ソニー「α7 IV」のレビュー第一弾を公開。今回はカメラの外観や操作性、起動時間やシャッター音などを確認しています。
Index
α7 IV レビュー一覧
- ソニー α7 IV 徹底レビュー 完全版
- ソニー α7 IV 徹底レビューVol.7 カスタマイズ編
- ソニー α7 IV 徹底レビューVol.7 新メニューシステム編
- ソニー α7 IV 徹底レビューVol.6 ファーストインプレッション
- ソニー α7 IV 徹底レビューVol.5 連続撮影・ドライブ編
- ソニー α7 IV 徹底レビューVol.4 クリエイティブルックsample編
- ソニー α7 IV 徹底レビューVol.3 クリエイティブルック編
- ソニー α7 IV 徹底レビューVol.2 画質編 中間報告
- ソニー α7 IV 徹底レビューVol.1 外観・操作編
- ソニーα7 IV 外観・メニュー・シャッター音の確認
外観・箱
箱・付属品
側面はブランドカラーのインターナショナルオレンジを一面に配色したビビッドなデザイン。遠くからでも「ソニーの箱」と認識できるくらいパンチが強い。他面のデザインは非常にシンプルで情報は必要最低限。
梱包や仕切り、緩衝材は全て紙製だ。環境配慮への強い意思表示と感じる。ただ、少し独特の香りがする。また、紙製梱包のためか、新品にも関わらずカメラに塵が多く付着している。外装への付着は特に気にしないが、センサー面への付着が無いか確認しておいたほうが良いかもしれない。
カメラにはシャッター幕によるセンサー保護機能があるものの、初期設定から変更するまでは保護機能が動作していない。ボディキャップを取り外す時は外装の塵を除去してからのほうが良いだろう。
外観
デザイン
外観はソニーαらしいものだが、第四世代らしく全体的にマッチョな印象を受ける。主に大型化したグリップの影響があると思うが、本体部も少し肉厚になっている。そのほか、ボタンやダイヤルのデザインが変更されており、α7 IIIとは全く別のカメラと感じる。
細かい変化として、前面の「α7」のロゴに世代を表す文字が省略されている。
質感
前面や上面、そして内部フレームにマグネシウム合金を採用している。従来通りのしっかりとした質感だ。ただし、背面はプラスチック製でRシリーズやSシリーズと比べると質感は少し劣る。とは言え剛性が著しく低いわけでも無く、特に問題があるとは感じない。
インターフェース
左側面には上から「3.5mmマイク入力」「3.5mmヘッドホン出力」「USB 3.2 Gen2、Micro USBポート」を搭載。マイク・ヘッドホン・USBでそれぞれ独立したポートカバーを採用しており、多用すると思われるマイクのみカバーを開けて使うことも可能。α7 IVはバリアングルモニタのため、モニタを側面展開時はUSBやヘッドホンと干渉する。しかし、マイク入力のみモニタと干渉しない位置となっている。さらに隣にはフルサイズHDMIポートを搭載。破損のリスクが低いHDMI端子を使えるメリットは大きい。
右側面にはメモリーカードスロットを搭載。ドアはロックスイッチとスライドの2段階操作が必要で、誤操作による事故を未然に予防している。カードスロットを覆うように防塵防滴用のシーリングも確認できる。
カードスロットは二つあり、どちらもCFexpress Type AとSD UHS-IIに対応している。CFexpressを使用する際はラベルが背面の方向で、SDカードを使用する際はラベルが前面の方向を向くように挿入する。
バッテリー
従来通り、大容量のNP-FZ100バッテリーを使用。スペックシートを確認した限りではα7 IIIよりもバッテリーライフが短くなっている。とは言え、競合他社と比べて優れたパフォーマンスには違いない。ただし、ファインダーの解像度やフレームレートを変更することでバッテリーライフが短くなる可能性あり。
USB-Cポート経由での充電や給電に対応しており、PowerDelivery(USB-PD)対応製品で急速充電も可能だ(商品ページでは「9V/3A出力」と記載している)。ただし、これまでのようにMicro USB経由での充電が出来なくなっている。
バッテリースロットのドアは防塵防滴用のシーリングが施されている。従来モデルのようにシーリングが欠けている部分は見当たらない。防塵防滴の仕様が改善しているように見える。
底面
1/4型の三脚ネジ穴はカメラの光軸上に配置されている。周囲は金属プレートを採用しており、堅牢性は十分に確保されているように見える。
底部のデザインはα7R IVなど第四世代で共通している。バッテリーグリップを共有できるほか、社外製アクセサリもそのまま取り付けることができる。ただし、チルトモニタを想定したL型ブラケットはバリアングルモニタと干渉するので非推奨。使いたい場合は垂直部分を取り外すのがおススメ。
センサー保護機能
前述したようにシャッター幕を使用してイメージセンサーのゴミ付着を予防することが出来る。ただし、これは初期設定でオフとなっている。使用したい場合はカメラのセットアップオプション「アンチダスト機能」から電源OFF時のシャッターを「入」に変更する必要がある。
シャッター幕は繊細な構造であり、触れたり、太陽光で焼かないように気を付けたい。(特にMFレンズ装着時は絞りが開きっぱなしとなるので、センサーやシャッター幕を焼きやすいので注意が必要)
ぱっと見でシャッター幕が歪んでいるように見えるが、これは仕様なので気にする必要は無い。
イメージセンサーの除塵機能は相変わらずセンサーシフト機能を使った「ぶるぶる方式」であり、α7S IIIやα1で採用している超音波式の除塵ユニットは搭載していない。自動的に除塵ユニットが動作する仕組みが無いので、小まめに手動で除塵ユニットを動作させる必要がある。個人的に30万円のカメラでこの仕様は非常に残念。ちなみにレンズマウントは6本のビスで固定されている。
ハンズオン
サイズ
全幅・全高は初代から大きな変化が無いものの、奥行方向は間違いなく大きくなっている(詳しく比較するとα7 IIIと比べて全幅・全高・奥行が全て少し大きい)。主に大型化したグリップの影響があるものの、ボディの厚みも増している。カメラらしくなってきたと言えるが、初代のスリムさが懐かしい。
重量
α7 IIIと比べてスペックシート上は僅かに重いが、知覚できるような差は無い。グリップの形状が良くなっているので、持ちやすく、手持ち撮影しやすくなったと感じるかもしれない。
カメラグリップ
第四世代らしく、大きく、指のかかりが良好な形状を採用している。間違いなく同シリーズで握りやすさは最も良好。とは言え、これまで通りの全高なので、小指が余りがちなのは従来通り。エクステンショングリップが欲しくなるが、GP-X1EMは非対応である。社外製のカメラプレート(α7R IVやα1・α8S IIIと同じ)を用意する必要がある。
正面
従来通り、前面にコントロールは存在しない。競合他社は少なくとも一つ以上のフロントFnボタンを搭載している。自然とグリップを握った状態で操作できるフロントFnボタンが無いのは残念だ。
グリップ上部のフロントコマンドダイヤルはα7 IIIと比べて回転軸が少し傾いている。これによりグリップした状態でダイヤルを操作しやすくなっている。地味だがよく考えられた改善点である。
グリップ前面には従来機にあった赤外線リモコン用の受光部が無くなっている。ワイヤレスならばBluetooth式のリモコンを用意する必要がある。
背面
基本的には従来通りだが、C1と録画ボタンの場所が入れ替わっている。さらにボタンや周辺の形状に改良が加えられ、ファインダー使用時でも触感でボタンを判断しやすくなった。ボタンカスタマイズは従来通り、大部分のボタンの設定を変更することが出来る。
ジョイスティックは第三世代の意味不明な陥没式から一般的なデザインに切り替わっている。指との接触面積が広く、レバーを倒すように操作することが可能(従来は「押し込む」ように使う必要があった)。
上面
最も大きな変化は露出補正で固定されていたダイヤルがカスタマイズ可能となっていること。これでカメラには4つのコマンドダイヤルがあり、それぞれに好みの機能を割り当てることが出来る。カスタマイズ編で詳しく紹介したいが、ダイヤル操作で「フォーカスエリア」「クリエイティブルック」の変更も可能だ。
シャッターボタン付近にはC1と入れ替わりで、少し大きめの録画ボタンが配置されている。カスタマイズで従来通りの配置として使うことも出来る。ボタンの場所はこれまで通りで、キヤノンやニコンのボタン配置と比べると少し使い辛い。
撮影モードダイヤルはα7 III比で「SCN」「動画」「S&Q」の項目が無くなった。その代わりにカスタムモード「3」が追加されている。
静止画と動画の切替は同軸下部に配置されたダイヤル操作となった。これにより、動画モードでP/A/S/Mを素早く切替可能だ。静止画/動画切替時に引き継ぐカメラ設定は変更することが出来る。
ダイヤルの操作は前面に指をかける部分がある。先端がロック解除ボタンとなっており、これを押し込みながらダイヤルを操作する。
ファインダー
解像度・発色
0.5型 369万ドット OLEDパネルを採用。α7 III比で高解像化しているが、競合クラスと比べてスペックは平凡。これで他社に追いついた形となる。発色はOLEDパネルらしくコントラスト高め。
初期設定は画質「標準」フレームレート「標準」となっており、それぞれ「高画質」「高速(設定時は画質が自動的に標準となる)」に切り替えるとバッテリー消費が増加する可能性あり。高画質時は低照度でもノイズを抑え、パターン模様でモアレを抑えたファインダー像を得ることが出来る。
画質に関わらず、オートフォーカス動作時はファインダーの画質が低下する。特に低照度時はノイズが増加するので注意が必要だ。
アイポイント
従来通り18.5mm。OLEDパネルはα7 IIIから変化があるものの、光学系は継承しているのか不明。
アイカップ
従来とは形状が異なり、アイセンサーの位置も上部から下部へ移動している。これまでのアイカップを装着することは出来ず、α1やα7S IIIと同じタイプを使用する。社外製のアイカップ購入時は気を付けたいポイント。
私はJJC製(Kiorafoto)の大型アイカップに換装している。眼鏡を装着しているとケラレるが、裸眼であればケラレることなく遮光性の向上が可能だ。バリアングルモニタとの干渉もない。
モニター
解像度・発色
3.0型 104万ドットのモニターを採用している。30万円に近い価格帯のカメラとしては少しチープな仕様である。せめて144万ドットであって欲しかった。とは言え、92万ドットだった前機種と比べると少し改善している。個体差かもしれないが、マゼンダ被りだったα7 IIIのモニタと比べて色味は良好。ただし、モニターの色を調整できないのは従来通りだ。
可動方式
α7Cやα7S IIIに続き、バリアングル構造を採用。側面へ展開する必要があるものの、2軸による回転方向の自由度が高く、特にハイアングルやローアングル時の仰角・俯角に対応しやすい。
さらにモニタを回転して自撮りに使ったり、収納時にモニタを保護することも出来る。
タッチパネル
BIONZ XRプロセッサを搭載しており、タッチパネルの応答性や機能性が向上している。従来ではフォーカスエリアの指定くらいにしか使えなかったタッチ機能が、メニューやボタンの操作にも使えるようになった。個人的にメニュー操作時に「戻る」ボタンを親指でタッチできるようになったのが地味に嬉しい。(それまでは左肩にあるMENUボタンを押す必要があった、もしくはMENUボタンを割り当てる必要があった)
Fnメニューでも利用可能だが、機能呼び出し後のインタフェースが従来通りで、右手で操作し辛い仕様となっている(モニター左側に項目が表示され、操作領域も限られている)。この辺りは将来的に要改善と感じる。
起動時間
センサー保護機能オン
非常に快適。
BIONZ Xプロセッサ搭載モデルと比べると雲泥の差。電源投入後、ただちにフォーカス・レリーズが可能となる。不意に訪れたシャッターチャンスでカメラの起動時間が足を引っ張ることは無い。これで競合他社並とも言えるが、ソニーユーザーにとって朗報であるのは間違いない。
センサー保護機能オフ
シャッター幕を使ったセンサー保護機能をオフにすると、起動時間がわずかに早くなったように感じる。とは言え、有意な差とは言えず、センサー保護機能のメリットを考えれば妥協できる時間差だと思う。
シャッター音
メカニカルシャッター
α7R IVと比べてシャッター音が少し大きいように感じるが、ブラシーボかもしれない。
電子先幕シャッター
同上。
参考:レンズあり
今回のまとめ
同じ第四世代のカメラ「α7R IV」を触った時にも感じたが、初期のα7シリーズと比べると「カメラ」になってきたように感じる(初期頃は「撮像デバイス」と言った印象が強かった)。グリップの形状や調整されたダイヤル・ボタン類は使いやすく、防塵防滴構造や各種ドアの形状にも改善が見られる。ボディサイズは少し大きくなってしまったものの、有意義なサイズ増と感じる人が多いと思う。
改善点以外に新機能も多い。シャッター閉幕機能やバリアングルモニタ、Fnダイヤルなど、便利な機能が詰め込まれており、α7 IIIと比べて隔世の感がある。価格は上昇してしまったが、それだけの価値はあると思う。
もちろん要改善点もそれなりに残っている。未だに超音波除塵ユニットに対応していなかったり、煮詰め足りないタッチ操作インターフェース、競合他社と比べると冴えないモニター解像度など。30万円近い価格設定を考慮すると、お金で解決できる部分はもう少し頑張って欲しかった。
イチオシはBIONZ XRプロセッサによる起動時間の向上と全体的なレスポンスの改善。従来機でもたついていた動作がほとんど全て解消している。特に起動時間や撮影時の露出設定変更の遅延はストレスが溜まるポイントだったので、これで競合他社並となったのは評価したいポイント。メモリーカードのフォーマットも高速で良い。
個人的には起動時間とレスポンスの向上だけでも旧世代(BIONZ X)から買い替えた価値があると思っている。撮影体験の質を向上させるのは重要だと思う。
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カメラのおさらい
カメラの特徴
- 商品ページ/仕様表
- データベース
- 管理人のFlickrアルバム
- 発売日:2021-12-17
- 売り出し価格:296,010円
- イメージセンサー:
ー有効画素数:約3270万画素
ーローパスフィルタ:あり?
ー裏面照射型:対応
ー手ぶれ補正:5.5段分 - プロセッサ:BIONZ XR
- AF:
ーAF方式:ハイブリッド
ー測距点:759点
ーカバーエリア:約94%
ー検出機能:瞳AF(人間・動物・鳥) - 動画:
ー4K:~60p(Super35mm)
ーFull HD:~120p - ファインダー:0.5型 369万ドット OLEDパネル
- モニター:3.0型 104万ドット バリアングルモニタ
- 通信機能:2.4/5GHz Wi-Fi・Bluetooth 4.1 LE
- 対応メディア:CFexpress A・SD UHS-II
- バッテリー:NP-FZ100
- サイズ:131.3×96.4×79.8mm
- 重量:658g
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