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APO-LANTHAR 35mm F2 Zは万人向けでは無いが高解像で美ボケのレンズ

CameraLabsがコシナ「APO-LANTHAR 35mm F2 Aspherical」のレビューを公開。MF限定レンズですが、高い解像性能と比較的滑らかなボケ、そして個性的な使い勝手の光条が得られる模様。

CameraLabs:Voigtlander 35mm f2 APO-Lanthar review

(基本的なスペックなどの紹介は割愛しています)

外観・構造:

  • 52mmのねじ込み式フィルターに対応している。
  • 金属製のレンズフードが付属している。
  • 防塵防滴には非対応だ。
  • 総金属製の構造でとても頑丈で良好な作りだ。

携帯性:

  • 非常にコンパクトなレンズだ。
  • 最短撮影距離で内筒が6mm伸びる。
  • 重量はニコンZ 35mm F1.8やBatis 40mm F2と同程度だ。

操作性:

  • 絞りリングはF2からF16まで1/3段刻みで動作する。
  • 絞りリングをクリックレスに切り替えることは出来ない。
    (Eマウントは可能)
  • フォーカスリングは18mm幅で握りやすい。
  • フォーカスリングのストロークは135°でニコンお馴染みの回転方向だ。
  • フォーカスリングはとても滑らかに回転するが、指一本での操作が難しいほどトルクがかかっている。
  • フォーカスリングと絞りリングの間隔は7mmで、誤操作の可能性がある。

フォーカス:

  • 最短撮影距離は0.35m、撮影倍率は1:6.6とそう高くない。ニコンZのほうが良好だ。
  • フォーカス時の操作音は聞こえない。
  • フォーカスブリージングが目立つ。

手ぶれ補正:

  • 光学手ぶれ補正は非搭載だ。
  • レンズ情報を伝達する電子接点を搭載しているが、ボディ側の手ぶれ補正は3軸のみ対応している。

解像性能:

  • F2でAPS-Cフレームでとても良好なシャープネスが得られた。フルサイズの隅では少しソフトになる。
  • ニコンZやツアイスBatisと比べると中央で同等だが、周辺部や隅はフォクトレンダーが最も良好だ。
  • 遠景でもF2から全体的にとても良好だ。この性能に匹敵するのはシグマ35mm F1.2 DG DNのみである。
  • 最短撮影距離でもF2から非常にシャープだ。F4まで絞ると全体的にとてもシャープな結果が得られる。

像面湾曲:

  • APS-Cフレームで無視できる程度で、フルサイズ隅で少し発生する。(近距離でのテスト)

ボケ:

  • 縁取りの無い玉ボケだが、内側に同心円状のリングが発生する。軸上色収差による色付きは無い。
  • F2で口径食の影響が目立ち、F2.8でも解消しない。
  • F2-F2.8では円形の絞りを維持しているが、それ以上では12枚の絞り羽根の形状が見える。
  • 前後は非常に滑らかなボケ味だ。

色収差:

  • 軸上色収差はほとんど発生していない。ニコンやツアイス、ソニーよりも良好だ。

球面収差:

  • 絞ると僅かに後ボケのほうがシャープになり、他のテストでもフォーカスシフトが発生した。ただし、2本目の個体でこの現象は発生しなかった。

歪曲収差:

  • 軽度の糸巻き型だが、Adobeのプロファイルで適切に補正可能だ。

周辺減光:

  • F2で周辺減光が目立ち、F2.8まで絞っても非常に目立つ。

コマ収差:

  • コマ収差はほとんど見られない。

逆光耐性:

  • 光源が中央に近い場合はコントラストが維持されている。
  • フレーム隅に強い光源がある場合はフレアの影響が強くなる。
  • 特殊な絞り羽根でF2/2.8/5.6/16では光条が発生しない。しかし、絞り値を1/3段ずらすと発生する。

競合レンズとの比較:

  • Z 35mm F1.8
    ニコンZは良いレンズだ。中央やコントラストはフォクトレンダーよりも少し良好だ。しかし、周辺部にいくほどフォクトレンダーのシャープネスは際立っている。ニコンは接写性能や逆光耐性が良好だが、絞り開放で強めの軸上色収差が発生、遠景のボケが非常に騒がしくなる。
  • FE 35mm F1.8
    小型軽量でフォクトレンダーの半値だ。しかし、ボケ味はフォクトレンダーと比べて見劣りし、像面湾曲で風景撮影時に周辺部が少しソフトになる。接写性能は良好だが、色収差はフォクトレンダーのほうが遥かに少ない。AFと低価格の点でソニーだが、画質はフォクトレンダーだ。
  • Batis 40mm F2 CF
    画角が少し狭いが、接写性能が高く、AFやOLEDディスプレイに対応している。全体的にシャープで色収差はほとんど無く、コマ収差も抑えられている。しかし、フォクトレンダーは全体的にさらに良好で、ボケも優れている。同価格帯なので、決め手はAF対応となるだろう。

作例集

総評

Voigtländer 35mm F2 APO-Lantharは非常に優れた大口径の広角レンズだが、万人向けではない。AFなしで動く被写体を撮影することは不可能に近い。しかし、被写体がほとんど静止しており、マニュアルで正確にピントを合わせる方法を知っている場合、このレンズの高い解像度と非常に優れた透明度は、ごくわずかな色収差と比較的美しいボケを組み合わせて、非常に心地よい写真を撮ることができる。非常にお勧めできるレンズだ。

  • 長所
    ・とても良好なシャープネス
    ・高いコントラスト
    ・コマ収差と色収差が最小限
    ・像面湾曲がほとんど無い
    ・逆光耐性
    ・グレートではないが良好なボケ
    ・F2.2でも光条が発生する絞り羽根
    ・とても良好なビルドクオリティ
  • 短所
    ・MFフォーカス
    ・マニュアル絞り
    ・対角線上の強い光源でフレアが発生する
    ・フォーカスブリージングが目立つ
    ・Zマウント版ではクリックの解除が出来ない
    ・防塵防滴ではない

とのこと。
ソニーEマウント・ライカMマウント版に加えてリリースされたニコンZマウント版のAPO 35mm F2ですね。APOを冠しているだけあって色収差の補正状態はとても良好となっているようです。Phillipreeveなどは厳しい状況で発生する色収差を指摘していましたが、少なくとも競合レンズよりも良好な補正状態であるのは間違いなさそうですね。

解像性能も良好で、特に周辺部まで高い解像度を維持しており、ピント位置に関わらず良好なパフォーマンスを楽しむことができるのは嬉しいですねえ。さらにボケもまずまず良好とのこと。

さらにフォクトレンダーらしく偶数の絞り羽根を採用し、絞りを操作することで開放付近でも小絞り付近でも光条の具合を調整できるのは良いですね。F2.2でも切れ味のある光条が得られるレンズは貴重。

コシナ「APO-LANTHAR 35mm F2 Aspherical」交換レンズデータベース

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