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150-600mm F5-6.3 DG DN OSはAFに不安が残るものの優れた光学性能と汎用性のレンズ

DPReviewがシグマ「150-600mm F5-6.3 DG DN OS Sports」のレビューを公開。AFがライバルほど高速ではないと指摘しつつも、良好なエルゴノミクスやビルドクオリティ、光学性能を評価しています。

DPReview:Sigma 150-600mm F5-6.3 DG DN OS 'Sports' lens field review

レンズの紹介:

  • ソニーE・ライカLマウント用の超望遠ズームレンズだ。
  • 2021年8月発売
  • 売り出し価格は1499ドル
  • ライカLマウントにおけるライバルは不在である。
  • ソニーEマウントにはライバルとなる「FE 200-600mm F5.6-6.3 G OSS」「150-500mm F/5-6.7 Di III VC VXD」が存在する。

ビルドクオリティ:

  • 三脚座はアルカスイス互換のクランプに対応している。
  • 外装はアルミニウム合金とTSC素材を組み合わせている。ビルドクオリティは並外れたものだ。
  • ソニーEマウント版はUSB Dockに対応していない。
  • 防塵防滴に対応しているほか、レンズ前面には防汚コートが施されている。
  • テレコンバージョンレンズに対応しているが、これを利用できるのはLマウントのみだ。

携帯性:

  • このカテゴリのレンズらしく、かなり重い。しかし、このカテゴリとしては、それほど重くない。
  • 一眼レフ用の150-600 Sportsはこのレンズレンズよりも760gも重かった。
  • ズームするとレンズの重心が前方へ移動していることが分かる。しかし、扱い辛くなることはない。

操作性:

  • 三脚リングは90度ごとにクリックストップがある。これにより、ポートレートと風景を素早く切り替えることが可能だ。
  • コントロールはどれも緩すぎることはなく、フォーカスリングは良好な抵抗を備えている。
  • ズームトルクスイッチにより内筒をロックしたり、ズームリングを緩くしたり硬くしたりすることが可能だ。レンズ先端を掴んで直進ズームのように操作する場合はトルクスイッチで抵抗を小さくすると使いやすい。
  • 3カ所にFnボタンを搭載している。カメラ側でカスタマイズ可能だ。
  • 手ぶれ補正や補正モードに加えて、カスタムモードスイッチを搭載している。これはUSB Dockで設定変更が可能で、手ぶれ補正やフォーカスリミッターの設定を切り替えることが出来る。

オートフォーカス:

  • ライバルと比べて弱点があるとすればAFだ。
  • 必ずしも悪いわけでは無く、高速であり、野生動物やスポーツ写真に適している。
  • とは言え、ステッピングモーター駆動のAFはタムロンやソニーのAFほど高速ではない。
  • AFリミッターで合焦時間を短縮化できる。
  • 無限遠から最短撮影距離まで移動する場合は反対方向よりもAF性能が向上する傾向が見られる。
  • 全体的に見てAF性能はきちんとしている。
  • 150mm時に最短撮影距離が短く、クローズアップ撮影が可能だ。これにより汎用性の高いレンズに仕上がっている。

マニュアルフォーカス:

  • フォーカスリングは滑らかに回転する。
  • パナソニックのカメラならば、フォーカスリングのレスポンスをリニア・非リニアへ切り替えることが可能だ。

手ぶれ補正:

  • 記載なし。

解像性能:

  • ズームレンジの広角側はF5の絞り開放から優れた性能を発揮する。全体的に均質で、6100万画素のfp Lに装着しても耐用できる。
  • 600mmの望遠でも絞り開放から中央シャープネスは感銘を受ける結果となった。F9まで絞ると少し改善する。
  • 600mmの隅はピントを合わせてもそれほどシャープではない。F9まで絞ると控えめに改善する。とは言え、600mmで隅を使うことはほとんど無いはずだ。

像面湾曲:

  • 記載なし。

ボケ:

  • 超望遠らしく、大きなボケを得ることが出来る。
  • 背景が複雑で、詰まっている場合は騒がしく見えることがある。特に口径食が目立つシーンで顕著となる。
  • 玉ボケはF8まで絞っても円形を維持しているが、口径食が目立ち、絞ってもあまり改善しない。さらに、150mm側で縁取りが少し目に付き、600mmでさらに目立つ。

色収差:

  • 倍率色収差がいくらのこっているが、簡単に補正可能だ。
  • 軸上色収差が問題となることはなかった。わずかな色付きは見られるが、これを問題視することはない。

球面収差:

  • 記載なし。

歪曲収差:

  • 記載なし。

周辺減光:

  • 記載なし。

コマ収差:

  • 記載なし。

逆光耐性:

  • フレアが発生しやすいのでレンズフードは装着すべきである。

作例集

総評

ソニーEマウントと、ライカLマウントカメラの両方に対応しているため、基本的には同じレンズであっても、マウントによって結論が異なる。Lマウントの場合、150-600mmは基本的に競合不在の独走状態だ。また、Lマウントには、カスタマイズ用のUSB Dcokや、テレコンバーターが用意されているので汎用性が高い。

しかしEマウントユーザーにとって、いくつかのライバルがあり、またいくつかの注意点がある。ソニー用のUSB Dockがないため、カスタマイズの選択肢が少なくなっている。また、テレコンバーターが無いので、望遠端は600mmまでだ。
さらにライバルであるタムロン150-500mm F/5-6.7 Di III VC VXD」のAF性能が格段に良好で、動画にも適しており、重さも価格も若干抑えられている。ただし、望遠側の焦点距離が短く、開放F値が明るくないことを理解しておく必要がある。
また、ソニーFE 200-600mm F5.6-6.3 G OSSは、価格が高く、サイズも大きいが、AF性能は良好だ。

とは言え、シグマ「150-600mm F5-6.3 DG DN OS Sports」は、どちらのプラットフォームにおいても、魅力的な製品であると感じている。エルゴノミクスは優れており、巧みなズーム・トルク・コントロールとそれによる直進ズームは検討すべき価値がある。
また、非常にシャープなレンズであり、ズームレンジと開放値から想像するほど大きなレンズではなく、高価でもない。
若干フレアが出やすく、ボケ味も完璧では無いが、近景、遠景を問わず、多くの被写体で甘くてクリーミーな後ボケを得ることが出来る。また、色収差も非常によく抑えられている。

オートフォーカスの速度に大きな不安を感じている。しかし、その光学性能、全天候型の汎用性、効果的な4段分の手ぶれ補正機構、そして非常にリーズナブルな価格を考慮すると、Lマウントの撮影者だけでなく、Eマウントのライバルを検討していた人にも簡単にお勧めできるレンズだ。

  • 長所
    ・思ったよりも大きくない
    ・直進ズーム構造
    ・豊富なコントロール
    ・防塵防滴
    ・手ぶれ補正
    ・絞り開放からシャープ
    ・絞った際のボケ
    ・色収差補正
    ・クローズアップ性能
    ・価格設定
  • 短所
    ・AF
    ・望遠側の隅
    ・ボケ
    ・口径食
    ・逆光時のフレア
    ・フィルターサイズ
    ・USB Dock非対応 Eマウント
    ・テレコン非対応 Eマウント

とのこと。
私も発売日にソニーEマウントを入手し、だいたいは同じ印象を持ちました。リニアモーターやDDSSMのタムロン・ソニーレンズと比べると瞬発力に欠けるAFですが、大部分の被写体では十分なAF速度だと思います。ピントが外れやすく、デフォーカスからの復帰が多いのであれば、注意した方が良いかもしれません。また、DPReviewでは指摘していないものの、α1やα9と組み合わせた場合は20/30fpsの高速連写を利用できません(連写速度が低下する)。

光学性能は確かに良好で特に望遠端まで中央に極端な落ち込みが無いのは評価できるポイント。歪曲収差や倍率色収差、そして周辺減光はそれなりに残存しているので、自動補正をオンにしておくのがおススメです。
被写体が決まっており、特に500?600mmしか使わないのであればソニーFE 200-600mm F5.6-6.3 G OSS」も要検討。しかし、ついでに近距離の小さな被写体をクローズアップしたり、一般的なカメラバッグに収納したいと考えているのであればシグマ(もしくはタムロン)がおススメです。

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