「PERGEAR 35mm F1.4」のレビュー第一弾を公開。今回はレンズの外観や操作性、カメラに装着してMFの使いやすさなどを確認しています。
はじめに
今回はPERGEARから無償提供していただいた製品を評価しています。レビューにあたり、金銭の受け取りやテスト結果・評価への指示は一切ありません。無意識のバイアスがかかっている可能性を否定できませんが、これまでに様々な製品をレビューしてきた経験をもとに、出来る限り客観的な評価を心がけています。
PERGEAR 35mm F1.4のレビュー一覧
- PERGEAR 35mm F1.4 レンズレビュー Vol.6 周辺減光・逆光編
- PERGEAR 35mm F1.4 レンズレビュー Vol.5 諸収差編
- PERGEAR 35mm F1.4 レンズレビュー Vol.4 ボケ編
- PERGEAR 35mm F1.4 レンズレビュー Vol.3 遠景解像編
- PERGEAR 35mm F1.4 レンズレビュー Vol.2 解像チャート編
- PERGEAR 35mm F1.4 レンズレビュー Vol.1 外観・操作性編
Index
まえがき
2022年冬に登場したPERGEAR初となるフルサイズミラーレス用の大口径単焦点レンズ。おそらくCheecarと何らかの関係性があると思われますが詳細は不明。
概要 | |||
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レンズの仕様 | |||
発売日 | 2022年11月22日 | 初値 | ¥15,999 |
マウント | RF/E/Z/L | 最短撮影距離 | 0.3m |
フォーマット | フルサイズ | 最大撮影倍率 | 不明 |
焦点距離 | 35mm | フィルター径 | 43mm |
レンズ構成 | 5群7枚 | 手ぶれ補正 | - |
開放絞り | F1.4 | テレコン | - |
最小絞り | F16 | コーティング | MC |
絞り羽根 | 10枚 | ||
サイズ・重量など | |||
サイズ | φ60×40.5mm | 防塵防滴 | - |
重量 | 235g | AF | MF |
その他 | クリック式絞りリング・電子接点なし | ||
付属品 | |||
キャップ・フード・ポーチ |
フルサイズ用「35mm F1.4」としては驚くほどコンパクトで、携帯性に優れた大口径レンズです。レンズ構成は「7Artisans 35mmF1.4」などと比べるとシンプルですが、最短撮影距離が短く小さな被写体をクローズアップしたい場合に便利なスペックとなっています。
価格のチェック
フルサイズ用の大口径35mmレンズとしては破格の15,999円で販売中。電子接点のないフルマニュアルレンズとは言え、非常に低価格を実現しています。35mmで大きなボケを得たい場合は面白い選択肢となることでしょう。
PERGEAR 35mm F1.4(簡易検索) | |||
楽天市場 | Amazon | キタムラ | Yahoo |
PERGEAR | Emgreat | ? | ? |
外観・操作性
箱・付属品
PERGEARらしい赤を基調としたデザインの箱です。以前は専用のデザインもないOEMっぽい外箱だったことを考えると、ずいぶんと良くなりました。
箱の中にはレンズ本体とレンズポーチが付属します。このサイズのポーチは割と便利で、フィルターや小さなレンズをカメラバッグに収納する際に重宝しています。
外観
総金属製のしっかりとした作り。他社も似たような作りなので、金属外装が強みとは言えませんが、少なくとも価格を考慮すると立派な作りです。全体的に表示はプリントで、刻印などの凝った加工はありません。フォーカスリングの意匠はフォクトレンダーのNOKTONに似ています。
ハンズオン
全長40.5mm、重量135gの小型軽量な大口径広角レンズ。手に取ってみると、サイズのわりに質量を感じるのは金属とガラスの塊だからでしょうか。絶対的には軽量ですが、安っぽさを感じない重量感があります。
前玉・後玉
レンズ構成の詳細は不明ですが、凸型の前玉を備えています。マルチコートらしいですがフッ素コーティングではないので、水滴や汚れの付着が想定されるシーンではプロテクトフィルターの装着がおススメです。フィルター径は43mmと大口径ながら小さく、ソニーEマウント用のフルサイズ用レンズとしては最小クラス。他のレンズと共有しにくいですが、フィルター径が大きなモデルよりも手ごろな価格で入手可能となっています。
金属製のレンズマウントは3本のビスで固定されています。レンズマウントの指標がボディ側との接触面にあるので、確認しづらいのがマイナスポイント。全群繰り出し式フォーカスらしく、フォーカス時は前玉から後玉まで前後に移動。周辺部は反射防止のためのマットブラック塗装と切込み加工が施されています。
フォーカスリング
金属製の細いフォーカスリングを搭載。抵抗感は個人的な好みからすると少し緩めですが、とても滑らかに回転します。ピント全域のストロークは約180度あり、その大部分は3mまでの撮影距離で使用。近距離で35mm F1.4の浅い被写界深度を操作するには十分と言えるストロークですが、逆に無限遠側はかなり短くなっています。ただし、無限遠側でピントを合わせづらいとは感じませんでした。
絞りリング
非常に細い金属製絞りリングを搭載。絞り範囲はF1.4からF16までですが、F2.0やF11が省略されてている独特なデザイン。回転動作はフォーカスリングよりも重く、クリック付き。F1.4とF2.8の間は3回クリックが発生するので、おそらく1/2段刻みで動作しているのだと思いますが、F2.8とF4の間は1/3段刻みで動作します。F4からF8は1段刻み、F11はスキップされ、F16となる不思議な仕様。
装着例
α7 IVに装着。F1.4の大口径とは思えないほどコンパクトで気軽に携帯することが可能です。撮影時の操作性は良好で、不快と感じることはありませんでした。あえて言えば、フォクトレンダーのように絞りがレンズ先端にあると、もう少し操作性が良かったかもしれないと感じるくらいでしょうか。
MF
ブリージング
ブリージングとはピント位置によって画角が変化することを指す。画角の変化が大きいと、フォーカシングで画角が広がったり狭くなったりするので気が散ったり、AFが不安定化する原因となる。出来ればフォーカシングブリージングは無い方が良い。
今回はブリージングの影響を確認するために、レンズを最小絞りまで絞り、最短撮影距離と無限遠で撮影した結果が以下の通り。
最短撮影距離と無限遠を比べると、画角の変化がゼロではないことが分かります。無限遠側で画角が少し広くなるので、不要な物体をフレームに入れたくない場合は無限遠側で調整しておくといいでしょう。
精度
前述したとおり、180度のストロークと滑らかなフォーカスリングを持ち、ピント位置の微調整がしやすい。無限遠側はストロークが短いとはいえ、ピント合わせに不便とは言えず、全体的に良好な操作性を実現しています。
まとめ
1.5万円のフルサイズ対応 MF 35mm F1.4と考えると特に不満はありません。フォーカスリングは滑らかに回転するし、ストローク長めで微調整しやすい。絞りリングはクリック付きで静止画撮影に適しています。
何より「35mm F1.4」としては小型軽量で携帯性しやすい大口径の準広角レンズとして面白い選択肢になると思います。このようなレンズに高い光学性能を期待するのはお門違いですが、手ごろな価格で大きなボケが得られる広角レンズとしては検討する価値があるのかなと。(F1.4からシャープでヌケの良いレンズを探しているのであれば、避けたほうが良いでしょう)
購入早見表
PERGEAR 35mm F1.4(簡易検索) | |||
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作例
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