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EC素子を使用した可変アポダイゼーションに関するキヤノンの特許出願

2022年8月26日付けでキヤノンの気になる特許出願が公開。以前に電子制御による可変DSを想定した光学系の特許がありましたが、今回はEC素子を使用した可変DSの仕組みに関する特許のようですね。

概要

  • 【公開番号】P2022124678
  • 【公開日】2022-08-26
  • 【発明の名称】エレクトロクロミック素子、及びそれを有するレンズユニット、撮像装置
  • 【出願日】2021-02-16
  • 【出願人】
    【識別番号】000001007
    【氏名又は名称】キヤノン株式会社
  • 【課題】調光領域の外周部から給電を行う溶液型EC素子において、好適な透過率分布を実現できるEC素子を提供する。
  • 【背景技術】
    【0002】
    エレクトロクロミック(以下、「EC」と表記する場合がある)素子は、一対の電極と、その電極間に配置されたEC層と、を有する素子であり、一対の電極間に電圧を印加してEC層内の化合物を酸化若しくは還元することによって可視光帯域の色相や光量を調整する光学素子である。
    EC素子はこれまでにも航空機の可変透過率窓や自動車の防眩ミラー等の製品に応用されており、また近年では撮像装置用の絞りやシャッターの他、NDフィルタやハーフNDフィルタ、アポダイゼーションフィルタ等への適用が試みられている。アポダイゼーションフィルタはボケ像の輪郭を滑らかにする光学素子で、光軸から離れるにつれて透過率が低下する透過率分布を有している。
  • 【0004】
    上記した従来のEC素子では、電極の抵抗範囲を規定することによって好ましい透過率分布を実現しているが、構成要件の設定が十分とは言えなかった。即ち、溶液型EC素子の透過率分布は、単位幅当たりの電極抵抗と溶液抵抗の抵抗比に依存し、抵抗比は具体的には電極のシート抵抗、調光領域の直径、一対の電極間の間隔、エレクトロクロミック層(溶液)の抵抗率に依存する。よって、好ましい透過率分布を実現するためには、これらを規定することが必要であった。
    本発明の課題は、調光領域の外周部から給電を行う溶液型EC素子において、好適な透過率分布を実現できるEC素子、さらには、レンズのメカニカル絞りの開口径に追従させて好適な透過率分布を形成できるEC素子を提供することにある。また、本発明は、係るEC素子を用いて、光学特性に優れたレンズユニット、撮像装置を提供することにある。

キヤノンはRFマウントでボケ味を改善するDS(Defocus Smoothing)技術を採用したレンズをリリースしており、以前の特許では絞っても効果が低下しないようにフィルターの濃淡を電子制御で調整する構造を特許として出願しています。前回の特許では使用する光学系と可変DSの概念を掲載、そして今回は実際に可変DSに使用する仕組みに関する特許のようですね。

どうやらキヤノンは可変DSシステムにEC素子の使用を検討しているようです。EC素子の応答性や耐久性、そして特性の劣化が気になるところですが、もしも可変DSが本当に実現すると小絞りでも綺麗なボケを得られるレンズとなりそうですね。可変NDとしても機能すると面白そう。どちらにせよ、近い将来に登場する可能性はまだ低いと思われます。

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