DPReviewがキヤノン「RF100mm F2.8 L MACRO IS USM」を紹介しています。SAコントロールはピント位置によって影響量が異なる、ブリージングは良好に抑えられている、などなど。
DPReview:Closer look: Canon RF 100mm F2.8L Macro IS USM
- キヤノンはネイティブRFマウントのマクロレンズを発表した。「RF100mm F2.8 L MACRO IS USM」は、キヤノンの中望遠マクロレンズとしては初めて、最大撮影倍率1.4倍を実現している。これにより、カメラのセンサーに実物大の1.4倍の像を映し出すことが可能だ。
- 光学設計は13群17枚で構成されている。最大倍率では、25×17mmの大きさの被写体を画面いっぱいに写すことができる。
- 倍率1倍の場合、フォーカス距離は28cm、ワーキングディスタンスは11.2cm(鏡筒の長さを考慮して)だ。
- 最大倍率1.4倍の場合、最短撮影距離は26cm、撮影可能距離はわずか8.6cmである。このような近距離では、カメラやレンズによる被写体の影に注意が必要だ。レンズフードは外したほうがいいだろう。この種のレンズを使用する際には、リングライトやフラッシュが便利である。
- 鏡筒の先端にある「ロック」ボタンはレンズの特殊なコントロールリングをロックしたりアンロックしたりするものだ。
- 専用の球面収差補正リングが搭載されており、ボケ味を思い通りに変えることができる。このリングは基本的に、レンズの構成要素を動かして球面収差特性を変化させるものだ。
- 「+」に動かすと、光線が錯乱円内に集中してシャボン玉のようなボケになり、前景のボケはソフトになる。
- 「-」では、光線を錯乱円内のより中央に集中させることで、ピント面でのシャープさを犠牲にしても、非常にソフトなデフォーカスの背景や前景になる(ニコンの105mm F2 DCレンズの例を参照)。
- なお、ピント面で最もシャープな結果を得るためには、SAコントロールリングを「0」の位置にしておく必要がある。
- また、このレンズは9枚の絞り羽根で円形のボケを実現しているが、最近では11枚の絞り羽根でさらに円形のボケを実現するレンズも登場している。
- SAを「-」にすると、アポダイゼーションフィルター(「キヤノン RF 85mm F1.2L USM DS」など)の効果と同じように、ボケが硬くならずに済むが、ここではその効果がまったく異なる。
- 「0」の状態では、光学系の球面収差(SA)が最小限に抑えられている。実際のレンズで完全にSAがゼロになることはないが、ここでは「0」の状態でSAのない「完璧な」レンズとなる。
- その理由は、撮像素子の手前でピントが合った物体からの光線は、レンズの周辺部から入ったものも、中心部から入ったものも、像面に当たるまでに均等に分散するからだと考えられる。
- SAコントロールリングを「-」方向に回すと、背景のボケは「0」よりもさらに滑らかになり、玉ボケの縁取りは柔らかくなる。前景のボケとは全く逆の効果となる。
- SAコントロールリングを「+」方向に回すと、背景のボケはシャボン玉のような効果になり、前景のボケはより滑らかとなる。
- また、SAコントロールリングを「+」方向に回して撮影した画像は、ピント面がややソフトになり、ドリーミーな描写となる。しかし、すべての光線がきれいに一点に収まらないため、SAコントロールリングを「0」に設定した場合と比べて、ピントの合った物体も決してシャープには見えない。
- SAコントロールの量は撮影距離に応じて変化し、ピント全域の中央付近にピークがある。最短撮影距離(最大撮影倍率1.4倍)では、SAコントロールは基本的に使用できず、SAコントロールリングの効果が無い。倍率1倍(撮影距離0.28m)では、リングを回すことでわずかにSAコントロールが可能となる。
- 倍率0.5倍、フォーカス距離0.38m?1mでは、SAコントロールの効果が最大となる。つまり、SAコントロールリングを回すことで、レンズの球面収差特性が劇的に変化する。
- 5mから無限遠の間では、SAコントロールの影響が減少するものの、まだ中程度の量だ。キヤノンの説明によると、SAコントロールをプラス方向にもマイナス方向にも、フォーカスレンジ全体で大きく変化させることができるとのことだ。
- このレンズはCIPA規格で5段分の光学式手ブレ補正効果を実現している。5軸ボディ内手ブレ補正機能を搭載した最新のEOS Rとの組み合わせでは、レンズとイメージセンサーの連携による手ブレ補正効果が8段分にもなる。
- マクロレンズのように倍率が高い場合、手の動きが大きく反映されるため、手ブレ補正は特に重要だ。しかし、マクロレンズのように近距離では手ぶれ補正の効果が落ち、8段分の効果は得られない。ただし、初代EF100mmマクロに搭載された「ハイブリッドIS」が、近距離撮影時に威力を発揮する。これは、パン・チルトに加えて、水平・垂直方向の移動も補正しようとするものだ。
- 本レンズには2つのナノUSMフォーカスモーターが搭載されており、高速かつ静粛なAFを実現している。我々は、キヤノンのナノUSMテクノロジーのスピード性能に非常に感銘を受けている。ピント距離の長いマクロレンズでも「デュアルナノUSM」ならば容易にフォーカスが可能なはずだ。
- さらに、フォーカスブリージングが減少しているらしく、これはビデオグラファーにとっては喜ばしいことだ。
- カスタマイズ可能なコントロールリングを搭載し、絞り、ISO、露出補正などの設定にダイレクトにアクセスできる。
- フォーカスリミッターを搭載し、無限遠から0.5mまでの範囲でピントを合わせることができ、オートフォーカスの高速化が可能だ。また、0.26m?0.5mの範囲でピントを合わせることも可能である。
- 鏡筒部には、AF/MFスイッチと手ブレ補正のON/OFFスイッチを搭載している。
- キヤノンの一部のレンズとは異なり、パンニング専用のI.S.オプションは搭載されていないが、これはパンニング撮影時にレンズが自動的にISシステムを検知して最適化するためだ。
- 「スーパースペクトラコーティング」は、明るい光源の中や周辺での撮影時にゴーストやフレアの発生を抑制する。また、前玉にはフッ素コーティングを施し、ホコリや水分、指紋の付着を防ぐ。
- 本レンズは防塵・防滴仕様で、重量は約730gだ。
- 2021年7月に発売予定で、希望小売価格は1,399ドルだ。
- アダプター付きの三脚取り付けリングは別売りである。
とのこと。
球面収差をコントロールするレンズと言えばニコン「AI AF DC-Nikkor 105mm f/2D」「AI AF DC-Nikkor 135mm f/2D」が有名ですが、デジタルカメラ用レンズとして登場するのはこれが初めてかもしれませんね。(そしてキヤノンとしても初)
SAコントロールリングを調整することでボケ質を変化させることが出来るのは面白い。特にシャボン玉のようなボケを得られる最新レンズは少ないので、面白い使い勝手が出来そうです。
ただし、アポダイゼーション光学素子などのように、ピント面のシャープネスを維持しつつボケ質を変化させることが出来ない点には注意が必要かも。ピント距離とSAコントロールの関係もあり、自分の好みと合致させるためにはシビアな調整が必要なように見えます。
ライブビューでSA影響量を確認できるのか、「±」調整時にAFは正常に機能するのか、などなど、まだ知っておくべきことは多いように感じられます。実際に買って試してみないと分からないかもしれませんね。(個人的に買う気満々)
おそらく、このレンズも他のRFレンズと同じく需要過多・供給不足に陥る可能性があります。特にステイホームでマクロレンズの需要が高まっていることもあり、さらに品薄になると予想。必要であれば早めに注文しておくべきかもしれません。
実際にどのような写真を撮ることが出来るのか?RF100mmの作例はまだありませんが、同じ特性を備えた「DC-Nikkor」のユーザー投稿をFlickrで確認することが出来ます。(球面収差の変動量は異なるかもしれませんが…)
キヤノン「RF100mm F2.8 L MACRO IS USM」交換レンズデータベース
RF100mm F2.8 L MACRO IS USM ・2021年4月16日10時 予約開始 ・2021年7月下旬 発売予定 |
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一眼レフ用(アダプター必須)
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- Laowa 100mm F2.8 Ultra-Macro APO
レンズ比較
RF100 | EF100 | |
焦点距離 | 100mm | 100mm |
開放絞り | F2.8 | F2.8 |
最小絞り | F32 | F32 |
絞り羽根 | 9 | 9 |
最短撮影距離 | 0.26m | 0.3m |
最大撮影倍率 | 1.4倍 | 1.0倍 |
フィルター | 67mm | 67mm |
サイズ | φ81.5×148mm | φ77.7mm×123mm |
重量 | 730g | 625g |
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