Canonレンズ Canon関連の情報 カメラ レンズ 機材の噂情報・速報 特許情報

キヤノンが”長く伸びない”「RF28-70mm F2.8 L USM」を検討している?

2021年10月7日付けでキヤノンの気になる特許出願が公開。実施例は全てミラーレス向け「28-70mm F2.8」となっており、さらにズームしても長く伸びない設計となっている模様。

概要

  • 【公開番号】特開2021-156xxx
  • 【公開日】2021年10月7日
  • 【発明の名称】ズームレンズおよび撮像装置
  • 【出願日】2020年3月25日
  • 【出願人】
    【識別番号】000001007
    【氏名又は名称】キヤノン株式会社
  • 【課題】レンズ全長が短く、小型軽量な高い光学性能のズームレンズを提供する。

小型軽量な標準ズームに関する特許のようですね。この光学系で特徴的なのは、全長が広角端で最も長く、望遠端に向かって全長が短くなること。広角レンズではよくある光学系ですが、標準ズームレンズでこのようなタイプのレンズはあまり見ない、特に大口径ズームでは見かけませんね。もしも本当に実用化されたら、非常に携帯性の良いレンズとなりそうです。それでは実際に実施例を確認してみましょう。

実施例1

  • 広角 中間 望遠
  • 焦点距離 28.84 36.81 67.90
  • Fナンバー 2.91 2.91 2.91
  • 半画角(°) 32.68 29.23 17.67
  • 像高 18.50 20.60 21.64
  • レンズ全長 117.09 109.31 101.58
  • BF 9.99 13.47 21.59

広角端でも全長*が117.09mmと短く、さらに望遠端で101.58mmと驚くほど全長が短くなっていることが分かります。これでズーム全域「F2.91(実用化された際にはF2.8となるかもしれませんが)」を実現しているのは凄いですね。オートフォーカスはフローティングフォーカス構造を採用しており、高速で応答性の高いAFが期待できます。
シグマのコンパクトな大口径ズーム「28-70mm F2.8 DG DN|Contemporary」は特許上での全長が「124.04-146.47mm」となっています(この実施例通りとは限りませんが、参考までに)。比較してさらにコンパクトなズームレンズとなる模様。「RF24-105mm F4-7.1 IS STM」並の全長となるかもしれませんね。

ただし、よく見ると広角側で像高がフルサイズに足りておらず、収差図で残存する歪曲収差を見るに、カメラ側のレンズ補正で広角側を大きく修正するように見えます。(RF24-105mm STMやRF24-240mm USMも同じ)
また、広角側のバックフォーカスが9.99mmと非常に短く、レンズ交換式カメラとしてはあまり現実的な実施例ではないように見えます。

*ここで言う全長は実用化された際の「レンズ全長」とは異なります。スペック表と比較しないように気を付けてください。

実施例2

  • 焦点距離 28.84 37.17 67.90
  • Fナンバー 2.91 2.91 2.91
  • 半画角(°) 32.65 28.90 17.67
  • 像高 21.64 21.64 21.64
  • レンズ全長 132.62 122.81 111.18
  • BF 21.92 26.79 39.84

実施例1と比べるとバックフォーカスが長く、広角側の像高も大きな実施例(他の実施例も似たようなパラメータとなっているので下部にレンズ構成のみ掲載)。実施例1と比べて全長が10~15mmほど長いものの、このあたりが落としどころかもしれませんね。やはり歪曲収差は強めに残っているので、カメラ側での補正は必須に見えます。
この実施例では広角側の全長がシグマ28-70mm F2.8よりも少し長くなり、望遠側で遥かに短くなっています。実質的なインナーズームレンズとしても、望遠側で縮長が短くなるズームレンズとしても面白い大口径ズームとなりそう。

もちろん、この特許の存在で将来的にこのレンズが実用化されるとは限りません。しかし、キヤノンが何らかのコンパクトな大口径ズームを検討しているのは確かに見えます。これまでの傾向として、キヤノンはサードパーティ製レンズに付け入る隙を与えないようなレンズラインアップを展開しています。今後もこの傾向が続くのであれば、フルラインアップ戦略の一環として登場してもおかしくはなさそうです。

キヤノンRFマウントレンズ一覧

RF ズームレンズ
RF 単焦点レンズ

特許関連記事

-Canonレンズ, Canon関連の情報, カメラ, レンズ, 機材の噂情報・速報, 特許情報
-