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ソニー「α7C」は小型軽量で高性能なカメラだが使い勝手と価格設定が良くない

Phototrendがソニー「α7C」のレビューを公開。小型軽量ながら優れたAFと画質を備えたカメラと評価しつつ、従来機と比べて見劣りするエルゴノミクスと、さして安くない価格設定で評価が下がると言及しています。

小型軽量で高性能なFFミラーレスだが

Phototrend:TEST DU SONY A7C, L’HYBRIDE COMPACT ET LÉGER POUR METTRE UN PIED DANS LE PLEIN FORMAT

外観・取り扱い

  • フルサイズミラーレスとしては非常にコンパクトで同社のAPS-Cにとても近い形状だ。
  • 近年はコンパクトなフルサイズミラーレスが数多く登場した。2019年のキヤノン「EOS RP」をはじめ、ニコン「Z 5」やパナソニック「LUMIX S5」などが存在する。この”新しい波”は興味深いものだ。これら大部分は1,500?2,000ユーロの手ごろな価格設定に収まっている。α7Cは2,099ユーロでスタートしており、この範囲では上限ギリギリの値付けでスタートしている。
  • ボディ形状はα6600とよく似ている。124×71×59mmのボディサイズで、509gの重量であり、α6600よりわずか6g重いだけだ。ちなみに富士フイルムX-T4よりも軽い。
  • コンパクトな「FE 28-60mm F4-5.6」と組み合わせた時の重量はおよそ688gだ。小さなカメラバッグへ簡単に収納できる。
  • ボディはマグネシウム合金を使ったモノコック構造を採用している。防塵防滴に配慮した設計だが、防塵防滴仕様ではない。
  • 正面から見ると、ファインダーを取り除いたα7 IIIのように見える。ボディには手ぶれ補正が組み込まれているため厚みがある。
  • カメラグリップはコンパクトで、非常に滑らかなコーティングが施されている。このため、滑りやすく、安心できるグリップを確保できない。指をかける窪みは小さく、十分な効果は得られないだろう。
  • カメラ上部にはアクセサリーシューに加え、モード・露出補正・コマンドダイヤルを搭載している。さらにシャッターボタン横にはRECボタンを配置。しかし、これまで全てのα7シリーズに存在していたフロントコマンドダイヤルが無くなっているのは残念だ。
  • ボディ背面にも小型化による影響が見られる。スペース節約のため、メニューボタンはアクセサリーシューの真下に配置された。とも奇妙な配置であり、あまり使いやすいボタンとは言えない。ジョイスティックやC1/C2/C3ボタンが無いのは残念だ。ただし、ゴミ箱ボタンはカスタマイズ可能である。
  • 操作性の簡略化はエントリーユーザーを混乱させないためにデザインしている可能性があるものの、2000ユーロのカメラとしては気になるポイントだ。
  • 236万ドットのOLEDファインダーは正直に言ってサイズが小さい。α7 IIIのほうが遥かに好ましい仕様である。
  • 背面モニタの可動方式はバリアングルである。モニタを裏返して保護したり、様々な角度でモニタを確認することが出来る。解像度はα7 IIIと同じ92万ドットだ。
  • SDカードスロットは左側面に1つ存在する。その上下にマイクやヘッドホンジャック、そしてMicroHDMIやUSB-Cポートを備えている。ただし、リモートレリーズ用端子(訳注:Micro USB)用ポートは見当たらない。
  • 外付け充電器は省略されているが、USB電源とA-Cケーブルが付属しており、カメラのUSB-Cポートに接続して充電が可能だ。付属ケーブルは60cmと短いので注意が必要である。
  • カメラ左側面にSDカードへのアクセスランプが取り付けてある。もっと見やすい位置に取り付けて欲しかった。同様に、USB充電中のランプも見えづらく、実用的とは言えない。
  • カメラ右側面には何も存在しない。が、グリップの中には大容量のNP-FZ100バッテリーが格納されている。
  • 究極的に小型軽量が魅力的なカメラだが、疑わしいエルゴノミクスによって良さが損なわれている。

操作・メニュー

  • 既にソニー製カメラに精通している場合、α7Cのメニューで混乱することは無いだろう。タッチ操作はAFのみ機能しており、メニュー画面などで利用することは出来ない。ソニーα7S IIIの新システムを導入するとばかり思っていたが、残念ながらそうではない。機能的ではあるが、ページ数が多く使い辛い。

画質・性能

  • 従来通り、オートフォーカスは非常に高速だ。693点の位相差AFを搭載し、93%のエリアをカバーしている。低照度AFは-4EVまで対応だ。
  • AF-S・AF-Cどちらもカメラの応答性はとても高い。ただし、低照度ではいくらかミスショットが発生した。
  • 最短撮影距離を割り込むと、コリメータに小さな紫色のフレームが表示されるようになっている。
  • α7 IIIにファームウェアアップデートで導入されたように、リアルタイム瞳AFに対応している。非常に効果的に追従可能だ。
  • 画質はα7 IIIにとてもよく似ている。非常に高画質で15EVの並外れたダイナミックレンジを備えている。
  • 高感度ISO画質は特に良好だ。裏面照射型CMOSセンサーのおかげで、一般的なセンサーよりも高感度画質が良好である。RAWで確認すると、ISO8000付近からノイズが目立ち始める。ISO12800~25600で画質が大きく劣化する。
  • α7Cは小型化のためにシャッターユニットを再設計している。このため、シャッター音はα7Cと大きく異なる。少しソフトで、EOS Rとよく似ている。
  • 連写性能はα7 IIIと同様だ。AF/AE追従10コマ秒の連写に対応し、電子シャッターでも8コマ秒で利用可能だ。バッファが深くなっており、圧縮RAWで115枚、非圧縮RAWで45枚まで連続撮影が可能である。これはα7 IIIよりも良好だ。バッファクリア時でも問題なくカメラを操作することができる。
  • 小型ボディながら、5軸5段分のボディ内手ぶれ補正を搭載。補正効果はあるが、期待以上の性能ではない。実写で1/4秒での撮影が可能だったが、よりスローシャッターを利用する場合は少なくとも光学手ぶれ補正が必要だ。

キットレンズ「FE 28-60mm F4-5.6

  • わずか167gと非常に軽いズームレンズだ。沈胴機構を採用しており、格納時の全長はわずか45mmである。使用時は75mmまで長くなる。
  • 沈胴機構はコンパクトサイズを実現するのにメリットとなるが、使用する際は一つ手間が増える。
  • レンズフードは付属していないが、前玉が小さいのであまり問題とならない。
  • レンズマウント以外はほぼ完全にプラスチック製だ。少し安っぽく、脆い印象を受ける。
  • ズームリングとフォーカスリングが近い位置にあるので誤操作の可能がある。
  • コンパクトサイズの代償として、ズームレンジが28mmから60mmと狭い。さらに開放F値がF4?F5.6と暗くなっている。
  • シャープネスは中央できちんとしているが、フレーム端では少し悪化する。スウィートスポットはF7.1前後だ。
  • 防塵防滴に配慮した設計のため悪天候でも使用することが出来る。
  • 良くも悪くもコンパクトで手ごろなキットレンズである。汎用性は低下するが、単焦点レンズと組み合わせることも検討する価値がある。

動画

  • 内部記録で4K 30p 4:2:2 8Bitでの撮影が可能だ。フル画角で6Kのオーバーサンプリングとなる(訳注:4K 24pの場合)。
  • α7 IIIと似たような動画仕様だが、29分の連続撮影時間の制限が外れている。
  • 実写では驚異的なディテールと優れたISO感度性能を備えた美しい映像を撮影できる。AF速度は7段階で調整可能だ。
  • 動画撮影とバリアングルモニタの相性はとても良好だ。
  • 動画撮影時のリアルタイム瞳AFやリアルタイムトラッキングに対応している。
  • ボディ内手ぶれ補正はあまり効果的とは言えず、電子手ぶれ補正に対応していないのも良くない。幸いにも動画にジャイロデータが残っているため、後処理で補正効果を得ることは可能だ。
  • Full HDで120pのスローモーション撮影が出来るのは面白い。

バッテリー・通信

  • コンパクトサイズにも関わらず、バッテリーはNP-FZ100を使用する。背面モニタ使用時はなんと740枚の撮影が可能だ。これはα7 IIIよりも良好である。週末の撮影でバッテリーを心配する必要はないだろう。ただし、動画撮影をするのであれば予備は必須である。
  • USB-C経由で充電する際、フルチャージには3時間必要だ。
  • 2.4GHz・5GHzのWi-Fiに加え、Bluetooth4.1に対応している。

小型軽量を維持してフルサイズシステムを楽しみたい人向けのカメラだ。画質を犠牲にすることなく、コンパクトなサブカメラを探している人にも適している。EOS RPやZ 5ほど低価格なミラーレスではないが、高性能で小型軽量だ。さらに画質とオートフォーカスはこのカメラの強みとなる。バリアングルモニタもビデオグラファーにアピールできるだろう。
その一方、小型軽量化のためエルゴノミクスが犠牲となっている。小さなファインダー、コマンドダイヤルの欠如、メニューボタンの奇妙な配置、小さなカメラグリップなどだ。キットレンズはコンパクトだが、沈胴機構の操作が煩雑となり、開放F値はとても暗い。

全体的に見て、小型軽量で高画質なカメラだが、価格とエルゴノミクスで評価を下げている。

長所:優れた仕上がり・とても良好な画質・実用的なバリアングルモニタ・小型軽量・優れたAF・5軸手ぶれ補正

短所:エルゴノミクス・キットレンズの実用性・シングルSDカードスロット・4K 60p非対応・α7 IIIと価格差が無い・α7 IIIから新鮮味がない

とのこと。
他のレビューサイトでも賛否両論のあるカメラですが、α7Cでも評価するカテゴリによって印象がガラッと異なるようですね。個人的にファインダーの仕様やグリップの形状・質感は心配していたのですが…やはり…。
その一方、リアルタイムトラッキング(RTT)が追加されたAFはかなり使い勝手が良い模様。私は待てど暮らせどα7 IIIにリアルタイムトラッキングが導入されないので、α7Cを注文しました。このため、RTTにはかなり期待しています。バリアングルモニタで小型軽量な広角単焦点の使い勝手も良くなるのではと思っています。
キットレンズのFE28-60mmはDPReviewの作例などを確認する限りでは良さそうな印象でしたが、Phototrendの評価はイマイチな模様。これは実際に使ってみないとよくわからないかもしれません。

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