このページではオリンパス製交換レンズ「M.ZUIKO DIGITAL ED 100-400mm F5.0-6.3 IS」の外観・操作性・AFついてレビューを掲載しています。焦点距離ごとの開放F値やテレコン装着時のAF参考動画も掲載。
レンズのおさらい
レンズ概要
- 2020-09-11 発売
- 商品ページ
- データベース
- 管理人のFlickrアルバム
- レンズ構成:15群21枚
EDレンズ4枚,スーパーHRレンズ2枚,HRレンズ2枚 - 開放絞り:F5.0 (100mm) ? F6.3 (400mm)
- 最小絞り:F22
- 絞り羽根:9枚(円形絞り)
- 最短撮影距離:1.3m(ズーム全域)
- 最大撮影倍率:0.09倍(Wide)/ 0.29倍(Tele)
- フィルター径:?72mm
- レンズサイズ:?86.4×205.7mm
- 重量:1,120g (三脚座除く)/ 1,325g (三脚座含む)
- AF:リニアモーター駆動
- 防塵防滴:保護等級1級(IPX1)
- レンズ手ぶれ補正時 3段補正
- 5軸シンクロ手ぶれ補正 非対応
「M.ZUIKO DIGITAL ED 300mm F4.0 IS PRO」や「M.ZUIKO DIGITAL ED 75-300mm F4.8-6.7 II」がカバーしていた300mmを上回る、400mmをカバーするオリンパスユーザー待望の超望遠ズームレンズ。IPX1規格に対応するオリンパスらしい防塵防滴仕様をはじめ、アルカスイス互換の三脚座が付属し、M.ZUIKOレンズ3本目となる光学手ぶれ補正を搭載しています(ただしシンクロIS非対応)。
ズームレンジ全域で最短撮影距離「1.3m」を実現しており、特に400mmでは最大撮影倍率「0.29倍」のハーフマクロ(35mm判換算で0.58倍)を達成。超望遠マクロも楽しむことが出来ます。
さらに2つのテレコンバージョンレンズ「MC-14」「MC-20」にも対応しているため、焦点距離を延ばしたり、最大撮影倍率を高めることが可能となっています。
PROグレードに近い機能性を備えていますが、なぜか無印シリーズ仕様。今冬登場予定の「M.ZUIKO DIGITAL ED 150-400mm F4.5 TC1.25x IS PRO」との差別化でしょうか。
フォーカス駆動にはリニアモーターを採用。静音性と高速性を兼ね備え、さらに滑らかな動作で動画撮影にも適しています。
価格設定は14万円前後と安くありませんが、同セグメントのレンズ「LEICA DG VARIO-ELMAR 100-400mm/F4.0-6.3 ASPH./POWER O.I.S.」と価格設定はほぼ同じであり、決して高すぎるという印象はありません。LEICA DGはDual.I.Sに対応するため、より効果的な手ぶれ補正を期待できますが、このレンズはテレコンバージョンレンズに対応しているのが強みとなります。
「実はシグマ製じゃないか?」という話もあり、個人的には「おそらく、そうなのだろう」と考えています。とは言えレンズ構成やスペックを見る限り、単なるOEMでは無く、オリンパスの仕様やマイクロフォーサーズに最適化されている可能性あり。がっかりするのはまだ早い。
果たしてこのレンズがサイズ・価格なりのパフォーマンスを発揮するのかどうか、これからじっくりチェックしていきたいと思います。
M.ZUIKO DIGITAL ED 100-400mm F5.0-6.3 IS | |||
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外観・操作性
箱・付属品
「100-400mm」の焦点距離を考えると、案外コンパクトな箱にレンズが入っています。「M.ZUIKO DIGITAL ED 40-150mm F2.8 PRO」より少し大きい程度。
箱には実焦点距離が大きく掲載されている他、35mm判換算で「200-800mm」と小さく表示しています。換算焦点距離の表記には賛否両論ありますが、個人的には分かりやすいと感じています。(とは言え、MFTの換算焦点距離は35mmフルサイズと比較して2倍換算なので計算楽ですが…。)
箱の中には…
ーレンズ本体+三脚座
ーレンズフード
ーリアキャップ・フロントキャップ
ー説明書・保証書
が入っています。PROシリーズでは無いので、ソフトケースは付属していない模様。三脚座は同梱しているので、特にこれと言って追加購入が必要なアイテムはありません。
外観
外装は無印ズームらしく、プラスチック製パーツを使用しています。質感は1年前に登場した「M.ZUIKO DIGITAL ED 12-200mm F3.5-6.3」とほぼ同じ。ズームリングやフォーカスリングの触感も同等、少しプラスチッキーな印象。金属パーツを多用しているPROシリーズと比べるといささか物足りなさを感じます。多くのPROレンズより高価なレンズのため、出来れば金属鏡筒が良かったところ。
一部例外として、三脚リング周囲は強度を考慮してか金属パーツを使用しています。
プラスチックパーツが多いものの、全体的に見るとしっかりとした作りのレンズです。高級感はありませんが、堅牢性・耐候性で特に不安を感じません。
ハンズオン
全長205.7mm、重量1,325g(三脚座含)、マイクロフォーサーズレンズの中では特に大きく重いレンズです。このような望遠ズームレンズを使ったことが無いと、重すぎる・大きすぎると感じるかも。
パナソニックの同等品が三脚座無しで1Kgを切っていることを考えると、このオリンパス製レンズは少し重すぎるように感じます。プラスチック外装であることも考慮すると、もう少し軽くして欲しかったと言うのが正直なところ。
レンズの重心はバランスが取れていると感じますが、当然ながらカメラより重く、フロントヘビーです。このため、左手でレンズを支える必要があります。
前玉・後玉
マイクロフォーサーズ用レンズとしては大きなフ72mmィルター径を採用。とは言え、他にも「12-200mm」「12-100mmPRO」「40-150mmPRO」など同じ直径の円形フィルターに対応しており、同径のフィルターを揃えている人は多いと思います。フィルターが使い回せるので個人的に72mmサイズは歓迎。
相変わらずフッ素コーティングに対応している文言は見つけられないので、汚れの付着が想定されるシーンではプロテクトフィルター着用がおススメ。
金属製レンズマウントはネジ4本で固定。マウント付近には「日本製」を示す刻印があり、このレンズの出自を連想させるものとなっています。
内部は「元となったと思われるレンズ」とデザインが異なり、リブ無しのマットブラックな塗装が施されています。さらに内径が小さく、リアフォーカス用のレンズ群もかなり小さくなっています。おそらく、「元となったフルサイズ対応レンズ」から、マイクロフォーサーズ用に最適化されているものと思われます。
フォーカスリング
幅18mm程度のプラスチック製フォーカスリングは程よい抵抗量で滑らかに動作します。回転速度に応じてピント移動距離が変化し、素早く回転するとピント全域を180度以内で完結させることが可能。逆にゆっくり回転させると、2回転以上必要となります。回転角が十分大きく、精密操作に適しています。
素早く回転させた場合、ピント移動量が多く、被写界深度が浅いこのような超望遠ズームで精度の高い操作は難しい。できればもう少し回転速度の感度を落としたいところ。
PROシリーズのようにマニュアルフォーカスクラッチ構造には対応しておらず、リニアな操作には対応していません。
ズームリング
およそ60mm幅のプラスチック製ズームリングも滑らかに動作しますが、抵抗量が大きく指一本での操作は難しいです。少なくとも指2本で掴んで操作する必要があります。抵抗量はほぼ全域で一定ですが、300?400mmのみ少し抵抗が強くなる印象。
ズーム全域の回転角はおよそ90度ほどのため、100mmから400mmまで素早い操作が可能となっています。
150mmで23mmほど伸び、200mmで48mm、300mmで55mm、最終的に400mmで60mmほど内筒が伸びます。内筒はプラスチック製で、特に目立ったガタツキはありません。
開放F値が変動し、焦点距離ごとのF値は以下の通り。
ー100mm:F5.0
ー123mm:F5.4
ー138mm:F5.6
ー156mm :F5.7
ー169mm:F5.8
ー186mm:F5.9
ー210mm:F6.0
ー236mm:F6.1
ー276mm:F6.2
ー307mm:F6.3
100mmから400mmまでの間に2/3段の変化があり、138mmで既に1/3段ほどF値が高くなります。138mmから400mmまでの推移は一定のため、ほぼ「F5.6-6.3」のレンズと考えておいたほうが良いでしょう。
レンズフード
プラスチック製のシンプルな円形レンズフードが付属。PROシリーズのようにスライド式の壊れやすいレンズフードではありません。遮光に十分なサイズで、特に大きな問題は無し。ボタン式のロック機構は備えていませんが、しっかりと固定することが出来ます。
逆さ付けに対応していますが、フォーカスリングが隠れてしまい操作不可、そしてズームリングも半分ほど隠れます。
ちなみにこのレンズフードは「M.ZUIKO DIGITAL ED 40-150mm F2.8 PRO」に装着可能。ただし、その逆は不可。つまりこのレンズでスライド式のレンズフードを使うことは出来ませんん。
三脚座
三脚座は「M.ZUIKO DIGITAL ED 300mm F4.0 IS PRO」と同じくアルカスイス互換のプレートを採用。対応するクランプでそのまま固定することができ、ネジが緩むような事態を回避することが可能。ネジ穴を使う場合、前後に緩み防止用の穴が2カ所存在します(前側一か所のみでした)。写真を見て分かるように取り外し可能。
MC-20/MC-14
×1.4・×2.0の2種類のテレコンバージョンレンズに対応。装着することで僅かに全長が伸びるものの、拡張される焦点距離の恩恵は大きい。最大で800mm、つまり35mmフルサイズ換算で1600mmの画角を利用することが出来ます。マスターレンズとはしっかり装着でき、特に目立つガタツキはありません。
装着例
E-M1 Mark IIIとの組み合わせで同軸上の僅かなガタツキがあります。このレンズに限ったことではありませんが、オリンパス純正レンズとしては少しガタツキが大きい印象。
E-M1 Mark IIIはグリップがしっかりとしているため、100-400mmを装着してもハンドリングで特に大きな問題は感じません。E-M5系・E-M10系など、グリップが小さいカメラと組み合わせる場合は右手で安定し辛いかも。
AF
マスターレンズ・MC-14・MC-20の3通りでチェックした動画を公開しました。
リアフォーカスを採用し、アクチュエーターはリニアモーター駆動を採用していると思われます。
(公式の商品ページでは特に記載が無く、海外メディアでは「Linier Motor」と表示しているサイトが存在)
「M.ZUIKO DIGITAL ED 40-150mm F2.8 PRO」のデュアルフォーカス方式ほど電光石火のAFではありませんが、非常に高速と評価できるフォーカス速度だと思います。望遠側は開放F値が「F6.3」と暗いため、低照度や低コントラストの被写体でAFが迷いやすい印象。C-AFだと大きな問題を感じませんが、S-AFの場合は合焦速度が大きく低下する可能性あり。
テレコンバージョンレンズを装着時、望遠端の開放F値はそれぞれ「MC-14・F9」「MC-20・F13」となります。F値がかなり高くなるものの、日中のテストではF9・F13どちらも良好に動作することを確認。S-AF・C-AFともに問題無く、フォーカス速度はマスターレンズとほぼ同じ。
使いやすいフォーカス性能であり、「元となったレンズ」の超音波モーター駆動と比べて遥かに使い勝手が良くなっています。ただし、ズーム操作時はピントが移動しやすく(バリフォーカル)C-AFと絡めた操作には不向きと感じました。
接写性能が高いレンズであり、全体的に近側へピントが流れてしまうと復帰まで時間がかかる感じ。撮影距離が限られている場合は積極的にAFリミッターを使いたいところ。
「あのレンズ」とは別物
S社のOEMと言われている超望遠ズームですが、そのレンズ(EFマウント版)を使った身から言わせてもらうと作りやAF性能は別物と言ってもいいでしょう。
ー使いやすい位置の電子制御式フォーカスリング
ーオリンパス仕様の防塵防滴
ーマイクロフォーサーズシステムに最適化されたマウント周辺の設計
ー三脚リング・アルカスイス互換の三脚座
ー高速・静音・滑らかな動作のAF
比較して倍ほど高価なレンズですが、ビルドクオリティ・機能性・応答性は向上していると思います。
今回使用した機材
OM-D E-M1 Mark III ボディ | |||
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OM-D E-M1 Mark III 12-40mm F2.8 PRO レンズキット | |||
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M.ZUIKO DIGITAL ED 100-400mm F5.0-6.3 IS | |||
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