2024年5月24日付けでキヤノンの気になる特許出願が公開。以前にも見たことのある構成で、かつ至近距離の光学性能を意識した「14-20mm F2」「14-24mm F2.8」となりそうな光学系の実施例を含んでいます。
概要
- 【公開番号】P2024071267
- 【公開日】2024-05-24
- 【発明の名称】ズームレンズ、及びそれを有する撮像装置、撮像システム
- 【出願人】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社- 【課題】小型でありながら、高い光学性能を有し、至近距離を短縮したズームレンズを提供する。
- 【背景技術】
【0002】
広い画角を有する広角ズームレンズは、広い画角を生かした風景撮影などに好適である。しかしながら、広角ズームレンズは、望遠レンズと比較して比較的近距離撮影が容易な一方、その広い画角のため最大撮影倍率が低くなってしまうという特徴がある。大口径の広角ズームレンズの場合、レンズ径やレンズ全長が大きくなりやすく、至近距離短縮のためにフォーカス移動量を大きくとると、さらに大型化し、風景撮影に重要な無限遠距離近傍での光学性能が低下しやすい。- 【0003】
一般的な広角ズームレンズは、負の前群と正の後群からなる、所謂レトロフォーカスタイプであり、無限遠から至近距離にわたって高い光学性能を実現するためにフォーカシングに際し複数のレンズ群を移動させるフローティング方式が採用される。- 【0004】
特許文献1には、物体側から順に配置された、負の第1レンズ群、正の第2レンズ群、負の第3レンズ群、正の第4レンズ群からなるズームレンズが開示されている。特許文献1に記載のズームレンズでは、フォーカシングに際し第2レンズ群と第3レンズ群を像側へ移動させることで、無限遠から至近距離までの光学性能を向上している。- 【0006】
しかしながら、特許文献1に記載のズームレンズにおいて、さらなる撮影倍率の向上のためには、フォーカスレンズ群の移動量を大きくし、フォーカスレンズ群の屈折力を強くする必要がある。このため、レンズ全長が長くなり、無限遠距離近傍での結像性能が低下するなどの弊害が発生しやすい。- 【0007】
本発明は、小型でありながら、高い光学性能を有し、至近距離を短縮したズームレンズを提供する。実施例1
- 焦点距離:12.29-23.80
- F値:2.93
- 半画角:60.39-42.27
- 像高:21.64
- 全長:138.05-134.83
- バックフォーカス:13.86-19.48
実施例2
- 焦点距離:11.30-23.80
- F値:2.93-4.09
- 半画角:62.42-42.27
- 像高:21.64
- 全長:138.04-136.22
- バックフォーカス:13.87-22.14
実施例3
- 焦点距離:14.30-21.50
- F値:2.06
- 半画角:56.54-45.18
- 像高:21.64
- 全長:148.04-139.46
- バックフォーカス:13.87-20.30
「12-24mm F2.8」「14-22mm F2」と言った大口径ズームの光学系の特許を見るのはこれが初めてではありません。今年の3月にも同じような光学系の実施例を含む特許出願を見ています。
ただし、今回は特に最短撮影距離の短さを意識しつつ、高い光学性能の実現を目的としている模様。実施例の収差図を確認してみると、超至近距離では収差の変動が激しいものの、至近距離までは安定した結果が得られている模様。
2024年5月時点で「RF15-35mm F2.8 L IS USM」をラインアップしていることを考慮すると、今後登場するとしたら「RF14-20mm F2 USM」と言ったところでしょうか?天体撮影用の便利な大口径ズームとなりそうですが、今のところ、このようなズームレンズが登場すると言った話は耳にしていません。過度な期待は禁物。
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