2022年5月16日付けでシグマの気になる特許出願が公開。レトロフォーカスタイプでバックフォーカス長めの「55mm F1.4」「65mm F1.4」「70mm F1.4」に関する光学系を含んでいます。
概要
- 【公開番号】P2022071325
- 【公開日】2022-05-16
- (22)【出願日】2020-10-28
- 【発明の名称】単焦点レンズ
- 【出願人】
【識別番号】000131326
【氏名又は名称】株式会社シグマ- 【課題】 F1.4程度と大口径比で素早いオートフォーカスが可能な諸収差を良好に補正した単焦点レンズを提供する。
- 【背景技術】
【0002】
デジタルカメラをはじめとする光学機器に用いられる単焦点の撮影光学系においては高速撮影やボケを生かした表現に対応できるように大口径比であることが求められている。さらに撮像素子の高画素密度化に伴い、諸収差をより一層補正して高性能であることが要求されている。従来、一眼レフカメラ用の撮像光学系においてはミラーの可動範囲としてバックフォーカスを確保する必要からレトロフォーカスタイプをとることが多い。レトロフォーカスタイプを採用して長いバックフォーカスと大口径比、高性能化を図った撮影レンズが知られている。- 【0004】
特許文献1では標準画角のレンズに多く採用されてきたダブルガウスタイプのレンズ構成の物体側に凹レンズと凸レンズ成分からなるワイドコンバーターの役割をもつレンズ構成を有する実施例が開示されている。この光学系はFNOが1.4程度と大口径を実現している。しかしながら主にサジタル方向の収差補正が不十分で周辺像高部で像の広がりが大きい。特許文献2では特許文献1と同様にダブルガウスタイプの物体側にワイドコンバーターの役割をもつレンズ構成を有する光学系が開示されている。この光学系はワイドコンバーターの役割をもつレンズ群を構成するレンズ枚数を多くし特許文献1よりも近接撮影が可能になっているもののサジタル方向の収差補正が不十分で周辺像高部での像の広がりが大きい。- 【0005】
本発明はこのような状況に鑑みてなされたものであり、F1.4程度と大口径比で素早いオートフォーカスが可能な諸収差を良好に補正した単焦点レンズを提供することを目的とする。実施例1
- 焦点距離:54.42
- F値:1.46
- 画角:43.62
- 像高:21.63
- 全長:167.72
実施例2
- 焦点距離:62.87
- F値:1.46
- 画角:38.04
- 像高:21.63
- 全長:167.71
実施例3
- 焦点距離:69.51
- F値:1.76
- 半画角:34.46
- 像高:21.63
- 全長:167.64
実施例4
- 焦点距離:63.94
- F値:1.46
- 半画角:37.41
- 像高:21.63
- 全長:167.68
フルサイズに対応する大口径レンズ「55mm F1.4」「60mm F1.4」「65mm F1.4」「70mm F1.4」を想定したような実施例を含んでいますね。65mmの実施例が多めで、出願日が2020年となっているので、「65mm F2 DG DN」製品化の流れの中で登場した検討案にも見えますが…(ちなみに65mm F2 DG DNと思われる特許は別に存在します。)
よく見てみると長いバックフォーカスが必要となる一眼レフを想定したような内容となっており、光学系もバックフォーカスを確保しやすいレトロフォーカスタイプを採用しています。センサー面までの全長も167mmと非常に長く、ミラーレス向けの設計ではないのかなと。2020年に出願された特許ながら、一眼レフ用レンズ時代のSGVシリーズを彷彿とさせる大艦巨砲主義的な50~70mmレンズに見えます。フォーカスは後群をガッツリ移動させるのでステッピングモーター駆動では力不足かもしれません。
ここ最近、シグマが「50mm F1.2 DG DN」「50mm F2 DG DN」をリリースすると噂されていますが、この光学系を採用することはないと思います。2020年に何故シグマがこのような光学系の特許を出願したのかは不明。一眼レフ向けに最後の打ち上げ花火があるのでしょうか?(ただし、特許出願公開前に実用化されなかったことから、ボツになった可能性が高い)
参考:50mm F1.4 DG HSM レンズ構成
参考:シグマDG DN一覧
- 14-24mm F2.8 DG DN
- 24-70mm F2.8 DG DN
- 28-70mm F2.8 DG DN
- 100-400mm F5-6.3 DG DN OS
- 20mm F2 DG DN
- 24mm F2 DG DN
- 24mm F3.5 DG DN
- 35mm F1.2 DG DN
- 35mm F1.4 DG DN
- 35mm F2 DG DN
- 45mm F2.8 DG DN
- 65mm F2 DG DN
- 85mm F1.4 DG DN
- 90mm F2.8 DG DN
- 105mm F2.8 DG DN MACRO
- 150-600mm F5-6.3 DG DN OS
競合他社の大口径50mm
AF
- RF50mm F1.2L USM
- NIKKOR Z 50mm f/1.2 S
- NIKKOR Z 58mm f/0.95 S Noct
- Planar T* FE 50mm F1.4 ZA
- FE 50mm F1.2 GM
- LUMIX S PRO 50mm F1.4
- AF 50mm F1.4 II FE
- AF 50mm F1.4 FE
MF
- NOKTON 50mm F1.2 Aspherical SE
- NOKTON 50mm F1.2 Aspherical E-mount
- SPEEDMASTER 50mm F0.95 III
- TTArtisan 50mm f/1.4 ASPH
- 7Artisans 50mm F1.05
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