Dustin Abbottがキヤノン「RF50mm F1.8 STM」のレビューを掲載。EF50mmより優れたビルドに加え、優れた画質を実現していると高く評価しています。価格も手ごろでおススメしやすいとのこと。
安くて優れたレンズ
Dustin Abbott:Canon RF 50mm F1.8 STM Review
- レンズの紹介:
・これでのRFレンズラインアップに不足していた手ごろな価格の単焦点レンズだ。
・「nifty-fifty」と呼ばれている、エントリー単焦点レンズである。低価格ながら、ズームレンズとは明らかに異なる画質を楽しむことができる。- ビルドクオリティ:
・従来のEF50mm F1.8はプラスチック感の強いレンズだったが、このレンズは他の非Lレンズと同程度の質感を備えている。高価なカメラにおもちゃを付けているような感覚は無くなった。
・キヤノンは決してコンシューマー向けレンズにレンズフードを付属しない。別売りレンズフードはレンズの価格に対して20%ほどだ。
・他の非Lレンズと同じく防塵防滴には非対応である。
・新しい仕上がりの外装はスレや指紋に強い。EFレンズと比べると間違いなくスタイリッシュな外観だ。
・小さな欠点として、外装にいくらか継ぎ目が見えてしまっている。
・絞り羽根は7枚だ。F2.8までは見栄えが良いものの、F4まで絞ると羽根の形状が見え始める。
・前面には驚くほど小さい43mmフィルターに対応している。- 携帯性:
・素晴らしくコンパクトなレンズだ。フランジバックの短いミラーレスながら全長は一眼レフ用とほぼ同じだ。重量はまったく同じである。- 操作性:
・コントロールリングにより絞りや露出補正を制御することが出来る。
・AF/MFスイッチの代わりにフォーカスリングとコントロールリングの切替スイッチを搭載している。AF/MFを切り替えるにはカメラ側のメニューシステムへアクセスする必要がある。
・コントロールリングはダイヤモンドパターンの加工が施されている。ただし、多くのRFレンズと異なり、クリックが無い。
・フォーカスリングはこのシリーズとしては高水準な操作性である。- オートフォーカス:
・最短撮影距離は30cmまで改善している。これにより0.25倍と異様に高い撮影倍率を実現している。
・RF85mm F2のSTM駆動はノイズが大きく、動作も遅かった。幸いにもこのレンズのSTM駆動は遥かに優れている。
・レンズ繰り出し式フォーカスのため最短撮影距離では内筒が1cmほど伸びる。伸びた内筒は傷つきやすいように見えるため、電源オフ時は内筒を格納する設定にしておくのがおススメだ。
・フォーカス速度は素晴らしく、きびきびとした動作だ。大きなピント移動でさえ、素早く合焦する。
・駆動音はゼロでは無いが、最小限に抑えられている。
・瞳AFは大部分の状況で正確に動作した。
・動画AFもかなり信頼できる。RF85mm F2よりもはるかに実用的なAFだ。- マニュアルフォーカス:
・RF85mm F2と比べてイライラすることが少なく、遥かに素早く操作可能だ。- 手ぶれ補正:
・手ぶれ補正は搭載していないが、キヤノン最新ボディには最大7段分の補正効果が得られるボディ内手ぶれ補正を搭載している。- 解像性能:
・接写時の像面湾曲は良好と言えず、コントラストは低く、収差も目立つ。F2.8まで絞ると実用的となるが、それでも良好とは言えない。
・皮肉なことに、強みの最短撮影距離から離れると画質は改善する。
・中央から四隅までとても良好だが、際立ったコントラストではない。
・F2まで絞るとコントラストは向上するが、四隅の滲みは残っている。
・F2.8まで絞ると大きく改善する。ただし、極端な四隅は甘さが残る。
・F5.6まで絞ると全体的にシャープとなり、高解像なEOS R5にも耐えうる性能だ。- 像面湾曲:
・記載なし。- ボケ:
・玉ボケはとても素晴らしい描写だ。縁取りや粗い描写は見られない。
・中距離での撮影は背景が騒がしくなる可能性がある。- 色収差:
・軸上色収差は緑の色ずれが目立ち、紫の色ずれは目立たない。
・球面収差によりコントラストが低下するため、実写で紫の色ずれは目立たないようだ。
・倍率色収差は極僅かで、画質に影響を及ぼすものでは無い。- 球面収差:
・残存する球面収差によりコントラストが低下しているようだ。- 歪曲収差:
・樽型の歪曲収差は極わずかだ。- 周辺減光:
・EFレンズと比べて減光量が大幅に増加している。
・EFレンズの減光量は2EV未満だったが、このレンズは4EV以上の減光が見られる。- コマ収差:
・記載なし。- 逆光耐性:
・キヤノンによると、逆光耐性を改善するコーティングを採用しているそうだ。
・逆光耐性は光源の位置により、良いときもあれば良くないときもある。
・全体的に見て改善されているが、良好と呼べる水準ではない。- 作例集
総評
価格の面からおススメしやすいレンズだ。RFラインアップの中では最も安価なレンズであり、単焦点らしい画質を得ることができる。ビルドクオリティは顕著な改善が見られ、AF性能は旧型STMよりも滑らかでキビキビとした動作だ。
絞り開放のコントラストは驚くべきものでは無く、周辺減光はびっくりするほど強めだ。しかし、良好なディテールと素晴らしいボケを得ることができ、絞れば非常にシャープである。
結論を言うと「安いから買う」わけでは無く「優秀だから買う」価値がある。F1.2Lクラスには遠く及ばないが、手ごろな価格の良いレンズである。
長所:従来より大幅に改善したビルドクオリティ・洗練されたSTM駆動・フォーカス精度が高い・安定した動画AF・接写性能の向上・絞り開放の中央解像・大部分の条件で良好なボケ・コストパフォーマンス
短所:目立つ周辺減光・レンズフード別売り・絞り開放のコントラストは抜群と言えない・開放の四隅がシャープではない
とのこと。
従来の50mm F1.8と比べて全体的に良好なレンズに仕上がっているみたいですね。Lレンズ並のクオリティではないものの、価格を考慮するとパフォーマンス良好と言えそうです。
私も発売日からEOS R5と組み合わせて使っていますが、個人的にはDustin Abbott氏ほど肯定的な評価には至っていません。やはり周辺減光が目立つ上に透過率が悪く、EF50mm F1.8 STMと比べてボケ描写や絞った際の解像性能に大きな差は見られません。
システムサイズは間違いなくコンパクトですが、アダプターでコントロールリングとフォーカスリングを分離できるEF50mm F1.8 STMのほうが使い勝手は良好です。ただし、フォーカスリングの滑らかさは間違いなくRF50mm F1.8が良好なので、実際に触って確かめて欲しいところ。オートフォーカスは、どちらもEOS R5に装着したところ「RF50mmのほうが少し速いかな?」と言う程度です。
全体的に見て、絞り開放の画質(主に周辺部の解像性能)と改善した接写性能、ミラーレスらしいコンパクトサイズに魅力的を感じたら買いなレンズだと思います。
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