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シグマ「24mm F3.5 DG DN | C」徹底レンズレビュー ボケ・逆光耐性編

シグマ「24mm F3.5 DG DN」の前後ボケ・玉ボケ・逆光耐性に関するレビューを公開しました。前ボケは騒がしいほうですが後ボケは柔らかく綺麗な描写。

まえがき

レンズのおさらい

レンズ概要

  • 2021年1月22日 発売
  • 商品ページ
  • Iシリーズについて
  • データベース
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  • レンズ構成:8群10枚(SLD1枚、非球面レンズ3枚)
  • 開放絞り:F2
  • 最小絞り:F22
  • 絞り羽根:7枚(円形絞り)
  • 最短撮影距離:0.108m
  • 最大撮影倍率:0.5倍
  • フィルター径:φ55mm
  • レンズサイズ:φ64×50.8mm
  • 重量:230g
  • 高精度グラスモールド非球面レンズ
  • 切削アルミニウム製筐体
  • マグネット式メタルキャップ
  • ステッピングモーター駆動
  • レンズ光学補正に対応
  • 簡易防塵防滴

シグマContemporaryラインの「Iシリーズ」に属する4本目のレンズ。35mm F2や65mm F2と共に発表されましたが、1か月ほど遅い発売となりました。

小型軽量ながら総金属製筐体を採用し、使い勝手の良いフォーカスリングや絞りリングを搭載したビルドクオリティの高いレンズ群となっています。Contemporaryラインとしてはやや高めの価格設定ですが、付加価値の高い外装の仕上がりは必見。

”I”シリーズはこれまでに「45mm F2.8」「35mm F2」「65mm F2」の3本が登場しており、この「24mm F3.5」は同シリーズで最も画角の広いレンズとなります。開放F値は単焦点レンズとしては少し暗いものの、優れたビルドクオリティで小型軽量な広角レンズに仕上がっています。数あるソニーEマウントの24mmレンズの中でも強い個性を放っています。

フォーカス駆動にはステッピングモーターを採用し、静かで滑らかなフォーカシングを実現。さらにこのレンズは「0.108m」と非常に短い最短撮影距離で撮影することができ、この際の撮影倍率は「0.5倍」と非常に寄りやすい広角レンズです。

MTFを見る限りではいくらか非点収差が残存しているように見えます。他社の24mmと比べて四隅の収差が良好に補正されているようにも見えますが、実写でどうのような結果となるのか気になるところ。

価格のチェック

市場相場は6万円程度ですが、買い方次第で5万円近い価格で購入可能(例えばYahoo!ショッピングのポイント還元などを利用)。タムロン「24mm F/2.8 Di III OSD M1:2」やサムヤン「AF 24mm f/2.8 FE」の存在を考慮すると決して安い値付けとは言えません。価格差分のビルドクオリティや光学性能に価値があるのか、しっかりと見極める必要があります。

玉ボケ

口径食・球面収差の影響

口径食が強いと、四隅が楕円状に変形したり、部分的に欠けてしまったりします。これを解消するには絞りを閉じるしかありません。しかし、絞ると羽根の形状が見えてしまう場合もあるので状況に応じてF値を変化させる必要あり。

逆に口径食の影響が少ないと、絞り開放から四隅まで円形に近いボケを得ることが出来ます。これは玉ボケに限った話ではなく、一般的な四隅のボケ描写の質感にも繋がります。口径食が強いと、ボケ量が少なく感じたり、四隅のボケが荒れてしまう場合もあるため、口径食の小さいレンズが好ましい。

球面収差の補正が完璧では無い場合、前後のボケ描写に差が発生します。この場合はどちらかが滲みを伴う滑らかな描写になり、反対側で2線ボケのような硬い描写となってしまいます。

実写で確認

接写時における大きな玉ボケの場合、絞り開放のF3.5から口径食の問題は全くありません。若干パースが利いたように引き延ばされるものの、不自然で見苦しい変形は無し。ボケの内側における玉ねぎボケや縁取りの兆候は見られません。

7枚円形絞りはF3.5からF5.6付近までは円形に近い状態を維持しています。F8まで絞ると絞り羽根の形状が見え始めるので注意が必要です。小絞りは当然ボケが小さくなるものの、目障りな描写ではありません。

比較的綺麗なボケ描写でしたが、撮影距離が長くなる際の後ボケは描写が少し硬くなります。縁取りや非球面レンズの影響もあるので気を付けたいところ。この際も口径食の影響はほとんどありません。

前後ボケ

綺麗なボケ・騒がしいボケとは?

ボケの評価は主観的となりがちですが、個人的には滲むように柔らかくボケるのが綺麗と感じます。逆に、段階的にボケず、急にボケ始める描写を硬調で好ましくないと感じます。

実写で確認

ご覧の通り、ピント面前後におけるボケ質の違いは明らか。
後ボケは滲むようにボケるので、縁取りが無くとても柔らかい描写です。一方で後ボケは輪郭がハッキリと分かるほど非常に硬調です。前景が騒がしいと(例えば木の枝)目障りと感じる場合があるかもしれません。

幸いにも24mmの広角で前ボケが写りこむシーンは極めて少ない。被写体の後ろに広がる後ボケがフレームの広い領域を占めるはず。このため、柔らかい後ボケは全体的なボケ描写に関してメリットとなる可能性が高い。

ボケ量が大きくなる場合でも、この傾向は続きます。前ボケはコントラストが高い領域で少し騒がしく見えます。逆に後ボケは柔らかく滑らかで目障りとならないボケ描写です。

実写でも滲む後ボケは心地よく、素敵な仕上がりを期待できます。特に接写時は球面収差の影響が強くなるためか、ピント面ですら滲むような柔らかい描写を得ることが可能です。

逆光耐性・光条

全体的にゴーストとフレアを良く抑えています。シャドウを持ち上げるとゴーストが目立ちやすいものの、通常の撮影で問題となるシーンは少ない。

実写で確認1

完璧ではありませんが、まずまず良好にフレアとゴーストを抑えています。とは言え、フレーム中央周辺に光源があると、部分的にレンズフレアによるコントラスト低下などが発生するので注意が必要です。絞ると状況は悪化し、特に小絞りでは緑色の目立つフレアが発生してしまうのが残念。

実写で確認2

フレーム中央周辺と比べ、光源が四隅にある場合はF3.5のフレアやホースとが控えめとなっています。ただし、絞るとフレアとゴーストが目立ち始めるので、やはり注意が必要です。

まとめ

「24mm F3.5」はボケを大きくできるレンズではありませんが、非常に柔らかく心地よい後ボケの描写は強みになり得ると思います。また、最大撮影倍率が0.5倍と非常に高く、寄りやすいのもGood。F3.5ながら、接写することで背景のボケを大きくすることが可能。

前後におけるボケの傾向は45mm F2.8 DG DNと同じ。撮影距離によっても少し変動するので注意が必要です。撮影距離が少し離れるとボケが騒がしくなり始めます。その反面、解像性能は向上しますが…。

24mmの単焦点に心地よいボケを期待しているのであればおススメの一本です。

購入早見表

作例

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