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シグマ「150-600mm F5-6.3 DG DN OS Sports」レンズレビュー 完全版

このページではシグマ「150-600mm F5-6.3 DG DN OS Sports」のレビューを掲載しています。

管理人の評価

ポイント 評価 コメント
価格 適切だが安いわけではない
サイズ ソニーより縮長が短い
重量 このクラスとしては適切
操作性 インナーズームほどではない
AF性能 デフォーカスからの復帰が遅い
解像性能 望遠側で均質性が高い
ボケ 小ボケが騒がしくなる場合あり
色収差 良好な補正状態
歪曲収差 全体的に中程度の糸巻き型
コマ収差・非点収差 良好な補正状態
周辺減光 タムロン比で良好
逆光耐性 タムロン比で良好
満足度 コスパの良い超望遠ズーム

一言

満を持して登場したシグマ初となるDG DN Sportsライン。堅牢性と光学性能を兼ね備えた「Sports」ラインの名に恥じないレンズに仕上がっている。オートフォーカスはソニーやタムロンと比べて見劣りするものの、それ以外は卒なくまとまっている。目的が決まっている場合や携帯性を重視する場合はソニーやタムロンがおススメだが「超望遠ズームで色々と撮ってみたい」と考えているのであればおススメできる一本。

まえがき

2021年に登場したシグマで13本目となるフルサイズミラーレス用レンズ。そしてミラーレスでは初となる「Sports」ラインの高性能モデル。ズームレンジから一眼レフ用「150-600mm F5-6.3 DG OS HSM」を彷彿とさせるものの、比較してサイズと重量が抑えられ、MTFを見る限りでは光学性能も飛躍的に向上している。軽量化しているにも関わらずしっかりとした防塵防滴仕様で、直進ズームにも対応する頑丈な作りを実現。フォーカス駆動にはステッピングモーター駆動を採用しており、静止画のみならず、動画撮影において滑らかで静かなフォーカスを期待できる。

概要
レンズの仕様
マウント E/L 最短撮影距離 58-280cm
フォーマット フルサイズ 最大撮影倍率 1:2.9
焦点距離 150-600mm フィルター径 95mm
レンズ構成 15群25枚 手ぶれ補正 4段分
開放絞り F5-6.3 テレコン 対応(L限定)
最小絞り F22-29 コーティング SMC・フッ素
絞り羽根 9枚
サイズ・重量など
サイズ φ109.4mm × 265.6mm 防塵防滴 対応
重量 2,100g AF STM
その他 AFリミッター・ズームトルク・カスタムモード
付属品
三脚座・フード

レンズ側面には一般的なAF/MF・AFリミッター・OS・OSモードスイッチ(3~6)の他に、一眼レフには無かったAFLボタンとズームトルクスイッチを搭載。AFLボタンはボディ側で好みの機能を登録することが可能。ズームトルクスイッチはズームリングを150mmでロックしたり、ズーム操作時のトルク調節(2段階)が可能となっている。

価格のチェック

一眼レフ用は20万円に迫る価格設定だったものの、今回は買い方次第で15万円以下での入手が可能。高性能化・小型軽量化・高機能化しているにも関わらず、価格は抑えられ、全体的に見て魅力的なパッケージを実現しているように見える。実際のところレンズの真価は如何ほどか?をこれから見ていきたい。

150-600mm F5-6.3 DG DN OS Sports Leica L
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150-600mm F5-6.3 DG DN OS Sports Sony E
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レンズレビュー

外観・操作性

箱・付属品

従来通り、シグマらしい白を基調としたデザインの箱。ただし、中身は150-600mmの超望遠ズームレンズであり、箱のサイズはそれなりに大きい。このサイズの箱を保管しておくかどうか悩ましいところ。

レンズ本体はしっかりとしたレンズケースに入っている。レンズケースと外箱の間には僅かに空間があり、直接の衝撃を避けているように見える。隙間には仕切り用の段ボールあり。

レンズ本体の他にレンズフード、被せ式キャップ、三脚座、レンズケースやストラップなどが付属する。三脚座は台座の部分のみ取り外し可能で、この際に使用する六角レンチも同梱。同価格帯のタムロンと比べると付属品が充実している。

レンズケースはレンズフードを逆さ付けした状態でぴったりと収納できる専用設計。デザインはArtレンズでお馴染みのアレ。ただし、ショルダーストラップの他に、キャリーケースのハンドル部分に固定できるベルトも備わっている。箱に使い方もプリントされている親切設計。

外観

レンズサイズは大きいものの、全体的な意匠は従来通りのDG DNシリーズを継承。外装は主にプラスチック(おそらくTSC素材)を使用しており、意外にもマウント周辺もプラスチック外装(TSC)を採用している。外装で明らかな金属パーツは三脚リングや三脚座くらい。
プラスチッキーとは言え堅牢性に不安を感じないしっかりとした作り。これで軽量化を実現しているのであれば許容範囲内。ただし、ラフな使い方を想定している場合、何かにぶつけた時の耐久性は金属外装ほどでは無いかもしれない。

ズーム時に伸びる内筒は多段式ではなく単一の筒で構成されている。素材はプラスチックかTSCと呼ばれる素材と感じ、金属パーツでないのは確か。それでも内筒は頑丈な作りで、望遠端まで伸ばした時のがたつきは驚くほど無い。

レンズ先端は衝撃を吸収するためのゴムカバー付き。レンズを垂直に立てた際の滑り止め効果も得られる。ただし、前玉は先端からそう深くない位置にあるので、この状態でレンズむき出しのまま垂直に立てたいとは思わない。
先端周囲は手で掴みやすい形状となっている。これは一眼レフ自体から同じデザインであり、ここを握った状態で直進ズームのようにレンズを扱うことが可能。ただし、手持ち撮影ではカメラのバランスを取りづらいので、一脚か三脚での運用がメインとなる。

 

ハンズオン

従来モデルより小さく、軽くなっているものの、それでも重量は「FE 200-600mm F5.6-6.3 G OSS」と同程度(ただしFEレンズは三脚座抜きの重量)。決して軽いレンズでは無く、手にずっしりと来る重量感は間違いなくある。一眼レフ用Sportsレンズが重すぎだったのです。やはり長時間の手持ち撮影は難しく、そのような状況での撮影ならば、一脚や三脚を活用したい。

前玉・後玉

レンズ前面には防汚コートが処理されている。これにより水滴や汚れが付着した際のメンテナンスが簡単。とは言え、傷や泥などの付着が予め予想されるのであれば保護フィルターを装着しておきたいところ。
このレンズに対応するフィルター径は95mm。一般的なレンズのフィルターサイズよりも遥かに大きいが、同クラスの超望遠ズームレンズでは普及しているフィルターサイズである。ソニーFE200-600mmと同じサイズであり、一眼レフ用のシグマやタムロンの150-600mmも同サイズを使用している。

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最後尾のレンズはマウント部から奥へ数センチ隠れた場所に配置されている。この空間はテレコンバージョンレンズを装着するために必要だが、残念なことにソニーEマウントにはテレコンバージョンレンズが存在しない(Lマウントのみ)。

真鍮製レンズマウント・バヨネットは周囲を5本のビスで固定され、外側には防塵防滴用のシーリングが施されている。しっかりと固定されているように見えるが、如何せん2kgを超える重いレンズなので、ボディのみを掴んで振り回すのは避けたいところ(マウント部に負荷がかかりそうなので)

フォーカスリング

ゴム製グリップを備えた約30mm幅のフォーカスリングを搭載。レスポンスは良好で、リングは適度な抵抗を備えて滑らかに回転する。ピント移動距離はリングの回転速度に依存しているものの、素早く回転してもピント全域を移動するには360度回転させる必要がある。微調整に最適だが、フルマニュアルで操作するには必要なストロークが長すぎる。

ズームリング

ゴム製グリップを備えた約70mmのズームリングを搭載。焦点距離の印字は「150mm・180mm・200mm・250mm・300mm・400mm・500mm・600mm」の計8か所と比較的多め。「180mm」の中途半端な焦点距離が印字されているのは、ここで最大撮影倍率を達成するためらしい。
広角端150mmから望遠端600mmまでのストロークは90度を超えており、リングを回転してワンアクションでフルズームするのは難しい。素早く操作したいのであれば直進ズーム方式がおススメ。この点でインナーズームのソニー「FE 200-600mm F5.6-6.3 G OSS」は非常に使いやすい。
ズーム時のトルクは変更可能(後述)で、トルクが強いときは自重落下しない程度の抵抗感がある。

150mmから600mmへズームすると徐々に内筒が伸びる。180mmで約2cm伸び、200mmで2.5cm、250mmで4cm、300mmで5.5cm、400mmで約8cm、500mmで9cm、最終的に600mmで10cm伸びる。この際に過度なフロントヘビーとはならないものの、レンズを伸ばしたまま振りまわすには厄介なサイズ感となる。

F値の変動

  • 150mm F5.0-F22
  • 174mm F5.6-F22
  • 208mm F5.6-F25
  • 366mm F6.3-F25
  • 468mm F6.3-F29

開放F値は中間域で既にF6.3となるため、高速シャッターや低照度時にカメラのISO感度が上がりやすい。タムロンが400mmでF6.3、500mmでF6.7となるので若干有利と感じるものの、驚くほどの差では無い。

スイッチ・ボタン

レンズ側面には3カ所にカスタマイズ可能なAFLボタンを搭載。登録できる機能は一つだが、様々なポジションでも簡単にボタンを押すことができる設計となっている。ボタンはソニー純正と比べると少し隆起したような形状となっており、個人的には純正レンズよりも押しやすく感じる。

ズームリングの隣には初搭載となるズームトルクスイッチを搭載。150mmで固定(L)できるほか、ズーム全域におけるトルクをタイト(T)もしくはスムーズ(S)に切り替えることが可能。タイト時は自重落下を抑える程度のトルクが発生するので、三脚などに固定してじっくりと撮影する時に便利。スムーズに切り替えると、自重落下が発生するほどトルクが弱くなり、ズームリングやフードを掴んだ直進ズームの操作が非常に快適となる。
厄介な点として、「L」のオンオフ時のスイッチが非常に硬く、特に「L→T」へ操作するのが難しい(一気に「S」まで操作してしまう)。個人的にはタムロンのようにリングをスライドして固定するか、ソニー純正のようにリング操作で調整できるほうが好み。ただし、誤操作が少ないのはシグマの方式だと感じる。

側面にはさらにAF/MFスイッチや手ぶれ補正スイッチ、手ぶれ補正のモードスイッチ、カスタムモードスイッチなどを搭載。手ぶれ補正モードスイッチでは「標準」「流し撮り」の切替が可能となっている。カスタムモードスイッチは「1」で補正効果の高い手ぶれ補正モードとなり、「2」で効き目の高さとナチュラルなファインダー像のバランスを取った補正モードとなる。
他社に存在する「撮像時のみ手ぶれ補正が動作」するモードは存在しない模様。

三脚リング・三脚座

このレンズは金属製三脚リング・三脚座に対応。ローレット加工の施された調整用ノブも金属製のしっかりとした作り。リングを取り外すことは出来ないものの、六角レンチを使うことで三脚座の部分のみ取り外すことができる。
ノブを緩めるとリングを滑らかに回転することが可能。このリングには90度ごとにしっかりとした感触のある戻り止め(クリックストップ)が発生する三脚座に対して水平・垂直を簡単に導くことが出来るので便利。

三脚リングにはストラップ用の孔が二カ所ある。ここにストラップを装着することで、カメラやレンズのマウントに負荷をかけることなくシステムを携帯して持ち歩くことが出来る。やはり金属製で頑丈な作り。

レンズフード

プラスチック、もしくはTSC素材の頑丈な円筒型レンズフードが付属している。先端には衝撃を抑えるゴムカバーが付いており、内側には反射を抑える切り込み加工が施されている。フィルター操作窓は見当たらない。レンズへの固定は側面のノブで締め付ける方式。

レンズには通常の95mm径に対応したキャップの他に、フードに装着する被せ式レンズキャップが付属する。固定は面ファスナーによる締め付け式で、フードのノブとの干渉を避けるための形状が施されている。

装着例

α7R IVに装着。当然ながらレンズのほうが重たくなるものの、レンズを中心とした際のバランスは良好。そして、少なくともインナーズーム式のソニー「FE 200-600mm F5.6-6.3 G OSS」よりは携帯性が良い。大きめのカメラバッグであればカメラを装着したまま収納可能。
カメラグリップとレンズの空間には余裕があり、厚手の手袋を装着しても十分に余裕がありそうに見える。

AF・MF

フォーカススピード

フォーカスレンズの駆動にはステッピングモーターを採用。静かで滑らかに動作し、駆動音も静かで動画撮影に適している。フォーカススピードは高速と言える性能ではあるものの、ソニーやタムロンと比べるとやや遅い。小さなピント移動であれば気にならないものの、大デフォーカス状態からの復帰などでは差が開く可能性あり。動き回る被写体がメインであれば同価格のタムロンが良いかもしれない。

ブリージング

ブリージングとはピント位置によって画角が変化することを指す。最小絞りまで絞り、最短撮影距離と無限遠で撮影した結果が以下の通り。

150mm

最短撮影距離が短いので無限遠と比較するとブリージングがやや大きめ。ただし、一般的な撮影距離であれば驚くほどのブリージングではなく、動画撮影でも快適と感じるかもしれない。

200mm

150mmと同じ。

300mm

150mmや200mmと同じだが、比較して目立ちにくくなっている。

400mm

一般的な撮影距離であれば目立たない。

500mm

一般的な撮影距離であれば目立たない。

600mm

一般的な撮影距離であれば目立たない。

精度

α7R IVとの組み合わせで静止体であれば良好で特に問題は見られない。動体の場合はカメラ側の影響が大きく、特に連写時に高精度で撮影したいのであればα1やα9など積層型CMOS搭載カメラが必要。
少なくとも初動でのピント合わせはα7R IVでもまずまず健闘しているように見える。中距離~遠距離の飛翔体は簡単に追従することが出来た。こちらへ向かってくる被写体は僅かにフォーカス速度が追い付いていないように見えるが、カメラの問題があるかもしれない。

MF

前述した通り、レスポンスが良く、ストロークの長いフォーカスリングによって高精度で操作することが可能。

解像力チャート

撮影環境

テスト環境

  • カメラボディ:α7R IV
  • 交換レンズ:150-600mm F5-6.3 DG DN OS
  • パール光学工業株式会社「【HR23348】ISO12233準拠 8K解像力テストチャート(スチルカメラ用)
  • オリンパス HYRes 3.1 解析ソフト
  • 屋内で照明環境が一定
  • 三脚・セルフタイマー10秒・電子シャッター
  • RAW出力
  • ISO 64 固定
  • Adobe Lightroom Classic CCでRAW現像
    ・シャープネス オフ
    ・ノイズリダクション オフ
    ・色収差補正オフ
    ・格納されたレンズプロファイル(外せない)
  • 解析するポイントごとにピントを合わせて撮影
    (像面湾曲は近接で測定が難しいので無限遠時にチェックしています)
  • 近接でのテストであることに注意(無限遠側はさらに良好となる可能性あり)

補足

今回はRAW出力を元にしてシャープネスをオフの状態で検証しています。ボディ出力のJPEGやRAW現像でシャープネスを整えるとより数値が向上する可能性があります。今回の数値はあくまでも「最低値」とお考え下さい。

150mm

中央

絞り開放から非常に良好な結果を得ることができる。絞ることにより少し改善するものの、解像性能に大きな変化は見られないので、ISO感度やシャッタースピード優先で絞り開放を使うのは賢い選択肢。6100万画素のα7R IVを使う場合、F5.6をピークとして徐々にパフォーマンスが低下する。F11付近から回折の影響が強くなり、画質低下のスピードが速くなるので注意したい。

周辺

中央と比べると1~2グレードの画質低下が見られるものの、許容範囲内に収まっている印象あり。ただし、6100万画素を有効活用するつもりならF8まで絞って使いたいところ。F8まで絞ると4000近い数値まで解像性能が向上し、F16まで同程度のパフォーマンスを維持している。以降は回折の影響で急速に画質が低下するので気を付けたいところ。

四隅

周辺と比べてさらに画質が低下する。解像性能を重視するのであれば、やはりF8までは絞って使いたい。絞ると徐々に性能が向上し、ピークとなるのはF11付近。ただし、ここまで絞ると中央のパフォーマンスが1ランク低下するので悩ましいところ。隅の画質は妥協するならF8付近が無難。

数値確認
中央 周辺部 四隅
F5.0 4372 2769 2296
F5.6 4744 2937 2470
F8.0 4525 3844 3245
F11 4186 3849 3583
F16 3695 3877 3374
F22 3013 2722 2858

200mm

中央

絞り開放から4500を超える極めて良好なパフォーマンスを発揮。使用したチャートの限界値に達しており、絞ることでさらに伸びしろが少し残っているように見える。F8以降は回折の影響で急速にパフォーマンスが低下する。周辺や隅とのバランスを取るのであればF11までが許容範囲か。

周辺

150mmと比べると絞り開放の画質が改善。このままでも十分に実用的な画質だが、絞るとさらに性能が向上し、F11付近で中央に追いつく。その後は回折で急速に低下。

四隅

150mmと比べてずっと良好で、周辺に近い性能を発揮する。その後の傾向もよく似ているが、絞った際の伸びしろには制限があり、F8以降でこれと言った上昇は見られない。画質とのバランスを考慮するのであればF8付近の使用がベスト。

数値確認
中央 周辺部 四隅
F5.6 4708 3491 3301
F8.0 4781 4073 3776
F11 4355 4306 3853
F16 3826 3557 3398
F22 2648 2805 2879

300mm

中央

200mmと同じく絞り開放から4500を超える極めて良好な結果。絞っても改善することは無く、むしろ低下し始める。被写界深度に問題が無ければ絞り開放を積極的に使いたいところ。許容範囲はF16付近で、F22~F25はかなりソフトな画質となる。それほど被写界深度やシャッタースピードを調整する必要がある場合を除いて避けたい絞り値。

周辺

なんと中央と同じく4500を超える極めて良好な性能を発揮。パフォーマンスは中央とほぼ同じで、絞り開放がピークの性能となり、絞ると徐々に解像性能が低下する。許容範囲はF16付近で、F22~F25はかなりソフトな画質となる。それほど被写界深度やシャッタースピードを調整する必要がある場合を除いて避けたい絞り値。

四隅

絞り開放から4000を超える非常に良好な性能。絞っても大きく改善しないので、解像性能を重視する場合は絞り開放を使えばOK。

数値確認
中央 周辺部 四隅
F5.6 4767 4591 4158
F8.0 4526 4457 4176
F11 4145 3890 4318
F16 3666 3511 3243
F22 3063 2791 2805
F25 2616 2477 2523

400mm

中央

300mmと比べるとパフォーマンスが僅かに低下するものの、それでも非常に良好な結果を維持している。やはり絞ると徐々に画質が低下するので、パフォーマンス重視であればF6.3を積極的に使いたい。回折の影響はF16まで緩やかなので、場面によってはためらわずに小絞りを使うことが出来る。ただし、F16以降は急速に画質が低下する点に注意したい。

周辺

300mmと比べるとパフォーマンスは低下するものの、それでも4000を超える非常に良好な解像性能。絞って性能が低下する傾向は中央と同じで、F11までは緩やかに低下し、以降で画質低下の速度に勢いがつく。周辺部まで画質を重視する場合はF11までにとどめておきたい。

四隅

300mmと同程度のパフォーマンス。ただし、絞るとすぐに性能が低下し始める点で300mmと異なる。画質の均質性とパフォーマンスを両立させたいのであれば絞り開放を使うのがベスト。

数値確認
中央 周辺部 四隅
F6.3 4509 4205 4047
F8.0 4406 4023 3788
F11 4044 3840 3423
F16 3855 3198 3314
F22 2819 2628 2801
F25 2477 2258 2295

500mm

中央

400mmを超えると中央のパフォーマンスに低下の傾向が見られる。と言っても非常に良好な性能に違いは無く、F11~F16まで同程度の性能を維持しているのは評価できるポイント。ただし、F16を超えると急速に画質が低下するので気を付けたい。

周辺

ズーム中間域と比べると解像性能は低下するが、良好な性能であるのは確か。絞ってもこれと言って改善しないので、被写界深度が必要無ければ絞り開放を使えば問題ない。

四隅

良好な性能ではあるものの、300mmや400mmと比べると画質低下が目立つ。そして6100万画素を活かすには少し力不足感がある。ただし、F11まで絞ると周辺の性能に追いつくので、絞れる環境であれば絞って使うのも一つの手。

数値確認
中央 周辺部 四隅
F6.3 3898 3640 3250
F8.0 4135 3607 3316
F11 4218 3668 3674
F16 3843 3651 3570
F22 2822 2858 2904
F29 2324 2476 2359

600mm

中央

驚いたことに500mmよりもパフォーマンスが向上している。150-600mmの望遠端としては非常に良好な性能。タムロン150-500mm F5-6.7 Di III VC VXDの望遠端とほぼ互角なので、テレ端を重視する人にとって600mm F6.3のアドバンテージは大きい。性能はF8まで維持され、その後は回折の影響で徐々に性能が低下する。

周辺

驚いたことに周辺解像も500mmより良好。望遠端の周辺解像としては非常に優れており、シグマが新製品プレゼンテーションで「600mmの単焦点がズームする」と発言していたのはあながち嘘ではない。絞っても性能が改善することは無いものの、気軽に絞り開放を使うことが出来る。

四隅

中央や周辺ほど良好では無いものの、500mmよりも少し良好で、絞り開放から実用的な画質に違い無し。絞り全域でパフォーマンスが安定している。

数値確認
中央 周辺部 四隅
F6.3 4406 4007 3440
F8.0 4389 3940 3407
F11 3836 3970 3390
F16 3628 3640 3268
F22 2934 2908 2736
F29 撮り損ねた

競合レンズ比較

おそらく、最も比較検討されるのはタムロン「150-500mm F/5-6.7 Di III VC VXD」だと思われる。同じ超望遠ズームで、似たような価格、似たようなズームレンジ、似たような接写性能を備えている。2本のレンズにおける広角端・中間・望遠端を見比べた結果が以下の通り。

解像性能は非常に良く似ているものの、どの焦点距離においてもシグマが僅かにリードしている。この結果を実写で感じ取ることができるかどうか微妙な差ではあるものの、ズームレンジがタムロンより広いにも関わらず、同程度のパフォーマンスを備えているシグマを高く評価したい。

遠景解像力

テスト環境

  • 撮影日:2021-08-27:晴天・微風
  • カメラ:α7R IV 6100万画素
  • 三脚:Leofoto LS-365C
  • 雲台:Leofoto G4
  • 露出:絞り優先AE ISO 400固定
  • 現像:非圧縮RAW→Adobe Lightroom Classic CC
    ・シャープネス「0」
    ・ノイズリダクション「0」

150mm

中央

絞り開放から良好な解像性能を発揮。高水準な単焦点ほどのシャープネス・コントラストでは無いものの、優れたパフォーマンスに違いない。F5.6まで絞るとコントラストが僅かに改善し、さらにF8で少し改善してピークを迎える。F11以降は回折の影響で低下が始まるものの、F16付近までは許容範囲で、F22まで絞るとソフトな描写。

周辺

中央と遜色ないくらいには良好な性能を発揮。F5.6~F8で僅かに改善するものの、基本的に画質に関して大きな変動は見られない。F11以降における回折の影響度合いも同程度。

四隅

中央や周辺と比べると少し甘いように見えるものの、これはクロップした場所が悪く、ピントの山から外れた場所だった可能性が高い。後日、別の場所を確認してみると、絞り開放から良好な結果を得ることが出来ていたように見える。
やはりコントラストは単焦点レンズ並と言い難いが、カメラ側の画像処理次第で満足のいく結果が残せる可能性が高い。

実写確認

200mm

中央

150mmと同じく絞り開放から良好なパフォーマンスを発揮。絞りによる改善は見られないものの、絞り開放から十分に実用的な画質。回折の傾向も150mmと同じで、F22のみ少しソフトな描写となる。

周辺

中央と遜色のない良好なパフォーマンスを発揮。F8まで絞ると僅かにコントラストが改善する以外で画質差を見分けるのは至難の業。F11以降は回折の影響で低下が始まるものの、F16付近までは許容範囲で、F22まで絞るとソフトな描写。

四隅

若干甘いかな?という気がするものの、150mmと同じくクロップする場所を変えてみる(下部掲載)と良好な結果であることが分かる。絞り値による画質の変化はほとんど無いため、被写界深度の調整に使えばOK。

実写確認

300mm

中央

絞り開放から良好な性能だが、ハイライトが少し滲み、コントラストが低下している。僅かに残る色収差などが影響しているのかもしれない。F8まで絞るとハイライトの滲みが解消してディテールがワンランク向上する。絞れる状況であれば中央フレームでも絞ったほうが良い。F11まで絞ると回折の影響が始まるので、最適な絞り値の範囲が狭い。

周辺

絞り開放から良好で、絞りによるこれと言った改善点は見当たらない。開放から安定したパフォーマンスであり、普通に使える水準。

四隅

中央や周辺と比べてコントラストが少し低下している。絞りによる画質改善は見られないが、解像性能は安定感があり、超望遠ズームレンズの中間域としては健闘している。

実写確認

400mm

中央

300mmと同じくハイライトに僅かな軸上色収差が残っている。シチュエーションによってコレが細部のコントラストを低下させる要素となる場合あり。F8~F11で徐々に改善する。解像性能は良好なので、カメラ側の画像処理次第で優れた結果を期待できる。

周辺

やはりハイライトに色収差の僅かな影響が見られるものの、F8まで絞ると改善する。ピントの山を捉えていれば周辺部でも絞り開放から優れた結果となる可能性あり。

四隅

際立った画質では無いものの、400mmの隅としてはかなり安定している。絞っても画質は改善しないが、欲張らなければ満足のいく解像性能。

実写確認

500mm

中央

際立った画質では無いものの、超望遠ズームの望遠側としては非常に良好。色収差や球面収差は良く抑えられており、広角側や中間域と比べて画質の顕著な落ち込みが見られない。

周辺

中央と同じく画質の落ち込みが目立たず、まずまず健闘している。

四隅

500mmの隅としては非常に良好。極端な非点収差が見られず、広角・中間域と同じく安定した画質に見える。

実写確認

600mm

中央

コントラストが低く見えるものの、しっかりと解像しているのは確か。残存する色収差を抑えたいのであればF8~F11まで絞ったほうが良く見える場合もありそう。

周辺

望遠端の周辺部としては評価できる画質。

四隅

500mmと同じく非常に安定感がある。これが超望遠ズームにおける望遠端の隅とは思えないほど。絞りによる改善は見られないが、風景撮影に使えそうな安定感を備えている。

実写確認

撮影倍率

撮影倍率は広角側が最も高く、望遠側へズームするにつれて小さくなる。特に被写体をクローズアップしたい時は150~200mmを使うのがおススメ。ソニー「FE 200-600mm F5.6-6.3 G OSS」と比べて遥かに寄りやすく、近距離の被写体にも対応しやすい。この点で汎用性は比べ物にならず、色々と撮ってみたいのであればシグマがおススメ。ソニー200-600mmは目的が定まっている人向け。

像面湾曲

像面湾曲とは?

ピント面が分かりやすいように加工しています。

中央から四隅かけて、ピントが合う撮影距離が異なることを指しています。例えば、1mの撮影距離において、中央にピントが合っていたとしてもフレームの端では1mの前後に移動している場合に像面湾曲の影響が考えられます。

最近のレンズで目立つ像面湾曲を残したレンズは少ないと思いますが、近距離では収差が残存している場合もあります。ただし、近距離でフラットな被写体を撮影する機会は少ないと思われ、像面湾曲が残っていたとしても心配する必要はありません。

無限遠でも影響が見られる場合は注意が必要です。風景など、パンフォーカスを狙いたい場合に、意図せずピンボケが発生してしまう可能性あり。この収差は改善する方法が無いため、F値を大きくして被写界深度を広げるしか手段がありません。

参考:Wikipedia 像面湾曲

実写で確認

特に大きな問題は無い。

倍率色収差

倍率色収差とは?

主にフレーム四隅に現れる色ずれです。絞り値による改善効果が小さいため、この問題を解決するにはカメラボディでのソフトウェア補正が必要となります。ボディ側の補正機能で比較的簡単に修正できます。

参考:Wikipedia 色収差

実写で確認

全体的に倍率色収差は良好に補正され、残存している色ずれは極僅か。残った収差は簡単に補正できるので大きな問題とはならない。敢えて言えばズーム中間域で少し収差が強くなるものの、全体的に極僅かであることに違いは無い。

軸上色収差

軸上色収差とは?

軸上色収差とはピント面の前後に発生する色ずれを指しています。手前側で主にパープルフリンジとして、奥側でボケにグリーンの不自然な色付きがあれば、その主な原因が軸上色収差です。簡単な後処理が難しく、できれば光学的に収差を抑えて欲しいところですが、大口径レンズでは完璧に補正できていないことが多いです。

参考:Wikipedia 色収差

150mm

よく観察すると、極僅かに色収差が残存。とは言うものの、実写に影響するほどの量ではなく、許容範囲内。残存する色収差はF8~F11まで絞ると解消する。

200mm

150mmと比べても色付きが少なく、絞り開放から全く問題ないレベル。

300mm

150-~200mmと比べてさらに色付きが減少。

400mm

300mmと同じく、色収差は皆無。

500mm

300mmや400mmと同じく良好な補正状態。

600mm

同じく問題ナシ。

前後ボケ

綺麗なボケ・騒がしいボケとは?

ボケの評価は主観的となりがちですが、個人的には「滲むように柔らかくボケる」描写が綺麗と感じます。逆に、「急にボケ始めたり、ボケの輪郭が硬い」描写を好ましくないと感じています。

描写傾向の違いは主に球面収差の補正状態によって変化し、前後どちらかのボケが柔らかい場合はもう片方のボケが硬くなる傾向があります。また「アポダイゼーション光学素子」などを使って強制的に滲むボケ描写を実現しているレンズも存在します。

実写で確認

基本的にはニュートラルで前後に大きな偏りのないボケ質。ただし、よく見てみると前ボケのほうが少し滑らかで、比較すると後ボケが僅かに硬調。タムロン「150-500mm F/5-6.7 Di III VC VXD」よりも僅かに後ボケが硬く見えるので、撮影状況によっては背景が騒がしくなる可能性あり。とは言え、被写界深度が浅くなりやすい超望遠ズームで硬い後ボケが問題となるシーンはそう多くないはず。

ボケの軸上色収差による色づきは見られず、ボケの硬さ以外で目障りと感じる要素は見られない。

玉ボケ

口径食・球面収差の影響

口径食が強いと、四隅が楕円状に変形したり、部分的に欠けてしまったりします。これを解消するには絞りを閉じるしかありません。しかし、絞ると羽根の形状が見えてしまう場合もあるので状況に応じてF値を変化させる必要あり。

逆に口径食の影響が少ないと、絞り開放から四隅まで円形に近いボケを得ることが出来ます。これは玉ボケに限った話ではなく、一般的な四隅のボケ描写の質感にも繋がります。口径食が強いと、ボケ量が少なく感じたり、四隅のボケが荒れてしまう場合もあるため、口径食の小さいレンズが好ましい。

球面収差の補正が完璧では無い場合、前後のボケ描写に差が発生します。この場合はどちらかが滲みを伴う滑らかな描写になり、反対側で2線ボケのような硬い描写となってしまいます。

150mm

非球面レンズを使用していないので、玉ボケの内側は滑らかで綺麗。前述したように、後ボケが前ボケと比べて少し硬調であり、玉ボケにも縁取りの硬さとして現れている。とは言え、極端に目立つわけでも無し、問題視するほどの影響はないはず。比較してタムロンは縁取りが目立ちにくい。
口径食はタムロンと同程度ながら、隅の変形度合いは少し高い。これを解消するにはF11まで絞る必要があるものの、あまり現実的な選択肢とは言えない。

注意ポイント

下の掲載画像はF値が間違っています。「F5.6」始まりではなく、「F5.0」始まりであり、2枚目が「F5.6」3枚目が「F8.0」4枚目が「F11」5枚目が「F16」です。

200mm

基本的な傾向は150mmと同じ。ただし、口径食の影響は小さくなり、絞り開放から問題は最小限となる。残存する影響もF8まで絞ることでほぼ解消可能。この焦点距離における口径食はタムロンよりも良好に見える。

300mm

広角側と同じく、玉ボケの縁取りが僅かに強化される以外に大きな変化は見られず。口径食の影響は見られるものの、極僅かで心配するほどでもない。やはりF8まで絞るとほぼ完全に解消する。

400mm

玉ボケの質感は広角側と同じ。ズーム前半と比べて口径食の問題が大きくなり、影響度合いはタムロンと同等か少し強め。F11まで絞ると解消するものの、やはりボケがかなり小さくなる。

500mm

ボケ質の傾向は広角・中間域と同じ。口径食はさらに強くなり、フレーム隅のボケは中央と比べてボケ量が少なく見える可能性あり。もちろん周辺減光にも影響があると思われる。

600mm

500mmと同じ傾向。

ボケ実写

150mm

実写での後ボケは良好で、特にこれと言って不満な点は無し。もちろん被写体と背景の距離によって騒がしくなる場面はあるものの、不愉快と感じるほどの描写ではない。
絞り開放から良好なコントラストを実現しており、絞りによる変化は見られない。

200mm

150mmと同じく、大きくデフォーカスしている部分のボケは滑らかで綺麗。コントラストの高い部位でも色収差の影響は見られず、騒がしさは感じられない。

300mm

開放F値が「F5.6」と大きいものの、300mmと長い焦点距離を活かすことで十分なボケ量を簡単に得ることが出来る。ボケ質は「滑らかな極上の描写」とは言えないものの、卒なく綺麗な描写に見える。

400mm

口径食が強くなる焦点距離ながら、実写で大きな問題は無し。敢えて言えばボケが少し硬いものの、それ以上に目障りな色収差などは良く抑えられ、不自然な印象はまったくない。

500mm

基本的にボケが大きくなりやすいので、ボケ質を気にする必要は無い。

600mm

500mmと同じ。

歪曲収差

歪曲収差とは?

歪曲収差とは、平面上で直線的に写るはずが直線とならずに「歪む」収差です。特に直線が多い人工物や水平線が見えるような場合に目立ちやすい。主に魚眼効果と似た形状の「樽型歪曲」と中央がしぼんで見えてしまう「糸巻き型歪曲」に分かれています。

参考:Wikipedia 歪曲収差

150mm

中程度の糸巻き型歪曲。直線的な物体・水平線などをフレームに入れる場合、入れ方によっては無補正で目障りとなる可能性あり。

200mm

150mmと同じく中程度の糸巻き型歪曲。レンズ補正で綺麗に処理できるので積極的に活用したいところ。

300mm

150~200mmと比べると穏やかな糸巻き型歪曲。影響は極僅かで、無補正でそのまま使えなくもない。

400mm

300mmと同程度だが、少し収差が強くなっている。

500mm

400mmと同程度。

600mm

500mmと同程度。

周辺減光

周辺減光とは?

周辺減光とは読んで字のごとく。フレーム周辺部で発生する不自然な減光のことです。中央領域と比べて光量が少なく、フレーム四隅で露出不足となっていることを指します。主に大口径レンズや広角レンズで強めの減光が発生、ソフトウェアで簡単に補正できる現象ですが、露出不足を増感でカバーするのでノイズ発生の原因となる点には注意が必要。特に夜景で高感度を使う場合にはノイズが強く現れる可能性があります。

150mm(無限遠:最短撮影距離)

至近距離では絞り開放から問題なく利用可能。無限遠側は隅に影響があるものの、重要な中央と広い領域はF5.0から問題なく利用可能。絞ると徐々に改善するものの、光学的に解消するためにはF11~F16まで絞る必要がある。デジタル補正も積極的に使っていきたいところ。

200mm(無限遠:最短撮影距離)

基本的には150mmと同じだが、無限遠側は1段絞るとこで大きく改善する。以降はデジタル補正も必要無いくらい良好な状態。

300mm(無限遠:最短撮影距離)

基本的には200mmと同じだが、最短撮影距離における光量落ちが僅かに強まっている。とは言え絞り開放から何の問題もなく利用可能。

400mm(無限遠:最短撮影距離)

望遠端の絞り開放で強めの光量落ちが発生し、影響する範囲は150mm時よりも広い。F11まで絞ると大きく改善する。F8でも改善傾向は見られるが、隅に光量落ちは残っている。

500mm(無限遠:最短撮影距離)

400mmと同じく無限遠側で強めの光量落ちが発生。広い範囲に影響が見られるので、レンズ補正を積極的に活用したい。中央部とその周辺に影響は見られないので、被写体を中央に捕捉するのであれば絞り開放から問題なし。

600mm(無限遠:最短撮影距離)

無限遠は400mmや500mmよりも光量落ちが少し強く、最短撮影距離でも僅かに影響が見られる。F8~F11まで絞っても影響は残るので、光量落ちが気になるのであれば、レンズ補正を常時適用しておきたい。

コマ収差

コマ収差とは?

コマ収差とは主にフレーム四隅で点像が点像として写らないことを指しています。例えば、夜景の人工灯や星、イルミネーションなど。日中でも木漏れ日などが影響を受ける場合があります。後処理が出来ないため、光学的に補正する必要がある収差。絞ることで改善するものの、夜景や天体撮影など、シャッタースピードが重要となる状況では絞り開放のコマ収差補正が重要となります(絞るとシャッタースピードかISO感度に影響があるため)。

参考:Wikipedia コマ収差

実写で確認

ズームレンジ全域で特に大きな問題は見られない。

逆光耐性・光条

150mm

強い光源を真正面から受けると、いくつか目立つゴーストが発生する。フレアでコントラストも低下するので、出来ればフレームを調整して光源の位置を変えてしまいたい。
光源が周辺や隅にある場合、絞り開放から小絞りまで、大きな問題なく利用可能。レンズフードは積極的に使うのがおススメ。

300mm

150mmと比べるとかなり良好。真正面でもゴーストは少なく、絞ってもそこまで目立たない。光源が隅にある場合もゴーストやフレアは少なく、良好なコントラストを維持している。

600mm

良好だった300mmから一転、中央でも隅でも逆光による影響が目立つようになる。中央ではフレアが発生すると共に、いくつも目立つゴーストが発生。絞りによる改善は期待できないので、光源を避けて撮影するのが賢明。光源を隅に配置した場合、光の筋が絞り値に関係なく発生する可能性あり。これを回避するにはフレームを調整するしかない。

光条

このレンズの絞り羽根は9枚であり、絞ることで18本の光条が発生する。と言っても、光条がシャープとなるのは小絞り以降で、回折の影響もあり使える頻度はそう多くない。さらに光条が発生したとしても力強さは無く、光条のために敢えて小絞りを使う価値は感じられない。

総評:

肯定的見解

ココがおすすめ

  • 150-600mmクラスとしては適切な価格
  • 充実した付属品(レンズケースなど)
  • しっかりとした作りでガタツキが無い
  • 良好なエルゴノミクスのレンズ形状
  • 直進ズーム対応のデザイン
  • アルカスイス互換の三脚座
  • 90度ごとにクリック感のある三脚リング
  • 頑丈なレンズフードと被せ式キャップ
  • オートフォーカスが静かで滑らか
  • 望遠側で均質性の高い解像性能
  • 広角側で接写性能が高い
  • 良好な色収差補正
  • まずまず穏やかな周辺減光
  • 良好なコマ収差補正
  • タムロン比で良好な逆光耐性

ソニー「FE 200-600mm F5.6-6.3 G OSS」よりも縮長が短く、携帯しやすい600mmズームというのは一つのポイント。ソニーGレンズはインナーズームで使いやすいものの、サイズが大きく運搬・携帯の点で難あり。比較してタムロン「150-500mm F/5-6.7 Di III VC VXD」がより小型軽量ではあるものの、望遠端が500mmであるうえに開放F値が「F6.7」と暗い点は要検討。

ビルドクオリティはSportsラインらしく、堅牢性と操作性を兼ね備えた実用的なデザイン。TSC素材を積極的に使用することでレンズの軽量化を実現。金属パーツは少ないものの、検討製に不安は感じない。
オートフォーカスはステッピングモーター駆動で静かで滑らかに動作し、広角側の高い撮影倍率と短い撮影距離は強みとなる。特に全域で寄りにくいソニーGレンズと比べると違いは歴然としている。もしも様々な被写体を撮影してみたいと考えているのなら汎用性の高さは無視できない。

光学性能のピークは抜群と言えないものの、フレーム周辺部まで安定した解像性能を得られるのは間違いない。ただし、接写時の周辺部はパフォーマンスが低下するので注意が必要。諸収差は良く抑えられており、少し影響が見られる歪曲収差や周辺減光は後処理で簡単に補正できる。

批判的見解

ココに注意

  • Eマウント版はテレコン非対応
  • ズームリングのストロークが長い
  • トルクスイッチの操作性が悪い(リングが良かった)
  • インナーズームのソニーレンズの存在
  • デフォーカスからの復帰がライバルよりも少し遅い
  • 広角接写時の周辺解像が低い
  • 後ボケがタムロン比で少し騒がしい
  • 中程度の糸巻き型歪曲
  • α1やα9の高速連写に制限あり

欠点は主に3つ。
まず最初にソニー「FE 200-600mm F5.6-6.3 G OSS」がインナーズームであること。このソニーレンズは600mmに焦点距離を設定したまま移動・運搬しやすく、操作時は指一本で200mmから600mmまで動かすことが可能。縮長が長いので収納性は決して良いとは言えないものの、快適なズーム操作はソニー選ぶ理由となりうる。
一方のシグマはトルクスイッチや直進ズーム構造で素早い操作が可能。とは言え、トルクスイッチが硬すぎたり、ズームのストロークが長かったりでソニーほど素早く対応は期待できない。

次に欠点と感じるのはステッピングモーター駆動。ソニーのDDSSM駆動やタムロンのVXD駆動と比べると最高速が遅く、デフォーカスなどピント移動距離が長い場合の合焦時間でワンテンポ遅れる印象あり。決してシグマが悪いわけでは無いものの、ソニーやタムロンVXDなどを使っていると気になるポイント。もちろん、AFのレスポンスをそこまで重視しないのであれば特に問題とはならない。

最後は「サードパーティ製レンズ」であること。今のところ「α1」や「α9」の高速電子シャッター連写を十分に活かすことができず、連写速度に制限がかかってしまうのが痛い。もしも30コマ秒、20コマ秒の連写速度を活かしたいのであれば純正一択となってしまう。

総合評価

管理人
満足度は90点。
汎用性が高く、様々な用途に担いでいける超望遠ズームレンズ。AFは少し遅いと感じるものの、特にこだわらなければ十分なパフォーマンスを得ることが可能。光学性能についてこれと言った欠点が無く、AFされ問題なければ卒なくこなすことが出来るはず。

併せて検討したいレンズ

ソニー「FE 200-600mm F5.6-6.3 G OSS

超望遠ズームとしては珍しいインナーズーム構造を採用したレンズ。前述した通りズーム操作が非常に簡単で、指一本でも操作できる手軽さが魅力的。600mmに焦点距離を固定したままレンズを収納したり運搬することも簡単。肝心の光学性能も良好で、オートフォーカスも純正らしくレスポンスが良い。さらにα1の高速電子シャッターに対応した超望遠ズームとしては唯一無二の存在。

悩みの種はレンズサイズと最短撮影距離が長いこと。このことから、撮影する被写体が(野鳥や飛行機など)決まっており、移動範囲も限られている状況であれば積極的に検討したいレンズ。もしも移動が多かったり、近距離の花や昆虫も撮影してみたいと考えているのであればシグマやタムロンも要検討。

タムロン「150-500mm F/5-6.7 Di III VC VXD

望遠端が500mmと短く、開放F値も「F6.7」と暗いものの、3本の中では最も小型で、最も軽量。さらに、ソニー・シグマと異なり、三脚リングも取り外すことでレンズ重量をさらに抑えることが出来る。接写性能はシグマと同様に広角側で寄りやすく、撮影倍率が高い。光学性能はシグマとよく似ているものの、フレーム全域の均質性はシグマが有利。一方でタムロンのVXD駆動はシグマよりも明らかにレスポンスが良く、特に近距離で激しく動体を撮影する機会が多いのであればタムロンを優先して検討したいところ。そしてこの3本の中では最も価格が安い。やはりα1の連写速度を最大限活かすことが出来ないので、連写を重視するのであれば選択肢から外れる。

購入早見表

150-600mm F5-6.3 DG DN OS Sports Leica L
楽天市場 Amazon キタムラ Yahoo
ソフマップ icon e-BEST ノジマ PayPay
ビックカメラ icon ヤマダ PREMOA icon
150-600mm F5-6.3 DG DN OS Sports Sony E
楽天市場 Amazon キタムラ Yahoo
ソフマップ icon e-BEST ノジマ PayPay
ビックカメラ icon ヤマダ PREMOA icon

作例

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