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YONGNUO YN35mm F2 DF DSM レンズレビュー 完全版

このページではYONGNUO「YN35mm F2 DF DSM」のレビューを掲載しています。

YN35mm F2 DF DSMのレビュー一覧

管理人の評価

ポイント 評価 コメント
価格 比較的安い
サイズ 比較的小型
重量 比較的軽い
操作性 価格を考慮すると十分
AF性能 必要十分以上
解像性能 安定感のある性能
ボケ 玉ねぎボケ以外は良好
色収差 全体的に良好な補正状態
歪曲収差 光学的に良好な状態
コマ収差・非点収差 良好な補正状態
周辺減光 F2以外は問題なし
逆光耐性 大きな問題なし
満足度 コスパの良い光学性能

評価:

コスパの良い光学性能

これと言って大きな欠点のない光学性能で、手頃な価格としては良好なビルドクオリティのレンズ。リバースエンジニアリングのサードパーティ製レンズである点は考慮する必要がありますが、手頃な価格で気軽に使うことができる35mm F2を探している人におススメ。

This is a good build quality lens for an affordable price, with optical performance that has no major flaws to speak of. Recommended for those looking for an affordable, easy-to-use 35mm F2, although the fact that it is a reverse-engineered third-party lens should be considered.

まえがき

2020年に登場したフルサイズミラーレス用の準広角レンズ。YONGNUO製のミラーレス専用AFレンズとしては「YN85mm F1.8 DF DSM」に次いで2本目で、その後に「YN50mm F1.8 DF DSM」もリリースしています。対応マウントはソニーEマウントから始まり、一時的にキヤノンRFマウントが登場するも現在はディスコン(原因は他社と同じと思われます)。その後にニコンZマウントに対応。

概要
レンズの仕様
マウント Z / E 最短撮影距離 0.35m
フォーマット フルサイズ 最大撮影倍率 0.13倍
焦点距離 35mm フィルター径 52mm
レンズ構成 8群9枚 手ぶれ補正 -
開放絞り F2 テレコン -
最小絞り F16 コーティング 不明
絞り羽根 7枚
サイズ・重量など
サイズ φ67×72mm 防塵防滴 -
重量 295g AF STM
その他 Fnボタン・AF/MFスイッチ・USB-C
付属品
レンズフード

一眼レフ用のAFレンズは他社のコピーっぽい製品が多かったYONGNUOですが、最近のミラーレス用レンズは独自設計と思われます。ミラーレスらしい、自由度の高い設計で8群9枚構成を採用。最短撮影距離は長めで、小さい被写体のクローズアップには不向きです。MTFを見る限りでは周辺部まで安定感のある解像性能を実現。ソニーEマウント版は防塵防滴に非対応ですが、ニコンZマウント版は外装をリニューアルしており、少なくともマウント部に防塵防滴用のシールを採用。

価格のチェック

販売価格は3.5万円前後。HK Yongnuoストアが時々セールを実施しているので、良い機会を見つけることが出来たら3万円以下で入手することも可能できるでしょう。2022年12月現在、セールを除いて安く購入できるのは、楽天市場のアルベックストア。

YN35mm F2 DF DSM Canon RF
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YN35mm F2 DF DSM Sony E
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YN35mm F2 DF DSM Nikon Z
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魅力的な価格ですが、純正レンズや国産レンズメーカー、正規代理店経由の海外製品と異なり、初期不良や不具合発生時に「確実で素早い保証」が得られるかどうか不明。そのあたりを自力で解決できる人向けのレンズと言えるかもしれません。

レンズレビュー

外観・操作性

箱・付属品

白を基調としたデザインの箱にレンズの名前や図がプリントされています。質感は一般的な薄めの段ボールで、TTArtisanのように凝った装飾は施されていませんん。

レンズ本体のほかに、レンズフードと説明書が付属します。

外観

海外の先行レビューでは「プラスチック製の外装」と言われていた本レンズですが、実際に届いた製品を触ってみた限りでは金属外装です。このあたりは安かろう悪かろうを覚悟していただけに、嬉しい誤算でした。ひょっとしたら、金属外装のZマウントをリリースする際にソニーEマウント用も外装に変更があったのでしょうか?どちらにせよ、価格を考慮すると満足のいくクオリティと言えます。
少し高価なサムヤン「AF 35mm F1.8 FE」の非常にプラスチッキーな外装を考えると、遥かに良好な質感。ちなみにフォーカスリングはゴム製です。

コントロールはフォーカスリングの他にカスタマイズ可能なAFLボタンとAF/MFスイッチを搭載。手ごろな価格ながら、コントロールは充実しています。レンズマウント付近にはファームウェアアップデート用のUSB-Cポートを搭載。残念ながらレンズのカスタマイズには対応していません。

ハンズオン

小型軽量ながらしっかりとした質感のレンズです。全長や直径、重量はFE 35mm F1.8とほぼ同じ。どちらも金属外装で、AFLボタンやAF/MFスイッチを搭載しています。YN35mmはロゴと赤リングが少し野暮ったく見えますが、それ以外は良好です。

前玉・後玉

ほぼフラットな前玉の周囲を覆うカバーも金属製。反射しやすい白色の塗装は好ましくありませんが、それ以外で特に大きな問題はありません。フッ素コーティングに対応している記載は見当たらないので、水滴や汚れの付着が想定されるシーンではプロテクトフィルターの装着がおススメです。対応する52mmフィルターを使用するEマウントレンズが少ないので、C-PLやNDフィルターを買いそろえるのは悩ましいところ。

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金属製のレンズマウントは4本のビスで固定されています。マウント付近に耐候性シーリングは見当たりません。

フォーカスリング

ゴム製の幅広いフォーカスリングを搭載。滑らかに回転しますが、抵抗感はほとんどありません。ただし、緩すぎるというほどでもなく、誤操作は少ない。レスポンスは「ノンリニア」で回転速度に応じて移動距離が変化します。素早く回転すると90度程度でピント全域を移動可能。ゆっくり回転すると1回転以上の操作が必要となります。微調整でも滑らかに動作し、ピント位置がジャンプしているような感覚はありません。価格を考慮すると立派な操作性。

スイッチ類

側面にはAFLボタンとAF/MFスイッチを搭載。使いやすく、特筆すべきことはありません。

レンズフード

プラスチック製のレンズフードが付属。レンズの質感と比べるとグレードが低下しますが、内面には反射防止のマットな塗装が施されています。純正メーカーでも内面の反射を抑えていないフードがあることを考慮すると、3万円台の本レンズとしては十分なフードと言えるでしょう。

装着はバヨネット式で、逆さ付けにも対応しています。ただし、逆さ付けの場合はフォーカスリングの操作が難しくなります。

装着例

α7 IVに装着。FE 35mm F1.8と同じく、取り回しの良い準広角レンズとして面白い選択肢になると思います。携帯性が良く、カメラバッグへの収納も容易。一日中の撮影でも苦になることはないでしょう。APS-Cと組み合わせても問題のないサイズ・重量だと思います、

AF・MF

フォーカススピード

このレンズのAFはステッピングモーター駆動で動作します。
サードパーティ製レンズらしく、AF-SとAF-Cでフォーカス速度の違いが顕著。AF-S時は高速とは言えないものの、静止した被写体であれば不満と感じない程度の速度を維持しています。AF-Cでは最短撮影距離から無限遠まで非常に高速。サムヤンAF 35mm F1.8 FEよりもずっと高速で、ソニー純正レンズと比べても顕著な差はありません。

ブリージング

ブリージングとはピント位置によって画角が変化することを指す。画角の変化が大きいと、フォーカシングで画角が広がったり狭くなったりするので気が散ったり、AFが不安定化する原因となる。出来ればフォーカシングブリージングは無い方が良い。
今回はブリージングの影響を確認するために、レンズを最小絞りまで絞り、最短撮影距離と無限遠で撮影した結果が以下の通り。

スライドショーには JavaScript が必要です。

完璧ではありませんが、非常に良好な状態です。動画撮影の滑らかなフォーカス移動で目立つことはほとんど無いでしょう。静止画の高速AFでもあまり目立たないはず。

精度

α7 IVやα7R Vとの組み合わせで、今のところ問題はありません。

MF

ボディ側の自動アシストを利用でき、滑らかで応答性の良いフォーカスリングで快適な操作が可能です。

解像力チャート

撮影環境

テスト環境

  • カメラボディ:ILCE-7RM4
  • 交換レンズ:YN35mm F2S DF DSM
  • パール光学工業株式会社「【HR23348】ISO12233準拠 8K解像力テストチャート(スチルカメラ用)
  • オリンパス HYRes 3.1 解析ソフト
  • 屋内で照明環境が一定
  • 三脚・セルフタイマー10秒・電子シャッター
  • RAW出力
  • ISO 100 固定
  • Adobe Lightroom Classic CCでRAW現像
    ・シャープネス オフ
    ・ノイズリダクション オフ
    ・色収差補正オフ
  • 解析するポイントごとにピントを合わせて撮影
    (像面湾曲は近接で測定が難しいので無限遠時にチェック)
  • 近接でのテストであることに注意(無限遠側はさらに良好となる可能性あり)

補足

今回はRAW出力を元にしてシャープネスをオフの状態で検証。ボディ出力のJPEGやRAW現像でシャープネスを整えるとより数値が向上する可能性あり。今回の数値はあくまでも「最低値」とお考え下さい。

テスト結果

テスト結果

F2から抜群の解像性能とは言えませんが、中央から隅まで安定感のあるパフォーマンスを発揮。接写時に性能が低下しがちなソニーやシグマと比べると良好な結果と言えるでしょう。絞ると性能は徐々に改善し、全体的に優れた結果を得ることが出来ます。

中央

絞り開放から良好と言えば良好ですが、僅かにソフトさが残る描写です。絞った際の改善速度は決して速くありませんが、F5.6付近まで絞ると細部まで良好な結果を得ることができます。

周辺

基本的には中央と同程度のパフォーマンスですが、僅かに倍率色収差の影響を受けています。絞ると僅かに改善するものの、中央ほど細部を解像することはできません。

四隅

35mm F2の近距離解像テストの結果としては非常に良好。前述したように、ソニーやシグマは接写時に周辺部のパフォーマンスが急落するので、比較してYN35mmはよく持ちこたえています。ピント全域で安定感のある解像性能がGood。今回のチャートテストで色収差の補正はオフにしているため、解析ソフトの結果に影響を与えている可能性あり。補正をオンにして解析すると、非常に良好な結果を期待できるはず。ぱっと見は周辺部よりも解像して見えるのはMTF通りと言ったところでしょうか。

数値確認

中央 周辺部 四隅
F2.0 3448 3832 3413
F2.8 3574 3800 3422
F4.0 3597 3795 3966
F5.6 4356 4258 3700
F8.0 4689 4274 3966
F11 4556 4217 3438
F16 3374 3309 3132

実写確認

遠景解像力

テスト環境

  • 撮影日:2022年12月5日 晴れ
  • カメラ:α7R IV
  • 三脚:Leofoto LS-365C
  • 雲台:SUNWAYFOTO GH-PRO II
  • 露出:ISO 100 絞り優先AE
  • RAW:Adobe Lightroom Classic CC
    ・シャープネスオフ
    ・ノイズリダクションオフ
    ・レンズ補正オフ
  • 中央から隅までフレームに入れるために斜め構図で撮影

テスト結果

絞り開放から切れ味抜群の光学性能とは言えませんが、十分にシャープで、隅まで安定感のある解像性能です。絞り開放から十分に実用的な性能で、F5.6前後まで絞るとピークの性能が得られます。隅に倍率色収差の影響が僅かに見られるため、色収差の補正はオンにしておきたいところ。

中央

絞り開放から良好な結果が得られますが、絞ることでコントラストが僅かに改善します。

周辺

絞り開放付近は像面湾曲か残存する非点収差の影響で細部がソフトに見えます。絞ると徐々に安定し、6100万画素のセンサーでも細部までなシャープな結果を得るにはF5.6付近まで絞ったほうが良さそう。

四隅

フレーム隅でも顕著な画質低下は見られません。倍率色収差の影響は否定できませんが、既にF2.8の段階で非常にシャープな結果が得られています。F5.6まで絞ると、3万円の35mm F2とは思えないほどシャープな結果を得ることが可能。少なくともサムヤンのF1.8よりも良好で、ソニーやシグマと比べて遜色ありません。

倍率色収差

倍率色収差とは?

主にフレーム四隅に現れる色ずれを指す。絞り値による改善効果が小さいため、この問題を解決するにはカメラボディでのソフトウェア補正が必要。ただしボディ側の補正機能で比較的簡単に修正できるので、残存していたとして大問題となる可能性は低い。特にミラーレスシステムでは後処理に依存する傾向がある。

参考:Wikipedia 色収差

実写で確認

わずかに倍率色収差が残存しているものの、極端な色ずれはありません。

軸上色収差

軸上色収差とは?

軸上色収差とはピント面の前後に発生する色ずれを指す。ピントの手前側は主にパープルフリンジとして、ピントの奥側でボケにグリーンの不自然な色付きがあれば、その主な原因が軸上色収差と考えられる。簡単な後処理が難しく、できれば光学的に収差を抑えて欲しいところだが、大口径レンズでは完璧に補正できていないことが多い。

軸上色収差を完璧に補正しているレンズはピント面のコントラストが高く、パンチのある解像感を期待できる。

参考:Wikipedia 色収差

実写で確認

低価格の35mm F2レンズとしては良好な補正状態です。F2から目立つ色収差はありません。

前後ボケ

綺麗なボケ・騒がしいボケとは?

ボケの評価は主観的となりがちですが、個人的には「滲むように柔らかくボケる」描写が綺麗と評価し、逆に「急にボケ始めたり、ボケの輪郭が硬い」描写は好ましくない(もしくは個性的な描写)と定義しています。ただし、感じ方は人それぞれなので、ひょっとしたら逆のほうが好ましいという人もいることでしょう。参考までに「滲むボケ」「輪郭の硬いボケ」のサンプルが以下のとおり。

描写傾向の違いは主に球面収差の補正状態によるもの、前後どちらかのボケが柔らかい場合はもう片方のボケが硬くなる傾向があります。

実写で確認

後ボケは滲むような描写である一方、前ボケはやや硬めの描写で、状況によっては少しざわつくボケと感じるかもしれません。「35mm F2」で前ボケが入る機会は少ないと思うので、程よい匙加減のボケ質と言えそうです。

玉ボケ

口径食・球面収差の影響

口径食が強いと、フレーム四隅のボケが楕円状に変形したり、部分的に欠けてしまいます。この問題を解消するには絞りを閉じるしか方法がありません。しかし、絞るとボケが小さくなったり、絞り羽根の形状が見えてしまう場合もあるので状況に応じて口径食を妥協する必要あり。

口径食の影響が少ないと、絞り開放から四隅まで円形に近いボケを得ることが可能。できれば口径食の小さいレンズが好ましいものの、解消するには根本的にレンズサイズを大きくする必要があります。携帯性やコストとのバランスを取る必要があり、どこかで妥協が必要。

球面収差の補正が完璧では無い場合、前後のボケ描写に差が発生します(前後ボケのレビューで示した通り)。この場合はどちらかが滲みを伴う滑らかな描写になり、反対側で2線ボケのような硬い描写となってしまいます。

実写で確認

中央から隅に向かって口径食の影響で玉ボケが変形していることが分かります。F2.8まで絞ると改善しますが、ボケが少し角ばってしまうのが悩ましいところ。口径食とは別に、ボケの縁取りに僅かな色収差も発生しています。これもF2.8まで絞ると改善しますが、フレーム周辺部の倍率色収差による色づきは改善しません。また、玉ボケの内部は非球面レンズの研磨状態に起因すると思われる同心円状のムラが発生。極端に目立つわけではなく、大部分の状況では快適に使用できると思われます。

ボケ実写

至近距離

口径食があるものの、至近距離ではボケが大きく、問題はほとんど目立ちません。周辺部まで滑らかで綺麗なボケが得られます。特に絞る必要性はなさそうに見えますが、絞り全域で良好な結果が得られます。

近距離

撮影距離が長くなった場合でも、広い範囲で滑らかな描写が得られます。このクラス「35mm F2」では隅のボケが荒れるレンズも多く、比較して本レンズは良好な描写を維持しています。

中距離

さらに撮影距離が長くなっても後ボケの大部分は滑らかな状態を維持しています。フレーム周辺部のボケ質が少し気になる場合もありますが、やはり多くの35mm F1.8・F2よりも良好な描写を実現。

ポートレート

全高170cmの三脚を人物に見立て、F2.8の絞り開放を使って撮影した結果が以下の通り。

全身をフレームに入れても多少の後ボケが得られます。ただし、この際のボケは少し騒がしく、少し絞ったほうが良いかもしれません。できれば膝上か上半身くらいまでは近寄りたいところ。上半身からバストアップであれば、良質で適度なサイズのボケを得ることが出来ます。

歪曲収差

歪曲収差とは?

歪曲収差とは、平面上で直線的に写るはずが直線とならずに歪んでしまうことを指す。特に直線が多い人工物や水平線が見えるような場合に目立ちやすい。主に魚眼効果と似た形状の「樽型歪曲」と中央がしぼんで見えてしまう「糸巻き型歪曲」に分かれる。

参考:Wikipedia 歪曲収差

比較的補正が簡単な収差だが、「陣笠状」など特殊な歪みかたをする歪曲は手動での補正が難しい。この場合はレンズに合わせた補正用プロファイルが必要となる。

実写で確認

光学的に良好な補正状態です。直線的な被写体でも追加の補正は必要ないように見えます。

球面収差

前後のボケ質には若干の違いがあります。近距離のボケにも影響しており、滲むように柔らかい後ボケと、やや硬めの前ボケとなっています。

周辺減光

周辺減光とは?

周辺減光とは読んで字のごとく。フレーム周辺部で発生する不自然な光量落ちを指す。中央領域と比べて光量が少なく、フレーム四隅で露出不足となる傾向。主に大口径レンズや広角レンズで強めの減光が発生する。

ソフトウェアで簡単に補正できる現象だが、露出不足を後処理の補正(増感)でカバーするため、ノイズ発生の原因となる点には注意が必要。特に夜景で高感度を使う場合はノイズが強く現れる可能性あり。

最短撮影距離

F2の絞り開放でやや目立ちますが、F2.8まで絞るとほぼ解消します。

無限遠

最短撮影距離も僅かに目立つものの、基本的な傾向は同じ。F2.8で大幅に改善し、F4でほぼ解消します。

コマ収差

コマ収差・非点収差とは?

コマ収差・非点収差とは主にフレーム四隅で点像が点像として写らないことを指す。例えば、夜景の人工灯や星、イルミネーションなど。日中でも木漏れ日など、明るい点光源で影響を受ける場合あり。この問題は後処理が出来ないため、光学的に補正する必要がある。

参考:Wikipedia コマ収差

絞ることで改善するものの、夜景や天体撮影など、シャッタースピードが重要となる状況では絞ることが出来ず、光学的な補正が重要となる。

実写で確認

完璧な補正状態とは言えないものの、F2における点光源の変形はごく僅か。よほど点光源の再現性を重視しなければ十分な補正状態と言えるでしょう。

逆光耐性・光条

中央

中国レンズメーカーの製品は逆光耐性が弱点となる傾向が強いものの、YONGNUOのレンズに大きな問題はありません。強い光源を正面から受けると、いくらかゴーストが発生するものの、これは国内の純正レンズでも起こり得ること。

ほぼ問題ありませんが、絞ると筋状のフレアが僅かに発生します。

光条

F5.6付近で発生するものの、先細りせずに分散するタイプの光条。F11~F16でシャープな結果となりますが、回折の影響とバランスをとる必要があります。

まとめ

良かったところ

ココがおすすめ

  • 手頃な価格(買い方次第では)
  • 小型軽量
  • 操作性のよいフォーカスリング
  • 価格を考慮すると良好なコントロール
  • 絞り開放から均質的な解像性能
  • 色収差の補正状態が良好
  • 滑らかな後ボケで隅まで良好
  • 歪曲収差の補正状態が良好
  • まずまず良好な逆光耐性
  • 綺麗な光条

安い時は3万円前半で入手できるレンズですが、きちんと使える良好な光学性能の35mm F2です。適度に良好な解像性能は隅まで大きな低下がなく、色収差など収差もきちんと補正されています。逆光耐性や周辺減光にも致命的な問題が見られず「これがあるから買わない」という理由を見つけにくい。

コストパフォーマンスのみならず、ソニー純正のFE 35mm F1.8と比べても安定感なる良好な描写。もしも価格が同等だったとしても、私なら描写性能でYONGNUOを選びます。

悪かったところ

ココに注意

  • 防塵防滴非対応
  • 接写時の絞り開放で解像性能が伸び悩む
  • F2で周辺減光が目立つ
  • 玉ボケに同心円状のムラが目立つ
  • サードパーティ製
  • 最短撮影距離が長い

この価格帯としては妥協できる欠点が多いものの、敢えて挙げるならば「玉ボケの同心円状のムラ」「社外製の(おそらく)リバースエンジニアリングなレンズ」であること。カメラとの完全な互換性があるとは言えないため、YONGNUOが公開しているファームウェアを適用する必要があるかもしれません。

総合評価

満足度は95点。
いくつか挙げた欠点を考慮しても、購入を検討する価値のあるレンズ。現在は少し値上がり気味ですが、それでもセールなどのタイミングで安く購入することが可能。光学性能は「FE 35mm F1.8」よりも安定感があり、接写時でも四隅が極端に低下しない点がGood。ボケも玉ねぎボケ以外は全体的に良好で、逆光耐性や周辺減光も問題なし。敢えて言えばリバースエンジニアリングのAFレンズであること、アフターサービスを期待できる代理店が国内に無い点に注意が必要。壊れたら買い換えるくらいの気持ちで購入するのがおススメ。既に3年使っていますが、今のところ問題なし。(ただし、ニコンZ用 YN50mm F1.8Zは動作不良でお蔵入り。手持ちのYONGNUOレンズ3本中1本が故障)

購入を悩んでいる人

リバースエンジニアリングである点が気にならない場合、YONGNUOほど価格と光学性能が良くまとまった「35mm F1.8 / F2」はありません。多少高価でも構わない場合に考えられる選択肢は以下の通り。

FE 35mm F1.8

ソニー純正品として、互換性の観点からベストの選択肢。おまけに高速AFや最短撮影距離の短さ、絞った際の解像性能が良好。その一方で35mm F1.8としてはやや高く、絞り開放付近におけるコマ収差や周辺減光などがウィークポイント。価格はYONGNUOの2倍ほど。

35mm F2 DG DN

販売価格はソニーと同程度で、決して安価な選択肢ではありません。ただし、総金属製のしっかりとした鏡筒や、操作性の良い絞りリング、接写以外では良好な解像性能となっています。ソニー純正と比べてコマ収差が良く抑えられています。

SAMYANG AF 35mm F1.8

YONGNUOと同程度の販売価格で光学性能も良好。ただし、倍率色収差や軸上色収差やYONGNUOよりも目立ち、ボケやコマ収差の補正状態も若干悪い。さらにプラスチッキーな外装はYONGNUOよりも大幅に見劣ります。もしもYONGNUOとサムヤンで悩んでいるのであれば、個人的にはYONGNUOがおススメ、

購入早見表

作例

オリジナルデータはFlickrにて公開

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