンズの作りはしっかりとしており、オートフォーカスもなかなか速い。
コンパクトで携帯しやすいので旅先で使うレンズとしても重宝する。このような場合、絞って使うことが多く、手ぶれ補正があるとさらに便利だと感じた。今のところボディ側に手ぶれ補正を搭載しているのは「α6500」「α6600」だけなので、より幅広い機種に手ぶれ補正が搭載されると、このレンズの価値がさらに高まるかもしれない。
個人的におススメしたいのは全体的に接写性能が高いこと。もちろん接写時は周辺部や隅の画質が低下するものの、ダイナミックなクローズアップ写真を撮影するには十分な画質を維持しているように見える。接写とF2.8を組み合わせることでAPS-Cながら大きなボケを得ることも出来る。