このページではキヤノン「RF50mm F1.8 STM」と「EF50mm F1.8 STM」の諸収差について比較レビューしています。
まえがき
レンズのおさらい
レンズ概要
- ?2020年12月24日 発売
- 商品ページ
- データベース
- 管理人のFlickrアルバム
- レンズ構成:5群6枚
- 開放絞り:F1.8
- 最小絞り:F22
- 絞り羽根:7枚(円形絞り)
- 最短撮影距離:0.30m
- 最大撮影倍率:0.25倍
- フィルター径:φ43mm
- レンズサイズ:φ69.2×40.5mm
- 重量:160g
- ステッピングモーター駆動
- コントロールリング搭載
2020年末に登場したRFマウントの低価格な標準単焦点レンズです。高価なレンズが多いRFレンズ群の中では最も安く、最も軽量に仕上がっています。
立ち位置としては、2015年に登場した一眼レフ用レンズ「EF50mm F1.8 STM」のRFマウント版と言って間違いないでしょう。所謂「撒き餌レンズ」です。レンズ設計は一新され、ミラーレス専用設計となり、価格は少し高くなってしまいましたが、手ごろな価格の単焦点レンズに違いありません。
この新しい50mm F1.8はPMo非球面レンズを一枚使用して周辺画質を改善しているとのこと。MTFを見る限りでは、確かに非点収差が良く抑えられているように見えます。四隅は相変わらずと言ったようにも見えますが、フレームの大部分は良好な画質を期待できそうですね。
レンズサイズはEF50mm F1.8 STMと同程度。つまり、EOS Rシステムで使う限り、アダプター経由で使う必要のないRF50mm F1.8 STMのコンパクトさが際立つことになります。これは他社のミラーレス用50mm F1.8と比べても小さく、非常にコンパクトな50mmと言えるでしょう。
さらにEF50mm F1.8 STMから最短撮影距離を5cm短縮し、撮影倍率は0.25倍を実現。とても寄りやすいレンズに仕上がっているのもGood。当然ながら、それだけボケも大きくすることが出来ます。
フォーカスは従来通りステッピングモーター駆動のレンズ繰り出し方式。フォーカス速度はあまり期待しないほうが良いでしょう。とは言え、RFマウント専用設計・ミラーレス専用設計で従来品と比べて改善している可能性あり。
フォーカスリングはRF24-240mmと同じようにコントロールリング共用となっています。レンズ側面に「AF/MF」スイッチの代わりに「フォーカス/コントロール」スイッチを搭載して切り替えることが可能です。無段階操作のため、Lレンズのようなクリック感のあるコントロールリングとはなりません。
価格のチェック
売り出し価格は25,000円前後。撒き餌レンズとしては少し高くなってしまいましたが、それでも手ごろな価格設定と言えるでしょう。問題は在庫であり、2020年12月現在、納期未定の品薄状態が続いています。価格で迷っているくらいであれば、早めに注文して、納品までに貯金しておいたほうが良さそう。
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軸上色収差
どちらも絞り開放付近でピント面前後の色づきが見られます。常時目立つような収差量ではありませんが、コントラストが強いシーンでは目立ちやすい。収差はF2.8まで絞っても残存しており、F4まで絞るとどちらも解消します。
RF50mm F1.8 STMは絞った際のフォーカスシフトが強く、F2.8付近でピントの山が大きく奥方向へ移動している点に注意。ただし、これは接写時だけの傾向であり、遠景撮影時にフォーカスシフトの影響は見られません。
倍率色収差
どちらも倍率色収差は良好に補正されています。カメラ側のレンズ補正無しでも特に大きな問題はありません。
コマ収差・球面収差・光条
中央
どちらも中央でコマ収差の影響は見られません。ただし、EF50mmは点光源でハロが強く発生しており、球面収差の補正状態が比較的悪い結果のように見えます。(EF50mmのほうがピントの山が奥にあるように見えますが、実際には手前のイルミネーションで固定しています)
RF50mmでも完璧な状態と言えませんが、EF50mmと比べると遥かに良好な補正状態と言えるでしょう。F2.8以降は同程度の補正状態となります。
光条はどちらもF8付近で発生し始め、F11?F16で綺麗な描写へと変化。この価格帯のレンズとしてはどちらも綺麗な光条に見えます。
周辺
やはりEF50mmのハロが目立ちます。どちらもコマ収差の影響を受け始めていますが、EF50mmのほうが少し影響量が多いように見えます。RF50mmはF2.8で解消し、EF50mmはF4で解消。
四隅
四隅は同程度のコマ収差が発生しています。中央や周辺部で顕著だったEF50mmのハロは見られません。F2.8まで絞ってもコマ収差は目立ち、完全に抑えるにはF5.6?F8まで絞る必要があります。
歪曲収差
どちらも穏やかな樽型歪曲に見えます。補正無しでも十分良好ですが、直線的な被写体を撮影する場合はレンズ補正を適用したいところ。
まとめ
諸収差の補正状態は非常に良く似ています。特定の撮影シーン以外で顕著な差は見られないはず。主な違いは中央から周辺部の球面収差で、これが実写での解像性能差となっているように見えます。ただし、RF50mm F1.8 STMは近接での収差変動が大きく、特に接写時はEF50mm F1.8 STMよりもソフトな描写となる傾向があります。柔らかい描写を得るには適した収差変動ですが、接写時のシャープな描写を得たいのであれば、かなり絞る必要があります。
色収差はどちらもシンプルな光学設計の割に良好な補正状態に見えます。軸上色収差の補正は完璧と言えませんが、このクラスとしては許容範囲内。倍率色収差はソフトウェア補正無用。
コマ収差はどちらも四隅で非常に目立ち、絞っても改善速度はかなり遅い。絞り開放を使った夜景撮影には適していないように感じます。
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作例
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