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キヤノン「RF50mm F1.8 STM」交換レンズレビュー 完全版

このページではの交換レンズ「RF50mm F1.8 STM」のレビューを掲載しています。

まえがき

レンズのおさらい

レンズ概要

  •  2020年12月24日 発売
  • 商品ページ
  • データベース
  • 管理人のFlickrアルバム
  • レンズ構成:5群6枚
  • 開放絞り:F1.8
  • 最小絞り:F22
  • 絞り羽根:7枚(円形絞り)
  • 最短撮影距離:0.30m
  • 最大撮影倍率:0.25倍
  • フィルター径:φ43mm
  • レンズサイズ:φ69.2×40.5mm
  • 重量:160g
  • ステッピングモーター駆動
  • コントロールリング搭載

2020年末に登場したRFマウントの低価格な標準単焦点レンズです。高価なレンズが多いRFレンズ群の中では最も安く、最も軽量に仕上がっています。

立ち位置としては、2015年に登場した一眼レフ用レンズ「EF50mm F1.8 STM」のRFマウント版と言って間違いないでしょう。所謂「撒き餌レンズ」です。レンズ設計は一新され、ミラーレス専用設計となり、価格は少し高くなってしまいましたが、手ごろな価格の単焦点レンズに違いありません。

この新しい50mm F1.8はPMo非球面レンズを一枚使用して周辺画質を改善しているとのこと。MTFを見る限りでは、確かに非点収差が良く抑えられているように見えます。四隅は相変わらずと言ったようにも見えますが、フレームの大部分は良好な画質を期待できそうですね。

レンズサイズはEF50mm F1.8 STMと同程度。つまり、EOS Rシステムで使う限り、アダプター経由で使う必要のないRF50mm F1.8 STMのコンパクトさが際立つことになります。これは他社のミラーレス用50mm F1.8と比べても小さく、非常にコンパクトな50mmと言えるでしょう。

さらにEF50mm F1.8 STMから最短撮影距離を5cm短縮し、撮影倍率は0.25倍を実現。とても寄りやすいレンズに仕上がっているのもGood。当然ながら、それだけボケも大きくすることが出来ます。

フォーカスは従来通りステッピングモーター駆動のレンズ繰り出し方式。フォーカス速度はあまり期待しないほうが良いでしょう。とは言え、RFマウント専用設計・ミラーレス専用設計で従来品と比べて改善している可能性あり。

フォーカスリングはRF24-240mmと同じようにコントロールリング共用となっています。レンズ側面に「AF/MF」スイッチの代わりに「フォーカス/コントロール」スイッチを搭載して切り替えることが可能です。無段階操作のため、Lレンズのようなクリック感のあるコントロールリングとはなりません。

価格のチェック

売り出し価格は25,000円前後。撒き餌レンズとしては少し高くなってしまいましたが、それでも手ごろな価格設定と言えるでしょう。問題は在庫であり、2020年12月現在、納期未定の品薄状態が続いています。価格で迷っているくらいであれば、早めに注文して、納品までに貯金しておいたほうが良さそう。

レンズレビュー

外観・操作性

箱・付属品

従来通り黒を基調としたRFレンズらしいデザインです。レンズサイズが小さいため、箱も小さくまとまっています。レンズは樹脂製の間仕切りで固定されており、緩衝材は最小限。

箱の中にはレンズ本体に加え、前後のキャップと説明書・保証書が付属します。レンズフードは付属しないので注意。前玉が前面に近いため、プロテクトフィルターを装着しないのであればフードはつけておいたほうが良いでしょう。

外観

外装は主にプラスチック素材で作られていますが、しっかりとした質感です。EF50mm F1.8 STMと比べて質感に大きな違いはありません。

フォーカスリングはゴム製では無く、プラスチック製。表面はLレンズでコントロールリングに施されるようなローレット加工となっています。

EOS Rで使う分にはEF50mm F1.8 STMとのサイズ差は歴然。このレンズサイズで50mm F1.8を使えるのは素晴らしい。ソニーFE50mm F1.8よりも全長が約2cm短く、収納性はとても良好です。

ハンズオン

φ69.2×40.5mm・160gの非常にコンパクトなフルサイズ用レンズです。パンケーキレンズとまではいきませんが、「パンケーキ2枚重ね」程度の厚みしかありません。今後、非常にコンパクトなフルサイズミラーレスが登場したら、とても相性の良いレンズとなりそうです。

前玉・後玉

注目すべきはフィルターサイズ。43mmと非常に小さく、キヤノン製のフルサイズ対応レンズとしては最も小さなフィルター径と言えるかもしれません。このようなフィルターを持っていない人は多いと思われるので、レンズを注文したついでに買っておくのがおススメ。フィルターサイズが小さいので、比較的手ごろな価格でNDフィルターやC-PLフィルターも揃います。

フィルターサイズはEF50mm F1.8 STMよりも小さいですが、レンズの直径はほぼ同じ。これはつまり、レンズ内筒の直径が小さくなっています。光学系もサイズダウンしているのか不明ですが、少なくとも後群のサイズや重量は低下しているように見えます。

絞り羽根は従来通り7枚ですが、絞りの駆動音がかなり小さくなっています。一般的な撮影環境であれば、絞りの駆動音は聞こえないレベル。

EF50mm F1.8STMと異なり、マウント面から少し奥に隠れたところに後玉が配置されています。おそらく全群繰り出し式のため、このレンズもフォーカシングで前後に移動するはず。

金属製レンズマウントは4本のビスで固定されています。防塵防滴仕様では無いため、マウント周囲にガスケットは見当たりません。

レンズ・フードはどちらもマレーシア製です。

フォーカスリング

9mm幅のプラスチック製フォーカスリングは適度な抵抗量で滑らかに回転します。低価格のレンズですが、リングの滑らかさは十分良好。他社では、この価格帯レンズでリングの回転が少しざらついているモデルもあるため、良い意味で驚きました。

ピント移動量はリングの回転速度に応じて変化します。素早く回転しても180度ほどの回転角があるため、正確なマニュアルフォーカス操作に問題はありません。ゆっくりと回転した場合は360度以上の回転角となります。

レンズフード

プラスチック製の円筒フードは別売りです。前述したように2020年末の段階で品薄状態が続いているので、忘れないで早めに注文しておきたいところ。EF50mm F1.8 STM用のレンズフードは装着できません。逆も然り。

EFレンズ用と比べると全長が短く、直径も小さい。遮光性・保護性の両方の観点から、少し心もとなく感じます。個人的にはEF50mmくらいのレンズフードが良かったです。とは言え、コンパクトさは際立っていると言えるでしょう。

装着例

EOS R5と組み合わせたところ、レンズの重量を感じないほど携帯性に優れています。機動力を高めたいのであれば、EOS RPとの組み合わせが今のところベスト。奥行きが短いため、カメラバッグのちょっとした隙間に押し込むことが出来そうです。

AF・MF

フォーカススピード

EF50mm F1.8STMと比べると少し速くなっています。さらに、ギアの動作音が静かになり、バックラッシュが小さくなっている印象。また、サーボAF時の動作も滑らかとなっています。試しにサーボAFで3歳の娘を追いかけてみましたが、快適に利用できると感じました。

一眼レフと共用で50mmを使うのであれば、EF50mmもやぶさかではありませんが、EOS R専用であればRF50mmのほうが明らかにおススメできます。

ブリージング

ピント位置による画角の変化は非常に大きいです。特に接写性能が高くなっているためか、最短撮影距離から無限遠までのピント移動で画角変化が大きくなっているように見えます。

このようなレンズはフレーム四隅のAFエリアを使った際にAFが不安定になるものですが、RF50mm F1.8 STMとEOS R5の組み合わせで問題はありません。

精度

EOS R5との組み合わせで特に大きな問題はありません。ミラーレスらしい高精度なAFが可能です。

MF

前述した通り、この価格帯としては使いやすいフォーカスリングと操作性です。AF/MFスイッチが無いので、ボタンカスタマイズで「MF」を使わない場合、メインメニューからAF/MFを切り替える必要があります。

解像力チャート

撮影環境

テスト環境

  • カメラボディ:EOS R5
  • 交換レンズ:RF50mm F1.8 STM
  • パール光学工業株式会社「【HR23348】ISO12233準拠 8K解像力テストチャート(スチルカメラ用)
  • オリンパス HYRes 3.1 解析ソフト
  • 屋内で照明環境が一定
  • 三脚・セルフタイマー10秒・電子シャッター
  • EOS R5のRAWファイルを使用
  • ISO 100 固定
  • Adobe Lightroom Classic CCでRAW現像
    ・シャープネス オフ
    ・ノイズリダクション オフ
    ・色収差補正オフ
  • 解析するポイントごとにピントを合わせて撮影
    (像面湾曲は近接で測定が難しいので無限遠時にチェックしています)
  • 近接でのテストであることに注意(無限遠側はさらに良好となる可能性あり)

補足

今回はRAW出力を元にしてシャープネスをオフの状態で検証しています。ボディ出力のJPEGやRAW現像でシャープネスを整えるとより数値が向上する可能性があります。今回の数値はあくまでも「最低値」とお考え下さい。

テスト結果

中央

絞り開放から「3000」を超える良好な性能です。と言ってもEF50mm F1.8 STMと同等であり、特にこれと言って改善したわけではありません。

絞ると徐々に改善しますが、接写ではフォーカスシフトの影響があるため開放測距でピントを合わせるとピントの山が少し遠側へ逃げてしまいます。今回はマニュアルフォーカスと絞りプレビューでピントを合わせながら撮影しましたが、開放測距で絞るとピークの性能が少し低くなる可能性あり。

接写時に絞る場合は絞りプレビューを見ながらMFで調整するのがおススメ。とは言え、絞りプレビュー時はMFの操作が出来ないのですよね…。このあたりの仕様はなんとかして欲しいところ。

頑張ってピントを合わせると、F8のピークに向けて徐々に改善。EF50mm F1.8 STMよりも良好なピーク性能を発揮しますが、開放測距で安定した性能が見込めるEF50mmと比べると不満の残る結果です。

周辺

中央と比べて明らかにソフトな描写です。EF50mm F1.8 STMと同じ撮影距離ですが、安定感がなく実用的な画質とは言えません。甘い描写でF2.8までは測定できない状態です。

F2.8以降は徐々に改善し、最終的な性能はEF50mm F1.8 STMと同等。ただし、パフォーマンスの改善速度は少し見劣りします。F8まで絞れば立派なパフォーマンスとなるのは流石。実用的な絞り値はF4~F16あたり。

四隅

周辺と同じく甘い描写です。実用的な画質を得たい場合は少なくとも2段は絞りたいところ。F4まで絞れば「3000」を超える良好な画質となり、F8まで絞るとピークの「4000」に到達します。

しっかりと絞った際の性能はEF50mm F1.8 STMよりも良好。接写時にパンフォーカスで四隅までしっかりと写したい場合はF5.6~F16あたりがおススメ。

数値確認

中央 周辺部 四隅
F1.8 3278 測定不能 測定不能
F2.0 3278 測定不能 測定不能
F2.8 3680 2592 測定不能
F4.0 4014 3432 3374
F5.6 4256 4191 3965
F8.0 4609 4349 4049
F11 4014 4211 4010
F16 3538 3600 3302
F22 2844 2852 2816

実写確認

ご覧のように絞ればしっかりと改善するレンズです。開けるときは開けて、絞る時はしっかり絞ると良いレスポンスが得られるように見えます。ざっと見た限り倍率色収差は小さく、大きな影響はありません。

EF50mm F1.8 STMとの比較

絞り開放の接写性能を重視するのであればEF50mm F1.8 STMがおススメ。周辺や四隅の性能は遥かに安定感があります。絞った時のピーク性能にそこまで差はありません。

近接解像性能に関して言えば、より高価なRF50mm F1.8 STMに価格差分の価値は無いと言えるでしょう。このあたりの性能がボケ描写の差に表れている可能性もありますが、それは後日チェック予定。

遠景解像力

テスト環境

  • 2020年12月28日:曇天・微風
  • EOS R5
  • Leofoto G4+LS-365C
  • 絞り優先
  • 電子先幕シャッター
  • RAW出力
  • Adobe Lightroom Classic CC
  • シャープネス0
  • ノイズリダクションオフ

テスト結果

中央

絞り開放は球面収差のような滲みを伴い、コントラストが少し低めです。F2まで絞るとコントラストが改善し、F2.8まで絞れば良好なシャープネスを得ることが可能。

F2.8以降はピークのF8に向けて細部のコントラストが徐々に改善しますが、劇的な変化はありません。F8以降は回折の影響が徐々に強くなり、F11・F16・F22と次第にソフトな描写となります。F11は許容範囲内ですが、F16少し画像処理が必要と感じます。F22は出来れば避けたいところ。

周辺

EF50mm F1.8 STMと比べると、絞り開放の画質が安定しています。MTF通り非点収差が良く抑えられており、描写の乱れが少ない模様。絞り開放は中央と同じく低コントラストですが、F2.8まで絞ると大きく改善します。

F2.8でも実用的で良好な画質と言えますが、F4~F8でさらにシャープネスとコントラストが改善します。F8以降は回折の影響で画質が低下するものの、F22以外は許容範囲内の画質を維持しています。

EF50mm F1.8 STMと比べて優位性があるのはF1.8からF4付近まで。F5.6で差はグッと縮まり、F8では遜色のない性能となります。

四隅

絞り開放は中央や周辺と比べて遥かに甘く、低コントラストな描写です。周辺減光も強いので数段は絞りたくなるところ。F2.8で周辺減光は少し改善しますが、まだまだ甘い描写で、このままでは許容範囲外。最低でもF4まで、出来ればF5.6まで絞りたい。

F8~F11でピークを迎え、四隅までシャープな画質を得ることが出来ます。EOS R5でこれだけ解像するのであれば御の字と言えます。

EF50mm F1.8 STMと見比べてみると、ほぼ同じ性能。やはり許容範囲の画質を得るにはF4~F5.6まで絞る必要があり、ピークはF8~F11となります。

全体

四隅の画質を除けばフレームの大部分で絞り開放から安定した画質を得ることが出来ます。この点でEF50mm F1.8 STMよりも使いやすく、優位性はF1.8~F4の間で維持されます。

F5.6~F8で画質差はグッと縮まり、RF50mm F1.8 STMの優位性は無くなります。風景撮影でガッツリ絞る場合はEF50mm F1.8 STMでも十分。特に四隅までシャープな結果を得たい場合、EF50mm F1.8 STMとの差はありません。前ボケを入れつつ、遠景をしっかり解像させたい場合はRF50mm F1.8 STMのF1.8~F2.8でEF50mm F1.8 STMよりも良好な結果を得ることが出来ます。

実写で確認

倍率色収差

倍率色収差とは?

主にフレーム四隅に現れる色ずれです。絞り値による改善効果が小さいため、この問題を解決するにはカメラボディでのソフトウェア補正が必要となります。ボディ側の補正機能で比較的簡単に修正できます。

実写で確認

絞り値全域で良好に補正されているように見えますが、EF50mm F1.8 STMと見比べるとほぼ同じです。残存する色収差はボディ内補正やソフトウェア補正で簡単に処理できます。ソフトウェア補正なしでもハイコントラストな領域以外では特に目立ちません。

軸上色収差

軸上色収差とは?

軸上色収差とはピント面の前後に発生する色ずれを指しています。手前側で主にパープルフリンジとして、奥側でボケにグリーンの不自然な色付きがあれば、その主な原因が軸上色収差です。簡単な後処理が難しく、できれば光学的に収差を抑えて欲しいところですが、大口径レンズでは完璧に補正できていないことが多いです。

実写で確認

完璧な補正状態ではありませんが、極端に悪い結果でもなし。このクラスとしては一般的な補正状態で、F2.8付近までは色収差が残存しています。光学的にしっかり抑え込みたい場合はF4まで絞るのがおススメ。補正状態はEF50mm F1.8 STMと似ており、特にこれと言って改善点はありません。

開放測距後にF2.8まで絞るとフォーカスシフトでピントの山が大きく遠側へ移動します。開放測距で合わせたピントの山が少しボケるくらいにはフォーカスシフトの影響があるので気を付けたほうが良いでしょう。この影響は接写時だけであり、無限遠では特に心配する必要はありません。

最短撮影距離付近で絞る場合はF2.8やF4を避け、F8~F11までガッツリ絞るのがおススメ。

像面湾曲

接写時にこれと言って目立つ像面湾曲はありません。

前後ボケ

綺麗なボケ・騒がしいボケとは?

ボケの評価は主観的となりがちですが、個人的には滲むように柔らかくボケるのが綺麗と感じます。逆に、段階的にボケず、急にボケ始める描写を硬調で好ましくないと感じます。

実写で確認1

若干癖のあるボケ質で、正直に言うと滑らかなボケ質ではありません。このあたりは低価格の50mm F1.8に期待すべきでは無いでしょう。

前後の質感に顕著な違いは見られません。基本的にはニュートラルに見えます。EF50mm F1.8 STMとレンズ設計が異なるものの、ボケ質に大きな差はありません。

実写で確認2

屋外にはピント距離を変化させながらテスト。まず至近距離でテストした作例がコチラ。
近距離では後ボケが大きくなり軸上色収差の影響が目立たず、マイルドな描写です。悪くないボケ質ですが、口径食はやや強めに発生します。

F2.8まで絞ると口径食がほぼ解消され、四隅まで均質なボケ量を得ることが可能です。残存する色収差も抑えられるため、見栄えの良い描写です。個人的にはEF50mmと同じくF2.4~F2.8の絞り値がお気に入りです。F4以降は被写界深度の調整で利用すればOK。ただしF5.6以降は玉ボケが角ばり始めるので注意が必要です。

EF50mmと比べて大きな差はありません。

実写で確認3

少し距離が開くと、ハイライトにおけるボケの縁取りが強くなります。恐らく色収差によるものかと思います。このボケ量であれば、まだ目立つシーンは少ないと思いますが、気になる場合はF2.4前後まで絞るのがおススメ。色収差と口径食の影響がマイルドとなり、騒がしさを低減できます。

EF50mmはRF50mmと比べて僅かに縁取りが強く見えます。

実写で確認4

ボケ量が小さくなると、全体的に見て周辺や四隅のボケが硬調に見えます。特にハイライトにおける色収差の影響は顕著となるため、絞りで調整したいところ。

EF50mmとの違いはほとんどありません。敢えて言えば、EF50mmの縁取りが少し強めですがじっくり見比べないと判断付かない程度です。

実写で確認5

さらに距離を開けると、50mm F1.8ではボケが大きくなりません。中央はまずまず良好なボケ質ですが、四隅に向かって悪化します。EF50mmよりも周辺部の描写が良好に見えます。四隅は同程度。

F2.8まで絞ればフレームの大部分はマイルドで良好なボケとなるものの、被写界深度が深く、ボケは大きくなりません。

玉ボケ

口径食・球面収差の影響

口径食が強いと、四隅が楕円状に変形したり、部分的に欠けてしまったりします。これを解消するには絞りを閉じるしかありません。しかし、絞ると羽根の形状が見えてしまう場合もあるので状況に応じてF値を変化させる必要あり。

逆に口径食の影響が少ないと、絞り開放から四隅まで円形に近いボケを得ることが出来ます。これは玉ボケに限った話ではなく、一般的な四隅のボケ描写の質感にも繋がります。口径食が強いと、ボケ量が少なく感じたり、四隅のボケが荒れてしまう場合もあるため、口径食の小さいレンズが好ましい。

球面収差の補正が完璧では無い場合、前後のボケ描写に差が発生します。この場合はどちらかが滲みを伴う滑らかな描写になり、反対側で2線ボケのような硬い描写となってしまいます。

実写で確認1

最短撮影距離付近では口径食が弱く、無限遠では強めの描写。四隅の前ボケが大きくなるシーンでは少し騒がしくなる可能性があります。特にハイライトが混じるとパープルフリンジとして目立つかもしれません。

実写で確認2

コマ収差テストと同じ撮影距離にて、点光源を少しボケした状態で撮影。御覧のように、中央と四隅でボケ量が大きく異なっているのが分かります。特に四隅の玉ボケは縁取りが強く、騒がしい描写となるので気を付けたほうが良いでしょう。

実写で確認3

最短撮影距離付近でF1.8からF22までの絞り値を使って撮影。このピント距離では口径食の影響が小さく、F2.8まで絞ると四隅まで均質なボケ量を得られることが分かります。非球面レンズを1枚使用していますが、その影響は小さく、ムラの目立たない玉ボケ。EF50mmと見比べてボケ質に大きな差はありません。

歪曲収差

歪曲収差とは?

歪曲収差とは、平面上で直線的に写るはずが直線とならずに「歪む」収差です。特に直線が多い人工物や水平線が見えるような場合に目立ちやすい。主に魚眼効果と似た形状の「樽型歪曲」と中央がしぼんで見えてしまう「糸巻き型歪曲」に分かれています。

実写で確認

樽型歪曲の収差が発生していますが、レンズ補正前と補正後で違いは極僅かです。大部分の被写体に関して補正無しでも気にならないと思います。50mmのレンズは歪曲収差を良好に補正する傾向があるものの、このレンズは中でも優れた補正状態に見えます。

周辺減光

周辺減光とは?

周辺減光とは読んで字のごとく。フレーム周辺部で発生する不自然な減光のことです。中央領域と比べて光量が少なく、フレーム四隅で露出不足となっていることを指します。主に大口径レンズや広角レンズで強めの減光が発生、ソフトウェアで簡単に補正できる現象ですが、露出不足を増感でカバーするのでノイズ発生の原因となる点には注意が必要。特に夜景で高感度を使う場合にはノイズが強く現れる可能性があります。

実写で確認

最短撮影距離・無限遠を同じ露出設定で撮影。露出結果が異なるのは、最短撮影距離で実効F値がやや大きくなっているものと思われます。EF50mm F1.8 STMでも見られる現象であり、特に驚くべきことではありません。

周辺減光は最短撮影距離で比較的穏やかなのに対し、無限遠ではいくらか目立つ減光が発生しています。特に四隅の減光はしつこく、完全に解消するためにはF4まで絞る必要があります。

当然、ソフトウェア補正で綺麗に修正が可能ですが、補正分のノイズ増加は避けられません。光量落ちはEF50mm F1.8 STMよりもやや強め。レンズ構成が原因なのか、テレセントリック性が問題となっているのかは不明です。

コマ収差

コマ収差とは主にフレーム四隅で点像が点像として写らないことを指しています。例えば、夜景の人工灯や星、イルミネーションなど。日中でも木漏れ日などが影響を受ける場合があります。後処理が出来ないため、光学的に補正する必要がある収差。絞ることで改善するものの、夜景や天体撮影など、シャッタースピードが重要となる状況では絞り開放のコマ収差補正が重要となります(絞るとシャッタースピードかISO感度に影響があるため)。

テスト結果

フレーム四隅には絞り開放で目立つコマ収差が残存しています。おそらく、これが(遠景の)解像性能に悪影響を及ぼしている原因ではないかなと思われます。

絞り開放付近は収差が大きく残り、F2.8まで絞ることで大きく改善。F4からF5.6まで絞ることでほぼ解消します。F8以降はシャープな光条が発生していることが分かりますね。

収差はEF50mm F1.8 STMよりも良好に補正されていますが、それでもF1.8~F2で実用的な補正状態とは言えません。絞った時の改善速度は1段ほど早く、RFがF4でほぼ改善するのに対してEFはF5.6まで絞りたいところ。どちらもF8までには解消します。

全体を確認

点光源の周囲で少しハロを伴っていますが、EF50mmと比べると遥かに良好な状態です。中央から周辺部はF2.8まで絞ればほぼ改善しており、やはりEF50mmと比べて改善速度は1段ほど早い。この傾向は遠景解像性能のテスト結果とリンクしています。

イルミネーションでの光条

しっかり絞ると14本のシャープな光条が発生します。EF50mm F1.8 STMでも似たような光条ができるので、RF50mmの強みとは言えません。

逆光耐性・光条

フレーム周辺

決して良好な逆光耐性では無く、絞り開放から目立つゴーストが発生しています。同じ環境で撮影したNIKKOR Z 50mm F1.8 Sと見比べると違いは顕著。EF50mm F1.8 STMと比べてもゴーストが目立つように見えますが、光源付近のフレアは良く抑えられているように見えます。

絞ると目立たなかった薄いゴーストが顕在化し、小絞りではフレーム全体の画質に影響を及ぼしているように見えます。F5.6まで青色のゴーストが発生し、F8ではそれが綺麗サッパリ消えているのは面白い現象。

光条はF8から発生し始めますが、小絞りでもあまり良好な描写とは言えません。イルミネーションでのテストと異なり、強く大きな光源ではあまりシャープな描写とはならない模様。

フレーム四隅

光源周辺のフレアがいくらか発生しているものの、絞り開放付近で目立つゴーストは発生していません。この点で言えばEF50mm F1.8 STMよりも遥かに良好な結果です。

ただし、絞ると改善するEF50mmと比べ、RF50mmは絞ることでゴーストが目立ち始めます。

総評

肯定的見解

ココがポイント

  • ミラーレス用50mm F1.8としては特にコンパクト
  • 滑らかに動作するフォーカスリング
  • 若干速く、滑らかになったフォーカス駆動
  • 絞った際の全体的な解像性能
  • フレームの広い領域で安定した遠景解像性能
  • 良好な倍率色収差補正
  • 良好な軸上色収差補正
  • 接写時に柔らかいボケ
  • 良好な歪曲収差補正
  • 絞ると綺麗な光条
  • 開放の逆光耐性

この価格帯のレンズとしては一般的な光学性能ですが、過不足なく使いやすいレンズに仕上がっています。特に絞り開放付近の安定感が向上しており、EF50mm F1.8 STMと比べて周辺画質のコントラストやシャープネスが高いのが特徴。ボケ描写や諸収差の補正状態はそのままですが、フルサイズミラーレスの中では最もコンパクトな50mm F1.8である点を考慮したいところ。携帯性は間違いなく抜群。接写性能も少し高くなっており、その際の後ボケは非常に柔らかく魅力的な描写です。

批判的見解

ココに注意

  • レンズフード別売り
  • 防塵防滴非対応
  • AF/MFスイッチが無い
  • レンズ繰り出し式フォーカス
  • フォーカス/コントロール兼用リング
  • ブリージングが目立つ
  • 接写時の周辺解像性能がEF50mm F1.8 STM以下
  • 諸収差の補正状態はEF50mm F1.8 STMと同等
  • 接写以外のボケ描写はEF50mm F1.8 STMと同等
  • 透過率が悪い
  • 周辺減光が目立つ
  • コマ収差が目立つ
  • 絞った際にゴーストが目立ちやすい

EF50mm F1.8 STMと比べて1万円ほど高価なレンズですが、絞り開放の周辺画質とフォーカス時の滑らかさ以外にこれと言って改善点はありません。接写時は周辺画質が悪化しており、EF50mm F1.8 STMのようにアダプター経由でフォーカスリングとコントロールリングを分けて使うことが出来ない点はマイナス。開放の逆光耐性は良くなっていますが、絞るとゴーストが目立ちやすくなっている点も注意したいところ。プラスチック製モールド非球面レンズが影響しているのか、透過率が悪い点も気になります。

総合評価

管理人
満足度は80点。
悪くないレンズですが、他のRFレンズと比べて極端に小型軽量化路線へ舵を切っていると感じます。既にEF50mm F1.8 STMとアダプターを所有している場合、小型軽量化以外のメリットは多くありません。絞り開放付近の遠景解像は良好ですが、四隅までシャープに撮ろうと思うと、EF50mmとの差別化が難しい。

併せて検討したいレンズ

EF50mm F1.8 STM

絞った際のシャープネスや諸収差の補正状態、ボケ描写などはRF50mm F1.8 STMと同等。アダプター経由での使用となるので、携帯性はRF50mmと比べて見劣りします。携帯性を重視しなければコストパフォーマンスは良好であり、既にアダプターを所有しているのであれば検討すべき一本。

購入早見表

作例

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