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銘匠光学「TTArtisan 35mm F1.4 C」交換レンズレビュー 完全版

このページでは銘匠光学「TTArtisan 35mm F1.4 C」のレビューを掲載しています。

管理人の評価

ポイント 評価 コメント
価格 間違いなく安い
サイズ 小型
重量 軽量
操作性 良好
AF性能 MF限定
解像性能 絞れば良好
ボケ 近距離で良好
色収差 価格帯では良好
歪曲収差 まずまず良好
コマ収差・非点収差 コマ収差が目立つ
周辺減光 大きな問題は無い
逆光耐性 場合によって厳しい
満足度 コスパ良好のMFレンズ

リーズナブルで実用的なMFレンズ

  • 小型軽量ながら優れたビルドクオリティ
  • 実用的なコントロール
  • ダブルガウスらしい解像性能・収差補正
  • 1万円切りの大口径レンズ

8千円台と手ごろな価格ながら、使いやすいフォーカスリングと絞りリングを搭載し、総金属製のビルドクオリティがGood。光学性能は典型的なダブルガウスらしい傾向を備え、コマ収差以外は扱いやすい描写。癖が少なく扱いやすいので初めてのMFレンズとしておススメできる一本。

まえがき

2020年に登場した銘匠光学では初となるAPS-Cミラーレス用レンズ。開放F値「F1.4」と明るいコンパクトな単焦点レンズながら、1万円を切る価格設定で気軽に購入することが出来るのが魅力的。低価格ながら、しっかりとした金属外装にクリック付きの絞りリングを搭載。
レンズマウントは富士フイルムX・ソニーE・キヤノンEF-M・ライカL・ニコンZ・マイクロフォーサーズと幅広く対応。電子接点が無いので操作はフルマニュアルとなるものの、扱いやすいレンズに仕上がっています。

概要
レンズの仕様
マウント EFM/E/X/Z/MFT 最短撮影距離 0.28m
フォーマット APS-C 最大撮影倍率 不明
焦点距離 35mm フィルター径 39mm
レンズ構成 6群7枚 手ぶれ補正 -
開放絞り F1.4 テレコン -
最小絞り F16 コーティング 不明
絞り羽根 10枚
サイズ・重量など
サイズ φ44.0mmx42mm 防塵防滴 -
重量 180g AF -
その他 電子接点無し・絞りリング
付属品
レンズキャップ・説明書

レンズ構成はダブルガウスタイプの6群7枚で、特殊レンズは未使用。フルマニュアルのAPS-C用標準大口径レンズでシンプルなダブルガウスタイプを採用しているのは珍しい。定番のレンズ構成であり、悪くない光学性能が期待できそうですね。

価格のチェック

前述したように価格は1万円を下回るてごろな値付け。オークションやフリマのフィルム用オールドレンズを買うくらいであれば、APS-C専用設計でコンパクトかつ新品のレンズを購入するのもアリだと思うのです。

シルバー

TTArtisan 35mm F1.4 Sony E
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TTArtisan 35mm F1.4 Fuji X
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TTArtisan 35mm F1.4 MFT
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TTArtisan 35mm F1.4 Canon M
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ブラック

TTArtisan 35mm F1.4 Sony E
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TTArtisan 35mm F1.4 Nikon Z
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レンズレビュー

外観・操作性

箱・付属品

グレーを基調としてレンズ名と外観が描かれたコンパクトな化粧箱。圧倒的な高級感漂う感じではありませんが、1万円以下の中国製レンズとしては好印象。

レンズは発泡スポンジの切り抜きにしっかりと収まっている。付属品はシンプルで、前後のレンズキャップと説明書・保証書のみ。とは言え、説明書にはカメラメーカー各社におけるMFレンズの使い方(電子接点無しレンズにおけるシャッターの切り方)まで記載されている親切設計。
全体的に7Artisansシリーズの七工匠とよく似ている。

外観

外装は全て金属製のしっかりとした作り。フォーカスリングや絞りリング、レンズ側面のグリップには切り込みがあるのでしっかりと握ることが可能。レンズのロゴや絞り値、焦点距離などの表示は刻印ではなくプリント。価格を考慮すると十分以上の質感。同価格帯における他の中国レンズメーカーと比べてワンランク上。

今回は最近発売したシルバーモデルを購入。オリンパスのPremiumレンズと似た塗装が施され見栄えは良い。

ハンズオン

コンパクトなレンズながら、金属外装で密度を感じる重量。とは言え総重量は180gであり、特に重たいとは感じない。小型軽量なカメラボディと組み合わせても問題ナシ。

前玉・後玉

金属製のフィルターソケットは39mm径に対応。前玉にフッ素コーティングなどは施されていないので、汚れが付着するシーンであればプロテクトフィルターの装着がおススメ。

現代のレンズで39mmの小さな径に対応しているレンズは少なく、フィルターの共用は難しい。プロテクトフィルターのみ39mmを調達し、NDやC-PLはステップアップリングを使い、より大きな径のフィルターを使用したほうが経済的。

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金属製レンズマウントは3本のビスで固定。ビスの数は少ないものの、レンズが軽いので問題とはならないはず。レンズの内側は黒色塗装と凹凸の加工で反射を抑制。中国レンズメーカーとしてはしっかりとした作り。この辺りは七工匠(7Artisans)も新世代で品質を改善している。
全群繰り出し式フォーカスのため、最短撮影距離まで操作するとレンズが前方へ移動する。この際に内筒と外装の隙間に反射防止が施されていない箇所を目視で確認可能。この辺りの詰めの甘さは惜しい。

フォーカスリング

グリップの無い部分を含めて、全長は約20mmと幅広い。ただし、グリップ以外は滑りやすく実用的ではない。このデザインを敢えて採用することで、絞りリング使用時の誤操作を予防しているものと思われる。
フォーカスリングは全体的に滑らかで、抵抗量は一定。個人的な好みとしては少し緩く感じる。コシナのフォクトレンダーシリーズくらいの抵抗感が欲しかったところ。リングのストロークは最短撮影距離から無限遠まで130度ほど。このようなMFレンズとしては程よいストロークで操作性に問題は無い。

無限遠の位置でハードストップが発生するものの、F1.4使用時にハードストップまで操作すると少しオーバーインフ気味となる。このため、天体撮影などでF1.4の無限遠を使う場合は目視でピント合わせが必要。

絞りリング

レンズ先端には細めの絞りリングを搭載。F1.4からF16まで調整可能で、このクラスとしては珍しくノッチ付き。ノッチのクリック感は絶妙で、滑らかさ・感触・抵抗のバランスが良い。この点で、七工匠の絞りリングは無段階仕様となっているので静止画では使い辛い。個人的にはTTArtisanの仕様が好み。
F1.4~F4までは1/2段ごとに動作し、以降はF4・F5.6・F8・F16でクリックストップが発生する。何故かF11が見当たらないものの、F8とF16の間にある「・」でリングを止めることも可能。

レンズキャップ

前玉用レンズキャップはねじ込み式の珍しいタイプ。素早く取り外すことは出来ないものの、被せ式のように脱落する心配が無い。速写性を重視する場合は、摘まみ式の39mmキャップを用意すべし。

装着例

今回は富士フイルムXマウント用を購入したので、X-S10に装着。(実はマウントアダプター経由でニコン「Z fc」と組み合わせるために購入したものですが、Z fcが届かないので…)
大口径ながらコンパクトなレンズであり、X-S10と組み合わせた際のバランスは良好。これよりも小さなX-E4やX-T30と組み合わせても問題にはならないはず。

AF・MF

フォーカススピード

MFレンズのため無評価。
敢えて言えば、程よいストロークと滑らかで緩めのフォーカスリングを使うことで素早くフォーカス操作が可能。カメラ側のピーキングや拡大機能と組み合わせることでさらに高速化できるはず。

ブリージング

ブリージングとはピント位置によって画角が変化することを指しています。最小絞りまで絞り、最短撮影距離と無限遠で撮影した結果が以下の通り。

ご覧のように、無限遠側で画角が少し広く、最短撮影距離では少し狭い。とは言え、過度に目立つことはなく、許容範囲内。

精度

MFレンズにおいて、フォーカス精度を左右するのはフォーカスリングのストローク長と回転の滑らかさ。この点で、35mm F1.4 Cは問題なし。ストロークが長ければ長い程、高精度となるものの、操作性を考慮すると丁度いい。

解像力チャート

撮影環境

テスト環境

  • カメラボディ:FUJIFILM X-S10
  • 交換レンズ:TTArtisan 35mm F1.4 C
  • パール光学工業株式会社「【HR23348】ISO12233準拠 8K解像力テストチャート(スチルカメラ用)
  • オリンパス HYRes 3.1 解析ソフト
  • 屋内で照明環境が一定
  • 三脚・セルフタイマー10秒・電子シャッター
  • RAW出力
  • ISO 160 固定
  • Adobe Lightroom Classic CCでRAW現像
    ・シャープネス オフ
    ・ノイズリダクション オフ
    ・色収差補正オフ
  • 解析するポイントごとにピントを合わせて撮影
    (像面湾曲は近接で測定が難しいので無限遠時にチェックしています)
  • 近接でのテストであることに注意(無限遠側はさらに良好となる可能性あり)

補足

今回はRAW出力を元にしてシャープネスをオフの状態で検証しています。ボディ出力のJPEGやRAW現像でシャープネスを整えるとより数値が向上する可能性があります。今回の数値はあくまでも「最低値」とお考え下さい。

テスト結果

中央

絞り開放付近はやや甘いもののピントの芯は確認可能。そして1~2段絞ると急速に改善する。軸上色収差などの影響も見られるが、F5.6前後で概ねピークのパフォーマンスを発揮する。性能はF11くらいまで維持し、F16で回折の影響が強くなる。
2600万画素のX-S10を使ったテスト結果としては十分良好な性能。

周辺

絞り開放付近は中央よりも甘く、ピントの芯は確認し辛い。1段絞っても許容範囲とは言えず、さらにもう1段絞りたいところ。F2.8まで絞ると画質がワンランク向上し、その後はF5.6~F8のピークに向かって徐々に画質が改善する。最低限のシャープネスが必要であればF2~F2,8の絞り値を使い、シャープな結果を得たければF5.6~F8までしっかりと絞りたい。

四隅

絞り開放の甘さは周辺と同程度。つまりフレーム隅でも急激な画質低下は見られない。解像性能に拘らなければ絞り開放から許容できるパフォーマンス。周辺と同じく、F2.8まで絞ると解像性能が安定し、F5.6~F11で画質のピークを迎える。

数値確認

中央 周辺部 四隅
F1.4 2223 1755 1765
F2.0 2530 1682 1656
F2.8 3138 2438 2213
F4.0 3373 2974 2820
F5.6 3457 3315 3251
F8.0 3338 3451 3149
F11 3208 3266 3175
F16 2408 2268 2289

実写確認

絞り開放付近のシャープネスは期待できないものの、F2.8以降の絞り値であればリーズナブルな価格設定と感じない良好な解像性能を発揮。開けてふんわり、絞ってシャープな分かりやすく、遊びやすいレンズに仕上がっている。

遠景解像力

テスト環境

  • カメラ:FUJIFILM X-S10
  • 三脚:Leofoto LS-365C
  • 雲台:Leofoto G4
  • 露出:絞り優先AE・ISO 160-320
  • RAW出力
  • 現像:Adobe Lightroom Classic CC
    ・シャープネスオフ

テスト結果

中央

F1.4はシャープネス・コントラストがどちらも甘く、軸上色収差の影響も僅かにあるソフトな描写。風景写真などで高解像を求めるシーンならばいくらか絞って改善したい。
F2まで絞るとコントラストが改善するものの、シャープネスはまだ甘い。F2.8~F4で徐々に画質が改善し、ピークとなるのはF5.6~F8。全体的に見て、F2.8以降は十分に満足のいく画質。

周辺

中央と同じくF1.4はやや甘め。そして中央と比べても少し甘い。このままでは(解像度が欲しい風景撮影などで)使いたい画質とは言えないので、少なくとも2段は絞りたいところ。
F2.8まで絞ると画質がグッと安定するので積極的に絞りたい。F4~F8で良好な画質となるものの、F8まで画質は改善し続けるので、絞れるのであれば絞るのがおススメ。

四隅

中央・周辺と同じく、絞り開放は甘い描写。しかし、1万円を切る手ごろな価格の大口径レンズとしてはまだ安定した描写に見える。とは言え、目に見えるコマ収差の影響もあるので実用的とは言えない。
周辺部と同じくF2.8まで絞ると、画質はグッと安定する。以降の改善幅はそう大きくないものの、F8前後でピークに到達する。
絞り値全域で倍率色収差は良く抑えられているので、後処理の必要性は低い。

実写で確認

カジュアルに撮影する場合でもF2.8まで絞って使うのがおススメ。全体的にシャープな結果を得たいのであればF8前後までしっかりと絞りたい。1万円を切るF1.4レンズとしては評価できる光学性能であり、安定のガウスタイプと言った印象。
F11も良好な結果を得ることが可能ですが、オートホワイトバランス使用時は色が傾くので注意が必要。

撮影倍率

テスト機である「FUJIFILM X-S10」が搭載しているセンサーの横幅は「23.5mm」。このレンズの撮影倍率は不明ながら、最短撮影距離「0.28m」で撮影可能な横幅は約16cm。つまり「センサーの横幅に対して(ざっくり)約0.146倍」が最大撮影倍率となる。このクラスのレンズとしては一般的なクローズアップ性能であり、特に良くも悪くもない。

像面湾曲

像面湾曲とは?

ピント面が分かりやすいように加工しています。

中央から四隅かけて、ピントが合う撮影距離が異なることを指しています。例えば、1mの撮影距離において、中央にピントが合っていたとしてもフレームの端では1mの前後に移動している場合に像面湾曲の影響が考えられます。

最近のレンズで目立つ像面湾曲を残したレンズは少ないと思いますが、近距離では収差が残存している場合もあります。ただし、近距離でフラットな被写体を撮影する機会は少ないと思われ、像面湾曲が残っていたとしても心配する必要はありません。

無限遠でも影響が見られる場合は注意が必要です。風景など、パンフォーカスを狙いたい場合に、意図せずピンボケが発生してしまう可能性あり。この収差は改善する方法が無いため、F値を大きくして被写界深度を広げるしか手段がありません。

参考:Wikipedia 像面湾曲

実写で確認

近距離でも像面湾曲の影響は小さく、大部分のシチュエーションにおいて問題となる可能性は低い。

倍率色収差

倍率色収差とは?

主にフレーム四隅に現れる色ずれです。絞り値による改善効果が小さいため、この問題を解決するにはカメラボディでのソフトウェア補正が必要となります。ボディ側の補正機能で比較的簡単に修正できます。

参考:Wikipedia 色収差

実写で確認

とても良好に補正されており、絞り値全域で大きな問題となる可能性は低い。

軸上色収差

軸上色収差とは?

軸上色収差とはピント面の前後に発生する色ずれを指しています。手前側で主にパープルフリンジとして、奥側でボケにグリーンの不自然な色付きがあれば、その主な原因が軸上色収差です。簡単な後処理が難しく、できれば光学的に収差を抑えて欲しいところですが、大口径レンズでは完璧に補正できていないことが多いです。

参考:Wikipedia 色収差

実写で確認

絞り開放付近でピント面の前後に色づきが見られる。シンプルな光学系のレンズとしては評価できる補正状態ではあるものの、高コントラストなシチュエーションの場合はF1.4やF2で色づきが目立つ可能性あり。この問題はF2.8までにほぼ解消するので、軸上色収差が目立つ場合は絞りを調整して対処したい。

別の問題として、球面収差の補正状態が完璧とは言えず、F1.4における見かけ上のピントの山と、絞った際のピントの山の位置にズレが見られる。特に絞り開放でピントを合わせる場合、ピント面を手前へ僅かにずらしておくと良いかもしれない。

前後ボケ

綺麗なボケ・騒がしいボケとは?

ボケの評価は主観的となりがちですが、個人的には「滲むように柔らかくボケる」描写が綺麗と感じます。逆に、「急にボケ始めたり、ボケの輪郭が硬い」描写を好ましくないと感じています。

描写傾向の違いは主に球面収差の補正状態によって変化し、前後どちらかのボケが柔らかい場合はもう片方のボケが硬くなる傾向があります。また「アポダイゼーション光学素子」などを使って強制的に滲むボケ描写を実現しているレンズも存在します。

実写で確認

基本的にニュートラル寄りではあるものの、後ボケが少し滑らかで、前ボケが少し硬調。この傾向はボケが大きくなっても変わらず、特に複雑な前景がフレームに入っていると騒がしい2線ボケとなる可能性がある。
軸上色収差による色づきは否定できないものの、思っていたよりも影響度合いは少なく、特に強く問題視する必要は無い。評価できる補正状態。

玉ボケ

口径食・球面収差の影響

口径食が強いと、四隅が楕円状に変形したり、部分的に欠けてしまったりします。これを解消するには絞りを閉じるしかありません。しかし、絞ると羽根の形状が見えてしまう場合もあるので状況に応じてF値を変化させる必要あり。

逆に口径食の影響が少ないと、絞り開放から四隅まで円形に近いボケを得ることが出来ます。これは玉ボケに限った話ではなく、一般的な四隅のボケ描写の質感にも繋がります。口径食が強いと、ボケ量が少なく感じたり、四隅のボケが荒れてしまう場合もあるため、口径食の小さいレンズが好ましい。

球面収差の補正が完璧では無い場合、前後のボケ描写に差が発生します。この場合はどちらかが滲みを伴う滑らかな描写になり、反対側で2線ボケのような硬い描写となってしまいます。

実写で確認

縁取りが弱く、内側の描写もまずまず滑らかで大きな問題は見られない。積極的に使っていける印象あり。ただし、口径食の影響が強く現れるため、背景との距離感によっては隅のボケ描写が騒がしくなる可能性あり。この問題はF2~F2.8まで絞ることで急速に改善する。
絞り羽根が10枚と多いので、絞ってもボケが角ばりにくいのは評価できるポイント。

ボケ実写

その1

ピント距離2mほどで撮影。背景との距離によるものの、ボケが小さくなると特にフレーム周辺・隅のボケ描写が騒がしくなる。色収差が少ないのは有難いものの、隅のボケ質を改善したいのであればF2~F2.8まで絞って使うのがおススメ。F2まで絞ってもボケ量はそれなりに確保できる。

その2

撮影距離は1m。
2mの時と比べるとボケが大きくなり、絞り開放におけるフレーム周辺部の騒がしさが緩和する。絞り開放から十分に使っていける画質であり、この価格帯の大口径レンズとしては評価できる。それでもボケの均質性を重視するのであれば、F2~F2.8まで絞って使うのがおススメ。

その3

接写時の絞り開放は実に滑らかで綺麗。特にこれと言った問題はなく、軸上色収差による色づきも少ないので使いやすい。低価格な大口径レンズとしては大いに評価できる画質。絞っても背景が騒がしくなることは無く、被写体に合わせて被写界深度を調整することが可能。

ポートレート

全高170cmの三脚を人物に見立てて、撮影距離を変えながら絞り開放で撮影した作例が以下の通り。全身ポートレートでもある程度のボケ量を確保できるが、後ボケは騒がしくなりやすいので絞り開放は避けたい。できれば前述したようにF2~F2.8まで絞ったほうが良好な結果を期待できる。
上半身・バストアップ程度まで寄ると、後ボケの騒がしさが弱まり、積極的に絞り開放を使っていける画質となる。顔のアップまで寄ればバッチリ。

歪曲収差

歪曲収差とは?

歪曲収差とは、平面上で直線的に写るはずが直線とならずに「歪む」収差です。特に直線が多い人工物や水平線が見えるような場合に目立ちやすい。主に魚眼効果と似た形状の「樽型歪曲」と中央がしぼんで見えてしまう「糸巻き型歪曲」に分かれています。

参考:Wikipedia 歪曲収差

実写で確認

中程度の樽型歪曲であり、直線的な被写体をフレームに入れると目立つ可能性あり。Lightroomに専用プロファイルが存在しないが、手動補正で「+4」に設定すると問題がほぼ解消する。

周辺減光

周辺減光とは?

周辺減光とは読んで字のごとく。フレーム周辺部で発生する不自然な減光のことです。中央領域と比べて光量が少なく、フレーム四隅で露出不足となっていることを指します。主に大口径レンズや広角レンズで強めの減光が発生、ソフトウェアで簡単に補正できる現象ですが、露出不足を増感でカバーするのでノイズ発生の原因となる点には注意が必要。特に夜景で高感度を使う場合にはノイズが強く現れる可能性があります。

実写で確認:最短撮影距離

絞り開放付近で少し目立つ光量落ちが発生。コンパクトな標準大口径レンズと考えると許容範囲内。絞ると急速に改善するので、光学的に抑え込みたいのであればF2.8以降を使うべし。

実写で確認:無限遠

基本的にレンズは無限遠側で周辺減光が目立つ傾向があるものの、このレンズは最短撮影距離と比べて大きな違いは無い。ただし、微妙に影響が強いので、完璧に抑え込みたいのであればF4まで絞ったほうが良いかもしれない。

コマ収差

コマ収差とは?

コマ収差とは主にフレーム四隅で点像が点像として写らないことを指しています。例えば、夜景の人工灯や星、イルミネーションなど。日中でも木漏れ日などが影響を受ける場合があります。後処理が出来ないため、光学的に補正する必要がある収差。絞ることで改善するものの、夜景や天体撮影など、シャッタースピードが重要となる状況では絞り開放のコマ収差補正が重要となります(絞るとシャッタースピードかISO感度に影響があるため)。

参考:Wikipedia コマ収差

実写で確認

ダブルガウスらしい典型的なコマ収差が発生。これが絞り開放付近の遠景解像テストの果にも影響しているはず。絞ると収差は徐々に改善するものの、完全に抑えたい場合は少なくともF4までは絞りたいところ。

逆光耐性・光条

中央

絞り開放はフレアの影響が強く、光源を中心として広い範囲におけるコントラストが低下する。絞るとフレアの問題は解決するものの、目立ちやすいゴーストが発生する点には気を付けたい。
全体的に見て、中国レンズメーカーの手ごろな価格でシンプルな光学系のレンズとしては予想の範囲内。

正面から強烈な逆光をくらうよりも随分と良好な状態。ただし、全体的に薄っすらとフレアのベールを被っているような状態のため、露出補正で全体の輝度を上げると薄っすらとフレアやゴーストの影響を確認できる。極端な後処理(露出を上げる・シャドウを持ち上げる)をしなければ大問題となる可能性は低い。

光条

絞りは10枚の偶数羽根を採用(=10本の光条)。
F2.8から徐々に光条が発生し始め、F4~F5.6で既にシャープな光条へと変化する。さらにF8~F16で綺麗な光条となるので、実写でも応用を利かせやすい。コシナのフォクトレンダーシリーズほどキレのある描写ではないものの、8千円のレンズとしては非常に良好で、特にこれと言って批判すべき点が無い。

総評・作例

肯定的見解

ココがポイント

  • 8千円台と手ごろな価格設定
  • 安っぽさの無い化粧箱
  • 総金属製のしっかりとしたビルドクオリティ・デザイン
  • 実用的な絞りリング(クリック付き)
  • 扱いやすいフォーカスリング
  • 絞れば均質性の高いシャープネス
  • 像面湾曲が良好に補正されている
  • この価格帯としては良好な軸上色収差補正
  • この価格帯としては非常に良好な倍率色収差補正
  • 少し滑らかな後ボケ
  • 10枚羽根で玉ボケが丸みを帯びている
  • 穏やかな樽型歪曲
  • 大口径レンズとしては扱いやすい周辺減光
  • 絞った際の綺麗な光条

手ごろな価格設定を考慮すると驚くほど良好なビルドクオリティとエルゴノミクス。個人的にもう少しフォーカスリングのトルクが強いほうが良かったものの、これは好みが分かれるところ。光学性能はダブルガウスらしい傾向を持ち「開けてふんわり、絞ってキリリ」を体現している。諸収差はコマ収差以外が良好に補正されており、特に厄介な軸上色収差がそこまで目立たないのがGood。

批判的見解

ココに注意

  • レンズフードなし
  • フォーカスリングが少し緩い
  • フォーカスリング操作時の内筒の隙間の反射防止策が不十分
  • ねじ込み式レンズキャップが面倒
  • 電子接点無しのフルマニュアルレンズ
  • 絞り開放が全体的に甘い
  • 撮影距離が長い場合にボケが騒がしくなる
  • コマ収差が目立つ
  • 逆光耐性が完璧から程遠い

ビルドクオリティで最も気を付けたいのは、このレンズが電子接点非搭載のフルマニュアルレンズであること。カメラ側で焦点距離を入力する必要があり、撮影後のEXIFデータにレンズ情報が残っていないのは残念。
光学的に見ると、絞り開放が少し甘めで、コマ収差の影響も強い。絞ると全体的に改善するものの、F1.4の低照度性能が重要となるシーンでは他のレンズも検討しておきたいところ。

総合評価

管理人
満足度は90点。
欠点がいくつか存在するものの、全て妥協可能な範囲内に収まっている。格を考慮すると良好なビルドクオリティと操作性はこのレンズの強みとなり、癖の少ないダブルガウスの描写が扱いやすくてGood。これで8千円台ならば強くおススメできるMFレンズ。

購入早見表

シルバー

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TTArtisan 35mm F1.4 MFT
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ブラック

TTArtisan 35mm F1.4 Sony E
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TTArtisan 35mm F1.4 Nikon Z
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作例

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