銘匠光学「TTArtisan 50mm F2」のレビュー第一弾を公開。今回はレンズの外観や操作性についてチェックしつつ、マニュアルフォーカスの使い勝手について評価しています。
TTArtisan 50mm F2のレビュー一覧
- 銘匠光学 TTArtisan 50mm F2 徹底レビュー 完全版
- 銘匠光学 TTArtisan 50mm F2 徹底レビュー Vol.6 周辺減光・逆光編
- 銘匠光学 TTArtisan 50mm F2 徹底レビュー Vol.5 諸収差編
- 銘匠光学 TTArtisan 50mm F2 徹底レビュー Vol.4 ボケ編
- 銘匠光学 TTArtisan 50mm F2 徹底レビュー Vol.3 解像チャート編
- 銘匠光学 TTArtisan 50mm F2 徹底レビュー Vol.2 遠景解像編
- 銘匠光学 TTArtisan 50mm F2 徹底レビュー Vol.1 外観・操作性編
Index
まえがき
2022年に登場した銘匠光学のフルサイズ対応MFレンズだ。フルサイズ対応ミラーレス用50mmレンズとしては非常にコンパクトで、もともと小型軽量なミラーレスの利点を最大限に活かせるレンズとなっている。ただし、電子接点が無いので自動アシストやレンズデータの記録などには対応していない。ボディ内手ぶれ補正の焦点距離設定も手動で入力する必要がある。
概要 | |||
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レンズの仕様 | |||
マウント | X/E/EFM/RF/Z/L/43 | 最短撮影距離 | 0.5m |
フォーマット | フルサイズ | 最大撮影倍率 | 不明 |
焦点距離 | 50mm | フィルター径 | 43mm |
レンズ構成 | 5群6枚 | 手ぶれ補正 | - |
開放絞り | F2 | テレコン | - |
最小絞り | F16 | コーティング | 不明 |
絞り羽根 | 10枚 | ||
サイズ・重量など | |||
サイズ | φ60×35mm | 防塵防滴 | - |
重量 | 190-212g | AF | MF |
その他 | - | ||
付属品 | |||
レンズキャップ |
5群6枚の光学系を採用。断面図を見る限りはゾナーのような構成だ。最短撮影距離が0.5mとやや長く、当然ながら最大撮影倍率は高くないと思われる。クローズアップには適していないので購入前に注意が必要だ。絞り羽根はTTArtisanではお馴染みの10枚羽根を採用。仕様書には書かれていないが、円形絞りと思われる。
価格のチェック
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外観・操作性
箱・付属品
グレーを基調としたシンプルだが個性的なデザインの箱だ。高級感があふれ出ているわけではないが、1万円前後の手ごろな価格設定を考えると面白いデザインだと思う。
レンズは分厚い緩衝材に囲まれて梱包されている。同梱品は説明書のみとシンプルだが、やはり低価格なレンズとしてはしっかりとした内装に見える。
外観
TTArtisanらしく鏡筒は総金属製のしっかりとした作りだ。多くのMFレンズメーカーが総金属製の鏡筒であることを考えると、TTArtisanのビルドクオリティが強みになると一概には言えないが、少なくとも欠点とは感じない。鏡筒表面のピント距離や絞り値の表示は全てプリントでエッチングなどの加工は施されていない。
外装はややマットなブラックの塗装だが、マウント付近は無塗装のアルミニウム合金に見える。
ハンズオン
金属鏡筒の50mm F2がわずか200gだ。「FE 50mm F1.8」が186gであることを考えると決して最軽量とは言えないが、外装の作りはTTArtisanのほうが間違いなくしっかりとしている。
前玉・後玉
前玉にフッ素コーティングが施されている記述は見当たらない。防塵防滴にも対応していないのでフッ素コーティングは期待しないほうが良いだろう。レンズ保護に役立つフードもないので、前玉の汚れや傷を心配するのであればプロテクトフィルターや社外製レンズフードの購入をおススメする。前玉周辺にはレンズ名などが白文字がプリントされているため、撮影環境によっては白文字が反射してフィルターに写りこむ可能性は否定できない(そのような機会は稀だが)。
レンズマウントは金属製だ。マウントは特殊な形状のビス3本で固定されている。後玉付近は反射防止のためにマットブラックの塗装が施されているが、実際に使った印象では反射対策が不十分と感じる。フォーカスは全群繰り出し式となっているので最短撮影距離側で全群が前方へと移動する。
フォーカスリング
10mm幅の金属製フォーカスリングは適度なトルクで滑らかに回転する。ストロークは0.5m~無限遠で約135°。最短撮影距離が0.5mのレンズとしては程よいストロークで、無限遠側でも微調整しやすい。手ごろな価格のMFレンズとしては十分すぎる操作性だ。
絞りリング
2mm幅程度の非常に小さな金属製絞りリングを搭載。F2からF5.6まで1/2段刻みでクリックストップがあり、F5.6からF16までは1段刻みとなる。クリック付きだが、中途半端な位置で絞りを止めることも可能だ。フォーカスリングとの間隔が狭いので、絞り操作時に必然的にフォーカスリングにも触れてしまうのが悩ましいところ。ただし、適度なトルク配分で思ったよりも誤操作は少ない。
装着例
α7 IVに装着。やや肉厚なボディと比べると非常にコンパクトで、グリップよりレンズが突出している部分はごくわずか。小さなカメラバッグにも収納しやすく、どこにでも持ち運べる組み合わせと感じる。α7Cとの組み合わせが最適かもしれないが、第一世代のα7シリーズで使うのも面白そうだ。もちろんAPS-Cやマイクロフォーサーズで使うのもアリだと思う。
MF
フォーカススピード
ストロークが比較的長めで、微調整に適している反面、最短撮影距離と無限遠を行き来する場合の素早い操作には適していない。最低でも2回ほどフォーカスリングの操作が必要となる。その一方で、光学性能が良好でピントの山は掴みやすい。ピーキングを弱めに設定しても多少は反応してくれる。
ブリージング
ブリージングとはピント位置によって画角が変化することを指す。画角の変化が大きいと、フォーカシングで画角が広がったり狭くなったりするので気が散ったり、AFが不安定化する原因となる。出来ればフォーカシングブリージングは無い方が良い。
今回はブリージングの影響を確認するために、レンズを最小絞りまで絞り、最短撮影距離と無限遠で撮影した結果が以下の通り。
決して撮影倍率の高いレンズではないが、最短撮影距離と無限遠で画角に大きな違いが発生する。通常のフォーカシングでも画角の変化は目立つ。
精度
前述したようにピント面がシャープなので、ピントの山を掴みやすく良好な精度で撮影することが出来る。
まとめ
小型軽量で低価格、それでいてMFレンズとしてはしっかりとした作りと操作性を兼ね備えている。フルサイズミラーレスをはじめ、APS-Cやマイクロフォーサーズとも組み合わせやすいレンズである。
ざっと使った限りで言えば、小型軽量なわりに良好な光学性能のレンズだ。もちろん完璧からは程遠いが、思っていたよりも絞り開放の描写に安定感がある。フレームの本当に端の部分が少しソフトだが、実写でそのような部分が重要となる機会は少ないと思う。APS-Cフレームで使えばフレーム全域でシャープな75mm相当の中望遠として利用することが出来るだろう。
アダプター経由で中古のオールドレンズを購入するよりも安定感があり、外れ玉や不良品を掴む可能性も低い。さらに日本の代理店で購入することでアフターサービスや初期不良の交換も可能となる。(2022年7月現在で焦点工房やカメラ専門店にて入手可能だ)
購入早見表
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