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ソニーFE 50mm F1.8 交換レンズレビュー

このページではソニーのミラーレス用交換レンズ「FE 50mm F1.8」の操作性・画質・オートフォーカスなどを徹底的にレビューしています。

更新履歴

  • 2020-06-13:マクロ解像・前後のボケに関する作例・レビューを追加しました。
  • 2020-05-06:コマ収差・玉ボケのレビューを追加しました。
  • 2020-05-04:遠景解像の作例とレビューを追加しました。
  • 2020-05-03:ひとまずページを作成しました。現在「外観」「AF」「解像力」の項目をレビュー済みです。今後はこのページを更新してレビューを継続する予定です。

レンズのおさらい

特徴

  • 公式商品ページ
  • 2016年4月28日発売
  • 初値:¥29,116
  • フルサイズ対応
  • レンズ構成:5群6枚(非球面レンズ1枚)
  • 絞り羽根:7枚円形絞り
  • 最短撮影距離:0.45m
  • 最大撮影倍率:0.14倍
  • フィルター径:φ49mm
  • 大きさ:最大径φ68.6mm、全長59.5mm
  • 質量:約186g
  • フォーカス駆動:DCモーター
  • 防塵防滴:非対応

2016年に登場したリーズナブルなフルサイズ対応の標準単焦点レンズ。AF対応の「50mm F1.8」はEマウントで割と珍しく、45~55mmの単焦点レンズの中で今のところ最も安いモデルのはず。ソニー純正のFE対応レンズとしても最安モデルとなるので、α7シリーズへエントリーと同時に手に入れた人も多いはず。

「プラスチック外装」・「DCモーター駆動」・「前群繰り出し式フォーカスのシンプルなレンズ設計」といったポイントが安さの秘訣。他の無印F1.8レンズと比べると安っぽい外装に加え、フォーカス駆動はノイジーでやや低速。加えてシンプルなレンズ構成なので現代的なレンズと比べると光学性能にはいくらか欠点が見え隠れします。

妥協点はあるものの、価格を考慮すると許容範囲内。光学性能は思っていたよりも良く、こだわらなければ50mm単焦点はこれで十分と感じるはず。際立った光学性能や機能性を追求しなければコストパフォーマンス良好なレンズです。

FE 50mm F1.8
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FE 50mm F1.8徹底レビュー

外観・操作性・付属品

従来通り、ソニーらしいインターナショナルオレンジの目立つカラーリングが特徴。意匠はとてもシンプルで、これと言ってレンズ構成図や外観のプリントは無し。箱のサイズは10×85×120mmほど。レンズと同じくコンパクトな箱のためクローゼットに片づけて置きやすい。

付属品

付属品

  • レンズフード
  • 前後キャップ
  • 説明書
  • 保証書

レンズポーチは付属していません。レンズの価格設定を考慮すると妥協すべきポイントと言えるでしょう。(キヤノンと異なり)手ごろな価格の単焦点レンズながら、レンズフードは同梱しています。

外観

他の無印FEレンズ「FE 28mm F2」「FE 35mm F1.8」「FE 85mm F1.8」と異なり、レンズ外装はプラスチック製。比較して質感は劣りますが、安っぽさはあまり感じません。

製品表示はシールで張り付けられています。長期間の使用で剥がれ落ち無いように注意が必要。ラベルの表示された製造国は「中国」です。

ハンズオン

「最大径x長さ=68.6 x 59.5mm」、「質量=186g」とフルサイズ対応単焦点レンズとしてはコンパクトなレンズです。他社の一眼レフ用50mm F1.8と比べて小型軽量のアドバンテージはありませんが、十分な携帯性と収納性と言えるでしょう。

前玉・後玉

フィルター径は49mm。
FE 28mm F2」「Sonnar T* FE 35mm F2.8 ZA」「Sonnar T* FE 55mm F1.8 ZA」などとフィルターを共用することが可能です。フィルターソケットは内筒に取り付けられているので、繰り出し式フォーカスに併せて前後します。ただし、フィルターソケットが回転することはありません。

球面状の前玉は内筒に5mmほど隠れているので、前玉の端を掃除するのが少し難しいかも。また、フッ素コーティングは施されていません。前玉が汚れそうなシチュエーションは出来るだけプロテクトフィルターを装着しておきたいところ。

ミラーレス用レンズとしては珍しく、バックフォーカスが長いレンズです。中身を覗いた限りでは、フォーカシングは全群繰り出し式の模様。近距離時はさらにバックフォーカスが長くなることでしょう。内部は反射防止用のマットブラック塗装が施されており、光に反射して明るくなるようなパーツは見当たりません。

後玉は鏡筒内部に潜り込んでいるので、メンテナンスは難しそうに見えます。

金属製レンズマウントは4本のネジで固定されています。

このレンズは防塵防滴仕様について全く言及されておらず、当然レンズマウントにはシーリングが施されていません。雨天や塵が舞いやすい環境での使用には注意。

フォーカスリング

幅20mmのゴム製フォーカスリングは完璧から程遠いものの、滑らかに動作します。

ピント操作は電子制御で、フォーカスリングの回転速度に応じてピント移動速度が変化します。今のところリニアな操作性に切り替える手段は無し。素早く回転させてもピント距離全域に必要なストロークは180度以上あるので精度に問題は無いかと思います。

フォーカス駆動はDCモーターのはずですが、マニュアルフォーカスの際の滑らかさに問題は感じられません。バックラッシュも最小限に抑えられています。

レンズフード

プラスチック製の円形レンズフード「ALC-SH146」が付属しています。内部に植毛や切り込みは無く、マットブラックな塗装が施されているのみ。ロックスイッチの機構を備えていませんが、レンズにしっかりと固定されるので脱落の心配はありません。

装着例

小型軽量なα7シリーズにぴったりと言えるレンズサイズです。携帯性が良いので日常的な使用に適していると言えるでしょう。グリップとマウント間のクリアランスに問題はありません。

AF

おそらくこのレンズで最も妥協すべきポイント。全群繰り出し式のDCモーター駆動なので、フォーカス速度は推して知るべし。

α7 IIIとの組み合わせで近距離から無限遠まで約1秒ほどかかります。ストレスMAXとなるフォーカス速度ではありませんが、動体撮影やスナップで使うには不十分なパフォーマンスと感じます。

このレンズだけの問題ではありませんが、遠景でF8まで絞った際にAFを利用するとピントの山を掴み切れていないことがあります。拡大してみると僅かにぼやけて写っていることがあるので注意が必要。開放付近でピントを合わせてから絞るのが無難です。

解像力テスト

撮影環境

テスト環境

  • カメラボディ:α7 III
  • 交換レンズ:FE 50mm F1.8
  • パール光学工業株式会社「【HR23348】ISO12233準拠 8K解像力テストチャート(スチルカメラ用)
  • オリンパス HYRes 3.1 解析ソフト
  • 屋内で照明環境が一定
  • 三脚・セルフタイマー10秒・電子シャッター
  • α7 IIIのRAWファイルを使用
  • ISO 100 固定
  • Adobe Lightroom Classic CCでRAW現像
    ・シャープネス オフ
    ・ノイズリダクション オフ
    ・色収差補正オフ
    ・格納されたレンズプロファイルオフ
  • 解析するポイントごとにピントを合わせて撮影
    (像面湾曲は近接で測定が難しいので無限遠時にチェックしています)
  • 近接でのテストであることに注意(無限遠側はさらに良好となる可能性あり)

補足

今回はRAW出力を元にしてシャープネスをオフの状態で検証しています。ボディ出力のJPEGやRAW現像でシャープネスを整えるとより数値が向上する可能性があります。今回の数値はあくまでも「最低値」とお考え下さい。

テスト結果

メモ

  • 中央:絞り開放から「3000」を超えるとても良好な解像性能。少し絞れば「3500」を超える性能となり、2400万画素のα7 IIIで簡単に解像限界を迎える。ピークの性能はF2からF11まで、それ以降は回折の影響でF16~F22と徐々に性能が低下する。
  • 周辺:中央と比べるとやや甘く、絞り開放付近では良像と感じる「2500」を少し下回る。ただしF2.8まで絞るとシャープな画質となり、F4~F11で中央に近い非常にシャープな画質へ改善する。それ以降は回折の影響でF16~F22と徐々に性能が低下する。
  • 四隅:基本的に周辺と同程度の画質。中央と比べるとやや甘く、絞り開放付近では良像と感じる「2500」を少し下回る。ただしF2.8まで絞るとシャープな画質となり、F4~F11で中央に近い非常にシャープな画質へ改善する。それ以降は回折の影響でF16~F22と徐々に性能が低下する。

絞り開放付近の周辺・四隅は少し甘いものの、シンプルなレンズ設計を考えるとまずまず安定した光学性能。
解像性能のピークはF5.6~F11となり、2400万画素のα7 IIIであれば四隅まで非常に良好な解像性能を発揮。

「思っていたより良い」と言うのが正直なところ。
絞り開放から中央はとてもシャープです。一方、開放の周辺・四隅は少し甘さを感じるものの、少し絞れば実用的な解像性能を発揮します。シャープネスとボケと両立させやすく、エントリー向け単焦点としては使いやすいレンズと言えるはず。

α7 IIIと一緒に「初めての単焦点レンズ」として買い揃えるには良いレンズだと思います。

現状、手ごろな価格設定のAF対応標準単焦点レンズは「FE 50mm F1.8」「45mm F2.8 DG DN」「AF45mm F1.8 FE」の3本。F2.8でも良いのであれば45mm F2.8が全体的にハイクオリティ、光学性能とレンズの明るさを重視すると45mm F1.8、価格重視ならFE50mm F1.8をチョイスしたいところ。

中央 周辺部 四隅
F1.8 3040 2373 2296
F2.0 3584 2348 2400
F2.8 3689 2581 2633
F4 3584 3216 2847
F5.6 3637 3479 3242
F8 3742 3387 3268
F11 3490 3268 3280
F16 3153 3005 2900
F22 2529 2477 2400

FE28mm・FE35mmとの比較

メモ

解像チャートを使った際の安定感はFE28mmやFE35mmよりも良好。F2.8~F4で全体的に良像を確保できるのでボケと両立させやすい。

EF50mm F1.8 STMとの比較

メモ

カメラの解像性能に差があるものの、レンズの基本的な傾向はほぼ同じ。ただしEF50mm F1.8 STMの中央解像は絞り開放で少し甘く、F2.8~F4まで絞る必要がある。

AF45mm F1.8との比較

メモ

比較して凝ったレンズ設計の「AF45mm F1.8 FE」は絞り開放から非常に良好な解像性能を発揮。価格はFE50mm F1.8と比べて1万円ほど高くなってしまうものの、予算に問題が無ければサムヤンがおススメ。

遠景解像

撮影環境

撮影環境

  • カメラ:α7 III ILCE-7M3
  • 三脚:Leofoto LS-365C
  • 雲台:Leofoto G4
  • RAW出力
  • 絞り優先AE
  • Adobe Lightroom Classic CC
  • シャープネス設定「0」で現像
  • 赤枠部分をクロップしてPhotoshopにて合成

テスト結果

近距離の解像力チャートとほぼ同じような傾向です。

中央領域は絞り開放こそ少し甘いものの、F2~F2.8まで絞るとことでシャープネスがグッと向上します。F4~F5.6でさらにコントラストが高くなり、F8でピークを迎えます。ピークの性能はF11まで続き、F16~F22で回折の影響により描写がソフトとなります。

像高5割の周辺領域は中央と比べると甘いものの、極端に乱れた画質ではありません。F1.8~F2.8は2400万画素のα7 IIIでも少し甘い描写に見えますが、F4まで絞るとディテールが大きく改善します。F5.6まで絞るとさらに向上し、F8でピークを迎えます。ほぼ中央と同じパフォーマンスとなる良好な画質。ピークの性能はF11まで続き、F16~F22で回折の影響により描写がソフトとなります。

四隅領域は周辺と同じ傾向となります。F1.8~F2.8まではやや甘く、そして周辺減光の影響があります。F4まで絞るとグッと改善しますが、僅かに像が安定していません。F5.6まで絞ると像の乱れが無くなり、シャープな描写へ。差は僅かですが、F8まで絞るとさらに画質が向上します。ピークの性能はF11まで続き、F16~F22で回折の影響により描写がソフトとなります。

比較的シンプルな光学設計のレンズで御しやすい描写の傾向。絞り開放の均質的な解像性能は期待できませんが、概ねF4まで絞れば全体的に安定し、F5.6~F8で隅から隅までシャープな描写を得ることが出来ます。絞りを開けてボケを楽しみ、大きく絞って風景撮影にも使いやすいレンズです。

実写でも2400万画素のα7 IIIであれば絞ることで四隅までシャープな結果を得ることが出来ます。個人的にはとても満足のいくパフォーマンス。

マクロ解像

傾向としては解像力チャートと全く同じ。中央は絞り開放からまずまず良好なパフォーマンスを発揮し、周辺やフレーム端はF4~F5.6まで絞ると良好な画質となります。予想していたよりも絞った際の改善度合いが大きく、最短撮影距離でフレーム全体の解像性能が欲しい場合にはF5.6~F8がおススメ。F16~F22でコントラストが低下するものの、それでも被写界深度優先で絞るのは大いにあり。

ボケ

玉ボケ

絞り開放付近で口径食による四隅の変形が目立ちます。とは言え、コンパクトな50mm F1.8としては一般的な傾向です。F2.8まで絞ると口径食は改善します。

絞り羽根が7枚と少ないので、円形絞りでもF2.8で少し角ばった玉ボケとなります。しかし7枚羽根の割には絞っても過度に角ばって見えない印象。

構成に非球面レンズを1枚使用していますが、玉ボケについて大きな影響はないように見えます。絞っても悪目立ちせず、F8までは良好な描写を維持しています。

前後ボケ ラボテスト

ニュートラルなボケですが、前後ともボケが滲み切らず芯が残っているので、微妙に騒がしく感じます。軸上色収差が残存しているのでさらに騒がしくなっている印象あり。

前後ボケ

全体的にまずまず良好なボケ描写。初めての単焦点レンズとしては満足のいくパフォーマンスと感じるはず。ただし、四隅で口径食の影響が目立つシーンでは少し騒がしく感じます。

球面収差の補正が完璧では無いのか、接写時は微妙に描写がソフトとなります。柔らかいボケ描写にはぴったりですが、硬質な描写を求めている場合は少し絞ったほうが良いでしょう。

軸上色収差の補正が完璧では無いので、コントラストが高い領域において色ずれが目立ちます。背景の組み合わせによっては悪目立ちするので、そのような場合にはF2.8付近まで絞ってしまうのがおススメ。

場合によって全く問題ないと感じるシーンも多いです。価格を考慮すると批判すべきポイントとは言えません。

コマ収差

このレンズでAFに次いで妥協すべきポイント。フルサイズ四隅で顕著なコマ収差が発生しており、1段絞っても改善しません。完璧に補正するためにはF4まで絞る必要があります。

面白いことに、中央領域は絞り開放から僅かに光条が発生しています。F5.6付近で大きくなり、F8~F16で使いやすい光条へと成長。最小絞りのF22まで良好な形状を維持しています。

この影響は像高7割付近から外側で発生、全体像でも確認できるほど影響が強いです。夜景やイルミネーションを撮影する時は少なくともF2.8まで絞るのがおススメ。

軸上色収差

色収差を補正するような特殊レンズを使っていません。このため、軸上色収差の補正状態は決して良好とは言えず、状況によってはF4でも目立つ場合があると思われます。おそらく、AF・コマ収差に次いでこのレンズで覚悟しておいた方がいい弱点。幸いにも場合によってソフトウェアで色抜きできるので、AFやコマ収差ほどようにもならない問題ではありません。
光学的に軸上色収差を補正する場合はF5.6まで絞る必要があります。

歪曲収差・周辺減光

周辺減光は絞り開放付近こそ目立つものの、F2.8まで絞ることでほぼ解消します。想像していたよりまともな結果。F4まで絞れば近くできない水準にまで低下。無限遠側で周辺減光が多少強くなるので注意。

歪曲収差は非常に穏やかな樽型で追加補正の必要性は感じません。ボディ内補正を適用することでほぼ完璧に補正できます。

逆光耐性

レンズ構成枚数が少ないためか、逆光耐性は思いのほか良好。完璧では無いものの、極端に目立つフレアやゴーストの発生は抑えられ、この価格帯のレンズとしては健闘しています。
強烈な逆光シーン以外でフレアやゴーストが大きな問題となることはまずないでしょう。

実写で確認してもフレアやゴーストが問題と感じるシーンは極僅かです。ただし、フレーム中央付近に強い光源がある場合、シャドウを持ち上げると地味に影響を受けているので注意が必要。

絞り羽根は7枚円形絞り。絞ることで14本の光条となるはずですが、不均一で綺麗な光条ではありません。光条がシャープとなるのはF16前後とやや遅めです。回折の影響も考慮すると光条に適したレンズとは言えません。

とは言ったものの、光条の形にこだわりが無ければ他のレンズと同様にシャープな描写を楽しむことが出来ます。光源付近がわずかにフレアっぽくなるので、後処理でハイライト補正するとより見栄えが良くなります。

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