このページではOMデジタルソリューションズ「M.ZUIKO DIGITAL ED 8-25mm F4.0 PRO 」のレビューを掲載しています。
管理人の評価
ポイント | 評価 | コメント |
価格 | F4ズームとしては少し高い | |
サイズ | ズーム域を考慮すると小型 | |
重量 | ズーム域を考慮すると軽量 | |
操作性 | ズームリングが緩い | |
AF性能 | 高速・静か・正確 | |
解像性能 | 接写時に周辺が甘い | |
ボケ | 周辺や玉ボケが荒れやすい | |
色収差 | 近接で隅の倍率色収差が目立つ | |
歪曲収差 | ソフトウェア依存 | |
コマ収差・非点収差 | 悪くは無いが… | |
周辺減光 | 8mm以外問題なし | |
逆光耐性 | PROレンズとしては良好 | |
満足度 | 個性的で携帯性の高さが魅力的 |
一言
- 超広角から標準までをカバーする個性的なズームレンジ
- 高い耐候性・携帯性
- 良好な遠景解像性能で光量落ちが少ない
- 歪曲収差がソフトウェア補正に依存
- PROレンズとしては良好な逆光耐性
いくつか気になる欠点があるものの、個性的なズームレンジが強みとなる新機軸のズームレンズ。接写時の周辺解像やソフト補正の歪曲収差には注意が必要なものの、一般的な撮影状況ではレンズの強みのほうが大きくなる。
Index
まえがき
2021年6月に登場したオリンパス「M.ZUIKO PRO」シリーズ12本目となるレンズ。
カバーしている焦点距離が「8-25mm(35mm判換算 16-50mm)」と特殊で、「望遠端が伸びた広角ズーム」なのか「ズームレンジが広角側にずれた標準ズーム」なのか判断に迷うところ。公式ウェブサイトでは「高倍率ズーム」のカテゴリですが、光学倍率は「12-40mm F2.8 PRO」よりも小さい。このことから「光学2倍の7-14mm F2.8 PROと比べて高倍率の広角ズーム」と考えているのかもしれませんね。
概要 | |||
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レンズの仕様 | |||
マウント | MFT | 最短撮影距離 | 0.23m |
フォーマット | 4/3 | 最大撮影倍率 | 0.07倍 |
焦点距離 | 8-25mm | フィルター径 | 72mm |
レンズ構成 | 10群16枚 | 手ぶれ補正 | - |
開放絞り | F4 | テレコン | - |
最小絞り | F22 | コーティング | ZERO |
絞り羽根 | 7枚 | フッ素C | 対応 |
サイズ・重量など | |||
サイズ | φ77×88.5mm | 防塵防滴 | 対応 |
重量 | 411g | AF | STM |
その他 | L-Fn・フォーカスクラッチ | ||
付属品 | |||
キャップ・フード・ラッピングクロス・説明書・保証書 |
やはり特徴は超広角8mmから標準25mmまでをカバーするズームレンジ。超広角と標準ズームを兼ね備え、特に旅行や風景写真などで活躍が期待できます。レンズを交換できないような悪天候でも広角?標準を使うことができたり、「広角+標準」と「望遠」の2台体制でシステムを組みやすくなりました。Vlogなど動画撮影でも使い勝手の良いズームレンジですね、
ただし、開放F値がF4固定のため、ボケを大きくしたり、屋内や低照度での撮影は苦手となる。
レンズサイズは12-45mm F4 PROよりも大きく、12-100mm F4 PROや7-14mm F2.8 PROよりも小さい。12-40mm F2.8 PROとよく似ていますが、このレンズは沈胴式ズームを採用しているので使用時にレンズが伸びる点には注意が必要です。中には「8-18mm F4」で12-45mm F4並のサイズと価格を実現して欲しかったという人もいるはず。
レンズ格納時は縮長が短く携帯性が優れているものの、使用時は内筒が大きく伸びる。この際の全長は12-100mm F4 PROの縮長と同程度となるので、決して常時コンパクトなレンズではありません。
そして沈胴機構のため、収納から撮影まで「沈胴構造を展開する」ひと手間が加わります。レスポンスが求められるスナップなどの撮影シーンでは、この沈胴構造の手間により、ほんのちょっとしたシャッターチャンスを撮り損ねてしまう可能性あり。
悩ましいのはパナソニック「LEICA DG VARIO-ELMARIT 8-18mm F2.8-4.0?ASPH.」の存在。こちらはオーソドックスな広角ズームレンズですが、広角側の開放絞りが「F2.8」と明るく、実質的にインナーズームで使いやすい仕様となっています。サイズは同程度で、比較して軽い。価格は同程度なので「広角レンズが欲しい」と考えているのであれば要検討。私も以前に使っていました。良いレンズだと思います。
レンズは10群16枚構成のうちDSAレンズ1枚,EDAレンズ2枚,スーパーEDレンズ1枚,EDレンズ1枚,スーパーHRレンズ1枚,HRレンズ2枚,HDレンズ1枚を採用。レンズ構成中の半分以上に特殊レンズを使用する贅沢な作り。MTFを見る限り8mmの隅以外は良好なパフォーマンスを維持している模様。
PROシリーズらしく防塵防滴に対応。オリンパスらしい、悪天候への高い耐性が期待できます。伸びるズームレンズですが、これまでのPROシリーズの実績を考えると特に大きな問題はないはず。
さらにこれまで採用レンズがゼロだったフッ素コーティングをレンズ最前面に採用。撥水・撥油性のあるコーティングであり、従来のレンズと比べてメンテナンスしやすいのはGood。
価格のチェック
売り出し価格は12万円台。7-14mm F2.8 PROよりも安いですが、12-45mm F4 PROや12-40mm F2.8 PROと比べるとかなり高い。特に12-45mm F4 PROと同程度の価格を期待していた人にとって受け入れがたい値付けと感じるかもしれません。個人的にレンズの特殊性を考えると無くは無い価格設定なのかなと。
この価格設定が適切と感じるかどうか、これからチェックしていきたいと思います。
レンズレビュー
外観・操作性
箱・付属品
M.ZUIKO PROシリーズらしい黒を基調としたデザインの箱。焦点距離の表示が大きく分かりやす。また、35mmフルサイズ換算の焦点距離も小さく表示され、マイクロフォーサーズの焦点距離にピンとこない人にも分かりやすい。
OMデジタルソリューションズ初の交換レンズですが、ブランドは依然としてオリンパスを使用。(オリンパスは2020年末に映像事業を子会社化したうえで譲渡しています)将来的に使い続けることができるのか不明。
?
付属品はレンズフード・キャップ・ラッピングクロス・説明書・保証書と最小限。ラッピングクロスはラッピングクロスであってレンズケースではありません。
外観
従来通りM.ZUIKO PROシリーズらしい金属製のしっかりとした作り。
プラスチック製の外装を採用するレンズメーカーが多い中、金属パーツを多用しているのはオリンパスの特徴と言えるでしょう。堅牢で重厚感のあるレンズに仕上がっています。
表面はパナソニックLEICA DGシリーズのようにマットな仕上げではなく、金属の光沢残しています。高級感はあるものの、指紋や傷が付きやすいのはマイナス。
レンズ名は刻印の上で色付けがされ、? CEマークやシリアルナンバーはレンズ表面にプリントされています。
このレンズでプラスチッキーな部分があるとすればズーム操作した際に伸びる内筒の素材。ただしガタツキは無く、これまでのM.ZUIKO PROシリーズの実績を考えると堅牢性や防塵防滴仕様に不安はありません。
ハンズオン
全長88.5mm、重量411gのレンズ。サイズは12-40mm F2.8 PROやLEICA DG 8-18mm F2.8-4と変わらないものの、比較して少し重く感じます。F2.8をカバーするレンズ比べて重いのはどうなの?と感じる人もいると思いますが、超広角から標準まで幅広い画角をカバーする防塵防滴PROレンズとしては驚くほど小型軽量。
前玉・後玉
レンズ最前面にはフッ素コーティングが施されています。水や油汚れに強く、メンテナンスしやすいのが特徴。このコーティングを採用したと公言しているレンズはオリンパスで初めて。導入が遅いくらいだと思いますが、個人的には評価したいポイント。
フッ素コーティングが施されているとはいえ、接写性能を活かしたマクロ撮影で最前面と被写体が接触してしまう可能性は考えられます。このようなリスクが想定される場合にはプロテクトフィルターを装着しておくと良いでしょう。
7-14mm F2.8 PROは対応していない円形フィルターに対応。72mm径のフィルターを使用するため、「12-100mm F4 IS PRO」や「40-150mm F2.8 PRO」「12-200mm F3.5-6.3」「100-400mm F5-6.3」などと共用が可能。72mmフィルターで広角から超望遠まで対応できるのは便利ですね。
金属製レンズマウントは4本のビスで固定されています。装着時にがたつきやゆるみはなくしっかりとカメラに固定可能。レンズマウントの内側には「ベトナム製」の印字を確認できます。おそらくこのレンズは「オリンパス設計・製造」で間違いないでしょう。
レンズマウントの周囲は防塵防滴用のガスケット付き。後玉は固定され、ズーム操作でも移動することはありません。これによりセンサーボックス内で空気の出入りは発生し辛く、ゴミを吸引する可能性は最小限に抑えられているはず。このあたりは流石のオリンパス。
フォーカスリング
1cm幅の金属製フォーカスリングは適度な抵抗感があり、滑らかに回転します。グリスアップされたメカニカルなフォーカスリングと比べると少しざらついた感触ですが、過度に緩すぎず、応答性が良いので正確なフォーカスが可能。
後述するフォーカスクラッチを使用しない状態で、至近距離から無限遠までのストロークは90度未満。回転速度に応じた変化が少なく、ゆっくり回転しても素早く回転しても90度未満のストロークで動作します。正確なMF操作にはストロークが短く過ぎるように感じます。
フォーカスリングを手前にスライドすることで素早くMFモードに切り替えることが可能(マニュアルフォーカスクラッチ構造)。スライド後は鏡筒にピント距離表示が現れ、メカニカルなフォーカスリングのように操作が可能。通常時よりも抵抗感が強くなり、誤操作の可能性は低い。ただし、このクラッチ構造そのものが誤操作の元となる場合もあり、必要ないと感じたらカメラ側で機能をオフにすると良いでしょう。(オフにできない古いカメラもあります)
ズームリング
M.ZUIKO PROシリーズとしては初めて沈胴機構を採用。レンズを使わない時は8mmを超えて回転することで内筒を格納することが可能。収納性が良好となるものの、使用時には内筒を展開する必要があるのでひと手間増える。この手間を許容できるかどうかは好みが分かれそう。ただし、沈胴機構にロックは無いため、ズームリングを回転するだけで素早く操作することができます。
ズームリングは格納状態か8mm?25mmを含めて90度を少し超える程度の回転角。その半分ほどが沈胴機構に使われており、実質45度の回転角で8mmから25mmを操作できます。素早く操作可能ですが、リングの回転が好みと比べて少し緩く、観点に焦点距離がずれてしまうのはマイナス。
レンズは8mmで内筒が最も伸び(約3cm)、中間域で少し縮み、望遠端25mmで再度少し伸びる(約2cm)。全体的に使用時は2?3cmほど伸びるので、広角ズームレンズとしては全長が少し長めと感じるかもしれません。
レンズフード
プラスチック製の花形レンズフードが付属。12-100mm F4.0 IS PROの「LH-76B」とよく似た形状・サイズであり、実際どちらにも装着できます。
広角ズームと言うこともあってフードが浅く、遮光性は低め。無いよりもあったほうが良いと思いますが、過信は禁物。
装着例
M.ZUIKO PROのズームレンズとしては適度なサイズと重量であり、E-M1 Mark IIIとの相性は良好。このサイズで広角から標準までをカバーしているのは強みと感じます。E-M5 Mark IIIやPENと組み合わせるには大きいと感じるかもしれません。
E-M1 Mark IIIに装着した限りでは過度なフロントヘビーと感じず、グリップとレンズの空間にも余裕があります。
AF・MF
フォーカススピード
ステッピングモーター駆動のオートフォーカスは静かで高速。至近距離から無限遠まで瞬間的に移動可能。そして広角8mmから標準25mmまでパフォーマンスは一貫しています。
開放F値がF4のため、低照度でのAFはカメラ側の制限がかかりやすいですが、光量に問題なければ快適な撮影体験を期待できます。
ブリージング
ブリージングとはピント位置によって画角が変化することを指しています。最小絞りまで絞り、最短撮影距離と無限遠で撮影した結果が以下の通り。
8mm
ブリージングはほぼゼロまで抑えられ、非常に快適なフォーカシングが可能。自然なピント移動が出来るので動作撮影に適していると言えるでしょう。
10mm
実写を見比べる限り8mmよりもブリージングが目立ちません。完璧。
14mm
10mmと比べると少しブリージングが大きくなります。それでも非常に良好な結果。
18mm
14mmと同じく僅かにブリージングが発生します。
25mm
14?18mmと同じ。
参考までに実写にMFした際の映像を公開。
精度
E-M1 Mark III・E-P7に装着した限りでは精度の問題ありません。
MF
前述した通り、精度の高いマニュアルフォーカスを期待するにはストロークが少し短く感じます。
解像力チャート
撮影環境
テスト環境
- カメラボディ:OM-D E-M1 Mark III
- 交換レンズ:M.ZUIKO DIGITAL ED 8-25mm F4.0 PRO
- パール光学工業株式会社「【HR23348】ISO12233準拠 8K解像力テストチャート(スチルカメラ用)」
- オリンパス HYRes 3.1 解析ソフト
- 屋内で照明環境が一定
- 三脚・セルフタイマー10秒・電子シャッター
- RAW出力
- ISO 64 固定
- Adobe Lightroom Classic CCでRAW現像
・シャープネス オフ
・ノイズリダクション オフ
・色収差補正オフ
・格納されたレンズプロファイル(外せない) - 解析するポイントごとにピントを合わせて撮影
(像面湾曲は近接で測定が難しいので無限遠時にチェックしています) - 近接でのテストであることに注意(無限遠側はさらに良好となる可能性あり)
補足
今回はRAW出力を元にしてシャープネスをオフの状態で検証しています。ボディ出力のJPEGやRAW現像でシャープネスを整えるとより数値が向上する可能性があります。今回の数値はあくまでも「最低値」とお考え下さい。
8mm
中央
絞り開放から非常に良好な性能を発揮。絞りによる改善は小さく、回折の影響が始まるF8までは安定したパフォーマンスを期待できます。ハイレゾショットによる伸びしろは大きい。F8以降は回折による性能低下が顕著で、特にF22はかなりソフトな描写となる。
周辺
接写時の性能低下が顕著であり、絞り開放がかなりソフト。絞ると徐々に改善するものの、数値上の伸びしろは僅かで、ハイレゾショットでしっかりとした数値が測定できるようになるのはF8から。
四隅
周辺と比べてさらに描写が不安定となる。やはり絞ると安定するものの、数値は伸び悩む。さらにハイレゾショットでは残存収差や歪曲収差の補正が影響してコントラストが低く測定不能。
数値で確認
中央 | 周辺部 | 四隅 | |
F4.0 | 3188 | 2229 | 1975 |
F5.6 | 3421 | 2490 | 2219 |
F8.0 | 3126 | 2700 | 2276 |
F11 | 2851 | 2517 | 2276 |
F16 | 2385 | 2096 | 1781 |
F22 | 1763 | 1659 | 1492 |
実写で確認
10mm
中央
8mmと同じく中央は非常に良好なパフォーマンスを発揮。絞りによる改善効果は無く、実質的にF4がピークの性能。12-100mm F4 IS PROと同じく優れた性能と言えるでしょう。F8以降は数値が大きく低下するので、基本はF4?F8までで抑えたいところ。F8以降は被写界深度が必要な場合に使いたい。
周辺
8mmと同じく中央よりも像が甘くなる。絞っても数値上はあまり改善しないものの、実写作例を確認する限りF5.6?F8でコントラストが改善している。
四隅
やはりF4?F5.6が甘いので、出来ることならばF8まで絞ってしまいたいところ。以降は回折の影響があるので絞り値の自由度はかなり低い。
数値で確認
中央 | 周辺部 | 四隅 | |
F4.0 | 3384 | 2572 | 2252 |
F5.6 | 3276 | 2625 | 2523 |
F8.0 | 3291 | 2758 | 2595 |
F11 | 2679 | 2545 | 2306 |
F16 | 2466 | 2039 | 1912 |
F22 | 1880 | 1640 | 1597 |
実写で確認
14mm
中央
相変わらず中央は抜群の性能を発揮。絞りによる改善は無く、F4がピークの性能。被写界深度の調整で絞ると良いでしょう。周辺や隅を向上させるためにF8まで絞りたいのが悩ましいところ。
周辺
広角側と同じくF4だと像が甘い。F8のピークに向かって徐々に改善するものの、見違えるような改善は期待できません。
四隅
広角側と同じく、やはり絞り開放付近の像がとても甘い。許容範囲内に達するためにはF8まで絞る必要がある。
数値で確認
中央 | 周辺部 | 四隅 | |
F4.0 | 3519 | 2358 | 1815 |
F5.6 | 3519 | 2584 | 2275 |
F8.0 | 3141 | 2774 | 2607 |
F11 | 2892 | 2524 | 2441 |
F16 | 2494 | 2330 | 2053 |
F22 | 1873 | 1775 | 1609 |
実写で確認
18mm
中央
広角・中間域と比べるとパフォーマンスが少し低下する。それでも十分良好と言える解像性能であり、絞る必要は感じられない。
周辺
これまでとは打って変わって絞り開放から非常に良好。ただし、少し偏心と思われる兆候があり、今回の数値は最も良好な部位を掲載。
四隅
周辺部と同じ領域の部位を測定。結果は非常に良好で、均質性がとても高い。ハイレゾショットによる伸びも良く、満足のいく結果。
数値で確認
中央 | 周辺部 | 四隅 | |
F4.0 | 3105 | 3531 | 2865 |
F5.6 | 3121 | 3318 | 3115 |
F8.0 | 3059 | 3168 | 3034 |
F11 | 2799 | 2785 | 2652 |
F16 | 2464 | 2386 | 2226 |
F22 | 1788 | 1834 | 1788 |
実写で確認
*偏心(もしくは手ぶれ補正によるイメージサークルのずれ)があるため測定部位と実写の切り抜き部位で結果に差があります。
25mm
中央
18mmと同じく、ピークの数値は広角・中間域ほどではないものの、顕著な性能低下は見られる良好な結果。ズームレンジ全域で特にこれと言った落ち込みが無いのは有難い。
周辺
18mmと同じく非常に良好なパフォーマンスを発揮。広角側のような像の甘さが無く、1段絞ることでコントラストがさらに少し改善する。
四隅
隅まで安定感のある画質で、絞り開放から実用的。やはり絞るとコントラストが少し改善する。
数値で確認
中央 | 周辺部 | 四隅 | |
F4.0 | 3222 | 2884 | 2911 |
F5.6 | 3088 | 3025 | 3141 |
F8.0 | 3088 | 2812 | 2865 |
F11 | 2548 | 2710 | 2705 |
F16 | 2279 | 2199 | 2226 |
F22 | 1800 | 1773 | 1711 |
実写で確認
遠景解像力
テスト環境
- 撮影日:2021-06-28:晴れ
- カメラ:OM-D E-M1 Mark III
- 三脚:Leofoto LS-365C
- 雲台:Leofoto G4
- 露出:絞り優先AE ISO 100固定
- 現像:RAW出力 Adobe Lightroom Classic CC
・シャープネスオフ
・ノイズリダクションオフ
8mm
中央
絞り開放から非常に良好なパフォーマンスを発揮し、F8まで一貫性のある画質を維持しています。F11以降は回折の影響によって徐々に甘くなり、特にF22は画質が低下するので注意が必要。
80MPハイレゾショットを使った伸びしろも十分にあり、F4?F5.6でピークの解像性能を得ることが可能。
周辺
中央と同程度の高い解像性能を発揮。特にこれと言った像の甘さは無く、絞り開放からF8まで一貫性のある画質。コントラストも良好で、大きくクロップしても十分な解像感を得ることが出来るはず。
中央と同じくハイレゾショットの恩恵は十分にある。
四隅
中央や周辺部と比べると細部の描写が甘くなるものの、極点に目立つ非点収差やコマ収差の影響は見られません。F4から安定した描写であり、特にこれと言った問題点は無し。8mmの超広角としては良好な性能と言えるでしょう。
実写で確認
ハイレゾショット
10mm
中央
8mmと同じく絞り開放から非常に良好なパフォーマンスを発揮。絞り値による変化は小さく、F4?F8まで一貫した画質。
周辺
中央との画質差は小さく、ハイレゾショットにも耐用できる。単焦点と比べると細微の”キレ”がイマイチですが、この差が気になるシチュエーションや使い方は稀。
四隅
8mmと同じく、これと言って極端な甘さの無い良好な結果に見えます。
実写で確認
ハイレゾショット
14mm
中央
広角側と同じく、絞り開放からピークの画質。絞りによる改善は見られず、被写界深度の調整で使えばOK。
周辺
F4で非点収差のような(無視できる)像の甘さが僅かに見られるものの、F5.6まで絞ると安定します。それ以外は基本的に中央と似たような結果。
四隅
広角側と比べると良好な結果。倍率色収差が僅かに見られるものの、解像性能は良好。ハイレゾショットにも耐えられる光学性能だと思います。
実写で確認
ハイレゾショット
18mm
中央
広角側と同じく絞り開放から良好な結果。特にこれと言ったコントラストの低下も無し。
周辺
14mmと同じくF4で僅かに非点収差のような影響あり。F5.6まで絞ると改善するので、風景・建築シーンではF5.6がおススメ。F8まで絞ってもさらなる改善は見込めず、逆に回折の影響で画質が低下します。
四隅
周辺と同じく、F4で像が少し甘い。F5.6で安定し、性能はF8まで維持される。
実写で確認
ハイレゾショット
25mm
中央
他のズームレンジと比べるとF4のコントラストが僅かに低い。気にならない程度ですが、ベストを尽くす場合はF5.6まで絞ると良いでしょう。ピークの性能はF5.6?F8。
周辺
14?18mmよりもF4における像の甘さが強くなり、F5.6まで絞っても僅かに残存しています。F5.6も許容範囲内だと思いますが、ベストを尽くすのであればF8。
四隅
周辺と同じく、僅かに像が甘いのでF5.6?F8まで絞るのがおススメ。
実写で確認
ハイレゾショット
撮影倍率
最短撮影距離はズーム全域で0.23m。焦点距離が最も短い8mmで撮影倍率は最も低くなり(0.07倍)、焦点距離が最も長い25mmで撮影倍率が最も高くなります(0.21倍)。広角側の撮影倍率が低いものの、ワーキングディスタンスが長く、使いやすい25mmはフルサイズ判換算で0.42倍に相当する撮影倍率を利用することが出来ます。幅広いズームレンジをカバーしつつ、ハーフマクロに近いクローズアップにも対応しているのは便利。
像面湾曲
像面湾曲とは?
中央から四隅かけて、ピントが合う撮影距離が異なることを指しています。例えば、1mの撮影距離において、中央にピントが合っていたとしてもフレームの端では1mの前後に移動している場合に像面湾曲の影響が考えられます。
最近のレンズで目立つ像面湾曲を残したレンズは少ないと思いますが、近距離では収差が残存している場合もあります。ただし、近距離でフラットな被写体を撮影する機会は少ないと思われ、像面湾曲が残っていたとしても心配する必要はありません。
無限遠でも影響が見られる場合は注意が必要です。風景など、パンフォーカスを狙いたい場合に、意図せずピンボケが発生してしまう可能性あり。この収差は改善する方法が無いため、F値を大きくして被写界深度を広げるしか手段がありません。
実写で確認
8mm
撮影距離が長いと被写界深度が深くなり、像面湾曲の影響は被写界深度に内包されてしまうように見えます。実写で特に問題となることは無いでしょう。
14mm
近距離ではフレーム端に向かってピント位置が遠側に湾曲しているように見えます。フラットな被写体をフラットに撮影する場合には影響があるかもしれませんが、広角14mmでそのような被写体を撮影する機会は少ないはず。
25mm
顕著な像面湾曲は見られず、フレーム端まで一貫性のあるピント位置に見えます。
倍率色収差
倍率色収差とは?
主にフレーム四隅に現れる色ずれです。絞り値による改善効果が小さいため、この問題を解決するにはカメラボディでのソフトウェア補正が必要となります。ボディ側の補正機能で比較的簡単に修正できます。
実写で確認
8mm
絞り値全域でいくらか倍率色収差の影響が残っています。ただし、これは近接時の結果であり、一般的な撮影距離ではほぼ皆無に近い。
14mm
8mmと異なり近接時でも色収差の影響は見られません、とても良好な補正状態です。
25mm
中間域と同じく色収差の兆候は無し。
軸上色収差
軸上色収差とは?
軸上色収差とはピント面の前後に発生する色ずれを指しています。手前側で主にパープルフリンジとして、奥側でボケにグリーンの不自然な色付きがあれば、その主な原因が軸上色収差です。簡単な後処理が難しく、できれば光学的に収差を抑えて欲しいところですが、大口径レンズでは完璧に補正できていないことが多いです。
実写で確認
8mm
F4ズームで軸上色収差が問題となるケースは稀であり、このレンズも例外ではありません。前後の色付きはありません。とても良好に補正されています。
14mm
広角側と同じく問題ナシ。じっくり確認すると極僅かに色がついているようにも見えますが、ブラシーボかもしれない。
25mm
絞り開放からほとんどの色付きのない綺麗な補正状態です。
前後ボケ
綺麗なボケ・騒がしいボケとは?
ボケの評価は主観的となりがちですが、個人的には「滲むように柔らかくボケる」描写が綺麗と感じます。逆に、「急にボケ始めたり、ボケの輪郭が硬い」描写を好ましくないと感じています。
描写傾向の違いは主に球面収差の補正状態によって変化し、前後どちらかのボケが柔らかい場合はもう片方のボケが硬くなる傾向があります。また「アポダイゼーション光学素子」などを使って強制的に滲むボケ描写を実現しているレンズも存在します。
実写で確認
前後に偏りのないニュートラルなボケ。ボケ質は単焦点と比べると程遠いものの、2線ボケの目立たない、ズームレンズとしては綺麗な描写に見えます。軸上色収差による色づきは皆無で、特に悪目立ちする要素は無し。
玉ボケ
口径食・球面収差の影響
口径食が強いと、四隅が楕円状に変形したり、部分的に欠けてしまったりします。これを解消するには絞りを閉じるしかありません。しかし、絞ると羽根の形状が見えてしまう場合もあるので状況に応じてF値を変化させる必要あり。
逆に口径食の影響が少ないと、絞り開放から四隅まで円形に近いボケを得ることが出来ます。これは玉ボケに限った話ではなく、一般的な四隅のボケ描写の質感にも繋がります。口径食が強いと、ボケ量が少なく感じたり、四隅のボケが荒れてしまう場合もあるため、口径食の小さいレンズが好ましい。
球面収差の補正が完璧では無い場合、前後のボケ描写に差が発生します。この場合はどちらかが滲みを伴う滑らかな描写になり、反対側で2線ボケのような硬い描写となってしまいます。
実写で確認
8mm
「8mm F4」の性質上、ボケ量は最小限。小さな被写体を大きくクローズアップしない限り玉ボケが目立つことはありません。玉ボケを大きくしたとしても、輪線ボケのような縁取りが目立ち、特に四隅は倍率色収差の影響もあって悪目立ちしやすい。積極的に使いたいと思う描写ではありません。
10mm
8mmと比べるとマシになるものの、玉ボケの描写は綺麗と言えず、あまり好ましくないように見えます。この辺りを重視するのであれば単焦点レンズがおススメ。
14mm
ボケ量は大きくなりますが、依然として綺麗な玉ボケとは言えません。幸いにも口径食の影響は小さくなります。
18mm
これまでと同じく、最高のボケ描写からは程遠く、ボケメインならば使いたくないと感じます。
25mm
縁取りは依然として強いものの、ボケが大きいので相対的に目立たなくなります。使いたい描写ではありませんが、使えなくもない描写。
ボケ実写
その1
お世辞にも綺麗なボケとは言えず、状況によって悪目立ちするかもしれません。特にフレーム周辺部が目立つので、接写時はF8くらいまで絞ったほうが落ち着いて見えます。
その2
被写体に十分に寄れば後ボケの騒がしさも緩和しますが、それでも隅が荒れやすいように見えます。中央はまずまず滑らかな描写に見えるので惜しい。全体的なバランスを見るのであればF5.6前後がベスト。
ポートレートの撮影距離
全高170cmの三脚を人体に見立て、全身から顔のクローズアップまでの撮影距離で撮影。今回は最もボケを作りやすい25mmを使用。マイクロフォーサーズシステムのF4レンズと言うこともあり、ボケ量は最小限。全身ポートレートで背景と被写体の分離は難しく、バストアップでも厳しい。フレームに顔を目いっぱい入れてなんとか被写体を分離できるように見えます。
球面収差
8mm
前後の玉ボケに顕著な違いはありませんが、背景におけるボケの縁取りが僅かに目立ちやすいように見えます。
14mm
8mmと同じ顕著な違いは見られません。球面収差の問題を心配する必要は無し。
25mm
広角・中間域と同じく大きな問題はありません。
歪曲収差
歪曲収差とは?
歪曲収差とは、平面上で直線的に写るはずが直線とならずに「歪む」収差です。特に直線が多い人工物や水平線が見えるような場合に目立ちやすい。主に魚眼効果と似た形状の「樽型歪曲」と中央がしぼんで見えてしまう「糸巻き型歪曲」に分かれています。
実写で確認
8mm
RAWに格納されているレンズプロファイルを使用しない場合、巨大な樽型歪曲収差が発生します。補正後は四隅がグッと引き延ばされています。補正後の実写画質で大きな問題となることはありませんが、気持ち悪いのは確か。
これを手動補正にするにはAdobe Lightroomで+30に近い補正値が必要となる。さらに陣笠状の傾向もあり、手動補正では完璧に修正できません。カメラ出力やRAW格納のプロファイルであれば問題なく補正できます。
10mm
8mmと同じく樽型の目立つ歪曲収差が発生。8mmよりは影響が小さいものの、それでも建築物など直線的な被写体を撮影する場合には補正必須。やはり補正時に四隅が少し引き延ばされます。
y
14mm
広角側と比べると影響はかなり小さくなるものの、それでも場合によって目に付く樽型歪曲が残っています。
18mm
歪曲収差の形状は折り返しを迎え、樽型歪曲から糸巻き型歪曲へと変化。14mmと同じく歪曲収差の影響量は少ない。
25mm
18mmよりも少し目立つ糸巻き型歪曲。直線的な被写体を撮影する場合にはRAWのレンズプロファイルを適用したいところ。
周辺減光
周辺減光とは?
周辺減光とは読んで字のごとく。フレーム周辺部で発生する不自然な減光のことです。中央領域と比べて光量が少なく、フレーム四隅で露出不足となっていることを指します。主に大口径レンズや広角レンズで強めの減光が発生、ソフトウェアで簡単に補正できる現象ですが、露出不足を増感でカバーするのでノイズ発生の原因となる点には注意が必要。特に夜景で高感度を使う場合にはノイズが強く現れる可能性があります。
8mm(無限遠:最短撮影距離)
このレンズで最も周辺減光の影響が強い焦点距離。と言っても重い光量落ちではなく、絞り開放F4でも十分に実用に耐えうる状態。後処理で補正したとしても急激にノイズが増えるような光量落ちではないので心配する必要はないでしょう。絞ると僅かに改善するものの、小絞りでも完璧には解消しません。
14mm(無限遠:最短撮影距離)
8mmと異なり絞り開放から光量落ちの影響はほとんどありません。無限遠の絞り開放でわずかに光量落ちがあるようにも見えますが、無視できる量に違いない。絞り値全域で周辺減光について心配する必要はありません。
25mm(無限遠:最短撮影距離)
14mmと同じく非常に良好な状態。無限遠の絞り開放でわずかに隅の光量落ちが重くなっているようにも見えますが、些細な差であり、問題なし。
像高(イメージサークル)
イメージサークルとは文字通りレンズがカバーしている本来のエリアを指しています。通常、イメージセンサーよりも広い範囲のイメージサークルをカバーしています。レンズによってイメージサークルの広さには差があります。
前述したとおり、イメージサークルはセンサーよりも大きな範囲をカバーしているので、マイクロフォーサーズ用レンズを4/3型センサーを搭載しているカメラに装着しても実際のイメージサークルを確認できません。そこで、アダプター経由でフルサイズセンサー搭載カメラに装着して撮影した作例が以下の通り。
御覧のように8mmで少し小さなイメージサークルを備えており、10mmから25mmまではほぼ一定の広いエリアをカバーしていることが分かります。周辺減光のテスト結果のように、イメージサークルが狭い8mmでは周辺減光の影響が強くなり、広いエリアをカバーしている10mm以降では周辺減光の影響が小さいのは自明の理。
コマ収差
コマ収差とは?
コマ収差とは主にフレーム四隅で点像が点像として写らないことを指しています。例えば、夜景の人工灯や星、イルミネーションなど。日中でも木漏れ日などが影響を受ける場合があります。後処理が出来ないため、光学的に補正する必要がある収差。絞ることで改善するものの、夜景や天体撮影など、シャッタースピードが重要となる状況では絞り開放のコマ収差補正が重要となります(絞るとシャッタースピードかISO感度に影響があるため)。
実写で確認
8mm
極端に目立つコマ収差は残っていないものの、よく見るとフレーム隅で収差が残っていることが分かります。これを完全に抑え込むためにはF8まで絞りたいところ。以降は回折の影響が強くなるので、F8が最適な絞り値。
10mm
8mmと比べるとずっと良好で、絞り開放で影響は僅か。少し絞ると問題は解消します。
14mm
少しピントが甘かったので参考までに掲載。
18mm
広角や望遠側と比べて周辺部における非点収差のような影響が目立ち、隅でもコマ収差・非点収差のような影響が見られます。1段絞ると改善します。
25mm
18mmのような非点収差は見られず、隅におけるわずかなコマ収差のみ。
逆光耐性・光条
8mm
完璧な逆光耐性とは言えませんが、オリンパスM.ZUIKOレンズとしては比較的逆光に強いレンズに見えます。強い光源が中央付近に配置されると部分的にゴーストが発生しますが、影響する範囲は狭く、撮影シーンによっては気にならない場合も多いはず。さらに光源を隅に配置するとフレアやゴーストの影響を最小限に抑えることが出来ます。画角の広い超広角レンズにとって、この逆光耐性は強みと言えるでしょう。
ただし、小絞りを利用するとレンズ間面が原因と思われるゴーストが複数発生します。(複数のRGBフレアはセンサー面の反射となるため、ミラーレス用レンズでは回避し辛い問題です)
25mm
基本的に8mmと似たような状況ですが、強い光源が中央に配置された場合はさらに良好な逆光耐性。わずかに発生するゴーストも目障りとならず、なかなか良好な結果ではなかなと。やはり小絞りで間面ゴーストと思われる影響が強くなりますが、それでも8mmより目立ちません。
光条
光条が発生するのは遅く、光の筋がシャープとなるのはF16以降。マイクロフォーサーズでは強い回折が発生する絞り値のため、現実的な選択肢とは言えません。最小絞りのF22まで絞ると非常にきれいな光条ですが、その他はかなりソフトな描写となるのが悩ましいところ。
総評・作例
肯定的見解
ココがポイント
- 超広角+標準をカバーするズームレンジ
- ズームレンジを考慮すると小型軽量
- 適度なフィルターサイズ
- 金属製の頑丈な鏡筒
- PROレンズらいし防塵防滴仕様
- 高速かつ正確で静かなAF
- ブリージングが目立たない
- 最大撮影倍率が高い
- 良好な遠景解像性能
- 良好な倍率色収差補正
- 良好な軸上色収差補正
- 球面収差を良好に補正
- 周辺減光の問題がほとんどない
- PROレンズとしては良好な逆光耐性
なんと言っても超広角8mmから標準25mmまでをカバーするズームレンジが魅力的。風景・屋内・建築・家族・Vlogなど、様々な用途をこれ一本で対応できる可能性あり。開放F値がF4と明るいレンズでは無いものの、ズームレンジを考慮すると小型軽量で扱いやすいレンズサイズ。おまけにPROシリーズらしい防塵防滴仕様で耐候性も問題ナシ。
光学性能は「12-100mm F4 IS PRO」ほど狂気じみたものでは無いものの、少なくとも広角の接写以外では良好なパフォーマンスを発揮。PROレンズとしては逆光耐性が良好で、周辺減光も少ないので屋外風景写真どで使いやすい。
批判的見解
ココに注意
- F4ズームレンズとしては少し高価
- ズームリングが少し緩い
- 沈胴機構を展開する手間
- 接写時の周辺解像が低い
- 玉ボケに非球面レンズの影響が目立つ
- 広角側の歪曲収差が目立つ
おそらく、コンパクトなF4広角ズームを期待していた人にとって、このレンズは大きすぎる、高すぎると感じるかも。LEICA DG 8-18mm F2.8-4と比べて、19?25mmの焦点距離に価値を見出せるかどうかがポイントとなる。さらに沈胴機構による展開動作の手間や使用時のレンズ全長には注意が必要。
また、接写時の周辺解像や極端に目立つRAWの歪曲収差などは価格を考慮するともう少し健闘して欲しかったポイント。歪曲収差はレンズプロファイルで簡単に補正できるとはいえ、これは流石に歪曲が大きすぎると思うのです。広角側の画質を重視するのであればLEICA DG 8-18mm F2.8-4も要検討。
総合評価
高い汎用性と引き換えに、接写時の周辺解像や歪曲収差の光学的な補正は犠牲となっている感あり。その辺りを妥協できるのであれば旅先でこれ一本の便利なズームレンズ。
購入早見表
作例
関連レンズ
- M.ZUIKO DIGITAL ED 7-14mm F2.8 PRO
- M.ZUIKO DIGITAL ED 12-45mm F4 PRO
- LUMIX G VARIO 7-14mm/F4.0 ASPH.
- LEICA DG VARIO-ELMARIT 8-18mm F2.8-4.0?ASPH.
- LEICA DG Vario-Summilux 10-25mm F1.7 ASPH
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