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パナソニック「LUMIX G 42.5mm F1.7 O.I.S.」レンズレビュー 近距離解像編

パナソニック「LUMIX G 42.5mm/F1.7 ASPH./POWER O.I.S.」のレビュー第三弾を公開。今回はいつもの解像力チャートを使い、近距離におけるレンズの解像力を解析ソフトで測定してチェックしました。

LUMIX G 42.5mm/F1.7 ASPH./POWER O.I.S.のレビュー一覧

まえがき

2015年に登場したパナソニック製の中望遠単焦点レンズ。
小型軽量ながら光学手ぶれ補正を内蔵。そしてF1.7と明るく、0.2倍の撮影倍率(35mm判換算で0.4倍)と使いやすい接写性能を備えている。光学性能の評価も高く、手ごろな価格帯のレンズであることから購入を検討している人も多いはず。
競合レンズは「M.ZUIKO DIGITAL 45mm F1.8」「56mm F1.4 DC DN」「LEICA DG NOCTICRON 42.5mm/F1.2 ASPH./POWER O.I.S.」「Voigtländer NOKTON 42.5mm F0.95」などなど、より安価・より大口径な選択肢が多く存在。しかしながらLUMIX 42.5mm F1.7は「手ぶれ補正を内蔵した接写に強い低価格な中望遠レンズ」として非常に説得力のあるレンズ。
特にLUMIX GF・GMなどボディ内手ぶれ補正を搭載していない古いLUMIX機との相性が良好。さらに「Dual.I.S」に対応しているため、最新LUMIXボディでも恩恵を受けることができるカメラが多い。

概要
レンズの仕様
マウント MFT 最短撮影距離 0.31m
フォーマット 4/3 最大撮影倍率 0.2倍
焦点距離 42.5mm フィルター径 37mm
レンズ構成 8群10枚 手ぶれ補正 搭載
開放絞り F1.7 テレコン -
最小絞り F22 コーティング 不明
絞り羽根 7枚
サイズ・重量など
サイズ φ55×50mm 防塵防滴 -
重量 130g AF STM
その他 Dual.I.S対応
付属品
キャップ・フード・デコリング・ポーチ

価格のチェック

新品で2万円後半、中古で2万円前後。このクラスとしては比較的高価ではあるものの、競合レンズには存在しない光学手ぶれ補正が強みとなり、さらに接写性能の高さも魅力的。

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解像力チャート

撮影環境

テスト環境

  • カメラボディ:OM-D E-M1X
  • 交換レンズ:LUMIX G 42.5mm/F1.7 ASPH./POWER O.I.S.
  • パール光学工業株式会社「【HR23348】ISO12233準拠 8K解像力テストチャート(スチルカメラ用)
  • オリンパス HYRes 3.1 解析ソフト
  • 屋内で照明環境が一定
  • 三脚・セルフタイマー10秒・電子シャッター
  • RAW出力
  • ISO 200 固定
  • Adobe Lightroom Classic CCでRAW現像
    ・シャープネス オフ
    ・ノイズリダクション オフ
    ・色収差補正オフ
    ・格納されたレンズプロファイル(外せない)
  • 解析するポイントごとにピントを合わせて撮影
    (像面湾曲は近接で測定が難しいので無限遠時にチェックしています)
  • 近接でのテストであることに注意(無限遠側はさらに良好となる可能性あり)

補足

今回はRAW出力を元にしてシャープネスをオフの状態で検証しています。ボディ出力のJPEGやRAW現像でシャープネスを整えるとより数値が向上する可能性があります。今回の数値はあくまでも「最低値」とお考え下さい。

テスト結果

中央

絞り開放から良好な解像性能だが、実写を確認してみると軸上色収差による色づきとコントラストの低下が目に付く。これは絞ることで改善し、F4~F5.6まで絞るとハイエンド望遠ズームに匹敵する解像性能を発揮。
F8から回折の影響で徐々に解像性能は低下するものの、F11でもF2.8と同等の良好な性能を維持している。しかし、F16~F22は回折の影響が非常に強くなるので避けたい絞り値。被写界深度優先ならばF16は許容範囲内と感じるかもしれない。

周辺

周辺部は中央と比べて解像性能が少し低下するものの、F2以降は中央との画質差が解消し、良好な画質を維持している。やはりF4~F5.6まで絞るとハイエンドズームに匹敵する解像性能となる。
折り返し地点はやはりF5.6?F8で、以降は回折の影響で徐々に性能が低下する。許容範囲はF11までで、F16?F22は本当な時以外は使いたくない。

四隅の絞り開放はさらに解像性能が低下するものの、非点収差など像面の乱れは少なく、開放から安定した画質を維持しているように見える。絞っても中央や周辺と比べて少し低画質だが、ハッキリと区別できるような違いではなく、ピークのF5.6における数値は「3000本」に近い立派な解像性能となる。
先行してテストした「M.ZUIKO DIGITAL ED 40-150mm F2.8 PRO」のF2.8と比べて周辺部や四隅は比較的良好。ただし、単焦点レンズとして大きな優位性があるとまでは言えない。その辺りはサイズとトレードオフになっている印象あり。

数値確認

F値 中央 周辺部 四隅
F1.7 2495 2112 2008
F2.0 2331 2222 1981
F2.8 2741 2629 2224
F4 3162 3015 2629
F5.6 3440 3207 2960
F8 3042 3097 2824
F11 2687 2710 2683
F16 2224 2278 2278
F22 1738 1811 1765

実写確認

前述したように絞り開放では軸上色収差の影響が目に付く。これはF2.8までに解消するので、色収差が目立つ場合は絞り値とバランスを取りながら調整すると良いでしょう。

ハイレゾショット

中央

絞り開放の数値は伸び悩んでいるものの、実写を確認してみると細部までしっかりと解像していることが分かる。ただし、軸上色収差によりコントラストが低下しており、これが解析ソフトに影響をあたえているのだと思われる。色収差が残存するF2付近まではパフォーマンスが伸び悩むものの、色収差が収まるF2.8から数値がグッと高くなっていることが分かる。最終的にF4まで絞れば細部の色収差が完璧に抑えられ、シャープネス・コントラストがピークの状態となる。

F5.6以降は回折の影響を受けるので、解像性能でベストを尽くしたいのであればF4?F5.6に抑えるのが良し。

周辺

色収差の傾向は中央と同じだが、中央と比べると僅かに倍率色収差が発生しているのが分かる。さらに非点収差のような像の甘さもあり、中央と比べて若干甘い画質。これは数値にも表れており、中央と比べるとワンランク低い結果となっている。それでもF4?F5.6まで絞ると4000前後の非常に良好なパフォーマンスを得ることが可能。

周辺と比べるとさらに甘く、特に絞り開放は倍率色収差と非点収差の影響で像面が安定していない。テスト結果からも分かるように、絞り開放付近は解析ソフトで測定不可能。少なくとも像が安定するF2.8までは絞りたい。以降も画質は徐々に安定し、最終的にF5.6?F8でピークを迎える。

数値確認

F値 中央 周辺部 四隅
F1.7 2984 2561
F2.0 3001 2696
F2.8 3749 2730 2895
F4 4479 3758 3330
F5.6 4729 4043 3840
F8 4080 4000 3785

今回のおさらい

軸上色収差の影響を除けば、絞り開放から非常にシャープな中央解像と、そこそこ安定した隅の画質は評価できる。近距離解像テストながら、中央から隅までのパフォーマンスの均質性が高いのは中望遠レンズらしい。
2000万画素センサーのカメラで使うぶんには解像性能に弱点は見られない。わずか3万円のレンズ(それでも手ぶれ補正搭載で)でこのパフォーマンスを実現しているパナソニックには拍手喝采。

ハイレゾショットの結果は遠景解像テストと比べると少し見劣りするものの、重要な中央?周辺のパフォーマンスは1?2段絞れば8000万画素相当の解像性能を十分に活かせるものと思われる。隅まで均質なパフォーマンスを得るためにはF4?F5.6までしっかりと絞りたい。

フルサイズ換算で0.4倍の高いクローズアップ性能を備えたF1.7の小型軽量な単焦点レンズ。その接写性能は伊達では無く、十分に実用的な光学性能を維持していると思われる。マイクロフォーサーズユーザーに強くおススメできる一本。

購入早見表

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作例

オリジナルデータはFlickrにて公開

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