Dustin Abbottがタムロンのミラーレス用交換レンズ「28-200mm F/2.8-5.6 Di III RXD」のレビューを掲載しています。高倍率ズームとしては今まで使って来た中で最もシャープなレンズと高く評価していますね。唯一の欠点はムラの目立つ玉ボケとのこと。
- 私が使って来た中では最もシャープな高倍率ズームレンズだ。いくつか妥協点はあるが、ソニーより良好な画質で明るい絞り値を備えている。
- 「28-75mm F/2.8 Di III RXD」と基本的に同じサイズだ。正確には1mm短く、直径は1mm大きい。どちらも67mmのフィルター径を採用している。
- 比較して少し重いが、それでもまだまだ軽量だ。ソニー「FE 24-240mm F3.5-6.3 OSS」と比べて200gほど軽い。
- 従来通り、タムロンは適切なレンズサイズと優れたパフォーマンスを重視するため、利用できる焦点距離をいくらか切り捨てている。このため、定番の24-240mmではなく28-200mmとなっている。
- 外装は簡略化されており、スイッチやボタン類は存在しない。唯一の機能はズームロックスイッチだけだ。AF/MF切替やフォーカスホールドボタンのような機能は存在しない。機能を省略するのは好みじゃないが、リーズナブルな価格設定のためならば受け入れる。そしてソニー24-240mmも機能的とは言えない。
- ズーム動作は滑らかに動作する。一方のソニーはとても重い。
- ソニーは防塵防滴に配慮していると述べているがレンズマウントにガスケットは確認できない。タムロンは前面にフッ素コーティングが、内部には6点のシーリングが施されている。
- フォーカスリングは均質な抵抗量を持で非リニアな動作だ。素早く回転させるとピント位置は大きく移動し、ゆっくり回転させると微調整が可能だ。動作はとても素晴らしい。
- 光学手ぶれ補正を搭載していないため、ボディ側の手ぶれ補正に依存している。望遠端で2.5段程度の補正効果が得られると思われる。これは一般的に4段分の補正効果が得られる光学手ぶれ補正を下回る性能だ。
ソニーは光学手ぶれ補正を搭載しているが、残念ながら光学性能はタムロンに及ばない。- 他社の高倍率ズームより明るく、開放F値は28mm F2.8・50mm F3.5・100mm F4.5・150mm?200mmでF5.6となる。
ソニーは24mm F3.5だが、28mmまでにF4に達する。39mm F4.5・55mm F5・70mm F6・103mm F6.3となる。- 70mm・ISO固定場合、ソニーで1/100秒のところをタムロンなら1/200秒で撮影可能だ。
- ここ最近のタムロンレンズと同じく、焦点距離によって最短撮影距離が変化する。28mmで19.05cmとなり、その際の撮影倍率は0.32倍だ。非常に高倍率だが、いつも通り、像面湾曲が大きくフレーム中心以外はソフトとなる。
- 倍率はやや低下するが、望遠側のほうがより柔軟な撮影が可能だ。この際の倍率は0.26倍と依然として便利である。接写時のシャープネスとコントラストは特に優れている。
- タムロンはソニーEマウントをリバースエンジニアリングする必要が無く、互換性は完璧だ。オートフォーカスは静かで高速、そして正確だ。動物瞳AFも正常に機能する。
- 望遠側がF5.6と暗いので、ズーム中は光量の低下でパフォーマンスも下がる。ただし、大部分の状況で問題は発生していない。
- 動画撮影でも素晴らしい結果を得ることが出来るフォーカス駆動だ。これまでの中で最も速く、静かで本当に素晴らしい。望遠側のフォーカス速度はそれほど速くないが、手ごろな価格の優れた選択肢だ。
- 追従AFを必要とする撮影に最適とは思わないが、撮影に十分なフォーカス速度だ。望遠レンズを置き換えるのは止めたほうが良い。完璧では無いが、何でも屋と呼べる優れたレンズだ。
- APS-Cに焦点を当てていないが、APS-C領域のMTFはとても優れている。
- 24mmを切り捨てることにより光学的な歪曲収差をかなり抑えることが出来たようだ。僅かな樽型歪曲と周辺減光である。24mmに至るレンズは遥かに大きな歪曲と周辺減光である。ソニーもキヤノンも24mmは歪曲収差が大きく、四隅は完全にケラレているので自動補正による引き延ばしが必要だ。
高倍率ズームとしてはとても小さな収差に抑えられている。ブラボー!- 歪曲は70mmで糸巻き型に変化する。そして70mm時の歪曲は200mmの時よりも大きい。ただし周辺減光は穏やかだ。
- 軸上色収差は28mmで少量、200mmでさらに少なくなる。実写の絞り開放でも良好な補正状態だ。
- 倍率色収差は極僅かだ。等倍でチェックしない限り気が付かないと思う。
- 28mmはF2.8でもフレーム全域で良好なパフォーマンスだ。中央と中間域はシャープネス・コントラストともに優れている。四隅はコントラストが低下し、ディテールが少し減少する(ただし、とても良好だ)。
ソニーと比較すると差は顕著である。キヤノンと比較してもタムロンのほうがシャープでコントラストが高い。そして色収差が遥かに少ないことが分かる。- 28mmでタムロンをF4まで絞ると競合レンズと差は広がる。キヤノンはソニーより良好だが、どちらもタムロンと比較することは出来ない。
- 50mmも非常にシャープでフレーム全体で強力なパフォーマンスを発揮する。四隅はコントラストと解像度が低下するものの、F5.6で多少改善する。
- 100mmはキヤノンより明るいが、絞り開放のパフォーマンスはほぼ同じだ。この領域はキヤノンが最も強い焦点距離であり、タムロンでおそらく最も弱いポイントとなる。両者をF5.6まで絞っても性能は似ている。
- 望遠側では再びタムロンの優位性が明らかとなる。中央と中間で強力なパフォーマンスを発揮し、四隅も一般的な低下となる。ソニーの性能はとても悪く、タムロンのほうがずっと良い。特に中間や四隅の違いは明らかだ。
- キヤノンはソニーより遥かに優れているが、タムロンの収差補正はより良好である。
- 利便性を高めつつ、妥協の少ないレンズだ。ズームレンジ全域でこのような素晴らしいシャープネスを得ることが出来るのは素晴らしい。
- 逆光耐性も良好だ。
- 欠点を挙げるとしたらボケだ。ただし、接写時のボケはとても良好に見える。撮影シーンに玉ボケが入ると、同心円状のムラが発生しとても見苦しい。数少ない欠点だが、間違いなくオールインワンレンズの名を気づつけるポイントだ。
- 高倍率ズームと言えば発色が悪いのが常だが、このタムロンレンズはニュートラルで良好な発色である。
以前から「ズームレンジには妥協が伴う」ことを指摘してきた。そして高倍率ズームでは特に妥協が現実味を帯びてくる。このため、光学設計者は何を妥協するのか選択しなければならない。強い周辺減光なのか、強い歪曲収差なのか、それとも目立つ無補正の収差となるのか…。
このレンズはいくつか妥協点があるものの、額面通りに受け取ることが出来るものばかりだ。他社と比べてズームレンジが狭く、光学手ぶれ補正が非搭載となっている。仕様では窺い知れない妥協点として特定のシチュエーションでボケ味の悪さを挙げることが出来る。しかし、これら目に見える妥協点を選択肢したことで、タムロンは驚くほど光学的な妥協点の少ないレンズ設計を実現している。ビルドクオリティは良好で、非常に高速で正確なオートフォーカスを備え、ズームレンジ全域で強力な光学性能だ。諸収差が小さく、他社より明るいF値を実現している。私が想像していたより遥かにシャープなレンズだ。
オールインワンレンズの何でも屋だ。旅行やレンズ一つで撮影する選択肢として優れている。価格は729ドルと手ごろで、ソニー24-240mm OSSよりも安いが、パフォーマンス重視の人にも歓迎できる一本だ。検討する価値が十分にある。
長所:小型軽量・驚くほどシャープ・発色が良好・オートフォーカスが高速で静かで正確・瞳AFが良好に動作する・とても優れた色収差補正・高倍率ズームとしては歪曲と周辺減光が穏やか・ズームレンジ全域で一貫した光学性能・競合レンズより明るい・良好なクローズアップ性能
短所:光学手ぶれ補正なし・状況によってボケが見苦しい・競合レンズよりズームレンジが狭い
とのこと。
高倍率ズームとしてはズームレンジが狭いものの、APS-Cで言うところの18-135mmと似た使い勝手となるのでAPS-Cからのステップアップで導入すると良さそう。光学倍率が低いものの、そのぶん高い光学性能を実現したレンズのようです。
ソニー「FE 24-240mm F3.5-6.3 OSS」はEマウントレンズの中でも評価の低いレンズなので比較対象とは考えづらいかも。どちらかと言えば「FE 24-105mm F4 G OSS」と比較してみるのが面白そう(実際、タムロンは100mmでの開放F値が「F4.5」となるので、24-105mm F4と似た使い勝手となります)。
最近登場したキヤノン「RF24-240mm F4-6.3 IS USM」より良好と言うのは凄いですね。私は28-200mmもRF24-240mmも使ったことがありますが、確かに広角側の四隅や倍率色収差補正はタムロン有利と感じます。また、100mm?200mmにおける画質の安定性もタムロンが良好。Dustin Abbott氏が指摘しているように、玉ボケにおける同心円状のムラはやはり気になります。とは言え、コントラストが強い玉ボケでしか目立たないので、悪目立ちするシチュエーションは限られているように感じます。
28-200mm F/2.8-5.6 Di III RXD交換レンズデータベース
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