ニコン「NIKKOR Z 24-120mm f/4 S」のレビュー第二弾を公開。今回は恒例の撮影ポイントから遠景の風景写真をもとに解像性能をチェックしています。
NIKKOR Z 24-120mm f/4 Sのレビュー一覧
- NIKKOR Z 24-120mm f/4 S 徹底レビュー完全版
- NIKKOR Z 24-120mm f/4 S レビュー Vol.8 諸収差編
- ニコン・キヤノン・ソニーのF4標準ズーム徹底比較 Vol.7 逆光編その2
- NIKKOR Z 24-120mm f/4 S レビュー Vol.7 逆光・周辺減光編
- ニコン・キヤノン・ソニーのF4標準ズーム徹底比較 Vol.6 外観・AF・手ぶれ補正編
- ニコン・キヤノン・ソニーのF4標準ズーム徹底比較 Vol.5 歪曲収差編
- ニコン・キヤノン・ソニーのF4標準ズーム徹底比較 Vol.4 逆光編
- NIKKOR Z 24-120mm f/4 S レビュー Vol.6 ボケ編
- ニコン・キヤノン・ソニーのF4標準ズーム徹底比較 Vol.3 微ボケ編
- ニコン・キヤノン・ソニーのF4標準ズーム徹底比較 Vol.2 遠景解像編
遠景解像力
テスト環境
- カメラ:Z 7
- 三脚:Leofoto LS-365C
- 雲台:Leofoto G4
- 露出:絞り優先AE
- RAW:Adobe Lightroom Classic CCで現像
・シャープネスオフ
24mm
中央
絞り開放から非常にシャープであり、ピークと言っても過言ではない。このため、絞ることによる解像性能の改善は期待できず、回折の影響が出始めるF11まで一貫して高解像を維持している。以降は性能が低下するものの、F16はまだ実用的な性能だ。F22まで絞るとかなりソフトとなるので出来れば避けたい。
周辺
中央と同じく絞り開放から非常にシャープだ。絞りによる改善はほとんど見当たらず、ピークの性能をF10まで維持している。
隅
絞り開放は中央や周辺部と比べるとソフトな画質でコントラストも低い。絞っても顕著な改善は期待できないが、F8前後でピークの画質となる。この際は十分シャープで、細部のコントラストも良好となる。
28mm
中央
基本的に24mmと同じ。絞り開放から非常に良好なピークの性能を発揮しており、絞りによる改善は期待できない。F10までパフォーマンスを維持し、以降は回折による画質の低下が見られる。
周辺
中央と比べると僅かに画質が低下しているようにも見えるが、ほとんど同じ。絞りによる改善は見られず、絞り開放からF10まで一貫して高性能な解像性能を発揮する。
隅
24mmと比べると良好だが、それでも隅の端ではコントラストの低下や像の甘さが見られる。F8まで絞ると像の甘さは最小限に抑えられ、フレーム全体でとても良好な解像性能を発揮する。
35mm
中央
引き続き絞り開放からピークの性能を発揮しており、少なくとも4500万画素のZ 7では絞りによる改善が見られない。
周辺
24mmや28mmよりも良好に見える。中央と見分けがつかない程シャープであり、絞りことで僅かにコントラストが改善する。シャープネスを適用していないにも関わらずキレッキレだ。
隅
中央や周辺部と比べると画質はワンランク低下する。とは言え、驚くような画質の乱れは無く、画像処理次第で絞り開放から実用的な解像性能である。F5.6~F8まで絞るとさらに安定するので、絞れる環境であればF8まで絞って使いたい。コントラストも改善する。
50mm
中央
引き続き絞り開放からピークの性能を発揮。敢えて言えば回折の影響が出始めるのが早く見える。コントラストは絞り開放でピークとなり、絞ると徐々に低下する。
周辺
35mmと同じく中央と遜色のない解像性能だ。絞りによる改善は見られず、僅かなコントラストの向上に留まる。
隅
広角側と比べると絞り開放から安定感のある性能だ。さらに絞るとコントラストやシャープネスが改善し、F5.6~F8でピークとなる。このレンズにおけるスウィートスポット。
70mm
中央
相変わらず絞り開放からシャープでコントラストも良好。これと言って非の打ち所がない。
周辺
35mmや50mmと同じく非常に良好な解像性能を維持。
隅
50mmと同じく絞り開放からシャープで、F5.6~F8まで絞ると中央や周辺と遜色のない、均質性が高いパフォーマンスを発揮する。
85mm
中央
70mmと同じ。
周辺
概ね70mmと同じだが、絞ることで細部のコントラストが改善する。
隅
絞り開放から良好だが、絞るとさらにコントラストが改善する。
120mm
中央
望遠端と言うこともあり、絞り開放からピークの性能とはいかない。1段分(F5.6)絞るとコントラストが大きく改善するので、風景撮影の場合はF5.6~F8を意識して撮影すると良いかもしれない。
周辺
望遠端ながら周辺部における画質低下が少ない。絞り開放から実用的な解像性能を発揮しているが、1段絞ることでコントラストが少し向上する。
隅
十分良好な画質だが、ズーム中間域と比べると少し甘い。絞ると解像性能は改善するが、コントラストはほとんど同じ。
今回のまとめ
フレーム隅のわずかな領域における像の甘さを許容できるのであれば、絞り開放から大部分の領域で非常にシャープな結果を期待できる。特に中間域であれば、F5.6からF8まで絞ることで非常に高い解像性能を得ることが可能だ。広角端や望遠端におけるフレーム隅は絞っても少し甘さが残るものの、カメラの画像処理で化ける可能性あり。全体的に見て光学性能は「24-70mm F4 S」とよく似ており、携帯性や機能性、価格で選べば良い。
競合他社とどのあたりで差別化できるか?
ポイントは望遠側の周辺解像性能だと感じている。このレンズは70mmや85mm、そして120mmの望遠端でも中央から周辺の広い範囲で絞り開放から非常にシャープな結果を期待できる。例えばソニー「FE 24-105mm F4 G OSS」は望遠側の周辺部で目に見える画質低下がある。キヤノンも倍率色収差による滲みが目に付く。比較してニコンの周辺部は収差が少なく良好に見える。(現在、作例を準備中)
光学手ぶれ補正の有無が功を奏しているのか分からないが、望遠側の画質は全体的に良好で競争力がある。風景写真を中心としたトラベルズーム用途で活躍してくれると思う。
購入早見表
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作例
オリジナルデータはFlickrにて公開
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