Optical Limitsがタムロン「24mm F/2.8 Di III OSD M1:2 Model F051」のレビューを公開。非常にシャープながら大きな歪曲収差や遅めのAF速度を指摘。優位性が僅かとしつつも、低価格のレンズであることを評価。
Optical Limits:Tamron 24mm f/2.8 Di III OSD M1:2 - Lab Test / Review
レンズの紹介:
- ストリートフォトなどに適した広角レンズだ。
- 光学設計とレンズ名以外で同シリーズの他2本と区別することは出来ない。
- 約250米ドルであり、市場で最も手ごろ単焦点レンズの一つである。
ビルドクオリティ:
- レンズマウントは金属製だ。
- 平均的なクオリティのプラスチック製外装だが、この価格帯のレンズにプログレードのビルドクオリティは期待できない。
- 防塵防滴用のシーリングが施されている。
- 35mm F2.8 OSDのレンズフードと異なり、このレンズは花形レンズフードを採用している。これは20mm F2.8 OSDと同じものだ。
- 絞りの安っぽい動作音が聞こえる。
携帯性:
- フォーカシングにより全長の変化は無いが、外装の内部でレンズが前後している。これがレンズ全長が少し長い理由である。
操作性:
- フォーカスリングは滑らかに回転するが、安っぽさを感じる。
オートフォーカス:
- レンズ繰り出し式フォーカスを採用している。
- フォーカス速度は遅い方だが、少なくともノイズは無い。
- 0.5倍の撮影倍率に対応しているのは特徴的だ。
マニュアルフォーカス:
- フォーカスバイワイヤで動作する。
手ぶれ補正:
- 手ぶれ補正は搭載していない。
解像性能:
- 35mm F2.8 OSDと同じく優れたシャープネスのレンズだ。
- 中央はF2.8から優れた性能であり、テスト機の4200万画素をカバーする解像性能を上回っている。
- 中央付近は中央よりも少し悪いが非常に良好だ。周辺もかなり良く、絞ると全体的に少し改善する。
- F8から回折が始めるが、F11まで実用的だ。
- 歪曲収差を自動補正すると隅が僅かにソフトになると思われる。
像面湾曲:
- テストした個体の偏心状態は良好で、像面湾曲は問題とならなかった。
ボケ:
- 玉ボケの内側は少し騒がしいが、広角レンズとしては平均よりも良好だ。フレーム端ではボケの少し縁取りが見られる。
- 玉ボケはF4まで円形を維持しているが、F5.6以降は7枚羽根の絞りの形状が目立つようになる。
- 口径食は広い範囲で問題無いが、隅では明らかに影響を受ける。F4?F5.6で改善するが、F5.6まで絞ると絞り羽根の角張のほうが目立つようになる。
色収差:
- 倍率色収差はとても少ない。
球面収差:
- 記載なし。
歪曲収差:
- 35mm F2.8 OSDと異なり、歪曲収差がかなり大きい。
- 歪曲収差は5%を超えおり、自動補正無しでの使用はおススメできない。
- ボディの自動補正が有効だが、隅の解像性能に影響を及ぼす。
周辺減光:
- 光量落ちは平均よりも少し悪い。
- F2.8で-2.6EVと重く、絞るとF8で1.5EVまで低下するが、我々の見解としては少し重すぎる。
- 自動補正を適用した上でF4まで絞ると許容範囲内となる。
コマ収差:
- 記載なし。
逆光耐性:
- 記載なし。
作例集(シドニーがロックダウン中のため作例なし)
競合レンズと比べて
- 24mmの選択肢は多い。サムヤン「AF 24mm f/2.8 FE」やシグマ「24mm F3.5 DG DN」などが存在する。
- サムヤンは明らかにサイズが小さく、シグマは明らかにビルドクオリティが良好だ。ただし、光学性能の違いはそれほど目立たないと思われる。
総評
35mm F2.8 OSDで見てきた光学性能には少し及ばないものの、非常にシャープなレンズだ。中央部の画質はとても優れている。周辺画質はF2.8でも弱くないが、絞ってもエキサイティングな結果にはならない。
ただし、注意点がある。樽型の大きな歪曲収差を自動補正すると、隅の画質が低下する。詳細は20mm F2.8 OSDのレビューで説明する。角が少しソフトになるとはいえ、このレンズは周辺画質を維持するのに十分なポテンシャルを持っている。色収差は非常に少なく、RAWでも通常は問題にならない。周辺減光は自動補正を有効にしない限り目立つ。大口径単焦点レンズではないが、近距離での被写体分離はそこそこ達成でき、玉ボケの描写は、中程度の広角単焦点レンズとしてはまともなものだ。
ビルドクオリティは価格相応だ。コンシューマー向けレンズなので、この点で素晴らしいものを期待してはいけない。プラスチック外装に問題はないが、どちらかというと平凡な感じがする。オートフォーカスも遅い。プラスの面として、ある程度の耐候性を備えており、最大0.5倍のクローズアップ機能もありがたい。
タムロン「24mm F2.8 Di III OSD M1:2」は、まずまずのレンズではあるが、「誰も聞いていない質問に対する答え(訳注:直訳です)」という感じがする。ほとんどの標準ズームレンズは24mmの設定をカバーしており、レンズの明るさと光学性能の優位性はわずかか、あるいは存在しないかのどちらかだ。しかし…安いのである。
とのこと。
防塵防滴仕様や良好なシャープネス、0.5倍のクローズアップ性能を評価しつつ、大きな歪曲収差や遅めのAF速度が価格相応の仕上がりとなっている模様。確かに歪曲収差が大きめで、自動補正による影響がありそうですね。ただし、24mm小型単焦点はどれも歪曲収差を自動補正に依存する傾向があります(この点ではソニーが最も目立ち・シグマが中程度の糸巻き型、サムヤンが良好な補正状態)
解像性能のテスト結果は私が購入した個体と同じような傾向を示しているようです。もともとクローズアップ性能の高いレンズであり、解像力チャートを使ったテストとの相性も良好となる模様。(24mmの広角レンズは周辺や隅が低下しやすい)ただし、歪曲収差の補正が画質に影響するのは避けられないので注意が必要です。オートフォーカスは確かに遅いですが、「AF-C」を使えばまずまず良好なフォーカス速度で利用可能。
手ごろな価格でシャープで防塵防滴な24mmレンズを探しているのであれば面白い選択肢となるかもしれません。明るさが必要であればサムヤン「AF 24mm F1.8 FE」を、ビルドクオリティを重視するのであればソニー「FE 24mm F2.8 G」やシグマ「24mm F3.5 DG DN」と言ったところでしょうか。
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