Dustin Abbottがキヤノン「RF100-400mm F5.6-8 IS USM」のレビューを公開。いくつか制限があるものの、小型軽量で手ごろな価格を実現しており「説得力のあるレンズ」と評価しています。
Dustin Abbott:Canon RF 100-400mm F5.6-8 IS USM Review
外観・構造:
- キヤノンの非Lレンズでフードが同梱することはない。追加投資として45ドルも必要だ。
- 外装はプラスチック製だが、しっかりとした作りで擦り傷に強い。
- 多くの安価なレンズで防塵防滴に対応しているが、非Lレンズは非対応だ。キヤノンがLレンズと区別したいのは理解できるが、レンズフードと防塵防滴は市場の流れである。
- 小型軽量化の代償として開放F値が大きくなっている。焦点距離ごとの開放F値は以下の通りだ。
・100-122mm:F5.6
・123-155mm:F6.3
・156-258mm:F7.1
・259-400mm:F8- F8はF5.6と比べて2倍の光量が必要となる。シャッタースピードが必要な場合、ISO感度を上げるか、光条件を良くする必要がある。
- ハイキングでの撮影で予想していたよりも被写体ブレが多かった。(AVモードを使用)
- 意外にもエクステンダーに完全対応している。
携帯性:
- 100-400mmと言うよりは70-300mmに近いレンズだ。
- 直径は僅か79.5mm、全長は165mmだ。
- 重量は僅か635gである。(RF100-500mmは1365g)
- 400mmまでズームすると全長が77mm伸びる。
- フィルターサイズは67mmに対応している。
操作性:
- AF/MFとIS用のスイッチを搭載している。
- 3つの操作リングは触覚で判断できるようになっており、エルゴノミクスが良好だ。
- ズームリングは良好なトルクで素早く操作できるストロークとなっている。
- ズームリングは100mmでロック可能だ。
- フォーカスリングは適度なトルクで良好な操作性だ。
- レンズ先端にはカスタマイズ可能なコントロールリングを搭載している。
フォーカス:
- ナノUSM駆動で動作する。
- 高速かつ静かなオートフォーカスだ。
- 実写でRF100-500mmとの大きな違いは感じなかった。
- 動画撮影でもノイズは聞こえない。
- 最短撮影距離は88cmと短く、0.41倍の撮影倍率はクラストップのはずだ。
- フォーカスブリージングはRF100-500mmよりも抑えられている。
手ぶれ補正:
- 5.5段分の手ぶれ補正を搭載している。
- 皮肉なことに、レンズが軽いので安定させるのに苦労する。
- 手ぶれ補正はパン動作を検出すると自動的にモードが切り替わる。
解像性能:
- RF100-500mmほどズーム全域の一貫性は無いが、望遠端でもかなり良好な結果が得られる。
- 開放F値が大きいので、少し絞ると回折の影響が発生する。
- 近距離のチャートテストでは中央こそ良好だが、隅に向かって性能が低下する。
- 100mmはF8まで絞ることで周辺部が改善する。隅はF11でピークとなるが、Lレンズのほうが遥かにシャープだ。
- 135mmはほとんど100mmと同じだ。
- 200mmは全体的に光学性能が大きく向上する。
- 300mmは隅を除いてF8でとても良好な結果だ。
- 400mmも300mmと似たような結果となる。
像面湾曲:
- 記載なし。
ボケ:
- 9枚絞りでボケはとても良好だ。
- 長焦点で大きなボケの時は美しく見える。
- ボケが小さい時は騒がしく見える。
色収差:
- 色収差の問題はあまり見られなかった。
球面収差:
- 記載なし。
歪曲収差:
- 100mmは僅かな糸巻き型だが問題ない。
- 400mmは糸巻き型歪曲が少し小さくなる。
周辺減光:
- 100mmで周辺減光はほとんど発生しない。
- 400mmの周辺減光もわずかだ。
コマ収差:
- 記載なし。
逆光耐性:
- 逆光耐性は良好だが、レンズフードを購入することをおススメする。
総評
RF100-500mm F4.5-7.1 L IS USMの性能はとても気に入っているが、法外な価格設定に購入を検討していた人は怖気づくか、支払った代金をすぐに忘れたいと思うだろう。
RF100-400mm F5.6-8 IS USMはより手頃な価格で、レンズの制限を受け入れてくれる人たちの健全な市場があるのだろうと思う。性能は控えめだが、パフォーマンスを発揮できる環境であれば美しい結果えることができる。
開放F値が小さいレンズは苦手なシーンがあるものだ。その代償として、多くの写真家が対処できるサイズと重量を実現している。本当にポータブルなレンズだ。例えば望遠レンズで風景写真を撮る人などは魅力的に感じることだろう。
また、それなりに明るい場所でアクションや野鳥、野生動物を撮影する場合にも問題なく使用できる。オートフォーカスは速く、静かで、被写体にロックするのに問題は無かった。しかし、動きを止めるのに十分なシャッタースピードを得ることが可能な光環境を十分に検討すべきである。
このレンズは将来Lレンズを手にするであろう多くの人の橋渡し(今買うことが出来る選択肢)となるべく登場したものだ。間違いなく撮影には制限があるが、とても説得力のあるレンズである。かなりの人気となるだろう。
唯一の潜在的な欠点を挙げるとしたら…
シグマとタムロンがRFマウントに参入すると、彼らはほぼ間違いなく、はるかに妥協が少ない100-400mmの選択肢を投入するだろう。しかし、その日まではRF100-400 ISがRFレンズラインアップで唯一のリーズナブルな望遠ズームレンズだ。
- 長所:
・100-400mmとしては最も手ごろな価格
・素晴らしくコンパクト
・AFが高速で静か
・実写で良好な結果
・ズーム全域で良好な中央解像
・収差が良好に補正されている
・クラストップの撮影倍率
・エクステンダーに対応
・周辺減光が目立たない- 短所:
・非常に暗い
・レンズフードなし
・フレーム隅がとても甘い
・ボケが騒がしくなる可能性あり
・一貫性のない手ぶれ補正
とのこと。
2021年に登場したRFマウントの小型軽量な100-400mmですね。まさかキヤノン純正レンズとして小口径の望遠ズームレンズ登場は予想していませんでした。小型軽量のみならず、手ごろな価格を実現しており、70-300mmのような感覚で使えるのが嬉しいですねえ。やはりレンズフードが付属していないので、別途購入しておく必要があります。しかし、2022年4月現在はレンズフードも供給が安定しておらず、納品まで時間がかかる可能性があるので注意が必要。もともとEF70-300mm F4-5.6 IS II USM用のフードでもあるので、社外製の互換フードが数多く出回っています。ひとまず社外製フード(リンク先はAmazon JJC ET-74B 互換)で乗り切るのも一つの手。
私もEOS R5と組み合わせて使用。全体的な印象はDustin Abbott氏とほぼ同じ。条件付きながらコストパフォーマンスは良好で、AFや光学性能を追求しなければ十分な結果が得られるはず。補足すべき点があるとすると、焦点距離で撮影倍率が大きく変化するので、広角側では寄りにくく、画角の狭い望遠側で撮影倍率が高くなると理解しておく必要があります。
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