シグマの4/3センサー向け「20mm F1.4」「25mm F1.4」光学系の特許出願

2022年11月25日付けでシグマの気になる特許出願が公開。フォーサーズセンサー向けと思われる20mm F1.4・25mm F1.4の光学系に関する実施例を含んでいますね。

概要

【公開番号】P2022174824

【公開日】2022-11-25

【発明の名称】インナーフォーカス光学系

【出願日】2021-05-12

【出願人】
【識別番号】000131326
【氏名又は名称】株式会社シグマ

【課題】
フォーカスレンズ群が軽量で、またフォーカスレンズ群を光軸に沿う方向へ微少振動（ウオブリング）させた際の像高変化率が小さく、Ｆ値が１．４と明るく、３５ｍｍ判換算焦点距離で４０?５０ｍｍ相当の画角を有する構成枚数の少なく小型なインナーフォーカス光学系を提供する。

【技術分野】
【0001】
本発明は、スチルカメラ、ビデオカメラ等の撮像装置に用いる撮影レンズに好適な光学系に関し、オートフォーカスカメラに適したインナーフォーカス方式を採用し、またフォーカスレンズ群を光軸に沿う方向への微少振動（ウオブリング）させた際の像高変化率が小さく、Ｆ値が１．４と明るく、３５ｍｍ判換算焦点距離で４０?５０ｍｍ相当の画角を有する構成枚数の少なく小型なインナーフォーカス光学系に関するものである。

【背景技術】
【0002】
従来、写真カメラやスチルビデオカメラに用いられる広角レンズはレトロフォーカスタイプが用いられてきた。これはミラーアップ機構を採用する一眼レフシステム用として、一定以上のバックフォーカスを確保するためであった。

【0003】
一方、ミラーレス一眼タイプのボディは動画撮影にも頻繁に使用されるため、そのオートフォーカス方式に、フォーカスレンズ群を光軸に沿う方向へ微少振動（ウオブリング）させ続けることで、常にフォーカス駆動方向を判断し続ける形式のインナーフォーカス方式が採用されることが多い。その際、ウオブリング時の像高変化率が大きいと、鑑賞者が画面に映る被写体の倍率変動を認識し、目障りに感じてしまうため、フォーカス変化に対し像高変化率が小さいフォーカス方式を必要としている。

【0007】
しかしながら前記特許文献１に開示されたレンズ系では、フォーカスレンズ群と絞りが隣接しているため、動画撮影時のオートフォーカスのフォーカスレンズ群を光軸に沿う方向へ微少振動（ウオブリング）させた際の像高変化率が大きいため、鑑賞者が画面に映る被写体の倍率変動を認識し、目障りに感じてしまう課題がある。

【0009】
そこで本発明は、以下に示す手段により、フォーカスレンズ群が軽量で、またフォーカスレンズ群を光軸に沿う方向へ微少振動（ウオブリング）させた際の像高変化率が小さく、Ｆ値が１．４と明るく、３５ｍｍ判換算焦点距離で４０?５０ｍｍ相当の画角を有する構成枚数の少なく小型なインナーフォーカス光学系を提供する。

実施例1

焦点距離：21.18

F値：1.48

画角：59.84

像高：11.15

全長：55.00

実施例3

焦点距離：25.00

F値：1.47

半画角：49.29

像高：11.15

全長：56.46

イメージサークルはフォーサーズセンサーに近い領域をカバーしている大口径レンズの光学系に関する特許出願のようです。焦点距離はF値は「M.ZUIKO DIGITAL ED 20mm F1.4 PRO」や「LEICA DG SUMMILUX 25mm / F1.4 II ASPH.」を連想させますが、どちらのレンズとも異なる光学設計。これがコンシューマー向けのデジカメるカメラを想定した製品なのか不明ですが、文献内で「スチルカメラやビデオカメラなど」と言及しています。

今のところシグマはフルサイズ対応の「DG DN」シリーズを中心としてラインアップを拡充しており、最近は富士フイルムXマウント用のAPS-C対応「DC DN」シリーズを追加。DC DNシリーズはいくつかのモデルがマイクロフォーサーズ向けとして販売されていますが、フォーサーズセンサー専用設計のレンズはありません。市場規模や状況を考慮するとマイクロフォーサーズ専用レンズが登場する可能性は低いと思われます。

と言うことで、何らかのOEM向けレンズを開発する過程での特許の可能性が高そう。自社で国内向上を持たないOMデジタルの「M.ZUIKO DIGITAL ED 20mm F1.4 PRO」が日本製なので、個人的にはこのレンズの開発段階における一案なのかなと勝手に想像しています。収差図を見た限りではコンセプトが全く異なるようですが…。

もちろん、本音を言えばシグマブランドのマイクロフォーサーズ専用設計のレンズを見てみたいところ。