Amateur Photographerがソニー「FE 50mm F1.2 GM」のレビューを公開。「全てのカテゴリでほぼ完璧なレンズ」と評価し、ソニーが優れたレンズメーカーとなったことを示すレンズであると言及しています。
Amateur Photographer:SONY FE 50MM F1.2 GM REVIEW
レンズの紹介:
- 2016年にソニーはツアイスブランドの「FE 50mm F1.4 ZA」を発売した。このレンズは素晴らしい画質に圧倒された一方で、当時のソニーレンズらしく過剰なサイズアップと重量増には嘆かずにはいられなかった。
- 2018年にキヤノンやニコンがフルサイズミラーレス市場へ参入し、Eマウントよりも大きな直径のマウントを強調した。そして、どちらもマウントの優位性を示すためにソニーに先駆けてF1.2レンズを投入。
- これを受けてソニーの反撃が始まる。「EマウントはF1.4以上を実現できない」というイメージを払拭するべく、キヤノンやニコンよりも小型軽量、そして低価格なF1.2レンズを実現した。実際、レンズサイズはFE 50mm F1.4 ZAとほぼ同じだ。
- 価格は2100ポンドとZAレンズよりも高いが、競合他社のレンズと比べると200?300ポンド安い。
ビルドクオリティ:
- 手にして真っ先に気が付くのは、最近よく見かけるようになった凹状の前玉だ。さらに3枚のXAレンズを採用した10群14枚のレンズ構成で光学収差を最小限に抑えている。
- 比較的スリムなレンズサイズに合わせて、フィルターは72mmに対応している。これはキヤノンやニコンのレンズよりも小さなフィルター径だ。
- バヨネットタイプの頑丈なプラスチック製レンズフードが付属する。内部は黒色のフェルト生地で覆われ、先端には保護用のリムを備え、装着時はロックボタンで固定されている。逆さ付けも可能だ。
- 最近のGM・Gシリーズと同じレイアウトを採用しており、操作性は本当に良好だ。
携帯性:
- 筐体は比較的軽量なエンジニアリングプラスチックを使用しているので、α7R IVと組み合わせた時のバランスは良好だ。ただし、グリップの小さい古いカメラではフロントヘビーとなる。
操作性:
- 絞りリングで1/3段刻みで絞り値の調整が可能だ。動画撮影時にはリングをクリックレスへ切り替えることが出来る。F16を超えるとカメラ側で制御できる「A」ポジションに設定可能だ。
- 左手で操作しやすいように2つのボタンが配置されている。これは横位置用と縦位置用のボタンだ。初期設定ではAF停止だが、ボディ側でカスタマイズ可能だ。押すとクリック音がするので動画撮影には適していない。
- 大きなフォーカスリングはハードストップなしで滑らかに回転する。電子制御式だが、リニアな応答性で完璧なフォーカシングが可能だ。
オートフォーカス:
- 大口径レンズは必然的に大きく重いフォーカスレンズを動かす必要がある。このため、従来はAFが遅くなってしまうことが多かった。
- しかし、このレンズは4基のXDリニアモーターを使用して驚くほど軽快なAFを実現している。しかも実質的に無音だ。
- F1.2の浅い被写界深度ながら安定した精度のシャープネスを得られた。ただし、細かい被写体を撮影する際に背景にピントが合ってしまうことがある。
マニュアルフォーカス:
- 記載なし。
手ぶれ補正:
- 記載なし。
解像性能:
- 6100万画素のα7R IVと組み合わせてもF1.2から中央は際立つシャープネスを実現している。当然、四隅はそれほどではないが、低コントラストながら細部のシャープネスは十分だ。
- 信じられないことに、F1.4まで絞ると驚くようなシャープネスが中央に現れる。
- 四隅はF4でピークに達し、F11までフレーム全体で最高の結果を得ることが可能だ。
- F16で僅かな回折の影響が見られるものの、結果はF1.2と同程度のディテールとなる。
像面湾曲:
- 記載なし。
ボケ:
- XAレンズは極めて高い精度で研磨されており、玉ボケに現れる「玉ねぎ」現象を解消している。
- 11枚絞りで円形絞りを実現しており、大口径レンズの魅力的なボケを実現している。
- F1.2では驚くほど浅い被写界深度を得ることができる。そして絵画のように美しいボケが得られる。
- 絞っても後ボケは魅力的な描写を維持しており、ボケの縁が硬くなることは無い。
色収差:
- ボディの補正をオフにすると、フレーム四隅のコントラストが高い領域で色収差が発生している。しかし、補正で簡単に修正できるので気にする必要は無いだろう。
- 軸上色収差も特に気になる量ではない。
球面収差:
- 記載なし。
歪曲収差:
- 糸巻き型の歪曲収差が僅かに見られる。
- 補正するには特定のプロファイルが必要だ。
周辺減光:
- このレンズで本当に問題となるのはここだけだ。
- F1.2で四隅が2.3段ほど暗くなる。
- 絞るにつれて改善し、F2.8で1段分まで改善する。
- 光量落ちは徐々に強くなるので、視覚的に不快な印象はない。
- 補正オンの場合はF1.2で1.3段ほど、F2.8以降ならば0.5段ほどと気にならない。
コマ収差:
- 記載なし。
逆光耐性:
- フレア・ゴースト対策としてナノARコーティング IIを採用している。
- 大口径レンズでしばしば問題となるフレアの影響はない。
- 小絞りの光条は少し分散して見える。この辺りを気にする場合は他の風景用レンズを選ぶべきだろう。
総評
ソニーと言えば画期的なテクノロジーを搭載したハイスペックなカメラメーカーを作るエレクトロニクス企業というイメージがある。しかしそれは、ソニーがどれほど優れたレンズメーカーであるか見落としている。FE 50mm F1.2 GMが示しているように、ハイエンドの光学系は非常に優れてたものであり、競合他社に匹敵するものだ。
このレンズは全てのカテゴリでほぼ完璧なスコアを実現している。感動的なシャープネスと美しいボケが組み合わさり、同時に高速で信頼性の高い静かなAFを利用することが可能だ。さらに充実したコントロールで撮影するのが楽しく、レンズサイズは大きくてかさばることが無い。
2100ポンドの価格はプロフェッショナルの道具と言える値付けだ。被写界深度の浅い美しいボケを活かしたポートレート写真家にとって、完璧に近い結果を得られるだろう。特にウェディングフォトグラファーに最適だ。
そして、競合他社よりも小型軽量かつ低価格で、このように優れた性能を実現したことはさらなる喜びだ。
- 長所:
・F1.2でさえ際立つシャープネス
・最小限の色収差
・高速かつ静かなAF
・優れたビルドクオリティと操作性- 短所:
・絞り開放で中程度の光量落ち
とのこと。
多くのレビューサイトで高評価を得ているソニー初のF1.2レンズですね。F1.4レンズよりも半段ほど明るいレンズですが、サイズはFE 50mm F1.4 ZAとほぼ同じに抑えられています。高い光学性能を維持しつつ、競合他社と比べて小型軽量に仕上がっているのは凄いですね。
他社と異なり、EDレンズを1枚も使用していないにも関わらず色収差を良好に補正しているのは面白いですね。加工の難しいEDレンズを使用しないことで歩留まりを上げ、他社と比べて価格を抑えることに成功しているのでしょうか。
さらにこのレンズは2つのAFユニットを動作させるフローティング構造を採用しています。接写時の収差変動を抑えると同時にAFの高速化を実現している模様。Amateur Photographerでは動作時の動画を公開していませんが、他のレビューサイトの動作状況を確認する限りではとても快適なAFに見えます。
ソニー製の50mm単焦点レンズとしては最も高価なモデルとなりましたが、競合他社と比べるとまだ安く、性能を考慮すると適切な価格設定に見えます。防塵防滴・高速AFの大口径50mmを探している場合も貴重な選択肢となりそうです。
ソニー「FE 50mm F1.2 GM」交換レンズデータベース
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- TTArtisan 50mm f/1.4 ASPH
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50mmレンズ比較
50GM | 50ZA | 55ZA | 無印 | |
構成 (群-枚) |
10-14 | 9-12 | 5-7 | 5-6 |
絞り | 11 | 11 | 9 | 7 |
開放F値 | 1.2 | 1.4 | 1.8 | 1.8 |
最小F値 | 16 | 16 | 22 | 22 |
最短距離 | 0.4 | 0.45 | 0.5 | 0.45 |
最大倍率 | 0.17 | 0.15 | 0.14 | 0.14 |
フィルタ | 72 | 72 | 49 | 49 |
サイズ | 87.0 108 |
83.5 108 |
64.4 70.5 |
68.6 59.5 |
重量 | 778 | 778 | 281 | 186 |
防塵防滴 | 配慮 | - | 配慮 | - |
絞り環 | あり | あり | なし | なし |
AFL | あり | なし | なし | なし |
コート | ナノAR2 | T* | T* | 不明 |
AF | XD Liner | RSSM | Liner | DC |
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