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シグマ「35mm F1.4 DG DN | Art」レンズレビュー 完全版

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このページではシグマ「35mm F1.4 DG DN | Art」のレビューを掲載しています。

管理人の評価

ポイント 評価 コメント
価格 コスパ抜群
サイズ ソニーGM比で大きい
重量 同上
操作性 豊富なコントロール搭載
AF性能 高速だがブリージングが目立つ
解像性能 近接四隅以外は非常に良好
ボケ 玉ボケの縁取り以外は良好
色収差 僅かに軸上色収差が残存するのみ
歪曲収差 陣笠状歪曲で補正必須
コマ収差・非点収差 とても良好な補正状態
周辺減光 無限遠で特に目立つ
逆光耐性 フレーム外の光源に強い
満足度 コストパフォーマンス抜群

兎にも角にもコストパフォーマンス

ソニーGMの半値で購入できるコストパフォーマンス抜群の大口径35mm。GMと比べると接写時の周辺~四隅の解像性能低下が目立つものの、実写での撮影距離で問題となることは少ないはず。遠景の解像性能は互角で、ボケは比較的滑らかで綺麗。陣笠状の歪曲収差は要注意ですが、それ以外で大きな欠点が無く、おススメしやすいレンズに仕上がっています。

まえがき

概要
レンズの仕様
マウント ソニーE/ライカL 最短撮影距離 0.3m
フォーマット フルサイズ 最大撮影倍率 1:5.4
焦点距離 35mm フィルター径 67mm
レンズ構成 11群15枚 手ぶれ補正 -
開放絞り F1.4 テレコン -
最小絞り F16 コーティング 防汚/SMC
サイズ・重量など
サイズ φ75.5×111.5mm 防塵防滴 対応
重量 640g AF STM
その他 絞りリング/絞りロック/絞りクリック/AFLボタン
付属品
フード/レンズケース/説明書/保証書

12本目となるシグマDG DNシリーズのレンズ。競合多いソニーEマウントと、まだまだラインアップが少ないライカLマウントに対応。ミラーレス専用設計ながら、光学設計はSGVの元祖「35mm F1.4 DG HSM」と同じで、10年来のベテランエンジニアが担当(他にも18-35mm F1.8や85mm F1.4 DG DNなどの銘玉を手掛けている模様)。特殊レンズを贅沢に使用し、DG HSMと比べてコマ収差や軸上色収差を良好に補正。さらに、フォーカスレンズは1枚と軽量で、ステッピングモーター駆動による軽快なAF性能を実現している模様。

レンズサイズは「35mm F1.2 DG DN」より小さいものの、ソニー「FE 35mm F1.4 GM」と比べると大きく、「EF 35mm F1.4 ZA」と同程度です。携帯性でベストは言えませんが、そのぶん価格やパフォーマンスに期待したいところ。

価格のチェック

売り出し価格は9万円台ですが、買い方次第で8万円前後となるはず。ソニーGMの半値程度までコストが抑えられているのでコストパフォーマンスは良好。これ以上安い35mm F1.4となると、サムヤン「AF 35mm F1.4 FE」くらいしかないはず。

レンズレビュー

外観・操作性

箱・付属品

SGVシリーズで共通している白を基調としたシンプルなデザインの箱。シンプルながらロゴ、フィルター径などが分かりやすく表示されています。箱のサイズは35mm F1.4としては一般的。レンズは緩衝材や間仕切りではなく、しっかりとしたレンズケースに収まっています。

レンズ本体の他に、レンズフード、レンズケース、説明書、保証書が付属しています。Artシリーズらしく立派なレンズケースが付属しています。

外観

外装はマウント付近、絞りリング、フォーカスリングが金属製、スイッチ・ボタン周辺にプラスチックパーツを使用しています。全体的に見てしっかりとした構造であると同時に、高級感のある作りです。シグマDG DN Artシリーズらしい佇まいと言えるでしょう。

先端は67mmフィルターに対応したソケットを搭載。その次に幅広いフォーカスリングを備え、グリップ性の良いゴム製カバーを装着しています。そしてAF/MFスイッチ・クリックスイッチ・絞りロック・AFLボタンに加え、F1.4~F16まで回転する絞りリングを搭載。

ハンズオン

全長111.5mm、重量640gの35mm F1.4レンズ。サイズはFE 35mm F1.4 ZAとよく似ており、FE 35mm F1.4 GMと比べると少し大きく重い。携帯性はソニーGM有利ですが、驚くほどのサイズ差ではありません。ただし、この僅かな全長の差でカメラバッグへの収納性に違いが出る可能性あり。実際、このレンズを装着時は。スリングバッグへの収納性がソニーGMほど良くありません。

前玉・後玉

前面は67mm径の円形フィルターに対応。67mmと言えば「28-70mm F2.8 DG DN」や「100-400mm F5-6.3 DG DN OS」をはじめ、各種タムロンDi IIIレンズや多くのソニー製レンズも対応しています。共用しやすいので、67mmでNDフィルターやC-PLフィルターを揃えておく価値あり。このレンズはインナーフォーカスタイプであるため、フォーカシングで鏡筒が伸びたり、回転することはありません。

前面には防汚コートを採用しているので、プロテクトフィルター無しでも水滴や汚れを拭き取りやすいのがGood。ソニーGMもフッ素コーティングに対応しているものの、10万円を切るレンズには採用していないモデルも多いのです。

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真鍮製レンズマウントは4本のビスで固定されています。防塵防滴仕様であり、マウント周囲には水滴やゴミの侵入を防ぐゴム製シーリングあり。このほか、前面やリング周囲、スイッチ・ボタン部にシーリングが施されています。古いシグマレンズと比べると充実した耐候性と言えるでしょう。

フォーカスリング

幅50mmのフォーカスリングは滑らかに回転します。電子制御式としては少し重めの抵抗感があり、丁寧なフォーカシングに適している印象。回転速度に応じてピント距離の移動速度は変化しますが、ピント全域を移動するには素早く回転しても約270度、ゆっくり回転すると約3回転の操作量が必要です。低速回転時でもピント移動はとても滑らか。

絞りリング

1/3段ごとに目盛りがあり、クリックストップに対応している絞りリングを搭載。適度な抵抗量で滑らかに回転します。「A」ポジションでカメラ側での制御が可能となるほか、Aポジションでのロックも可能。また、絞りリングのクリックを解除して無段階で絞りを操作することも出来ます。クリック解除時も絞り値の表示は1/3段ごとですが、実際に絞り羽根の動作を確認してみると、より細かく刻んで動作していることが分かります。

レンズフード

花形のプラスチック製レンズフードが付属。ここ最近のシグマ製フードらしく、根本には滑り止め用のゴム製カバーが施されています。グリップを高めるデザインですが、同時にゴミも付きやすいのが悩ましいところ。フードにはロックボタンがあり、脱落する可能性は低い。

装着例

α7R IVとの組み合わせでバランスは良好ですが、やはりソニーGMと比べると少しフロントヘビーと感じます。長時間の使用で少し重たいと感じるかも。

グリップとレンズの間に十分なスペースは確保されていますが、余裕があるとは言えません。ただし、このレンズに限ったことではなく、ソニーαにおけるボディデザインの問題点。

AF・MF

フォーカススピード

決して爆速・電光石火とは言えませんが、F1.4レンズとしては十分に高速で快適なフォーカス速度だと思います。全体的に見て、AF-S時はソニーGMと比べるとワンテンポ遅い。逆にAF-C時はシグマのほうが少し高速に見えます。実使用でソニーGMとの差はそこまで大きくないはず。ただし、「α1」で30コマ秒連写を使いたいのであれば純正一択。

ブリージング

ブリージングとはピント位置によって画角が変化することを指しています。最小絞りまで絞り、最短撮影距離と無限遠で撮影した結果が以下の通り。

ソニーGMよりも良好ですが、それでもブリージングは目立つほう。大きなフォーカス移動時のみならず、ブリージングは目に付くと思います。
無限遠と比べて最短撮影距離では画角がかなり狭い傾向はソニーGMと同じ。下の図は無限遠側の作例に最短撮影距離時のフレーム範囲を枠で表示したもの。

精度

α7R IVと組み合わせた限り、今のところ精度に大きな問題はありません。

MF

前述した通り、フォーカスリングの抵抗感や滑らかさはとても使いやすいと感じています。回転角は素早く操作しても十分に大きく、高精度で素早いピント合わせが可能です。ただし、ソニーGMのようにリニアなレスポンスのフォーカシングには対応していません。

解像力チャート

撮影環境

テスト環境

  • カメラボディ:α7R IV
  • 交換レンズ:35mm F1.4 DG DN Art
  • パール光学工業株式会社「【HR23348】ISO12233準拠 8K解像力テストチャート(スチルカメラ用)
  • オリンパス HYRes 3.1 解析ソフト
  • 屋内で照明環境が一定
  • 三脚・セルフタイマー10秒・電子シャッター
  • α7RIVのRAWファイルを使用
  • ISO 100 固定
  • Adobe Lightroom Classic CCでRAW現像
    ・シャープネス オフ
    ・ノイズリダクション オフ
    ・色収差補正オフ
  • 解析するポイントごとにピントを合わせて撮影
    (像面湾曲は近接で測定が難しいので無限遠時にチェックしています)
  • 近接でのテストであることに注意(無限遠側はさらに良好となる可能性あり)

補足

今回はRAW出力を元にしてシャープネスをオフの状態で検証しています。ボディ出力のJPEGやRAW現像でシャープネスを整えるとより数値が向上する可能性があります。今回の数値はあくまでも「最低値」とお考え下さい。

テスト結果

中央

絞り開放から「4000」に近い非常に良好なパフォーマンスを発揮。6100万画素のローパスフィルターレスでは細部に偽色が発生するため(下の掲載画像を参照)、これを処理するともう少し良好な結果が期待できるかもしれません。
絞るワンランク画質が向上し、この解像力チャートの限界値に近い結果を得ることが出来ます。その後はF11まで同程度の性能となり、最小絞りであるF16でも「4000」を超えています。ソニーGMと比べると絞り開放の性能で劣るものの、それ以外は遜色のない結果を期待できます。

周辺

絞り開放で若干のコントラスト低下が見られるものの、解像性能のテストは「4000」を超える良好な結果。絞ると徐々に画質が改善し、F4以降は「4500」を超える優れた結果を得ることが出来ます。最小絞りでは「4000」を下回るものの、非常に良好な結果に違いありません。絞り値全域で実用的な画質であり、ケチのつけようがない。

四隅

絞り開放は「2000」を下回るややソフトな画質です。極端に収差が目立つ画質ではありませんが、6100万画素を活かせる光学性能とは言えません。1段絞ると状況は大きく改善し「3500」に近い良好な結果を得ることができます。 ただし、F2.8以降は絞ってもあまり変化がなくソニーGMのように隅から隅まで一貫した解像性能を得られるわけではありません。

結果は驚くべきものではなく、SIGMA社の社長が新製品のプレゼンテーションで接写時の性能低下を示唆しています。無限遠を使った際はより良好な結果となるので、あくまでも「接写時にパフォーマンスが低下する」と理解しておくと良いでしょう。

さらに言うと、接写時に四隅の解像性能が必要となるシチュエーションは少ないと思われます。過度に心配する必要はありません。とはいえ同じテスト環境でソニーGMはさらに良好な結果でした。価格差は考慮しなければなりませんが、このカテゴリーでベストを尽くすのであればソニーGMが最有力候補です。

数値確認

中央 周辺部 四隅
F1.4 3821 4051 1985
F2.0 3941 4207 3442
F2.8 4406 4421 3641
F4.0 4578 4866 3868
F5.6 4860 4509 3814
F8.0 4767 4707 3512
F11 4440 4404 3485
F16 4041 3779 3304

実写確認

絞り開放では中央から隅にかけて徐々に画質が低下しているのが分かります。1段絞ると周辺部まで画質安定しますが、隅まで品質的な画質を求める場合は少なくともF2.8まで絞った方がいいでしょう。

競合レンズ比較

35mm単焦点レンズとしてはトップクラスのパフォーマンスを備えています。ただし、ソニーGMと比べると四隅のパフォーマンスが伸び悩んでいます。ここに妥協したくないのであれば、このレンズの倍近い価格でソニー「FE 35mm F1.4 GM」を購入する必要があります。個人的な見解として、大部分の人はシグマ35mmで満足できると思います。
同じ35mm単焦点レンズである「35mm F2 DG DN」と比べると、接写時の光学性能は安定しています。35mm F1.4 DG DNよりも2万円ほど安い「FE 35mm F1.8」と比べても全体的に良好な結果を期待できます。

遠景解像力

テスト環境

  • 撮影日:2021-05-14:晴天・微風
  • 三脚:Leofoto LS-365C
  • 雲台:Leofoto G4
  • カメラ:α7R IV ILCE-7M4
  • 非圧縮RAW・絞り優先AE・ISO100固定・電子シャッター
  • Adobe Lightroom Classic CCにて現像
    ・シャープネス「0」
    ・その他初期設定

テスト結果

中央

絞り開放から良好なシャープネス・コントラストですが、1段絞るとさらに改善。F2.8以降は顕著な改善が期待できないものの、ピークのF5.6・F8に向かって徐々にコントラストが向上。F8で既に画質は下降傾向があるものの、F11までは良好なパフォーマンスを発揮しています。F16は回折の影響が強くなるので、必要な場合以外での使用は避けるのがおススメ。

周辺

中央と同じくF1.4から非常に高解像・高コントラスト。絞っても大きく改善しませんが、F4~F8でで画質のピークに達している。

四隅

中央や周辺と比べると少して光学性能が低下するものの、画質が荒れていると感じるほど悪くありません。絞ってもあまり大きく改善しませんが、F8まで絞ることで隅まで立派なシャープネス

実写で確認

全体的に、中央や周辺はソニー「FE 35mm F1.4 GM」に匹敵、またはそれに近い解像性能を発揮しているように見えます。四隅は絞り開放で僅かに甘いようにも見えますが、6100万画素のα7R IVでその差を少し感じる程度。価格を考慮すると良好なパフォーマンスと言えそうです。

FE 35mm F1.4 GMとの比較

中央

撮影時期が異なるので厳密には言えませんが、どちらも開放からとても良好な性能を発揮しています。敢えて言えばGMのほうが色収差が目立つ。

周辺

やはり色収差補正はシグマのほうが良好に見えますが、シャープネスやコントラストは僅かにソニー有利のように見えます。

四隅

絞り開放はほぼ同じに見えますが、絞った際のコントラストはソニーが少し良好。

撮影倍率

最短撮影距離は0.3m、その際の撮影倍率は1:5.4(約0.185倍)
大口径35mm F1.4としては一般的な数値ですが、ソニーGMと比べると少し見劣りします。(最短撮影距離 0.25m・最大撮影倍率 0.26倍)

像面湾曲

像面湾曲とは?

ピント面が分かりやすいように加工しています。

中央から四隅かけて、ピントが合う撮影距離が異なることを指しています。例えば、1mの撮影距離において、中央にピントが合っていたとしてもフレームの端では1mの前後に移動している場合に像面湾曲の影響が考えられます。

最近のレンズで目立つ像面湾曲を残したレンズは少ないと思いますが、近距離では収差が残存している場合もあります。ただし、近距離でフラットな被写体を撮影する機会は少ないと思われ、像面湾曲が残っていたとしても心配する必要はありません。

無限遠でも影響が見られる場合は注意が必要です。風景など、パンフォーカスを狙いたい場合に、意図せずピンボケが発生してしまう可能性あり。この収差は改善する方法が無いため、F値を大きくして被写界深度を広げるしか手段がありません。

参考:Wikipedia 像面湾曲

実写で確認

像面湾曲が目立ちやすい近距離でも特に大きな問題はありません。

倍率色収差

倍率色収差とは?

主にフレーム四隅に現れる色ずれです。絞り値による改善効果が小さいため、この問題を解決するにはカメラボディでのソフトウェア補正が必要となります。ボディ側の補正機能で比較的簡単に修正できます。

参考:Wikipedia 色収差

実写で確認

完璧な補正状態とは言えず、絞り値全域で倍率色収差の影響が残っています。ソニーGMの補正状態と比べると残存収差は少し多め。極端に目立つわけではありませんが、大きくクロップする場合には補正したい場合があるかもしれません。

注意

以下のリストはAdobe Lightroom Classic CCにてレンズ補正をオフにして現像したものです。しかし、手動では取れない補正が適用されているらしく、上のRAW Therapyで現像した作例よりも色収差が少なく見えます。

軸上色収差

軸上色収差とは?

軸上色収差とはピント面の前後に発生する色ずれを指しています。手前側で主にパープルフリンジとして、奥側でボケにグリーンの不自然な色付きがあれば、その主な原因が軸上色収差です。簡単な後処理が難しく、できれば光学的に収差を抑えて欲しいところですが、大口径レンズでは完璧に補正できていないことが多いです。

参考:Wikipedia 色収差

実写で確認

F1.4で僅かに残存しており、1段絞ったF2.0でも残っています。これを解消するためにはF4~F5.6まで絞る必要あり。ただし、全体的に残存収差は実写で大きな問題とな量ではなく、よほど厳しい状況でなければ軸上色収差が目立つことは無いでしょう。

前後ボケ

綺麗なボケ・騒がしいボケとは?

ボケの評価は主観的となりがちですが、個人的には「滲むように柔らかくボケる」描写が綺麗と感じます。逆に、「急にボケ始めたり、ボケの輪郭が硬い」描写を好ましくないと感じています。

描写傾向の違いは主に球面収差の補正状態によって変化し、前後どちらかのボケが柔らかい場合はもう片方のボケが硬くなる傾向があります。また「アポダイゼーション光学素子」などを使って強制的に滲むボケ描写を実現しているレンズも存在します。

実写で確認

わずかに前ボケ寄りな気もしますが、全体的に見るとニュートラルなボケ描写。球面収差はしっかりと補正され、実写では差し障りのない描写となるはず。ただし、前後に軸上色収差の影響が僅かに残っており、これが時として騒がしく感じるかもしれません。惜しい。
とは言え、絞り開放付近で色収差が発生するのはソニーGMも同じ。特にこのレンズが悪いわけではありません。ボケが大きくなると軸上色収差の影響は小さくなるものの、若干前ボケ寄りの描写に変化は無し。

玉ボケ

口径食・球面収差の影響

口径食が強いと、四隅が楕円状に変形したり、部分的に欠けてしまったりします。これを解消するには絞りを閉じるしかありません。しかし、絞ると羽根の形状が見えてしまう場合もあるので状況に応じてF値を変化させる必要あり。

逆に口径食の影響が少ないと、絞り開放から四隅まで円形に近いボケを得ることが出来ます。これは玉ボケに限った話ではなく、一般的な四隅のボケ描写の質感にも繋がります。口径食が強いと、ボケ量が少なく感じたり、四隅のボケが荒れてしまう場合もあるため、口径食の小さいレンズが好ましい。

球面収差の補正が完璧では無い場合、前後のボケ描写に差が発生します。この場合はどちらかが滲みを伴う滑らかな描写になり、反対側で2線ボケのような硬い描写となってしまいます。

実写で確認

上の画像は玉ボケを小さく撮影して中央をクロップしたもの。この場合、ボケの内側には輪線ボケ(または玉ねぎボケ)と言われる目障りな描写が発生し、さらに玉ボケの縁取りが少し強調され、やや騒がしい描写となる傾向あり。ソニーGMと比べても少し騒がしい傾向があります。

口径食は35mm F1.4としては一般的。よりサイズが小さいソニーGMと比べてアドバンテージは無いように見えます。どちらも絞り羽根は11枚と多く、絞っても円形を維持しやすいのはGood。

やはり玉ボケのアウトラインが強調されやすく、さらに軸上色収差の影響もあって完璧からは程遠いように見えます。これを解消するには少なくともF2.8までは絞りたい。

ボケ実写

撮影距離 30cm

中央とその周辺は背景の輪郭が溶け、とても滑らかな描写に見えます。四隅に向かって口径食の影響が強くなり、そして僅かに硬調な描写へと変化。
1段絞ると中央付近のコントラストが強くなるものの、まだ滑らかな描写。口径食や色収差を抑えつつ、ボケを演出したいのであればF2.0を使うのが良さそう。
F2.8~F4でボケが小さくなるものの、それでも良好な描写を維持しているように見えます。

撮影距離 1m

中央付近はまだ滑らかなボケ描写を維持しています。口径食の影響が強いフレーム端でボケが僅かに騒がしくなるものの、全体的に見ると悪くない描写。
F2まで絞ると口径食の影響が小さくなり、全体的な均質性が向上します。ただし、中央付近の描写が少し騒がしくなるので、状況に応じて絞り値を変化させるのが良さそう。
F2.8~F4まで絞ると、極端に騒がしくはないものの、騒がしくなる可能性はあるでしょう。

撮影距離 2m

撮影距離が長くなると、35mm F1.4でもボケは少し小さく見えます。広角レンズとしては十分良好なボケ描写に見えますが、ボケのアウトラインが強調され、いくらか騒がしく見える。軸上色収差の色ずれと言うよりは、球面収差のムラに見えるボケ描写です。少し騒がしいと感じたら、F2.0~F2.8で調整するのも一つの手。F4以降はあまりボケないので注意。

撮影距離

全高170cmの三脚を人に見立てて撮影。全身を入れるように撮影距離を長くすると、絞り開放でもボケは小さい。全身ポートレートでこれ以上のボケが必要であれば50mmや85mmを選んだ方が良いでしょう。

上半身・膝上の写真であれば被写体と背景をまずまず良好に分離することが出来ます。全体的にボケは滑らかですが、四隅に向かって少し悪化するので注意。
バストアップくらいまで寄ると、十分以上にボケを大きくすることが出来ます。四隅が少し騒がしくなる場合は絞りを調整してみるのが良さそう。
顔のアップまで寄ると、四隅までボケを十分に大きくすることが出来ます。

歪曲収差

歪曲収差とは?

歪曲収差とは、平面上で直線的に写るはずが直線とならずに「歪む」収差です。特に直線が多い人工物や水平線が見えるような場合に目立ちやすい。主に魚眼効果と似た形状の「樽型歪曲」と中央がしぼんで見えてしまう「糸巻き型歪曲」に分かれています。

参考:Wikipedia 歪曲収差

実写で確認

レンズ補正をオフにすると、目立つ樽型の歪曲収差が発生。直線的な被写体のみならず、一般的な撮影でも目立つ可能性があり。このため、カメラのレンズ補正は必須。Lightroomでレンズプロファイルが存在しない現状、現像時は手動での歪曲収差補正が必要です。ただし歪曲収差の影響は直線的と言えず、いくらか陣笠状の変形を伴っています。これを手動補正するのは難しく、レンズプロファイル登場までRAW現像が難しい。レンズプロファイルを格納しているパナソニック機であれば問題ないと思いますが、ソニー E マウントで使う場合には注意が必要です。

周辺減光

周辺減光とは?

周辺減光とは読んで字のごとく。フレーム周辺部で発生する不自然な減光のことです。中央領域と比べて光量が少なく、フレーム四隅で露出不足となっていることを指します。主に大口径レンズや広角レンズで強めの減光が発生、ソフトウェアで簡単に補正できる現象ですが、露出不足を増感でカバーするのでノイズ発生の原因となる点には注意が必要。特に夜景で高感度を使う場合にはノイズが強く現れる可能性があります。

実写で確認

最短撮影距離

絞り開放F1.4で目立ちますが、F2まで絞ると急速に改善し、F2.8でほぼ解消します。以降の四隅に残る周辺減光は解消しませんが、カメラや現像ソフトの補正で十分対応可能です。

無限遠

絞り開放の周辺減光は最短撮影距離よりも少し強めに発生。F2でも四隅に向かって強めの減光が残り、F2.8~F4で徐々に改善します。F4以降は最短撮影距離よりも良好な状態。

比較

露出を固定した場合に最短撮影距離(左)と無限遠(右)で顕著な露出差はありません。

コマ収差

コマ収差とは?

コマ収差とは主にフレーム四隅で点像が点像として写らないことを指しています。例えば、夜景の人工灯や星、イルミネーションなど。日中でも木漏れ日などが影響を受ける場合があります。後処理が出来ないため、光学的に補正する必要がある収差。絞ることで改善するものの、夜景や天体撮影など、シャッタースピードが重要となる状況では絞り開放のコマ収差補正が重要となります(絞るとシャッタースピードかISO感度に影響があるため)。

参考:Wikipedia コマ収差

テスト結果

大口径の広角レンズながら、コマ収差は良好に補正。完璧とまではいかないものの、実写でほぼ無視できるまでに抑えられています。ソニーGMとほぼ同等の補正状態であり、FE 35mm F1.8など、安価なF1.8レンズと比べると雲泥の差。

逆光耐性・光条

逆光耐性 中央

強い光がフレーム中央から入った時の逆光耐性は完璧では無く、目立つゴーストが発生します。絞るとフレアは少なくなるものの、複数のゴーストは目立つまま。

逆光耐性 隅

僅かにフレアが発生しているものの、絞り開放付近で大きな問題はありません。絞ると隠れていたフレアがゴーストとして顕在化しますが、それでも影響は軽微で問題と感じるシーンは少ないはず。
全体的に良好なパフォーマンスに見えますが、シャドウを持ち上げると薄っすらと隠れていたフレアやゴーストが現れます。

光条

F5.6付近から光条が現れはじめ、F8からF16でシャープとなる。ソニーGMとほぼ変わらない傾向ですが、比較して光条が引き締まっているのはソニーGM。と言っても見比べないと判断つかない程度の差です。

総評・作例

肯定的見解

ココがポイント

  • 手ごろな価格設定(ソニーGMの半値)
  • レンズケース付属
  • ビルドクオリティの高いレンズの作り
  • 防汚コート
  • 防塵防滴仕様
  • 滑らかで精度の高い操作が可能なMFリング
  • 絞りリング搭載(ロック・デクリック可能)
  • 十分に高速なAF速度
  • 四隅以外は良好な近接解像性能
  • ソニーGMに匹敵する遠景解像性能
  • きちんとした倍率色収差補正
  • ニュートラルで滑らかなボケ
  • 良好なコマ収差補正
  • まずまず良好な逆光耐性
  • 綺麗な光条(F8~)

解像性能・ボケ・諸収差の補正状態・レンズの作り・操作性など、全体的に高水準な仕上がりにも関わらず、価格はソニーGMの半値。間違いなくコストパフォーマンス抜群の35mm F1.4。純正レンズであること、携帯性、接写時の解像性能、AFの互換性などを重視しない限り、このレンズで満足できる可能性が高い。ソニーGMとの差額でもう一つレンズを買うも良し、他の出費に充てるも良し。

批判的見解

ココに注意

  • ソニーGMと比べるとサイズが大きく重い
  • MFリングはリニアな操作が不可能
  • ブリージングが目立つ(ソニーGMほどではない)
  • 平凡な最短撮影距離・最大撮影倍率
  • 僅かに軸上色収差の影響あり
  • 玉ボケの縁取りが強い
  • 陣笠状の歪曲収差が目立つ
  • 周辺減光が目立つ

「FE 35mm F1.4 GM」も使った身で言わせてもらうと、微妙なサイズ差が厄介。小さなカメラバッグに収まるGMと収まらないシグマで、この差が撮影機会のロスに繋がる可能性あり。個人的には重視したいポイント。
ブリージングや色収差、周辺減光はGMと比べて驚くような差は無いものの、目立つ陣笠状の歪曲収差は要注意。特にレンズプロファイルに対応していない現像ソフトでは手動補正が難しいので気を付けたいところ。

総合評価

管理人
満足度は95点。
「コレがあるからシグマを選ぶ」と言った決め手に欠けるものの、ソニーGMと比べてコストパフォーマンスが良く、強いこだわりが無いのであれば、手ごろな価格のシグマがおススメ。ただし、ソニーGM比で大きなレンズサイズと歪曲収差の補正状態は注意が必要。

購入早見表

作例

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