シグマ「90mm F2.8 DG DN」購入後は使用頻度が高くなる中望遠レンズ

Dustin Abbottがシグマ「90mm F2.8 DG DN | Contemporary」のレビューを公開。欠点と言えば歪曲収差くらいで、それ以外は小型軽量で優れた光学性能とビルドクオリティのレンズに仕上がっていると高く評価しています。

Dustin Abbott：Sigma 90mm F2.8 DG DN (iSeries) Review

レンズの紹介：

Contemporaryラインながら優れたビルドクオリティのIシリーズに属する新しいレンズである。

コンパクトで中口径の単焦点レンズとしては珍しい焦点距離のレンズだ。ソニーやサムヤンにもいくつかコンパクトなレンズは存在するが、90mmのような長い焦点距離のレンズは見られない。

APS-Cで使用すると換算135mmの焦点距離になる。

ビルドクオリティ：

総金属製で、細部へのこだわりが見られる美しいハンドリングのレンズだ。このレンズがContemporaryラインの位置付けとは驚きである。

IシリーズのF2.8シリーズはフィルターサイズが55mmに統一されている。これは歓迎すべきことだ。

レンズフードも金属製である。美しい作りで質感も良好だ。レンズ本体とのつながりも良い。そして切り込みデザインがグリップ性を増し、実用的な価値も備えている。

プラスチック製キャップの他に金属製のマグネティックキャップが付属している。フード装着時に脱着が難しいものの、レンズキャップの選択肢があるのは良いことだ。

レンズは簡易防塵防滴仕様である。

携帯性：

直径わずか64mm、全長61.7mmの非常にコンパクトなレンズだ。

サムヤン75mm F1.8 FEと比べると、全長がかなり短い。

優れたクオリティのフードだが、欠点はサイズが大きいことだ。レンズ本体の2/3程度の長さがあるので、装着するとコンパクトさが損なわれてしまう。

操作性：

1/3段ごとに動作する絞りリングを搭載している。目盛りは非常に正確で、回転した時のクリックには明瞭な操作感を得られる。Aポジションに間違って入らないような抵抗感を備えている。

側面にはAF/MFスイッチがあり、フォーカスモードを素早く切り替えることが出来る。すぐ隣の絞りリングが盛り上がっているので少し操作し辛い。

バイワイヤ式のフォーカスリングは良好な感触でメカニカルな感触をよく再現している。

オートフォーカス：

高速で静かなステッピングモーター駆動だ。

動画撮影時のノイズは基本的に皆無だが、ピントが移った際のフォーカシングが急である。

フォーカスブリージングは動画撮影で目に付く。

静止画時のフォーカス精度はいくつかの例外を除いて全体的にとても良好だ。

動画でも静止画でも、人物の瞳AFトラッキングをテストしたところ、とても良い結果が得られた。

動物の瞳AFでは前景にピントが合ってしまうこともあるが、ほとんどの場合は良好な結果を得ることが出来た。ピントが外れる件についてはファームウェアアップデートで解決できるのではないかと考えている。

最短撮影距離は0.5cmで、この際の撮影倍率は0.20倍である。

マニュアルフォーカス：

記載なし。

手ぶれ補正：

光学手ぶれ補正は搭載していない。

解像性能：

α1でも非常に高解像で優れた色とコントラストの結果を得ることが出来る。

解像性能はサムヤン「AF75mm F1.8 FE」をF2.8まで絞った時とよく似ている。サムヤンは中央と周辺部で少し有利だが、これは僅差だ。シグマは隅がわずかに優れている。

F4まで絞ると驚くほどのコントラストとシャープネスが得られる。フレーム全体で優れているとしか言うことが出来ない。

最短撮影距離付近ではコントラストが少し低下するものの、わずか数センチ引いて撮るとコントラストを向上させることが出来る。

コンパクトなレンズとしてはとても優れた光学性能だ。

F22は回折の影響があるので、必要な場合を除いておススメはしない。

像面湾曲：

記載なし。

ボケ：

9枚円形絞りは絞っても円形を維持しやすい。

フレーム端に向かって口径食がいくらか発生する。

F2.8は大口径と言えないが、90mmの焦点距離では良好なボケが可能となる。見栄えはとても良好だ。

ボケマシーンとは言えないが、シャープネスとボケのバランスは良好だと思う。

色収差：

軸上色収差に関する問題は見られない。

倍率色収差の痕跡もほとんどない。

球面収差：

記載なし。

歪曲収差：

強い糸巻き型歪曲が発生する。85mm F1.4 DG DNを彷彿とさせるものだ。

Lightroomの歪み補正で-11まで調整する必要がある。

幸いにも影響はリニアで手動補正しやすい形状だ。

周辺減光：

F2.8で隅に1.5-2段分の光量落ちが見られる。補正には+48必要だった。

コマ収差：

記載なし。

逆光耐性：

逆光耐性は良いところと悪いところがある。

太陽に応じてフレアとゴーストが確かに発生する。少し調整すると回避することが可能だ。

フレアの描写は芸術的だが、好みの問題が大きいと思う。気に入らない場合はフードを装着して構図に気を付ける必要がある。

作例集

総評

シグマ「90mm F2.8 DG DN」は、Iシリーズはもちろんのこと、シグマのミラーレスのラインナップ全体にとって歓迎すべきものだ。ここ数年、ソニーEマウントには素晴らしいレンズが続々と登場しているが、シグマが最近発表した「24mm F2」のように、特定の焦点距離では選択肢が過多になっているケースもある。

私が90mm F2.8 DG DNを気に入っている理由の一つは、そのユニークさだ。このレンズの直接的な代替品はあまりなく、このサイズの競合レンズは存在しない。非常にコンパクトな中望遠の選択肢があることは、望ましいことだ。

欠点を挙げるとすれば、歪曲収差が大きいことくらいである。その一方で、美しいレンズの作り、良好なオートフォーカス、非常に満足のいく光学性能など、長所のリストは長い。このレンズは、旅行用のポートレートレンズとしても最適だし、風景をもう少し圧縮するための風景用レンズとしても検討できる。また、被写体に適度に近づけば、背景をぼかすにも良い仕事をしてくれる。動画撮影の面では、ハンチングもなく、確実に被写体の顔を追いかけることができる。

90mmでF2.8という開放値に目をつぶれば、ジャケットやバッグに簡単に入れられる中望遠レンズであり、魅力的な選択肢となる。「90mm F2.8」というのは、多くの場面で十分な性能だ。639ドルという価格は、このレンズのビルドクオリティや光学性能を考慮すると、十分に妥当なものだと思う。とは言え、超小型レンズでやや小口径のレンズは、買い手によっては戸惑うかもしれない。

もしあなたがこのレンズを購入したら、頻繁に手に取るレンズになるだろう。いい写真が撮れて、簡単に収納できて、何も考えずに持っていける軽さ。このレンズがシグマのIリーズに加わったことは喜ばしいことで、ミラーレスのイメージが「小さくて軽い」という人にとっても喜ばしいことではないかと思う。

長所：
・美しく機能的な鏡筒
・簡易防塵防滴
・高速かつ静かなAF
・適切に補正された色収差
・絞り開放から優れたシャープネスとコントラスト
・絞ると信じられない程シャープ
・素敵なボケ
・とてもコンパクト
・適正価格

短所：
・歪曲が少し目立つ
・たまにピントが外れる
・いくらかフォーカスブリージングが発生する
・動画撮影でのフォーカス移動が少し速すぎる

とのこと。
小型軽量な中望遠レンズですが、良好な光学性能と優れたビルドクオリティの単焦点に仕上がっているみたいですね。撮影倍率や最短撮影距離も良好で、小口径ながら汎用性の高さが魅力的に見えます。実際の写真を確認してみるとボケは綺麗で、諸収差は歪曲と近接時の球面収差以外は良好に補正されている模様。価格は7万円前後と「F2.8」レンズとしては高価に見えるかもしれませんが、SLDレンズを5枚も使った国産レンズと考えると手ごろな価格設定と言えそうです。

シグマ 90mm F2.8 DG DN | Contemporary 交換レンズデータベース

90mm F2.8 DG DN Leica L
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90mm F2.8 DG DN Sony E
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基本情報

レンズの仕様
発売日	2021年9月24日	初値	69,300円
マウント	E/L	最短撮影距離	0.5m
フォーマット	35mm	最大撮影倍率	1:5
焦点距離	90mm	フィルター径	55mm
レンズ構成	10群11枚	手ぶれ補正	-
開放絞り	F2.8	テレコン	-
最小絞り	F22	コーティング	SMC
絞り羽根	9枚 (円形絞り)
サイズ・重量など
サイズ	φ64x59.7mm	防塵防滴	簡易防滴
重量	295g	AF	STM
その他	絞りリング
付属品
レンズフード・レンズキャップ×2