Lenstipがソニー「FE 20-70mm F4 G」のレビューを公開。歪曲収差は巨大ですが、他の要素は全体的に高水準にまとまっているとのこと。過去のF4ズームよりも優れた光学性能のようです。
Lenstip:Sony FE 20-70 mm f/4 G
(基本的なスペックなどの紹介は割愛しています)
外観・構造:
- レンズマウントは金属製だ。
- 後玉は20mmでマウント付近にあるが、70mmで前方へ移動する。
- 後玉の周辺は反射防止の対策が良好に施されている。
- 外装はプラスチック製だ。
- 製造国はタイである。
- レンズにはフードとポーチが付属する。
携帯性:
- パナソニックの同クラスと比べると大きく重いが、ソニーはズームレンジが広く、開放F値が明るい。
- 20mmから70mmに設定すると内筒が41mm長くなる。
操作性:
- 絞りリングはロックや無段階操作に対応している。
- 19mm幅の絞りリングはゴム製で、1/3段ごとに動作する。
- 19mm幅のズームリングはゴム製だ。20/24/28/35/50/70mmの焦点距離を表示している。適切な低光量で回転する。
- 側面にはAFLボタンとAF/MFスイッチがある。
- フォーカスリングは適度な抵抗で滑らかに回転する。ピント全域のストロークは140度ときちんとした数値だ。
フォーカス:
- α7R IIIやR Vとの組み合わせで0.3-0.4秒もかからない。素晴らしい結果だ。
- フォーカス精度になんの問題も見られない。
- フォーカスブリージングは20mmで最も目立つが、それでも軽微だ。完璧ではないがきちんと抑えられている。
手ぶれ補正:
- 記載なし。
解像性能:
- α7R IIIのRAWを測定する。
- 良像の基準値は39-41lpmmだ。
- 最高のレンズで75-80lpmmとなり、過去最高は83.7lpmmだ。
- 中央はとても良好だ。すべての焦点距離で同様の結果が得られる。開放絞りで70lpmmを超え、F5.6でピークに達する。実に素晴らしい性能だ。
- FE 24-105mm F4 Gと比較すると、光学設計の進化がハッキリとわかる。
(どの焦点距離も70lpmmに達しない)- APS-Cフレームを見ると、中央と比べて顕著な低下が見られ、焦点距離による違いも出てくる。70mmが最も良好で、50mmはやや弱く、20-35mmで最も弱くなる。ただし、全域で50lpmmを超え、良好な結果に違いはない。
- フルサイズ端でも焦点距離によって違いが見られる。70mmの結果は良好で、50mmも良像の基準値を超えている。ただし、24-35mmは38lpmmよりも低い。20mmは絞るとすぐに改善するが、35mmは絞ってもあまり改善しない。
- 全体的に見て肯定的な評価となる。このレンズの設計難度を考慮すると非常に良好だ。これ以上を期待するのはよくない。
像面湾曲:
- 記載なし。
ボケ:
- 個性的なパラメータを考慮するときちんとした描写だ。
- 玉ねぎボケの兆候が見られるが、非球面レンズを4枚も使っていれば目立たないはずがない。
- 高軽食の影響は目立たない。
色収差:
- 軸上色収差に問題は見られない。
- 倍率色収差はどの設定でも良好な補正状態だ。
球面収差:
- 前後のボケは完全に一致せず、球面収差の補正が完璧ではないことが分かる。
- 理想的ではないが、批判するほどでもない。
歪曲収差:
- カメラ装着時は歪曲収差の補正に関する項目がグレーアウトし、強制的に補正が適用される。ソフト補正に依存しているのは明らかだ。
- RAWの20mmは-10.23%と極めて悪い。さらに陣笠状の歪みが強い奇妙な形状だ。レンズプロファイルでも完璧には補正できていない。
- 24mmも-6.08%と酷い樽型だ。陣笠状の歪みも目立つ。
- 28mmは-3.35%で目に付く樽型歪曲だ。
- 35mmで-0.39%まで低下する。
- 50mmでは+1.81%、70mmで+2.36%まで増加する。
- JPEGの場合、画角はほぼ正確だが、RAWの20mmは明らかに画角が広すぎる。
周辺減光:
- 歪曲収差を適用すると、自動的に隅がトリミングされるので周辺減光は目立たない。
- RAWでは20mmで-3.18EVと目立つ周辺減光が発生する。絞ると改善するが、完璧に抑えることはできない。
- 幸いにも焦点距離が長くなると明らかに改善する。
コマ収差:
- コマ収差は良好に補正されている。
- 非点収差の平均値は3.4%と非常に低い。
逆光耐性:
- 複雑な光学設計で画角の広いレンズだが、とても良好な結果が得られた。
- フレアが発生しないこともないが、ほとんどの場合は影響が小さく、目立たない。
総評
個性的なパラメータだが、過去の24-70mm F4や24-105mm F4よりも優れた光学性能のレンズだ。価格はパナソニックの同クラスと比較すると明らかに高価だが、ソニーと比べるとシンプルなレンズ構成である。
風景写真が好きな私にとって、FE 20-70mm F4 Gは完璧な相棒となった。このレンズがあれば、旅先での撮影の90%はこれ1本で事足り、実質的に他の機材は必要ない。この新しいソニーは、多くのユーザーを満足させることができると思う。
- 長所:
・パラメータを考慮すると軽量で利便性が高い
・中央の優れた画質
・APS-Cフレームの良好な画質
・フルサイズ隅の許容範囲内の画質
・軸上色収差が良好に補正
・倍率色収差がわずか
・コマ収差補正が適切
・非点収差がわずか
・ズームレンズとしては良好なボケ
・逆光耐性
・高速かつ静かで正確なAF
・20-70mm- 短所:
・RAWの歪曲収差
・フルサイズの目立つ周辺減光
広角20mm始まりの珍しい標準ズームレンズですね。数年前から徐々にこのようなレンズが登場し始めていますが、20mmから70mmまでをカバーする高倍率のズームレンズは今のところありません。他のF4ズームと異なり、光学手振れ補正を搭載していませんが、ボディ内補正が一般的となった最新モデルであれば大きな問題は感じないはず。
Lentipによると、フレーム全域の均質性が高いとは言えませんが、良像を超えていない領域はわずかで、全体的に良好な解像性能が得られるレンズに仕上がっている模様。歪曲収差を除けば諸収差の補正状態も良く、周辺減光は歪曲収差とセットで補正されると考えると無視できる問題と言えそうです。悩ましいのは社外製の現像ソフトでレンズプロファイルに対応するまで補正が難しいことくらいでしょうか?この画角のレンズで逆光耐性が良好であるのも嬉しいポイントと言えそうです。やや高めのF4ズームですが、画角の広い標準ズームが必要な人にとって面白い選択肢。
FE 20-70mm F4 G | |||
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レンズの仕様
レンズの仕様 | |||
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発売日 | 2023年2月10日 | 初値 | 1099ドル |
マウント | E | 最短撮影距離 | 0.3-0.25m |
フォーマット | フルサイズ | 最大撮影倍率 | 0.39倍 |
焦点距離 | 20-70mm | フィルター径 | 72mm |
レンズ構成 | 13群16枚 | 手ぶれ補正 | - |
開放絞り | F4 | テレコン | - |
最小絞り | F22 | コーティング | フッ素 |
絞り羽根 | 9枚 | ||
サイズ・重量など | |||
サイズ | φ78.7×99mm | 防塵防滴 | 対応 |
重量 | 488g | AF | XDリニア |
その他 | 絞りリング・絞りロック | ||
付属品 | |||
レンズフード |
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