このページではシグマ「105mm F2.8 DG DN MACRO」の外観・操作・色収差に関するレビューを掲載しています。
「105mm F2.8 DG DN MACRO」のおさらい
レンズ概要
- 2020-10-23 発売
- 商品ページ
- データベース
- 管理人のFlickrアルバム
- レンズ構成:12群17枚
SLDレンズ1枚 - 開放絞り:F2.8
- 最小絞り:F22
- 絞り羽根:9枚(円形絞り)
- 最短撮影距離:29.5cm
- 最大撮影倍率:1:1
- フィルター径:φ62mm
- レンズサイズ:φ74mm × 135.6mm
- 重量:710g
- AF:HSM(超音波モーター)
- 防塵防滴
- SMLコーティング・防汚コート
- 絞りリング・ロックスイッチ
- AFリミッター・AFLボタン
- テレコンバージョンレンズ対応
シグマ初となるフルサイズミラーレス専用設計のマクロレンズです。シグマではお馴染み「105mm」の焦点距離を採用し、最新の光学設計でマクロから無限遠まで高いシャープネスを保持していると言われています。
防塵防滴・防汚コートに加え、ライカLマウント版のみ、テレコンバージョンレンズにも対応しており、等倍を超える1.4倍・2.0倍の高い撮影倍率を実現しているのも魅力的なポイント。さらにEマウントのAFマクロレンズとしては珍しく絞りリングを搭載しています。
レンズ構成は12群17枚、うち1枚にSLDガラスを使用しています。「85mm F1.4 DG DN」と比べると特殊レンズ少なめですが、100mmマクロレンズとしてはレンズ構成枚数が多く、複雑な光学設計のように見えます。
DG DNラインのレンズとしては珍しく、超音波モーターを使用。これは近接時の光学性能を維持するため、複数のフォーカスレンズを移動させる必要があり、馬力のあるHSM駆動を採用したものと思われます。AF速度は期待できませんが、「70mm F2.8 DG HSM」と異なりインナーフォーカス駆動となっているのでレンズ全長に変化はありません。
光学手ぶれ補正非搭載のため、ボディ側の手ぶれ補正で対応する必要があります。
参考:ソニーEマウントの望遠マクロ
ソニーEマウントの望遠マクロレンズはいくつか存在しますが、AF・OSS対応でバランスの良いソニーFE純正レンズは非常に高価。シグマ70mmやTokina100mmは低価格で高性能ですが、繰り出し式フォーカスに加えて光学手ぶれ補正非搭載と癖のある使い勝手。アポランターやラオワは個性的なスペックのレンズですがMFレンズです。シグマ100mmがこれらレンズに対してどのような強みを見いだせるのか気になるところ。今後のレビューでじっくり見極めていきましょう。
価格のチェック
ソニー純正「FE 90mm F2.8 Macro G OSS」の2/3程度と比較的手ごろな価格設定。決して安価なマクロレンズではありませんが、防塵防滴・AF・絞りリング・AFリミッター搭載を考慮すると説得力のある値付けと感じます。
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外観・操作性
箱・付属品
いつも通りの、SGVシリーズらしい白を基調とした箱です。
特に凝った意匠ではありませんが、個人的には好みのデザイン。右上の「020」は西暦下3桁を表しています。
- レンズ本体
- レンズフード
- レンズキャップ
- 専用ケース
- 説明書
- 保証書
一眼レフ用レンズと同じく、Artシリーズには専用のレンズケースが付属しています。シグマニアならば、このケースが山のようにあるはず。レンズを衝撃から保護し、光学性能を長期間維持したいのであれば活用したいところ。
外観
レンズマウント付近の外装や絞りリング・フォーカスリングのベースは金属素材を使用した頑丈な作り。その他外装はTSC素材を使っているものと思われます。全体的に見て、しっかりとした構造のレンズであり、比較的プラスチックパーツを多用するキヤノンやニコンと比べると高級感のある仕上がりと感じます。
ハンズオン
全長135.6mm・重量710gのマクロレンズ。
決してコンパクトなレンズと言えませんが、中望遠マクロレンズとしては一般的なサイズ・重量だと思います。光学手ぶれ補正非搭載のレンズと考えるとやや重め。ただし、レンズ構成は他のマクロレンズより複雑となっています。
前玉・後玉
インナーフォーカスレンズのため、前玉が繰り出したり回転することはありません。
フィルター径は62mmを採用しています。「FE 90mm F2.8 Macro G OSS」などが同じサイズとなりますが、純正FEレンズで62mmフィルターを採用しているモデルは少なめ。プロテクトフィルター以外は67mmやそれ以上のフィルターサイズのレンズとステップアップリングで共有したほうが経済的と言えそうです。防汚コート対応レンズのためプロテクトフィルターを装着する必要性も低い。
幸いにも62mmは比較的小さなサイズであり、C-PLを専用で購入したとしても、大きな負担とはなりません。
いつも通り、レンズマウントは高精度で堅牢な真鍮素材を使用。防塵防滴構造らしく、マウント周囲はゴム製シーリングが施されています。内部は反射防止用のフレアカッターやマットブラックの予想が施されています。ざっと目視で確認してみた限りでは、うまく黒塗りされているように見えます。
バックフォーカスが短くできるミラーレスながら、後玉はやや前方に配置されています。これは×1.4や×2.0のテレコンバージョンレンズに対応するため。ソニーEマウントは諸事情でテレコンバージョンレンズが存在しないものの、ライカLマウンtのならば別売りコンバージョンレンズを購入して利用することが可能です。×1.4倍マクロや×2.0倍マクロを楽しみたいのであればライカLマウント用でシステムを組むのがおススメ。フルサイズミラーレスのシステムでテレコンに対応するマクロレンズは少ないはず。
フォーカスリング
60mm幅の金属ベースでゴム引きされたフォーカスリングは滑らかに回転します。フォーカスバイワイヤ方式のため、カメラの電源オフ時に操作することは出来ません。ピント移動量は回転速度に応じて変化し、素早く操作してもピント全域を移動するためには360度ほど回転する必要があります。ゆっくり回転させた場合ははるかに少ない移動量となり、マクロレンズらしい微調整を実現。
「FE 90mm F2.8 Macro G OSS」のようにピント距離表示に応じたMFフォーカスには対応していません。フォーカスバイワイヤ方式のMFに慣れていない場合はAFを積極的に活用したいところ。
絞りリング
20mm幅の金属製絞りリングも滑らかに回転します。1/3段ごとに目盛り表示があり、クリック感のある段階的な操作に対応しています。クリックの抵抗量は程よい。
右側面に絞りリングを「A」ポジションでロックできるスイッチを搭載しています。これによりカメラ側で操作したい場合は「A」固定で誤操作を予防することが可能。反対に「A」ポジション以外でロックすると、「F22」から「A」へ移動することが不可能となりますが、「F2.8」から「F22」までは自由に操作することが出来ます。
レンズ下部には絞りリングのクリック感を解除するスイッチを搭載。動画撮影時に邪魔となる絞りリング操作音を解消することが可能となっています。無段階で滑らかな動作となりますが、絞り羽根の動作に変化はなく、1/3段ごとの変化となるので注意が必要。
スイッチ類
マクロレンズらしく、フォーカスリミッターを搭載しています。「0.295?0.5m」「0.5m?∞」「FULL」の3種類。オートフォーカスは決して高速と言えず、ピントが迷うと復帰まで時間がかかるので積極的に活用したいところ。
AFLボタンは純正レンズと同じく、カメラ側のボタンカスタマイズに対応しています。
装着例
細長いレンズであり、必然的に重心は前方へ移動します。極端にアンバランスとはなりませんが、小型三脚に搭載する際は前のめりとならないように注意が必要です。三脚リングに対応していないため、ボディ側のネジ穴利用が必須。
全体的に見ると、α7 IIIとの組み合わせでバランスが取れています。過度に重すぎず、長時間の手持ち撮影でも特に苦とは感じません。
倍率色収差
倍率色収差とは?
倍率色収差とは、フレーム四隅に向かって目立ちやすい色ずれを指しています。軸上色収差のように絞って解決する場合もあれば、絞っても全く変化しない場合があります。
テスト結果
このレンズはどの絞り値でも四隅まで倍率色収差は良好にい補正されています。ボディ側のレンズ補正が必要と感じませんが、補正することで皆無と言える水準まで抑えることが可能だと思います。
軸上色収差
軸上色収差とは?
軸上色収差とは主にピント面の前後で発生する色ずれのことを指しています。ボケに緑や紫の色づきがあれば主な原因が軸上色収差のはず。特に大口径レンズで目立つ収差ですが、ズームレンズでもいくらか目に付く場合があります。
テスト結果
このレンズは極僅かに軸上色収差が残存しているものの、ほぼ無視できる水準まで抑えられています。高コントラストな領域でも目立つことは少ないはず。F4まで絞ると残存していた軸上色収差も解消します。F4以降はまったく心配要りません。
ちなみに、絞った際に発生するピントの移動(フォーカスシフト)は皆無。絞り開放でピントを合わせてから小絞りを利用しても全く問題ないと言えます。
コスパの良い機能性・操作性
純正マクロレンズの2/3で購入可能なレンズですが、遜色ない立派なレンズの作りです。AF/MFスイッチやフォーカスリミッター、AFLボタンなど、マクロレンズに必要な機能は全て備わっています。さらに純正には無い、絞りリングやデクリック機構を搭載。コストパフォーマンスの高い操作性・機能性のレンズと言えるでしょう。
注意すべきはリニアに操作できない電子制御のフォーカスリングと、光学手ぶれ補正が搭載されていないこと。リニア操作のMFマクロに慣れ親しんでいると、回転速度に応じて移動量が変化するフォーカスリングには違和感を覚えるかもしれません。手ぶれ補正はボディ側でも対応可能ですが。1?2段分の補正効果しか期待できないので過信は禁物。
色収差は2種類とも良好に補正されているように見えます。レンズ補正や後処理の必要性が低く、快適に利用できると思います。
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関連レンズ
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