Xitekがニコン「NIKKOR Z 50mm f/1.2 S」のレビューを公開。50mm単焦点レンズとしては大きく重いレンズですが、ニコンの妥協なき光学設計を味わってみたければ検討すべきレンズであるようですね。
Noctよりも意味のある50mm
Xitek:??王者?? 尼康Z 50mm f/1.2S??
- レンズの紹介:
・2018年のZシステム発表時にレンズロードマップ上に示されていたレンズだ。
・ニコンはこのレンズを起点としてF1.2レンズ群を形成するつもりなのかもしれない。
・2020年9月にニコンはこのレンズを正式発表した。
・NIKKOR史上では初のF1.2AFレンズだ。かつてAI 50mm F1.2やAI-S 50mm F1.2などマニュアルフォーカスレンズが存在したが、AFレンズはFマウントの制限によってF1.4までしか実現できなかった。
・大口径Zマウントは手始めに大きなマウント径を活かした「NIKKOR Z 58mm f/0.95 S Noct」を投入し、次にこのレンズを作り上げた。
・一見すると58mm F0.95のサイズダウンモデルに見える。全長に変化はなく、レンズ直径が著しく小さくなっている。ただし、全長はキヤノン「RF50mm F1.2L USM」と比べてはるかに長い。
・ニコンZマウントのレンズは全て凹凸凹構造を採用し、さらにF1.2ではビオゴンタイプのレンズ構成を採用した対称型の光学設計だ。対称型はレンズ全長が長くなるものの、収差が小さく、ボケが滑らかで、フレーム端まで均質な画質を期待できる。
・3枚の非球面レンズを採用してコマ収差を補正しつつ、EDレンズで色収差も抑えている。
・逆光耐性を向上させるため、ナノクリスタルコートに加えてARNEOコートも使用している。
・MTF曲線をキヤノンRF50mm F1.2Lと見比べると、10mm以降でニコンが優れていることが分かる。- ビルドクオリティ:
・外観は「NIKKOR Z 24-70mm f/2.8 S」と似ている。
・外装に目立つ金色の装飾は無く、全体的に控えめな黒を基調としたデザインだ。
・様々なコントロールリングは金属製だ。
・「NIKKOR Z 70?200mm f/2.8 VR S」と同様にレンズ先端に装飾リングがあるものの、これは回転しない。
・防塵防滴仕様に加え、前面は耐衝撃性を向上させている。
・ARNEOコートは特に斜め方向から入射する光に効果的だ。
・Noctと異なり前面にフッ素コーティングは施されていない。メンテナンス性は低下する。
・Noctと同じくフィルター径は82mmだ。キヤノンF1.2やツアイスOtusの77mmよりも大きい。
・レンズマウントには11の電子接点を持つ。
・レンズはタイ製だ。- 携帯性:
・前述したように、Noctをスリムにしたような外観だ。
・サイズはφ89.5×150mmである。単焦点レンズとしてはNoctに次ぐ大きなレンズだ。
・全長は「NIKKOR Z 24-70mm f/2.8 S」よりも長い。「NIKKOR Z 50mm f/1.8 S」の約1.7倍だ。
・重量はNoctの半分、「RF50mm F1.2L USM」よりも140g重い。
・ニコンZシリーズと組み合わせた際は明らかにフロントヘビーとなる。- 操作性:
・フォーカスリングとコントロールリングは分かれている。50mm F1.8 Sのように切り替える必要は無い。
・2つのリングは比較的穏やかな抵抗量で滑らかに回転する。
・コントロールリングにはISO感度や絞り、露出補正を割り当てることが可能だ。
・L-Fnボタンを搭載しており、カメラ側でカスタマイズ可能だ。
・ツアイスBatisシリーズと同じくOLED表示パネルを搭載している。DISPボタンを押すことで絞りやピント距離、被写界深度の表示に切り替えることができる。- オートフォーカス:
・ステッピングモーター駆動を使用しており、フォーカス中の振動や音を抑えている。
・マルチフォーカスシステムを採用しており、2つの駆動ユニットで複数のフォーカスレンズ群を操作する。これにより接写時の収差を効果的に抑えている。
・動画を意識した設計となっており、フォーカスブリージングを効果的に抑えている。大口径レンズとしては非常に穏やかだ。- マニュアルフォーカス:
・記載なし。- 手ぶれ補正:
・記載なし。- 解像性能:
・Z 7IIと組み合わせてテストした。
・F1.2から中央・端ともに優れているが、中央と比べると端は少し劣る。
・F1.4まで絞ると中央はさらにシャープとなり、端もシャープとなる。周辺減光が大幅に改善するため、端の画質が良好となる。
・F1.8?F8の中央シャープネスは高水準な状態を維持している。
・フレーム端もF2.2で申し分のない性能だ。
・F11まで絞ると回折の影響で僅かに低下し始める。- 像面湾曲:
・像面湾曲の影響はほとんど見られない。- ボケ:
・グラデーションはとても滑らかだ。
・口径食の影響は見られるが、F1.4~F1.8で徐々に改善する。
・3枚の非球面レンズを使用しているが、玉ねぎボケの兆候はあまり見られず影響は出ないだろう。
・玉ボケの端はとても滑らかな描写だ。- 色収差:
・逆光時にいくらか色収差が発生するものの、F1.8で改善する。
・パープルフリンジは極僅かで無視できる程度だ。
・フレーム端付近の補正状態は悪くない。- 球面収差:
・記載なし。- 歪曲収差:
・極僅かな糸巻き型歪曲だ。実際には無視できる程度の収差である。- 周辺減光:
・F1.2で目立つ減光が発生する。
・F1.8まで絞ると減光は大きく改善し、F2で無視できる程度となる。- コマ収差:
・収差の影響は極僅かだ。この性能はNoctと似ている。- 逆光耐性:
・ゴーストとフレアが効果的に抑えられている。F8まで絞ると少量のゴーストが発生する。
・完璧な性能では無いが、このクラスとしては良好だ。
・絞ると優れた光条が発生する。非常にシャープで美しい描写だ。- Z 50mm F1.8 Sとの比較:
・同じ絞り値の場合、中央はF1.8 Sのほうが少し優れており、コントラストは良好だ。
・フレーム端は中央よりも差が開き、F1.8 Sがシャープだ。F1.2でF1.8と競合できる性能であるため、F1.2は非常に良好な性能と言えるだろう。
・F1.2をF1.8まで絞り、F1.8 Sの絞り開放と比較すると、より明るく、よりシャープだ。F1.8 Sの絞り開放は周辺減光の影響もある。
・F1.8 Sはコントラストが高く、F1.2と比べると後ボケが騒がしくなる。
・玉ボケはF1.2をF1.8まで絞ったほうが口径食の影響が少ない。
総評
F1.2 SとNoctには多くの類似点がある。実用的な観点から言えば、Noctよりも意味のあるレンズと言えるだろう。NoctはZマウントの利点を示すためのベンチマークだが、Z 50mm F1.2 SはAFに対応し、優れたシャープネスと色収差補正を備えている。動画撮影においてブリージングが抑えられ、滑らかなボケは役に立つと思う。
価格はキヤノンのF1.2Lと同程度だ。Noctと比べると遥かに安いが、費用対効果を求めるのであれば、より安価なF1.8 Sも存在する。妥協の無いクオリティで、一眼レフ用レンズの印象を打ち破りたいのであれば、F1.2を選ぶと良いだろう。将来的に85mm F1.2 Sも投入し、ハイエンドユーザーを魅了して欲しいと思う。
とのこと。
非常に優れた超大口径の50mmレンズとなっているみたいですね。F1.8 Sも低価格ながら非常に良好な光学性能を実現していますが、F1.2の明るさと高いパフォーマンスを維持しているのは凄い。
AF-S 58mm F1.4Gのような味を求めていた人にとって、少しカッチリとしたレンズと感じるかもしれませんが、これぞZマウントの大口径50mmと言った印象があります。Fマウントから解き放たれた光学設計と言ったところでしょうか。一通り揃ったら、趣味性の高いレンズもお願いしたいところですが、ひとまず次は85mm F1.2ですかね?
既にFlickrやPHOTOHITOにはユーザー投稿が公開され始めています。自分の好みに合致する描写なのか、購入前に確認しておきたいところ。
NIKKOR Z 50mm f/1.2 S交換レンズデータベース
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参考:レンズサイズ比較
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