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”伸びない”標準大口径ズームレンズに関するキヤノンの特許出願

2021年11月18日付けでキヤノンの気になる特許出願が公開。広角側から望遠側へズームすると、伸びるどころか縮むF2.8・F4の標準ズームレンズに関する実施例を含んでいます。

概要

  • 【公開番号】特開2021-179xxx
  • 【公開日】2021年11月18日
  • 【発明の名称】ズームレンズ及びそれを有する撮像装置
  • 【出願日】2020年5月14日
  • 【出願人】
    【識別番号】000001007
    【氏名又は名称】キヤノン株式会社
  • 【課題】大口径比かつ小型でありながら高い光学性能を有するズームレンズ及びそれを有する撮像装置を提供すること。
  • 【0002】
    近年、撮像装置の高機能化に伴い、大口径比でありながら小型軽量なズームレンズが要求されている。この要求を満足するズームレンズとして、最も物体側に負の屈折力のレンズ群を配置したネガティブリード型のズームレンズが知られている。
  • 【0008】
    本発明は、大口径比かつ小型でありながら高い光学性能を有するズームレンズ及びそれを有する撮像装置を提供することを目的とする。

実施例1

  • 焦点距離:28.84-67.90
  • F値:2.91
  • 半画角:32.65-17.67
  • 像高:21.64
  • 全長:149.46-115.94
  • バックフォーカス:13.48-27.78

広角側の全長は、同じく特許出願の「RF24-70mm F2.8 IS USM」とほぼ同じ。さらに望遠側へズームすると光学系の全長が短くなる模様。外装を広角側に合わせてインナーズームに出来るほか、望遠側に合わせて縮長を短くすることも出来そうですね。非常に携帯性の良いF2.8ズームとなりそうです。フォーカスはフローティングフォーカス構造を採用しているので、高速かつ近接性能の高いレンズを期待できそう。
注意点として、収差図を見ると歪曲収差が明らかに残っています。おそらく、デジタル補正を前提とした光学設計となっているはず。

実施例3

  • 焦点距離:28.84-60.00
  • F値:4.12
  • 半画角:32.68-19.83
  • 像高:18.50-21.64
  • 全長:141.33-104.61
  • バックフォーカス:19.70-35.51

F2.8ズームと同じコンセプトで口径を小さくしたF4ズーム版。全長はF2.8と同じですが、縮長がより短くなっています。フォーカスは後群の1枚のみで、実用化の際には小型軽量・低価格なレンズとなりそう。実用化するとしたらF2.8よりも、このようなレンズとなるかもしれませんね。
やはり収差図では歪曲収差が強く残っており、広角?中間域まではデジタル補正が必須となっています。さらに、広角側は像高が35mmフルサイズセンサーを満たすものでは無いので、強い歪曲収差の補正時に引き延ばす設計なのかなと。

興味深い設計ですが、このようなズームレンズが実際に実用化されるかどうかは不明。標準域をカバーするRFズームレンズは既に5本も存在するので、これ以上は増やさないのではないかなぁと。。。
それでも「伸びる大口径望遠ズーム」を投入したキヤノンEOS Rシステムだけに「伸びない or 縮む 大口径標準ズーム」があっても驚きはしないです。

参考:キヤノンRFマウントレンズ一覧

RF ズームレンズ
RF 単焦点レンズ

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