Phototrendがソニー「FE 20-70mm F4 G」のレビューを公開。他のサイトと同じく歪曲収差を指摘していますが、その他は良好な光学性能で、さらに機能や操作性が優れていると評価。高価ながらおススメできるレンズとのこと。
Phototrend:Test Sony FE 20-70 mm f/4 G, le zoom transstandard qui voit plus large
(基本的なスペックなどの紹介は割愛しています)
外観・構造:
- ビルドクオリティと仕上げは優れている。
携帯性:
- 重心に偏りはなく、フロントヘビーではない。ジンバルで撮影するビデオグラファーには、特に興味深いポイントだ。
- 全長は9.9cm、最大径が7.8cmだ。ズームでさらに4cm伸びる。
- 付属のレンズフードを装着すると、さらに3.1cm伸びる。
- ソニー「FE 24-105mm F4 G OSS」よりもコンパクトなレンズだ。
- シグマ「28-70mm F2.8 DG DN」やタムロン「28-75mm F2.8 Di III VXD G2」は、さらにコンパクトで、しかもF2.8で撮影できる。
操作性:
- ズームリングは最適化されてる。硬すぎず、柔らかすぎず、焦点距離の調整が容易にできる。
- ズームリングは回転範囲が短いので、素早く操作が可能だ。
- また、フォーカスリングは特に使い心地がよい。バイワイヤだが滑らかに動作する。
- その他の操作も充実している。AF/MFスイッチをはじめ、絞りリングのロックやクリックの解除が可能だ。さらに、カスタマイズ可能な2つのボタンを搭載している。
フォーカス:
- XDリニアを使ったAFは非常に高速。瞬間的にピントが合う中毒性のあるAF性能だ。
- とても静かに動作するので、駆動音は動画撮影でも全く聞こえない。
- 最短撮影距離は広角側で30cm、望遠側で25cmだ。焦点距離を考えると、非常に面白いクリエイティブな撮影が可能となる。
- MFではズーム全域で最短撮影距離が25cmに短縮される。
- フォーカスブリージングがよく抑えられている。
手ぶれ補正:
- 他のF4ズームと異なり光学手振れ補正は非搭載だ。
解像性能:
- 光学性能は素晴らしい。どの焦点距離でも、絞り開放からシャープな印象が強い。
- FE 24-70mm F2.8 GM IIやFE 70-200mm F2.8 GM OSS IIのように高解像である。
- 6100万画素のみならず、2.4億画素のハイレゾ撮影にも耐えうる性能だ。
- 広角側(20mm)での性能が非常に良好だ。中央がとてもシャープだが、フレーム端も非常に良好である。
- 24mmで同じ結果だ。際立った解像性能である。
- 中間域の焦点距離(30mmから50mm)では、優れた均質性の結果が得られる。絞り開放(F4)から、中心部も周辺部も申し分のない。1?2段絞ることで、非常に高いレベルの性能を発揮する。
- わずかな弱点を見せるのは望遠側だ。55mmから70mmの間では、細部の描写がやや劣る。絞ってもあまり改善しない。決して悪い結果ではないものの、20mmから50mmにかけてのレンズの優れた性能と比べると見劣りする。
像面湾曲:
- 記載なし。
ボケ:
- F2.8のレンズほど大きなボケを得ることはできないが、ボケ味はとても心地よい。
- 全体として、ポートレートやクローズアップのクオリティには非常に満足している。
- 9枚羽根の円形絞りの採用により、非常に丸い泡を得ることができる。
- 気難しい人なら玉ねぎボケを指摘するかもしれないが目立つほどではない。
色収差:
- 色収差の影響はほとんどない。
球面収差:
- 記載なし。
歪曲収差:
- ボディ内の補正で歪曲収差は完璧に補正される。
- 補正プロファイルに対応していないソフトウェアでRAWファイルを開くと、樽型の歪みが非常に大きく、陣笠状に歪んでいるので、後処理で修正するのは非常に困難だ。
- さらに、無補正の場合は20mmの四隅がケラレている。
- 45mm以上では目立つ糸巻き型の歪曲が発生する。
- 自動補正では(曲線がまっすぐになるのに加えて)かなりトリミングされる。同じように歪みを処理したソニーFE PZ 16-35mm F4 Gを彷彿とさせる点だ。
周辺減光:
- 20mmの隅は絞っても完全には解消しない。
- 70mmでの影響はほとんどない。
コマ収差:
- 記載なし。
逆光耐性:
- 逆光耐性は良好だ。
- 太陽に対して少し角度をつけても、ゴーストはよく抑えられている。コントラストの低下も非常に小さい。
- 光条は発生するが、かなり控えめだ。
総評
F2.8の大口径ズームだと良かったが、開放F値を抑えることでレンズのサイズや重量を抑えている。その差を補うだけの柔らかいボケや高性能なAFが魅力的だ。ビデオグラファーならば、無段階操作の絞りリングや、AFの精度、フォーカスブリージングを抑えた設計である点で優れたレンズであることが分かると思う。
画質に関しては、特に満足のいくもので、絞り開放から隅まで良好な結果を得ることができる。収差の補正は良好だが、歪曲収差は後処理に依存している、レンズ補正は解除しない方が良いだろう。
高価なF4ズームだが、あらゆる状況で優れた相棒となる高性能レンズだ。迷うことなくこの製品をお勧めする。
- 長所:
・優れたビルドクオリティ
・広角側の良好な解像性能
・G Masterのようなレンズ
・効果的なAF
・フォーカスブリージングが抑えられている- 短所:
・F4
・望遠端でわずかに性能低下
・歪曲収差
とのこと。
24-70mm F4 ZAよりも少し大きめですが、広角20mm始まりの便利で珍しい標準ズームレンズ。数年前から、このようなレンズが徐々に登場し始めていますが、望遠端が70mmまでカバーしているズームレンズはソニーが初めて。手振れ補正こそ搭載していないものの、XDリニアによる快適なフォーカスや、0.4倍に近い高い撮影倍率が得られるのが魅力的。
他のレビューサイトでも指摘しているように、歪曲収差は補正必須で、特に社外製現像ソフトはそれぞれレンズプロファイルの対応を待たないとRAW現像が難しい点には注意が必要のようです。後処理で簡単に補正できる収差はソフトウェアに任せ、光学的に補正が必要な部分はしっかりとしている模様。特に解像性能はLenstipの評価と同じく、とても良好な結果が期待できるとのこと。
EマウントのF4ズームとしては最も高価なレンズですが、自身が常用する焦点距離と合致するのであれば、光学性能や操作・機能性に見合った価格と感じるかもしれません。ちなみに私もこのレンズを予約しているので、手元に届き次第α7R Vと組み合わせて使ってみたいと思います。
FE 20-70mm F4 G | |||
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レンズの仕様
レンズの仕様 | |||
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発売日 | 2023年2月10日 | 初値 | 166,320?円 |
マウント | E | 最短撮影距離 | 0.3-0.25m |
フォーマット | フルサイズ | 最大撮影倍率 | 0.39倍 |
焦点距離 | 20-70mm | フィルター径 | 72mm |
レンズ構成 | 13群16枚 | 手ぶれ補正 | - |
開放絞り | F4 | テレコン | - |
最小絞り | F22 | コーティング | フッ素 |
絞り羽根 | 9枚 | ||
サイズ・重量など | |||
サイズ | φ78.7×99mm | 防塵防滴 | 対応 |
重量 | 488g | AF | XDリニア |
その他 | 絞りリング・絞りロック | ||
付属品 | |||
レンズフード |
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