バランスが良いコンパクトな中望遠
このページではサムヤンのミラーレス用交換レンズ「AF 75mm F1.8 FE」のファーストインプレッションを掲載しています。
操作性
フルサイズ用の中望遠単焦点としてはとても小さく、軽いレンズです。感覚としては50mm F1.8と似たような使い勝手・収納性で取り扱うことが出来ます。中望遠を日常的に多用する人ならばこの携帯性は魅力と感じることでしょう。
非常に軽量なレンズですが、外装にプラスチックを多用しており質感はクラス最低。レンズマウントもプラスチックのような質感なので、長期的な視点で見ると故障やトラブルが発生しやすいかもしれません。とは言え、それ相応に軽くて安いレンズに仕上がっています。文句を言う筋合いはないはず。
電子制御のフォーカスリングは一般的な回転速度に応じたピント移動では無く、リニアな操作性となっています。思いのほか直感的に利用することが出来るはず。ストロークが270度以上あるのでフルマニュアルで操作するには回転角が大きすぎると感じます。その一方、微調整にはとても使いやすい。
レンズ側面にカスタムスイッチが備わっており、初期設定で「MODE2」に切り替えるとフォーカスリングを絞りリングとして使用可能。ソニーやシグマの絞りリングと違い、無段階絞りリングであり、実質的にコマンドダイヤルの操作性とそこまで大きな違いはありません。特に静止画で使うと操作の遅延もあり使い勝手が悪い。レンズステーションで「AF/MF」切替スイッチに設定変更するのがおススメ。(別売りで5000円以上するのですよね…)
FE85mm F1.8のようにフォーカスホールドボタンは備わっていません。
画質
絞り開放の解像性能はまずまず良好ですが、レンズサイズの大きい85mm F1.8と比べると四隅が厳しい。絞ると安定するので少なくともF2.8以上がおススメ。特に四隅の画質が必要無ければ絞り開放から完全に実用的な画質です。
後述しますが色収差が少なく、絞り開放からコントラストが高いのは強みとなるはず。少なくとも「atx-m 85mm F1.8 FE」よりは良好なコントラストです(四隅の安定感は劣る)。
ボケは基本的にニュートラルで使いやすい描写。じっくり観察すると前ボケが少し滑らかで、後ボケが少し硬いと気が付くはず。近距離では口径食の影響が小さく四隅まで綺麗なボケです。
軸上色収差の補正が良好でボケに色づきが無いのは大きい。少々硬い後ボケが悪目立ちしていません。
非球面レンズを使用していないので玉ボケは滑らかで綺麗。
前述してきたように色収差補正はこのレンズの強み。「FE 85mm F1.8」「atx-m 85mm F1.8 FE」と比べて特殊レンズ使用数が多く、優れた色収差補正を実現しているのでしょう。収差補正は完璧とは言えないものの、絞り開放から全く問題なく使用可能です。後処理の必要性は無し。
良好な色収差補正という点で標準単焦点「AF 45mm F1.8 FE」と同じ感覚でF1.8を使うことが出来ます。
このクラスとしては非常に良好な光学性能ですが、逆光耐性がやや低め。フレアは良く抑えているものの、ゴーストの発生数が多いです。幸いにも画角の狭いレンズなので回避しやすい問題です。
機能性
オートフォーカスはリニア駆動のステッピングモーターを使用。遅くは無いけど、速くもない。「AF45mm F1.8 FE」とほぼ同じフォーカス速度なので、そちらに抵抗が無ければ違和感なく使えるはず。正直に言うと、あまり寄れるレンズでは無く、そしてインナーフォーカス駆動のレンズと考えるとやや遅く感じます。ピント精度は良好で特に問題は感じません。
瞳AFは良好に動作しますが、追従速度がそれほどでもないので近距離で動く被写体は苦手。
最大撮影倍率は「0.13倍」とやや低め。ただし、中望遠単焦点としては一般的な数値です。85mmと比べて画角が広く、最短撮影距離が多少短くなっています。85mmと比べて画角が少し広いため、フレームが整理し辛いと感じるかも。
価格
フルサイズ対応の中望遠AFレンズとしては最も安い。FE85mm F1.8より1万円ほど安く、atx-m 85mm F1.8と比べて5千円ほど差があるはず。”コストパフォーマンスを重視するのであれば”見過ごせない価格差と言えるでしょう。
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総評
欠点を先に挙げると「プラスチック外装とコントロールの少なさ」「並のフォーカス速度」「逆光耐性」「防塵防滴非対応」と言ったところ。この中で光学性能に影響があるのは逆光耐性くらい。
逆に強みを挙げると「小型軽量」「低価格」「まずまず高解像」「良好な色収差補正」「まずまず良好なボケ」「大きな問題のない歪曲収差・周辺減光」「良好なコントラスト」などなど…。手ごろな価格の中望遠レンズとしては優れた光学性能を備えており、耐久性や高速性を追求しなければコストパフォーマンスの高い一本。
75mmの画角には慣れが必要だと思いますが、高画素機なら多少クロップすることで85mmらしく使うことも可能。ただし、85mmと同じ使い方で撮影すると多少ボケが小さく感じるかもしれません。
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