レンズ 海外の評価

キヤノン RF85mm F2 MACRO IS STMは極端な特性を持つレンズ

Phototrendがキヤノン「RF85mm F2 Macro IS STM」のレビューを公開。優れた光学性能と評価しつつ、非常に遅いAFや非防塵防滴、レンズフード別売りなのに高価であると指摘しています。

Phototrend:Test Canon RF 85 mm f/2 Macro IS STM : un objectif à deux visages

外観・構造:

  • RF35mm F1.8とよく似た外観・ビルドクオリティのレンズだ。
  • 外装は安っぽくないが、防塵防滴は非対応だ。
  • 内筒が伸びるので、故障や小ゴミの混入となりうる。

携帯性:

  • EF85mm F1.8と比べるとかなり大きく重いが、マクロ機能や手ぶれ補正の追加で正当化されている。
  • フォーカシングでマクロ域になると内筒が前方に伸びる。

操作性:

  • 先端にはお馴染みのコントロールリングを搭載している。
  • フォーカスリングは電子制御のためハードストップが無い。
  • フォーカスリングのストロークは非常に長い。
  • 側面にはAF/MFスイッチに加えてIS・AFリミッタースイッチを搭載している。

フォーカス:

  • ステッピングモーター駆動のAFはノイズが多く、ナノUSMほど高速ではない。
  • RF単焦点レンズの中では最も遅い。
  • リングUSMのEF85mm F1.8 USMよりも遅い、
  • 3m以上の撮影距離ならば非常に良好だが、低照度や3mいないの被写体ではAFリミッターが不可欠だ。それでも完璧からは程遠い。
  • MFリングは全域を操作するのに15回転は必要だ。フルマニュアルでの操作はおススメ出来ない。
  • 動画撮影ではモーターの駆動音を低減するため、ナメクジのように動作が遅くなる。
  • フォーカスブリージングは巨大で、明らかに動画向けではない。

手ぶれ補正:

  • 手ぶれ補正の搭載により汎用性が大幅に向上している。
  • EOS Rに装着して1/5秒、4段分の補正効果を得ることが出来た。
  • EOS R5に装着で0.5秒で撮影することが出来た。

解像性能:

  • 説得力のある画質だ。
  • F2は隅の画質に関心無い限りケチのつけようがない。そして、隅でもF2で非常に良好だ。
  • F2.8まで絞るとスポーツ用レンズのような解像性能である。
  • F4まで絞ると解像性能がピークに達する。この際の性能は遥かに高価なレンズに匹敵する。
  • マクロ域の撮影ではF5.6までコントラストが低下する。解像性能は良好だが、コントラストは後処理したくなる場合がある。

像面湾曲:

  • 記載なし。

ボケ:

  • ボケ味はクリーミーで、背景は完璧に溶かすことが可能だ。
  • 接写性能が高いのでF1.4レンズよりもボケが大きくなる。

色収差:

  • 色収差は適切に補正されている。

球面収差:

  • 記載なし。

歪曲収差:

  • 歪曲収差は適切に補正されている。

周辺減光:

  • 記載なし。

コマ収差:

  • 記載なし。

逆光耐性:

  • 逆光耐性はきちんとしている。

競合レンズ:

  • RF85mm F1.2L USM
    ・残念ながら現状で唯一の競合する選択肢だ。並外れた光学性能だが、非常に高価で遥かに重い。そして手ぶれ補正もマクロ機能もない。
  • AF 85mm F1.4 RF
    ・大口径で防塵防滴、そして非常に軽量だ。唯一の欠点は僅かに暖色傾向となることだろう。残念ながらフランス向けの流通が無い。
  • 85mm F1.4 DG HSM
    ・最も強力な85mmだが、切れ味が良すぎてポートレートに不向きだ。そしてレンズが重すぎる。
  • EF85mm F1.4L IS USM
    ・非の打ち所がない作りだが、大きく重いレンズだ。AFは優れているが、高価である。
  • EF85mm F1.8 USM
    ・30年前のレンズだが、高画素機でなければ解像性能も説得力がある。ボケ味は最高と言えず、色収差も目に付くが、399ユーロと手ごろな価格だ。

総評

評価が分かれるレンズだ。防塵防滴ではない「85mm F2」のレンズとしては高価で、価格を正当化することが出来ない。さらにレンズフードも別売りだ。さらに多くの人はオートフォーカスにフラストレーションを感じることになるだろう。動画やストリートスナップでの使用を検討している場合は適切な投資先ではない。

しかし、他の選択肢が高価なRF85mm F1.2となる中で、唯一の妥当な選択肢であることには違いない。そして、シャープネス、ボケ、色収差処理、フレアなど、最高峰のレンズと比較しても遜色のない仕上がりだ。マクロ機能や手ぶれ補正は汎用性が高く、コンパクトサイズは長時間の撮影にありがたい。

残念ながら、一方では許容しがたい妥協、他方では追随を許さない卓越性という、極端すぎる2つの提案が混在している。よりバランスの取れたレンズが登場する余地が残っている。キヤノンは1600ユーロでF1.4モデルを提案するのか?こうなると、シグマの登場か、サムヤンの復活を密かに願うことになる。

  • 長所
    ・F2
    ・小型
    ・軽量
    ・マクロ性能
    ・F2から良好な解像性能
  • 短所
    ・防塵防滴ではない
    ・AF
    ・85mm F2 非WRとしての価格
    ・フード別売り

とのこと。
優れた光学性能のレンズである一方、鏡筒が伸びる遅めのAFやレンズフード別売りなど、いくらか気になる点があるみたいですね。特に被写界深度浅めのレンズでオートフォーカスが遅いのは気になるかもしれません。Phototrendはもう少しバランスの良い85mmレンズの登場に期待している模様。

私もEOS R5と組み合わせるために購入しました。印象はPhototrendと同じですが、高い光学性能が85mmの足枷となっているようにも感じます。周辺部までカッチリとした描写で、ポートレート向けにしてはボケが少し硬く感じ(2線ボケと言うわけでは無い)、どちらかと言えばマクロレンズのような写りと感じます。被写体にこだわらず、何でも85mmで撮影してみたい場合はおススメできますが、ポートレート専用に購入するのであれば、他の選択肢を検討したほうが良いかもしれません。

RF85mm F2 Macro IS STM交換レンズデータベース

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