Optical Limitsがキヤノン「RF50mm F1.8 STM」のレビューを掲載。解像特性や諸収差の補正はきちんとした性能と評価しつつ、接写時の性能低下やボケ味の悪さを指摘しています。
Optical Limits:Canon RF 50mm f/1.8 STM - Review / Test Report
レンズの紹介:
- キヤノンRFマウントでは最も手ごろな価格の単焦点レンズだ。わずか200ドルで購入することができる。
ビルドクオリティ:
- ビルドクオリティは良好だが、プロユーザー向けでないことは明らかだ。
- 防塵防滴仕様ではなく、撮影距離が短くなると内筒が伸びる仕様である。
- レンズフードは付属していない。
携帯性:
- 記載なし。
操作性:
- フォーカスリングとコントロールリングは一つのリングで兼用されている。機能はスイッチで切り替える。
オートフォーカス:
- ステッピングモーター駆動を使用している。
- フォーカス速度はかなり速いが、ノイズレスではない。コストダウンは理解できるが、他の選択肢が無かったのか不思議だ。
- 撮影距離・撮影倍率はEFレンズからわずかに改善されている。
マニュアルフォーカス:
- バイワイヤ方式で、フォーカスリングを操作するとAFモーターを駆動する。
手ぶれ補正:
- 光学手ぶれ補正は搭載していないがボディ側の手ぶれ補正を利用可能だ。
解像性能 EOS R5:
- 全体的にきちんとした性能だが、一部は厳しい。
- F1.8から中央から周辺まで非常に高い解像度を維持しているのは見事だが、四隅ではコントラストが急激に低下する。
- 四隅の柔らかさはF2.2でもほとんど改善されないが、F2.8まで絞ると良好となる。
- F4?F8で全体的に優れた画質を得ることが可能だ。
- F11で回折の影響を受けるが、依然として非常に良好だ。
- 画素数の少ないEOS Rで試しても結果はほとんど同じだ。
- 接写時は非常にソフトな描写となる。
像面湾曲:
- 像面湾曲の影響は少ない。
ボケ:
- 玉ボケは滑らかな描写で目立つ縁取りは見られない。F2.8まで円形を維持している。
- ただし、フレーム端に向かって描写は悪化し、口径食の影響も目立つ。
- 玉ボケが円形を維持しているのは中央の狭いエリアで、四隅へ向かって急速に変形する。
- 前ボケはとても騒がしく、後ボケは優れている。ただし、これは中央に限った話であり、四隅に向かって悪化する。
色収差:
- 倍率色収差はフレーム端で平均0.7ピクセルだ、絞ると軽減され、F4以降は無視できる。
- 軸上色収差はF1.8でピント面前後に色づきが見られる。F2.2まで絞ると軽減され、F2.8では悪くない結果だ。
球面収差:
- 記載なし。
歪曲収差:
- 光学的にわずかな歪曲しか発生していない。
- 自動補正を有効にしてもメリット・デメリットは発生しないだろう。
周辺減光:
- RAWではF1.8でなんと3.6EVの光量落ちが発生する。
- F2.2まで絞っても非常に高い数値だ。F4まで絞る必要がある。
- 必然的に自動補正は強くなる。このため、センサーノイズが発生しやすい。
コマ収差:
- 記載なし。
逆光耐性:
- 記載なし。
総評
Canon RF 50mm F1.8 STMは良いところと悪いところがある。
いくつかのカテゴリは(傑出していないながらも)本当に良好だが、1つ2つは扱いたくないカテゴリも存在する。
- 解像度に関して全般的に非常にまともだ。中央の広い部分や周辺部も絞り開放から非常に高い解像性能を備えている。
- 四隅はそうではなく、非常にソフトでコントラストが低い。しかし、このような設定で隅々までシャープさを求めることはほとんどないので、実用上はあまり問題にならないだろう。
- F4およびF5.6では、このレンズはあらゆるレンズの基準で得られるのと同じくらいシャープだ。ただし、これはどんなに安いレンズ50mm F1.8でも見られる典型的なことだ。
- 歪曲収差や倍率色収差は、RAWファイルでも最小限に抑えられている。
- ただし周辺減光は明らかに多く、トンネル効果を狙うのでなければ自動補正が必要だ。
- しかし、このレンズが本当につまずいている2つの側面がある。焦点距離が近くなると画質が低下し、ボケ味もあまり良くない。被写界深度の浅い写真全てで目立つわけでは無いが、いくつかの写真ではそうなるだろう。最高のボケを得るためには(被写界深度やピンボケを犠牲にしても)、F値を1段下げる必要がある。
- コンシューマーグレードのレンズとしては、特にこの価格帯のレンズとしては作りが良好だ。プラスチックと金属を組み合わせた部品や、滑らかなコントロール/フォーカスリングなど、かなりしっかりとした印象を受ける。
- また、小型なので、カジュアルな撮影やストリートでの撮影にはちょうど良い。
- 欠点として、耐候性がないことと、インナーフォーカスではなく年代物の伸びるフォーカシング機構に頼っていることが挙げられる。しかし、少なくともEOS R5と組み合わせると、AFは非常に高速だが、フォーカシングの際に少しノイズが発生する。
長所と短所のすべては、当然ながら価格とのバランスで決まる。200ドル/230ユーロという価格は、現在の基準では非常に安価であり、それだけで際立った存在だ。駄目なところは駄目と割り切って使えば、きっといい結果が得られるはずだ。
とのこと。
私も発売日からこのレンズをEOS R5と組み合わせて使用しています。Optical Limitsのレビューは概ね同意できる内容。解像性能は周辺部に改善が見られるものの、フレーム全体でシャープな結果を得るにはEF50mm F1.8 STMと同等くらいには絞る必要があります。また、接写時はEFレンズよりも周辺が甘くなる点には注意が必要。
ボケ味の悪さを指摘していますが、個人的に接写時(EF50mm F1.8以上に近寄った場合)の球面収差が残ったボケは嫌いではありません(接写時以外は概ね同意)。一般的な撮影距離でのボケ味はEF50mmから変化なし。
諸収差の補正状態もEF50mm F1.8 STMとよく似ていますが、周辺減光はさらに強まった感あり。特にPMo非球面レンズが悪さをしているのか、透過率はEFレンズよりも悪いです。
私は本当に魅力的と感じるのは携帯性。サイズこそEF50mm F1.8 STMと変わりませんが、フランジバックの短いミラーレス用の50mm F1.8としては最小クラス。EOS RPや、今後登場するであろうよりコンパクトなミラーレスとの相性は良いはず。そこにEF50mmとの価格差ぶんの価値を見いだせるかどうかは別ですが…。
高性能なキヤノンRFレンズ群の中では、イマイチぱっとしない光学性能であることは確か。もちろん一般的な撮影距離で周辺部の解像性能が向上している点は評価したいところ。
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