Lentipがサムヤン「AF 24mm F1.8 FE」のレビューを公開。均質的な解像性能である点を評価しつつも、ピークの解像性能が低く、諸収差の補正もいくつか気になる欠点があると指摘しています。
Lenstip:Samyang AF 24 mm f/1.8 FE
レンズの紹介:
- 2021年に登場した小型軽量なTinyシリーズの広角単焦点だ。同シリーズでは堅実な価格設定と堅実な光学性能を実現している。
- Tinyシリーズとしては高価だが、24mm F1.8の設計の難しさを考えると妥当ではないかと思う。
ビルドクオリティ:
- レンズマウントは金属製だ。
- 韓国製である。
- レンズ後方からは、内部が密閉されているように見える。
- 鏡筒はプラスチック製だ。
- レンズにはキャップと花形フード、スタイリッシュなハードケースが付属する。価格を考慮すると豊富な付属品だ。
携帯性:
- このクラスとしては最小・最軽量だ。
操作性:
- カスタムモードスイッチとFnボタンを搭載している。
- スイッチはフォーカスリングを絞りリングとして使えるように切替ることができる。
- 17mm幅のフォーカスリングはとても正確に動作する。ストロークは素早く回転しても180度と大きい。
オートフォーカス:
- ノイズレスでピント全域を0.6-0.8秒で移動する。きちんとした結果だが、もう少し早いと良かった。
- AF精度で問題は見られない。
- このクラスとしては最短撮影距離が短い。
マニュアルフォーカス:
- 記載なし。
手ぶれ補正:
- 記載なし。
解像性能:
- 4200万画素のα7R IIIでテストした。
- 良像の基準値は39-41lpmmだ。
- 最高の単焦点レンズで70lpmmを超えることがある。
- レコードホルダーは81.0lpmmのAPO 50mm F2と82.7lpmmの65mm F2 DG DNだ。
- 中央解像を称賛するのは難しい。結果は悪くなく、絞り開放から42lpmmを超える実用的な画質だ。しかし、ピークの性能は60lpmmをわずかに超えるくらいで、自慢するほどの性能ではない。
- 中央解像性能は同社の「AF 24mm F2.8 FE」よりも良好だ。
- APS-C領域とフルサイズ隅の性能はとてもよく似ている。サムヤンは中央解像を犠牲にして、フレーム全域の均質性を高めているようだ。
- 見事な性能では無いが、画角を考慮すると満足のいく性能だ。
像面湾曲:
- 記載なし。
ボケ:
- きちんとした描写だが、非球面レンズの影響が見られ、フレーム隅では目に付く縁取りもある。口径食が少ないのが唯一の救いだ。
色収差:
- 軸上色収差はF1.8から問題はなく、絞るとさらに改善する。ただ、特殊レンズを何枚か使用していることを考えると補正には物足りなさを感じる。
- F1.8からF5.6に絞ると倍率色収差は増加するが、ケチを付けるほどの収差は発生していない。
- APS-C領域でフルサイズ端よりも高い倍率色収差が発生しているが、厄介な問題ではない。
球面収差:
- フォーカスシフトは発生しておらず、問題はない。
歪曲収差:
- APS-Cで-1.70%、フルサイズで-2.51%の樽型だ。
- 褒められた補正状態ではないが、ソニー24mm F2.8Gやタムロン24mm F2.8が補正をソフトウェアに依存していることを思い出す必要がある。
- 同社のAF 24mm F2.8 FEがさらに良好な補正状態であるのは面白い事実だ。
周辺減光:
- レンズサイズが小さいので、APS-Cクロップでも影響が見られる。
- フルサイズでは予想以上の光量落ちが発生している。F1.8で-2.70EVの減光が発生し、F2.8まで絞っても-1.48EVも残っている。F5.6以降でも顕著な改善は見られない。
コマ収差・非点収差:
- コマ収差に大きな問題は見られないが、APS-Cの隅から既に点光源の変形が始まっているのは好ましくない。
- 非点収差は平均で19.4%だ。
逆光耐性:
- 絞り開放のフレアは目立たないが、皆無ではない。
- 絞ると状況は著しく悪化、フレアがきつくなり、ゴーストはより多くなる。
総評
- 長所:
・小型軽量
・良好な中央解像
・きちんとしたフレーム端の解像性能
・わずかな倍率色収差
・球面収差の問題なし
・穏やかなAPS-Cの光量落ち
・静かで正確なAF- 短所:
・軸上色収差が目立つ
・フルサイズでの強い減光
・非点収差が少し目立つ
・逆光耐性に問題あり正直なところ、あまり魅力的ではないと感じた。24mm F1.8を作るのは、同じ絞り値で少し長い焦点距離のレンズよりも難しいことは承知している。しかし、サムヤンがこの新製品に高い値札を付けたことにより、レンズの光学性能にも期待していたのだが…。しかし実際には、残念ながらそうならなかった。
AF 24mm F1.8 FEの解像度はほとんど印象的ではなく、軸上色収差、周辺光量、非点収差、逆光耐性などの問題を抱えている。これらの問題は、長所で補えているとは思えない。それに歪曲収差はAF 24mm F2.8よりも補正状態が悪く、 ボケ質は完璧から程遠い。このように、真の長所を見つけるのは本当に難しい。
このレンズは、直接の競合製品がいないことで救われているように思える。しかし、ソニーEマウント市場はとてもダイナミックに成長しているので、早晩にこの状況が変わるかもしれない。
悲観的になりすぎないように、AF 24mm F1.8 FEは完全な失敗作ではないことを付け加えなければならない。これまでのF1.8 Tinyシリーズがとてもよくできていたので、私の期待が高すぎたのかもしれない。
とのこと。
これまでのTinyシリーズと比べると少し高価となってしまいましたが、独自のアストロモードを搭載し、ソニーEマウントでは貴重な24mm F1.8レンズですね。光学性能は決して抜群とは言えないものの、全体的に均質的な解像性能を備えている模様。とは言え、周辺減光や残存しているコマ収差・非点収差を考慮すると、天体撮影での使用を検討している人は実際の結果を確認し、自身の好みに適合するかチェックしておいたほうが良さそうです。
Flickrにはこのレンズ専用のユーザー投稿ページが公開されており、既に130点ほどの写真が公開されています。中には星空や夜景の写真も含まれているので参考になると思います。
サムヤン「AF 24mm F1.8 FE」交換レンズデータベース
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